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26 傷の男の正体
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わたしの目の前にいる男──。
そんな、まさか。
わたしが十歳の時に事故で亡くなったはずの。
「ト、トーマスお兄様?」
わたしが確認するように聞くと、赤髪の男はゆっくり頷いた。
「な、なんで死んだはずのお兄様がここに。それになんで変装なんかして」
頭が混乱している。密使の待ち伏せで戦ったこともある。味方だったのなら、なんでもっと早く──。
聞きたいことが多すぎて逆に何も聞けない。わたしは立ち上がって、あ~、もうと頭をかきむしる。
「落ち着け。まずは正体を隠していた件だ。すでにあの頃からイェーリンゲン家はヴォルフスブルク公に狙われていた。後継ぎである俺を事故に見せかけて殺そうと計画していたのだ」
お兄様の事故死。原因は不明だったけど、それもヴォルフスブルク公の仕業だったなんて。
でも実際にはトーマスお兄様は死んではいなかった。
「この暗殺事件は公表されていない。世間一般には俺はまだ死んだことになっている」
「でも、生きていたならどうして」
お父様もお母様もとても悲しんでいた。特にお母様はそれが原因で体調を崩し、亡くなってしまったほどだ。
お兄様が健在ならわたしが戦に出る必要もなかった。
お兄様程の立派な後継ぎがいれば、アンスバッハもずっと安泰だとみんな安心できたはず。
わたしの責めるような視線をまっすぐ受け止め、トーマスお兄様はさらに衝撃的なことを口にする。
「ヴォルフスブルク公のことを探るには俺が死んでいたほうが好都合だった。それに、この物語の中で自由に動けるからな」
「物語って、どういう……」
「俺も転生者だ。お前と同じな」
「──!」
転生者。つまりわたしと同じように現実世界からこの小説の世界に来た人間だというのか。
まさかわたし以外に存在してるなんて。
「この世界は本来のストーリーと違う展開になろうとすると、それを矯正する力が働く。お前も何度か体験しているはずだ。だから俺は表舞台から消える必要があった」
「そ、それで死んだことにして、変装してヴォルフスブルク公のところに潜伏したってこと?」
「そうだ。俺はお前と違って、この小説のラストまで知っている。最後は殿下とあのマルティナが苦難の末に恒久的な和平条約をロストックと結んだ、という場面で終わっている」
それなら平和的に終わってハッピーエンドじゃないのか? わたしは悪役令嬢として処刑されちゃってるんだけど。
それ以外の人にとっては問題ない終わり方だと思う。
「ところが小説にはさらに続きがあってな。その後の『追章』で一年後のザールラント国のことが書かれている」
トーマスお兄様は思い出すように目を閉じながら、その内容を語った。
アンスバッハのイルゼをはじめとする主戦派の領主や廷臣らの失脚によって、宮廷内はヴォルフスブルク公一派による専横が目立つようになる。
和平条約があるからもう必要ないと国境の兵を退去させ、王都の兵士数も削減。
近隣の諸侯にもことごとく軍縮を強制させた。
軍部に身を置く者は冷遇され、武器や防具の製造、城の防備も縮小。
軍事に関するあらゆる支出をカットした。
だがそれこそがヴォルフスブルク公の狙いだった。
平和条約から一年後、突然のロストック軍の襲来。
条約違反と非難するが、ロストックの大軍は意に介せずやすやすと国境を突破。
あっという間に王都まで進軍。そして包囲して半月もしないうちに王城は陥落した。
「そんな……ザールラントが滅びるってこと? それじゃ陛下や殿下も」
「小説では御二方の安否は不明だ。ザールラントは国自体は存続している。新王にヴォルフスブルク公を迎えてな」
「は? はあっ⁉ ヴォルフスブルク公がザールラントの王? なんで⁉」
「これがヤツの最終目的だった。ロストックと通じ、主戦派の排斥と軍の縮小、弱体化。国を差し出す代わりに自らが王位に就く。ロストックの傀儡ではあるが」
「なんてヤツ……裏切りどころの話じゃなかったんだ。あっ、マルティナは? 仮にも王太子妃の立場なのに」
「殿下と正式に離縁したかどうかは分からないが、早々とロストックの王族に嫁いでいる。あの女も相当面の皮が分厚いな」
それを聞いてわたしは言葉も出なかった。
舞踏会の時も婚約発表の時もあんなに慕っているように見えたのに。
マルティナはエアハルト様の王太子という立場だけが好きだったのだろうか。
いや、もうヴォルフスブルク公もマルティナも捕まったのだから関係ない。すべては解決したんだった。
「ていうか、作者はなんでそんな余計なことを付け加えたんだろう? 普通に主人公のマルティナとエアハルト様が結ばれてハッピーエンドのほうが読者ウケもいいだろうし」
「さあな。作者の考えなんて分からんが、設定上はヴォルフスブルク公が黒幕というのを明かしたかったんだろう。読者にとってはたしかに蛇足だろうが、俺たちから見れば助けになった」
お兄様はその『追章』を知っていたからこそストーリーを改変することが出来た。
わたしもこの世界でいろいろ試したけど結局は処刑されそうになって……。
お兄様のように死を偽装するような思い切った行動を取らないとダメだったのだろうか。
「……それで、今回のお兄様の行動で最悪の事態は避けられたというわけですか」
「そうだな。ヴォルフスブルク公は極刑は免れないだろう。マルティナも殺されないとしても追放か幽閉。ヤツが束ねていた不戦派の連中もほぼ処罰が決まっている」
「それがお兄様の……転生者としての目的だったのですか」
「そうだな。どうせこの世界で生きるのなら、ヴォルフスブルク公のような悪党ののさばる国じゃ嫌だろう。あんなのは現実世界だけで十分だ」
ここではじめてトーマスお兄様がクスリと笑った。
元の世界でどんな人間だったとか、どんな生活をしていたとかはいちいち聞かない。
わたしだって話したくなかった。ただ、なんとなくわたしと同じように辛かったり苦しい思いをしてきたんだと思う。
そんな思いがこの世界に転生するきっかけになったのかも?
