【完結】ゲーム序盤に殺されるモブに転生したのに、黒幕と契約結婚することになりました〜ここまで愛が重いのは聞いていない〜

紅城えりす☆VTuber

文字の大きさ
6 / 16

謎解きは昼飯の後で

しおりを挟む
「そっそれよりも、向かい側で、なにやら噂話をしているご婦人がいるでしょう?」

 二個目のパウンドケーキをつまもうとすると、再びルイスが呟いた。

 そんな噂話をしている女性なんか何人もいるではないか――いや、彼の視線は一点に集中してる。その先に居たのは、金髪のご婦人と娘だと思わしき茶髪の少女。そして、夫だと思わしき金髪の男性。

 恐らくセシルが言う『ご婦人』とは金髪の女性のことであろう。

「居ますね」

「マダムの隣に居る女の子、彼女は幸せだと思いますか?」

 ここは「いや、知りませんよ」とでも返したいところだが、あの夜烏が質問してきたのだ。これは挑戦状と受け取るべきだろう。
 実際にゲームのシナリオ中でもルイスが、質問を通して主人公を試すシーンがいくつかあった。

(ここで拒否してしまっては、推理ゲームオタクとしてのプライドに傷がついてしまう)

 ならば、挑戦を受けるまでだ。
 再びルイスの方を見えると、彼は小皿の上に大量の菓子を乗せていた。
 澄ました顔のわりに甘党なのだろうか。

 マダムが話していたのは、彼女と同じ歳ぐらいの女性であった。
 話している内容は大体「知り合いの知事がさ」だの「また新しい食器を買った」だの、ほとんどマウントである。
 このぐらい裕福な家庭なら娘も幸せなのでは――と感じるが、そんなに簡単な話では無いだろう。
 娘らしき少女の服装を見ると、両親の服と比べて装飾が質素な上に身長が低い。しかも、あの髪……。

「これは私の考察ですが、答えはノーです」

「どうしてですか?」

「まず、彼女がまとっている服は両親と比べて質素ですよね。身長の低さも単なる偶然である可能性もありますが、日々の食事に苦しんでいる労働者階級に多い特徴です。そして、彼女の髪は茶色。通常金髪の両親から茶髪が産まれる確率は極めて低い――もしかすると、彼女は養子か、あの男が使用人か娼婦と浮気した際に生まれた子供では?」

 ここで一つ失敗してしまったことに気づく。この理論は遺伝学に基づいている。この世界で、もし遺伝子が発見されていなかった場合、まずいことに……。

 しかし、こちらの心配は杞憂だったようで、ルイスはクスリと笑うと、私の傍まで寄ってきた。そのまま、右頬を掴まれる。
 サファイア色の瞳と視線が交差する。
 彼の美しさ故に、胸の鼓動が止まらない。

「やはり、貴方の事が気に入りました。暇つぶしとして一つゲームをしましょう」

 最後にルイスは、こちらの耳元まで顔を近づけ囁く。
 「やはり」なんて、まるで以前から気に入っていたような言い方をする。

「もし貴方が勝てば、ご褒美をあげます」


***

 
 舞踏室に戻ると、何やら大騒ぎになっていた。
 入り口付近には数人の王都警察が、集まっていた。

(何事だろう。まさか殺人事件じゃないよね?)

 時間軸的にはまだゲーム開始前のはずだ。
 殺人事件など起こるはずがないのに……。

 王都警察の一人が、私の方を見ると、他のメンバーに小さな声で耳打ちした。そして、何人かの屈強な男達が私の方へ、まっすぐ向かってくる。

「シータ・ソフィア・ノックス。貴方をフレイヤ嬢に黒魔術をかけた疑いで逮捕します」
「待って下さい。どの様な経緯でこのようなことに?」
「フレイヤが貴方の名前を、悪魔に取り憑かれたように呟きながら倒れたのです」

 いや、待て待て。おかしすぎる。
 なぜ私が逮捕されなくてはならない?
 それ以前に黒魔術って……。
 いくら、ここが異世界だからといって、少なくとも私は魔法の類いは使えないはずなのに。

『暇つぶしとして一つゲームをしましょう』
『もし貴方が勝てば、ご褒美をあげます』

 色々と思考を巡らせていると、ふとルイスの言葉を思い出す。
 まさかゲームって――私自身の無実を証明すること?

(こんな理不尽なゲームがあって、たまるか!)




 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

処理中です...