はなれ小島のぐー

みくもっち

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27 ぐーのイライラ

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 ぐーは集中して下書きを続けます。
 いったんは全体を描き終えました。でもなかなか納得した出来ではありません。
 
 描き直します。なんどもそれをくり返しました。
 気づけば朝になっていました。

 ぐーは何回も削って短くなった鉛筆を放り投げます。
 どうしてもうまく書けません。あの夕方の景色、ソーネの姿は目に焼きついているのに。

 ぐーはこれはいけないと休むことにしました。でもその前にミラの様子を見ます。
 水槽をのぞきこむと、ミラがゆらゆらと上のほうに浮いてきました。
 
 その背中をなでて、ぐーはエサを入れました。
 ミラはゆっくりですが、自分の口でエサを食べました。

 安心してぐーはベッドへ向かいます。
 ベッドで仰向けになり、目を閉じます。
 
 ソーネの姿が浮かびました。こうしてしっかりと絵のイメージはあるのです。でも、実際に描いてみるとどうにもちがうのです。



 それから1週間。ぐーは毎日描き続けました。
 集中しすぎて、コタローが来たのにも気づきません。

「おや、もうソーネの絵を描いているのかね。これはまたそっくりだね」

 声をかけられ、やっと気づきました。
 ぐーはあわてて絵を隠そうとしましたが……もう見られているのであきらめました。

「まだボクの納得できるものじゃないんだ。これも描き直す予定だよ」

「そうかね。よく描けていると思うがね。もったいないな」

 コタローはそう言いながら向かいにすわり、上着のポケットから1枚の紙を取り出します。

「前にも見せたが、街でできる工場のことでね。夏までには完成しそうだ。あそこが社員用の寮も建てているそうだから、もし街へ戻る気があるなら──」
 
 ぐーはテーブルをバン、と叩きました。なんで絵に集中しようとしているときにこんなことを話すのでしょう。
 うまく絵が描けないのにもイライラしています。もう帰ってよ、とぐーはそっぽを向きました。
 
「ボクはここから離れるつもりはないよ。これから絵も完成させなきゃいけないし。もう、あんたはここに近づかないでくれ」

「……わかった。でも、注文の品をまだ聞いてないな」

「もう来るなって言っただろ! 買い物は自分で行くからもう必要ないっ!」

 ぐーは叫びます。コタローを席から立たせ、強引に外へと出してドアを閉めました。

 しばらくしてボートのモーター音が聞こえました。
 コタローは帰ったようです。
 ぐーはドアの前でペタンとすわりこみました。
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