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第1部 剣聖 羽鳴由佳
83 断ち斬る者と逆襲する者
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「ひとり逃げられたわね。まあ、いいわ。残りのヤツらを始末するから」
マイクスタンドを取り出したセプティミア。
ギュイイイーンとどこからともなく激しいギター音。ヘヴィメタル調のBGMが聞こえてくる。
「さあ、わたしの歌を聴けーーっ!」
高音のシャウトから、ハイトーンボイスの美声。
ヘルメット軍団の動きが変わった。
バババババババッ、と互いを踏み台にして積み上がり、巨大な壁を作る。
そこからグラァ、とラーズグリーズと楊に向かって倒れ込んだ。
ドキャアッ、とレーヴァテインからレーザー光線が放たれ、ヘルメット軍団の壁に穴を開ける。
かえってそれは逆効果だったか。
穴からブアア、とヘルメット軍団が土塊へと変わり、その変化が広がる。
大規模な土砂崩れのように二人をあっという間に呑み込んだ。
ドドドドドド、とさらにヘルメット軍団が覆い被さり、片端から土塊へと変化。ついに小さな山が出来てしまった。
これではさすがに身動きできないだろう。いや、圧死したかもしれない。
キャハハハハ、とセプティミアが身体を震わせて笑う。あの姿、狂気を感じずにいられない。
傍らにはいつの間にか戻ってきたサイラスが跪ずいている。
「なによ、全然たいした事ない……。わたしの新しい力に敵うヤツなんていないんだから。ねえ、サイラス」
「は、仰るとおりです。セプティミアさま」
こわ……わたしはもぞもぞと動いて逃げ出そうとしたが……あ、やっぱりダメだ。ヒョイ、と荷物のようにサイラスに持ち上げられた。
「ふふ、どうしたものかしら。サイラス、面白そうだから首実検といきましょうか」
「は、かしこまりました」
なんか物騒なこと言っているが……急に殺さないよね?
やっぱり恨んでるのかな。でも消失したのは志求磨だし……。あ、コイツがなんでここにいるのか分かった。
武道大会の志求磨対ショウ戦だ。
消失したショウを再び呼び戻すのに、ナギサが《召喚者》の力を使った。
その時に余計なモノを巻き込んだかも、と言っていた。
多分、その余計なモノがこのセプティミアだ。
元の世界をスゴく嫌っていたからか、たまたまナギサと波長が合ったか……。とにかく迷惑な話だ。
テーブルと椅子のあった丘の下に一本の樹。その近くに放り投げられた。
むがむがと、ヘンな声が聞こえる。よく見たら、その樹に縛りつけられている人物がいるではないか。
わたしと同じく猿ぐつわをされている……げ、黒由佳じゃないか。
「どちらが本物かしら? 顔は同じだけど、瞳の色と髪型が違うわね……服装も着こなし方が違う……品の無さそうな所はそっくり」
「こちらの髪を結んでいないほうが、わたし達と戦った《剣聖》では?」
「……そうね、そうみたい。殺すなら、こっちから殺そうかしら」
セプティミアの言葉に、縛りつけられた黒由佳がもがもがと頷いて足をわたしに向けて突っつくような仕草。
コイツ、わたしを売る気か。いや、恨まれているのはたしかにわたしだが。わたしに間違えられて捕まったのには同情するが、あんまりではないか。
わたしも負けじと足をバタつかせて、黒由佳を突っつく。
お互いの足が触れてげしげしと蹴り合いになった。
「見てよ、サイラス。醜いわ……命が惜しいとはいえ、ここまで人間とは醜くなるものかしら」
「まさしく。見ているのも耐え難いですな。両方、殺しましょう」
サイラスがハルバートを振りかぶる。その狙いは黒由佳に──。
もがー! もがもがっ、と黒由佳が足掻いている。
ハルバートが振り下ろされた瞬間、その姿が黒い霧状に変化、わたしの簪に吸い込まれた。
「なにっ!」
二人が驚愕している目の前でわたしはロープをぶちぶちと引きちぎり、猿ぐつわを外す。
左目が、熱い……! 左腕、左足に黒い紋様が浮かび上がる。
腹の底から脳天に二つ名が直撃──そう、わたしは《断ち斬る者》。
抜刀──円を描くように。そして納刀。
ズ、ズズ、と両断された樹がずり落ちる。
そしてサイラスの胴体も。
セプティミアが叫んだ。高音シャウト。広域型音響攻撃──ビリビリビリィッ、と身体に衝撃。
地面からボコボコとヘルメット軍団が出現した。飛び退いたセプティミアが歌う。意外にも癒し系のバラード。
両断されたサイラスの身体。上半身と下半身がギュルオッ、と回転しながらくっついて立ち上がった。うえ、気持ち悪い。あの歌の効果か。
今のところ、正気は保てている。だが、いつまで持つか分からない。早く決着をつけて捕らえられた仲間を追わねば──。
「なに、なんなのよ、その姿……わたしと同じでパワーアップしたっていうの?」
ギリギリと歯噛みしながら、セプティミアはマイクを持ち直す。
ズンズンズン、と重低音の効いたBGM。ロック調の音楽に合わせ、歌いだした。
ヘルメット軍団がさらに増え、その身体がムキムキと一回り大きくなった。攻撃力増強の歌だ。