推測に過ぎないけど、そんな気がしてきた。
「で、これからの事だ。ヴォルフスブルク公のことを告発した時点で陛下と殿下には身分を明かしている。アンスバッハの新領主として収まるように言われているんだが」
トーマスお兄様はそう言って少し困ったような表情。
それはわたしも歓迎だ。城のみんなも大喜びするはず。
トーマスお兄様ならわたしなんかよりずっと領主に向いていると思う。
「それは辞退しようと考えていた。領内の者たちにも俺が生きていることは伏せておくべきだと」
「なっ、どうして⁉ せっかく悪いヤツらも全員捕まって、これからだって時に」
「ヴォルフスブルク公の信頼を得るためとはいえ、ヤツの汚い仕事に手を貸していたのは事実だからな。陛下や殿下は特別に恩赦をして下さると言っているんだが、自分なりに納得してはいない」
「陛下や殿下が許してくれるなら、それで十分だと思うけど。必要以上に自分を責めないで」
「……分かっている。それにお前が代わりに領主を務められない可能性もある。そうなればアンスバッハも混乱するだろう。それだけは避けたい」
「んん? よく分からないけど、領主になってもいいって事?」
トーマスお兄様は観念した様子で腕組みし、低く唸る。
「そうならざるを得ない状況だとしか言えんな。ここからが本題だ。これから出かけるぞ」
「えっ、出かけるって、どこに」
「殿下がお呼びだ。約束していただろう。回復すれば話があると」
そんな、まさか。
わたしが十歳の時に事故で亡くなったはずの。
「ト、トーマスお兄様?」
わたしが確認するように聞くと、赤髪の男はゆっくり頷いた。
「な、なんで死んだはずのお兄様がここに。それになんで変装なんかして」
頭が混乱している。密使の待ち伏せで戦ったこともある。味方だったのなら、なんでもっと早く──。
聞きたいことが多すぎて逆に何も聞けない。わたしは立ち上がって、あ~、もうと頭をかきむしる。
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お兄様の事故死。原因は不明だったけど、それもヴォルフスブルク公の仕業だったなんて。
でも実際にはトーマスお兄様は死んではいなかった。
「この暗殺事件は公表されていない。世間一般には俺はまだ死んだことになっている」
「でも、生きていたならどうして」
お父様もお母様もとても悲しんでいた。特にお母様はそれが原因で体調を崩し、亡くなってしまったほどだ。
お兄様が健在ならわたしが戦に出る必要もなかった。
お兄様程の立派な後継ぎがいれば、アンスバッハもずっと安泰だとみんな安心できたはず。
わたしの責めるような視線をまっすぐ受け止め、トーマスお兄様はさらに衝撃的なことを口にする。
「ヴォルフスブルク公のことを探るには俺が死んでいたほうが好都合だった。それに、この物語の中で自由に動けるからな」
「物語って、どういう……」
「俺も転生者だ。お前と同じな」
「──!」
転生者。つまりわたしと同じように現実世界からこの小説の世界に来た人間だというのか。
まさかわたし以外に存在してるなんて。
「この世界は本来のストーリーと違う展開になろうとすると、それを矯正する力が働く。お前も何度か体験しているはずだ。だから俺は表舞台から消える必要があった」
「そ、それで死んだことにして、変装してヴォルフスブルク公のところに潜伏したってこと?」
「そうだ。俺はお前と違って、この小説のラストまで知っている。最後は殿下とあのマルティナが苦難の末に恒久的な和平条約をロストックと結んだ、という場面で終わっている」
それなら平和的に終わってハッピーエンドじゃないのか? わたしは悪役令嬢として処刑されちゃってるんだけど。
それ以外の人にとっては問題ない終わり方だと思う。
「ところが小説にはさらに続きがあってな。その後の『追章』で一年後のザールラント国のことが書かれている」
トーマスお兄様は思い出すように目を閉じながら、その内容を語った。
アンスバッハのイルゼをはじめとする主戦派の領主や廷臣らの失脚によって、宮廷内はヴォルフスブルク公一派による専横が目立つようになる。
和平条約があるからもう必要ないと国境の兵を退去させ、王都の兵士数も削減。
近隣の諸侯にもことごとく軍縮を強制させた。
