SRPG転生王女 〜お気に入りキャラの中から結婚相手を選びます~

みくもっち

文字の大きさ
45 / 50

45 特技の応酬

しおりを挟む
 鷲獅子猟兵グリフォンマスターのフリーダ。あんなに姫様大好きっ娘だったのに今は敵だなんて信じられない。
 いや、だからこそ本物のアネリーゼ姫のほうに従っているのか。

 グリフォンの機動力を活かして縦横無尽に攻撃を仕掛けている。
 対するクラーアは飛行ユニット弱点である風魔法を放っているが、敵の素早い動きに翻弄されてなかなか命中させられないでいる。

 上空にいたらわたしの魔法だって届かない。クラーアと協力してなんとかおびき寄せる事はできないか。
 
「クラーア、わたくしも手伝います! まずはあなたの回復を」

 フリーダの投擲する投げ斧トマホークによってあちこち切り傷が。わたしの回復魔法によってみるみる傷が癒えていく。

「あ、ありがと。でもわたしになんか構ってる場合じゃないでしょ。あんたはあんたで他にやることが……」

 ここでわたしとクラーアの間にブブンッ、と割り込むように投げ斧トマホークが飛んできた。
 そしてフリーダの怒りの声。

「なにをイチャイチャ話しているんですかっ! 偽者といえど美しいアネリーゼ姫とあなたみたいながさつな女が! わたしは気に入らないんですよ、あなたなんかが姫様の幼なじみだなんてっ」

 槍に持ち替えて急降下してくる。怒りに我を忘れているようだ。
 槍の穂先はまっすぐにクラーアを狙っている。魔法でカウンター、いや、間に合わない!

 わたしは飛びこむようにクラーアを突き飛ばす。その上をグリフォンが風を切って通り過ぎていく。
 フリーダはすぐにUターして戻ってくるぞ。その前に魔法の集中を。
 
「偽者のアネリーゼ姫はわたしが生け捕りにしてずっとずーっと一緒に暮らすんだから! 逃げられないように首輪に鎖をつけて……ああ、考えただけでも興奮するっ」

 なんか物騒な事を言いながらフリーダが突進してくる。わたしはちょっと離れてるけど閃光ルクスの魔法を放った。
 効果は──グリフォンの注意がこっちに向いた。完全に怯ませるほどじゃないけど、クラーアが集中するには十分な間だ。

 クラーアの杖から放たれた風刃ウインドが騎乗しているフリーダにヒット。
 フリーダはグリフォンから落ちてそのまま動かなくなった。

 心配して近づいて見るが、気を失っているだけのようだった。
 
「よし、次は」

 顔を上げた瞬間、ドドドッ、と騎馬がもつれるようにしてわたしの眼前を通り過ぎる。
 ウルリクとアウネータが騎馬上で打ちあっている。まずはウルリクを止めないといけない。

「わたしはクヌーズ先生の方に行ってくる。先生を説得しないと」

 クラーアはそう言ってヴィリたちが戦っているほうに走っていった。
 よし、そっちは任せた。この緑髪のイケメン騎士はわたし達がなんとかする。

 ウルリクの槍の連続刺突。アウネータが押され気味だ。かろうじて剣で防御、ここで2騎の距離が開いた。
 そこへセヴェリン王子が飛び込む。アウネータも合わせるように前に出た。ふたりのコンビネーションアタック。

 おお、さしもの聖騎士パラディンウルリクもこれにはたまらず落馬したよ。
 槍も神剣ゲフィオンによって破壊された。もう勝機はないぞ。

 だけどウルリクの戦意は衰えていない。腰の剣を抜いてセヴェリン王子に斬りかかる。あんの分からず屋め。

 つばぜり合いになって背中ががら空き。ここは悪いけど……と、わたしは睡眠スリープの魔法をかける。
 魔法の耐性の強い聖騎士パラディンだけどこの不意打ちは効果的だった。ウルリクは前のめりに倒れ、寝息を立て始めた。

