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第1部 剣聖 羽鳴由佳
84 超越者同士の戦い
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「シッ!」
居合いの構えから抜刀──。
飛ぶ斬撃、太刀風。
一振りで十数発が放たれた。
前方のヘルメット軍団を扇状にズガガガガ、となぎ倒し、土塊へと変えた。
執事服のヘルメット軍団は臆す事なく、周りからわらわらと湧いてきてこちらに迫る。
抜き身のまま突っ込む。
薙ぎ払いの一閃。目の前の十体ほどを雑草のように刈り取る。
背後から気配──。
振り向きざま左の裏拳と、打ち下ろしの斬撃。倒したそばから後続のヘルメットどもが押し寄せる。
飛びかかってきた数体を両断し、足に組み付こうとしたヤツの頭部を蹴りとばす。
さらに背後。肘打ち、回し蹴り、連続刺突。近づく敵はすべて粉々に打ち崩す。
グオオオ、とヘルメット軍団が四方から迫る。
納刀。踏み込み、回転しながら──抜刀。
全方位に太刀風。
周囲のヘルメット軍団が爆発したように吹き飛ぶ。
飛び散りながら土塊に変化。降り注ぐ土砂をくぐりながら走る。
下から上。地面を抉りながら刀を振り上げる。
ズアアアッ、と一直線に衝撃波が地面を走り抜けた。
地を走る衝撃波はセプティミアへと向かう。だがヘルメット軍団が幾重にも連なってそれを阻止する。
三、四十体を破砕して衝撃波は消滅。あと数メートルでセプティミアに届いたというのに。
曲調が変わった。ギュイイイ、ギュララ、ギュララと激しいギター音。
セプティミアの歌声が響き、ヘビィメタルの曲に合わせてヘルメット軍団が互いを踏み台にしながら巨大な壁を築く。
ラーズグリーズと楊を行動不能にした技だ。
壁が積み上がる途中から、わたしは神速で接近。
その壁を駆け上がっていた。
目指すは壁の頂上。ヘルメット達の肩や頭を踏みながら駆け登る。
がしがしがしっ、と途中で手や足、衣服を掴まれた。
強引にその手を引きちぎり、頭を踏み砕く。
ギュアッ、と頂上へ着いたわたしはそこから跳躍──落下しながらヘルメット軍団の壁を二つに断ち斬る。
老朽化した土壁のようにボロボロと崩れさるヘルメット軍団。
セプティミアの怒号が聞こえる。着地した足元からさらにヘルメット達が生え出てきて、わたしにしがみついた。
本当にキリがない。願望の力を込めて、刀を地面に突き刺す。
まとわりついていたヘルメット達が衝撃で吹き飛んだ。まだだ──二度と再生させない。
「ぬあああああっ!」
刀を通じて願望の力を地面に浸透させる。ブアアアッ、と浮き上がってきたのは無数の刀。数百──いや、数千以上。
《剣聖》の力──剣、もしくは剣らしきものを名刀に変化させる。その極限バージョン。
地面に落ちている棒切れ。それこそ小枝みたいなものまでをも刀に変えた。
数千もの刀がズラアァァッ、と空中に並ぶ。わたしは叫んだ。
「いけえぇーーっ!」
ドヒャアアアッ、と放たれた無数の刀。
ヘルメット軍団を次々と串刺しにしていく。
地面から手や頭だけ出しているヤツらもドカカカカ、と縫いつけるように上からブッ刺していく。
セプティミアの叫ぶような歌声。ムダだ。この辺りの願望の力はわたしがもう塗り替えた。ヘルメット軍団はこれ以上現れない。
空中を飛ぶ刀はまだ残っている。その百本ほどがまとめてセプティミアへ向かった。
セプティミアの高音シャウト。攻撃のためではなく、防御のための声の障壁──。
わたしの刀をまとめて弾き飛ばした。
強い……さすがは超越者。
それにしてもこの小女と戦うのは何度目だろうか。まさに宿敵……これを最後にしたいものだ。
残る相手はセプティミアと、その従者サイラス。
ハルバートを突き出しながらサイラスが向かってくる。
攻撃力増強のロック曲により力を増している。いや、それだけではない。その身体を黒い全身鎧が包んだ。
猛烈な突撃。
ハルバートの刃先がわたしの身体に突き刺さった──。
いや、わたしは左手だけで受け止めていた。自分でも信じられない力だが、黒い紋様の浮き出た腕で、グググと持ち上げる。
全身鎧をまとったサイラス。相当な重量だが、そのまま上空へ放り投げた。
そして納刀──抜刀。十数発の太刀風がズガガガガ、とサイラスを撃ち砕く。
原形が分からぬほどに空中で粉砕。これもすぐには再生できないだろう。
わたしはセプティミアに向かって走った。
「よくもっっ! 剣ッ聖イイィッ!」
半狂乱のセプティミア。ボボボボッ、と声の衝撃波を飛ばすが、かわすまでもない。
左の拳で打ち払いながら近づく。
ズン、と身体が重くなった。
軽快なボカロの曲。状態異常を引き起こす厄介な歌だ。
しまった、油断していた。あと少しでわたしの刀が届く距離だったのに。
この歌は耳をふさげばいいとか、そんな単純なことでは防げない。
歌いながらセプティミアが近づく。サイラスもヘルメット軍団もいない今、トドメをさせるのは自分しかいないからだ。
距離が近づくほどわたしの反撃のチャンスも高まるが……セプティミアの歌の効果も倍増する。