軍部に身を置く者は冷遇され、武器や防具の製造、城の防備も縮小。
軍事に関するあらゆる支出をカットした。
だがそれこそがヴォルフスブルク公の狙いだった。
平和条約から一年後、突然のロストック軍の襲来。
条約違反と非難するが、ロストックの大軍は意に介せずやすやすと国境を突破。
あっという間に王都まで進軍。そして包囲して半月もしないうちに王城は陥落した。
「そんな……ザールラントが滅びるってこと? それじゃ陛下や殿下も」
「小説では御二方の安否は不明だ。ザールラントは国自体は存続している。新王にヴォルフスブルク公を迎えてな」
「は? はあっ⁉ ヴォルフスブルク公がザールラントの王? なんで⁉」
「これがヤツの最終目的だった。ロストックと通じ、主戦派の排斥と軍の縮小、弱体化。国を差し出す代わりに自らが王位に就く。ロストックの傀儡ではあるが」
「なんてヤツ……裏切りどころの話じゃなかったんだ。あっ、マルティナは? 仮にも王太子妃の立場なのに」
「殿下と正式に離縁したかどうかは分からないが、早々とロストックの王族に嫁いでいる。あの女も相当面の皮が分厚いな」
それを聞いてわたしは言葉も出なかった。
舞踏会の時も婚約発表の時もあんなに慕っているように見えたのに。
マルティナはエアハルト様の王太子という立場だけが好きだったのだろうか。
いや、もうヴォルフスブルク公もマルティナも捕まったのだから関係ない。すべては解決したんだった。
「ていうか、作者はなんでそんな余計なことを付け加えたんだろう? 普通に主人公のマルティナとエアハルト様が結ばれてハッピーエンドのほうが読者ウケもいいだろうし」
「さあな。作者の考えなんて分からんが、設定上はヴォルフスブルク公が黒幕というのを明かしたかったんだろう。読者にとってはたしかに蛇足だろうが、俺たちから見れば助けになった」
お兄様はその『追章』を知っていたからこそストーリーを改変することが出来た。
わたしもこの世界でいろいろ試したけど結局は処刑されそうになって……。
お兄様のように死を偽装するような思い切った行動を取らないとダメだったのだろうか。
「……それで、今回のお兄様の行動で最悪の事態は避けられたというわけですか」
「そうだな。ヴォルフスブルク公は極刑は免れないだろう。マルティナも殺されないとしても追放か幽閉。ヤツが束ねていた不戦派の連中もほぼ処罰が決まっている」
「それがお兄様の……転生者としての目的だったのですか」
「そうだな。どうせこの世界で生きるのなら、ヴォルフスブルク公のような悪党ののさばる国じゃ嫌だろう。あんなのは現実世界だけで十分だ」
ここではじめてトーマスお兄様がクスリと笑った。
元の世界でどんな人間だったとか、どんな生活をしていたとかはいちいち聞かない。
わたしだって話したくなかった。ただ、なんとなくわたしと同じように辛かったり苦しい思いをしてきたんだと思う。
そんな思いがこの世界に転生するきっかけになったのかも?
推測に過ぎないけど、そんな気がしてきた。
「で、これからの事だ。ヴォルフスブルク公のことを告発した時点で陛下と殿下には身分を明かしている。アンスバッハの新領主として収まるように言われているんだが」
トーマスお兄様はそう言って少し困ったような表情。
それはわたしも歓迎だ。城のみんなも大喜びするはず。
トーマスお兄様ならわたしなんかよりずっと領主に向いていると思う。
「それは辞退しようと考えていた。領内の者たちにも俺が生きていることは伏せておくべきだと」
「なっ、どうして⁉ せっかく悪いヤツらも全員捕まって、これからだって時に」
「ヴォルフスブルク公の信頼を得るためとはいえ、ヤツの汚い仕事に手を貸していたのは事実だからな。陛下や殿下は特別に恩赦をして下さると言っているんだが、自分なりに納得してはいない」
「陛下や殿下が許してくれるなら、それで十分だと思うけど。必要以上に自分を責めないで」
「……分かっている。それにお前が代わりに領主を務められない可能性もある。そうなればアンスバッハも混乱するだろう。それだけは避けたい」
「んん? よく分からないけど、領主になってもいいって事?」
トーマスお兄様は観念した様子で腕組みし、低く唸る。
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