 聖騎士パラディンといえばもうひとりの強敵、ラグンフリズのほうは。
 やや離れた位置にラグンフリズの姿を確認する。アグナーとカルステンが奮闘中だ。

 アグナーの持っている魔法剣エアブレード。剣を振るたびに風の刃を飛ばす優れものだが、ラグンフリズのほうも魔法防御力の高いライトシールドを持っている。アグナーが放つ風の刃はことごとく弾かれている。
 隙をついてカルステンも攻撃を仕掛けるが、高い位置からの鋭い槍の攻撃になかなか飛び込めないでいる。

 達人級のふたりを相手にまったく引けを取らない。さすがはロスキレの騎士団長。
 セヴェリン王子とアウネータはヴィリとギオルグの手助けへと向かった。ここはわたしが助っ人に入る。

 まずはウルリクの時と同じように睡眠スリープ! むむ、やっぱり真正面からは通じないっぽい。それにあの盾、状態異常にも強いのかも。

 それじゃあ閃光ルクスとかも通じないか。わたしは杖での魔法攻撃は諦めて剣を抜いて走る。
 魔法剣が通用しないアグナーも業を煮やし、いつもの長剣に持ち替えて突っ込んでいく。カルステンも側面から間合いに入る。

 三方向からの同時攻撃。これは決まっただろう、とわたしはふと以前のフレゼリクハウンの戦いを思い出していた。
 敵将のフェルディナン将軍を囲んだセヴェリン王子、ウルリク、フリーダがいっぺんに負傷してしまった光景。

「みんな、待って!」

 必死に叫ぶ。だがすでにラグンフリズは聖騎士パラディンの特技【戦舞】を発動させていた。
 隣接した全包囲に同時攻撃。わたし達は致命傷を受けて──。

 いや、これは……カルステンの打撃が一瞬速かったようだ。
 突き上げた拳がラグンフリズ腰の辺りに命中している。甲冑ごしだが、グラリと態勢を崩したぞ。

「我が僧兵モンクの特技【封殺】。一度だけではあるが、相手の特技を封じることができる」

 ふおお、カルステン固有の兵種クラスにそんな特技があったなんて。だからラグンフリズの特技が発動しなかったのか。あ、でも一度だけなら今のうちになんとかしないと。

「どけっ、あとは俺が決める!」

 アグナーの雄叫びに、わたしとカルステンは飛び退く。
 
「アジな真似を……来いっ」

 向かってくるアグナーにラグンフリズの槍のカウンター。危ないって思ったけど、アグナーの速度が急激に上がってすり抜けるように連撃を叩き込む。これは剣豪ソードマスターの特技【縮地】だ。すげえ、もう使えるようになってたのか。

「……見事」

 縮地を喰らったラグンフリズは落馬。ひえっ、これって殺しちゃった? 
 
「殺してねーよ。刃の部分は当ててねえ。気絶しただけだ」

 ぶっきらぼうにアグナーが説明。がさつなくせにそういう気遣いできるようになったんだねぇ。わたしは涙出そうだよ。

 さあ、あとはクヌーズ先生ただひとり。
 いくらなんでももう決着はついているのでは……って、うわ、たったひとりなのにヴィリ、ギオルグ、アウネータ、セヴェリン王子を相手に互角以上に戦っている。弟子のクラーアの説得も効果がないみたいだ。

 クヌーズ先生の兵種クラス高魔術士ハイウィザード。その特技【轟天】は複数のユニットに魔法ダメージを与えるもの。さらに先生自身の高い魔力が加わってとんでもない威力を発揮しているヤバい技だ。

 あれなら多対一でも問題ないっていうのも納得。近づくまえにボッカンボッカンやられたらどうしようもない。
 でも特技や魔法も無尽蔵に使えるってわけじゃない。魔法を使う杖には使用回数があるし、特技だって体力を消耗する。
 クヌーズ先生に勝つにはそこを狙うしかない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

処理中です...