わたしは立っていられなくなり、膝をつく。
セプティミアは歌いながらナイフを取り出し、それを振り上げた。
居合いの構えから抜刀──。
飛ぶ斬撃、太刀風。
一振りで十数発が放たれた。
前方のヘルメット軍団を扇状にズガガガガ、となぎ倒し、土塊へと変えた。
執事服のヘルメット軍団は臆す事なく、周りからわらわらと湧いてきてこちらに迫る。
抜き身のまま突っ込む。
薙ぎ払いの一閃。目の前の十体ほどを雑草のように刈り取る。
背後から気配──。
振り向きざま左の裏拳と、打ち下ろしの斬撃。倒したそばから後続のヘルメットどもが押し寄せる。
飛びかかってきた数体を両断し、足に組み付こうとしたヤツの頭部を蹴りとばす。
さらに背後。肘打ち、回し蹴り、連続刺突。近づく敵はすべて粉々に打ち崩す。
グオオオ、とヘルメット軍団が四方から迫る。
納刀。踏み込み、回転しながら──抜刀。
全方位に太刀風。
周囲のヘルメット軍団が爆発したように吹き飛ぶ。
飛び散りながら土塊に変化。降り注ぐ土砂をくぐりながら走る。
下から上。地面を抉りながら刀を振り上げる。
ズアアアッ、と一直線に衝撃波が地面を走り抜けた。
地を走る衝撃波はセプティミアへと向かう。だがヘルメット軍団が幾重にも連なってそれを阻止する。
三、四十体を破砕して衝撃波は消滅。あと数メートルでセプティミアに届いたというのに。
曲調が変わった。ギュイイイ、ギュララ、ギュララと激しいギター音。
セプティミアの歌声が響き、ヘビィメタルの曲に合わせてヘルメット軍団が互いを踏み台にしながら巨大な壁を築く。
ラーズグリーズと楊を行動不能にした技だ。
壁が積み上がる途中から、わたしは神速で接近。
その壁を駆け上がっていた。
目指すは壁の頂上。ヘルメット達の肩や頭を踏みながら駆け登る。
がしがしがしっ、と途中で手や足、衣服を掴まれた。
強引にその手を引きちぎり、頭を踏み砕く。
ギュアッ、と頂上へ着いたわたしはそこから跳躍──落下しながらヘルメット軍団の壁を二つに断ち斬る。
老朽化した土壁のようにボロボロと崩れさるヘルメット軍団。
セプティミアの怒号が聞こえる。着地した足元からさらにヘルメット達が生え出てきて、わたしにしがみついた。
本当にキリがない。願望の力を込めて、刀を地面に突き刺す。
まとわりついていたヘルメット達が衝撃で吹き飛んだ。まだだ──二度と再生させない。
「ぬあああああっ!」
刀を通じて願望の力を地面に浸透させる。ブアアアッ、と浮き上がってきたのは無数の刀。数百──いや、数千以上。
《剣聖》の力──剣、もしくは剣らしきものを名刀に変化させる。その極限バージョン。
地面に落ちている棒切れ。それこそ小枝みたいなものまでをも刀に変えた。
数千もの刀がズラアァァッ、と空中に並ぶ。わたしは叫んだ。
「いけえぇーーっ!」
ドヒャアアアッ、と放たれた無数の刀。
ヘルメット軍団を次々と串刺しにしていく。
地面から手や頭だけ出しているヤツらもドカカカカ、と縫いつけるように上からブッ刺していく。
セプティミアの叫ぶような歌声。ムダだ。この辺りの願望の力はわたしがもう塗り替えた。ヘルメット軍団はこれ以上現れない。
空中を飛ぶ刀はまだ残っている。その百本ほどがまとめてセプティミアへ向かった。
セプティミアの高音シャウト。攻撃のためではなく、防御のための声の障壁──。
わたしの刀をまとめて弾き飛ばした。
強い……さすがは超越者。
それにしてもこの小女と戦うのは何度目だろうか。まさに宿敵……これを最後にしたいものだ。
残る相手はセプティミアと、その従者サイラス。
ハルバートを突き出しながらサイラスが向かってくる。
攻撃力増強のロック曲により力を増している。いや、それだけではない。その身体を黒い全身鎧が包んだ。
猛烈な突撃。
ハルバートの刃先がわたしの身体に突き刺さった──。
いや、わたしは左手だけで受け止めていた。自分でも信じられない力だが、黒い紋様の浮き出た腕で、グググと持ち上げる。
全身鎧をまとったサイラス。相当な重量だが、そのまま上空へ放り投げた。
そして納刀──抜刀。十数発の太刀風がズガガガガ、とサイラスを撃ち砕く。
原形が分からぬほどに空中で粉砕。これもすぐには再生できないだろう。
わたしはセプティミアに向かって走った。
「よくもっっ! 剣ッ聖イイィッ!」
半狂乱のセプティミア。ボボボボッ、と声の衝撃波を飛ばすが、かわすまでもない。
左の拳で打ち払いながら近づく。
ズン、と身体が重くなった。
軽快なボカロの曲。状態異常を引き起こす厄介な歌だ。
しまった、油断していた。あと少しでわたしの刀が届く距離だったのに。
この歌は耳をふさげばいいとか、そんな単純なことでは防げない。
歌いながらセプティミアが近づく。サイラスもヘルメット軍団もいない今、トドメをさせるのは自分しかいないからだ。
距離が近づくほどわたしの反撃のチャンスも高まるが……セプティミアの歌の効果も倍増する。
わたしは立っていられなくなり、膝をつく。
セプティミアは歌いながらナイフを取り出し、それを振り上げた。
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