サイラスにお姫様抱っこされ、後方へ退くセプティミア。
わたしに向かってヘルメット軍団が襲いかかる。
その数、数百──いや、千を超えている。
マイクスタンドを取り出したセプティミア。
ギュイイイーンとどこからともなく激しいギター音。ヘヴィメタル調のBGMが聞こえてくる。
「さあ、わたしの歌を聴けーーっ!」
高音のシャウトから、ハイトーンボイスの美声。
ヘルメット軍団の動きが変わった。
バババババババッ、と互いを踏み台にして積み上がり、巨大な壁を作る。
そこからグラァ、とラーズグリーズと楊に向かって倒れ込んだ。
ドキャアッ、とレーヴァテインからレーザー光線が放たれ、ヘルメット軍団の壁に穴を開ける。
かえってそれは逆効果だったか。
穴からブアア、とヘルメット軍団が土塊へと変わり、その変化が広がる。
大規模な土砂崩れのように二人をあっという間に呑み込んだ。
ドドドドドド、とさらにヘルメット軍団が覆い被さり、片端から土塊へと変化。ついに小さな山が出来てしまった。
これではさすがに身動きできないだろう。いや、圧死したかもしれない。
キャハハハハ、とセプティミアが身体を震わせて笑う。あの姿、狂気を感じずにいられない。
傍らにはいつの間にか戻ってきたサイラスが跪ずいている。
「なによ、全然たいした事ない……。わたしの新しい力に敵うヤツなんていないんだから。ねえ、サイラス」
「は、仰るとおりです。セプティミアさま」
こわ……わたしはもぞもぞと動いて逃げ出そうとしたが……あ、やっぱりダメだ。ヒョイ、と荷物のようにサイラスに持ち上げられた。
「ふふ、どうしたものかしら。サイラス、面白そうだから首実検といきましょうか」
「は、かしこまりました」
なんか物騒なこと言っているが……急に殺さないよね?
やっぱり恨んでるのかな。でも消失したのは志求磨だし……。あ、コイツがなんでここにいるのか分かった。
武道大会の志求磨対ショウ戦だ。
消失したショウを再び呼び戻すのに、ナギサが《召喚者》の力を使った。
その時に余計なモノを巻き込んだかも、と言っていた。
多分、その余計なモノがこのセプティミアだ。
元の世界をスゴく嫌っていたからか、たまたまナギサと波長が合ったか……。とにかく迷惑な話だ。
テーブルと椅子のあった丘の下に一本の樹。その近くに放り投げられた。
むがむがと、ヘンな声が聞こえる。よく見たら、その樹に縛りつけられている人物がいるではないか。
わたしと同じく猿ぐつわをされている……げ、黒由佳じゃないか。
「どちらが本物かしら? 顔は同じだけど、瞳の色と髪型が違うわね……服装も着こなし方が違う……品の無さそうな所はそっくり」
「こちらの髪を結んでいないほうが、わたし達と戦った《剣聖》では?」
「……そうね、そうみたい。殺すなら、こっちから殺そうかしら」
セプティミアの言葉に、縛りつけられた黒由佳がもがもがと頷いて足をわたしに向けて突っつくような仕草。
コイツ、わたしを売る気か。いや、恨まれているのはたしかにわたしだが。わたしに間違えられて捕まったのには同情するが、あんまりではないか。
わたしも負けじと足をバタつかせて、黒由佳を突っつく。
お互いの足が触れてげしげしと蹴り合いになった。
「見てよ、サイラス。醜いわ……命が惜しいとはいえ、ここまで人間とは醜くなるものかしら」
「まさしく。見ているのも耐え難いですな。両方、殺しましょう」
サイラスがハルバートを振りかぶる。その狙いは黒由佳に──。
もがー! もがもがっ、と黒由佳が足掻いている。
ハルバートが振り下ろされた瞬間、その姿が黒い霧状に変化、わたしの簪に吸い込まれた。
「なにっ!」
二人が驚愕している目の前でわたしはロープをぶちぶちと引きちぎり、猿ぐつわを外す。
左目が、熱い……! 左腕、左足に黒い紋様が浮かび上がる。
腹の底から脳天に二つ名が直撃──そう、わたしは《断ち斬る者》。
抜刀──円を描くように。そして納刀。
ズ、ズズ、と両断された樹がずり落ちる。
そしてサイラスの胴体も。
セプティミアが叫んだ。高音シャウト。広域型音響攻撃──ビリビリビリィッ、と身体に衝撃。
地面からボコボコとヘルメット軍団が出現した。飛び退いたセプティミアが歌う。意外にも癒し系のバラード。
両断されたサイラスの身体。上半身と下半身がギュルオッ、と回転しながらくっついて立ち上がった。うえ、気持ち悪い。あの歌の効果か。
今のところ、正気は保てている。だが、いつまで持つか分からない。早く決着をつけて捕らえられた仲間を追わねば──。
「なに、なんなのよ、その姿……わたしと同じでパワーアップしたっていうの?」
ギリギリと歯噛みしながら、セプティミアはマイクを持ち直す。
ズンズンズン、と重低音の効いたBGM。ロック調の音楽に合わせ、歌いだした。
ヘルメット軍団がさらに増え、その身体がムキムキと一回り大きくなった。攻撃力増強の歌だ。
サイラスにお姫様抱っこされ、後方へ退くセプティミア。
わたしに向かってヘルメット軍団が襲いかかる。
その数、数百──いや、千を超えている。
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