ダンジョンに置いていったヤツが闇堕ち魔王になって俺を迎えに来る話

ちるちる

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後編

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 佐倉は混乱で手が震えてくる。なぜ、十年も前にダンジョンで消えた仲間が現れるのだ?

「お前、生きていたのか?」
「ううん、死んだよ。あの時、置いていかれて俺は殺されて死んだ。けれど、魔物としてまた蘇ったんだ。俺には才能があったみたいで、どんどん強くなって、今では魔物達の王となった」
「そんな……馬鹿な事が」

 佐倉の全身が今ではぶるぶると震えていた。恐怖のせいなのか、消化できない多くの感情のせいなのか、佐倉には分からなかった。

「震えないで。今は蒼生くんを殺す気はないんだ。俺もずっと蒼生くんへの気持ちが分からなかったんだよ。この気持ちが憎しみなのか執着なのか愛なのか……。魔物になって性欲も無くなっていたしね。でも、蒼生くんとまた実際に会って分かったんだ! 俺は蒼生くんを愛していると。性欲は無かったはずなのに、蒼生くんに触れられていると俺のモノは猛り、心は疼いた。だから、置いていった事は許すよ。その代わり、俺を受け入れて」

 佐倉は背筋がぞわりとして、今度こそはっきりと恐怖を感じ、踵を返した。すると、一瞬で、すっぽりと透の腕の中に抱き込まれた。逃さないよ、と耳元で囁かれると、クラリと目眩がして何処かへと転移した。

 目の前に現れた光景にマンションの自分の部屋に戻ったのかと思うも、壁や窓から見える風景に魔法のような違和感を感じる。ベッドに押し倒されて、佐倉は透を見上げた。

「この場所!?」
「そう、蒼生くんの部屋を模してるんだ」

 ふと、天井にある姿に目を見開く。佐倉の眠っている写真が等身大で貼られている。アイドル写真のようで佐倉は絶句した。

「なんだ! あれは!」
「ふふ……俺のコレクションだよ。他にも……」

 透が指を鳴らすと、白い壁をスクリーンにして様々な日常風景が映し出されていく。佐倉の日常風景が!

「ス、ストーカー」
「うーん、今思うとそうかも? でも、実際に会うまでは、憎しみのあまりかもって思っていたんだよ」

 そう言われて、佐倉は胸に痛みが走る。今、目の前にいるのは、あの時、置いていってしまった透なのだと改めて認識する。

「置いていって悪かった」
「うん」
「ごめんな。怖かっただろ?」
「うん」

 甘えるように胸に顔を擦り付けてくるので、佐倉は頭を撫でた。すると、ガリっと服の上から乳首を噛まれる。

「なっ!?」
「許されたいなら、好きにさせて?」
「だ……」

 佐倉はダメだという言葉を飲み込んだ。それは死んで魔物の王となってしまった透に対し罪悪感を抱き、甘んじて罰を受けなくてはならないという気持ちがあったからだった。突き飛ばそうとしていた腕から力を抜く。

「うん。今は罪の意識からでもいいよ。身体から落としてみせる。俺が触らないとイケなくしてあげるね」
「馬鹿な事を言うな。するならさっさとしろ」


 透が指を強化スーツの上に置いて、軽くなぞっていくだけで、はらりと切り裂かれていく。これでは、肌も同じように切り裂くのも容易いだろうと、佐倉は身体を強張らせた。

「大丈夫。蒼生くんを傷付けたりしないよ。安心して力を抜いて」

 くるくると胸元を指で擽られ、首元に舌を這わされる。固く目を瞑り、早くこの時間が過ぎ去る事を願っていると、口元に柔らかい何かが触れた。閉じた唇をこじ開けられ、甘く温かな何かが流れ込んでくる。

「あっ! は~~っ」

 佐倉は身体の温度が一気に上がり、今まで感じた事のないような快楽にびくびくと全身を震わせる。

「ずっと見ていて蒼生くんが淡白なのは知っているよ。だから、特別に気持ちよくなれるように、俺の力を分けてあげるね」

 佐倉はこれまで女性との性行為は行った事があるが、それほど性欲が強いタイプではなく、その行為に溺れた事は無かった。自慰もほとんど必要としないほどである。

「や、やめ……」
「すぐにもっともっと気持ちよくなれるよ。蒼生くんの肌は白いから真っ赤になるのがよく分かるね。凄くそそられるよ」

 佐倉は、透から与えられる責め苦を受ける事で許されようと考えていた。だが、この予想していなかったあまりの快楽は己の理性をやすやすと突き崩してしまいそうで、ぞっとするような怖れを感じる。

 佐倉は特級ハンターとして、日々精進を怠らず、肉体的にも精神的にも己を高めてきた。弱い姿は誰にも見せず、ましてや女のように快楽に乱れ喘ぐなど、自己として認識する己のあり方として耐えられない。

「はなせっ!! あぁーー!!」

 突然、ばたばたと暴れ出した佐倉に、透は口元に笑みを浮かべると、鍛え抜かれた身体で容易く押さえ込み、その陰茎を掴む。佐倉は直接的に感じるあまりの快楽に身体の力が抜ける。

「暴れないで。拘束したくないんだ」

 そう言うと、透は佐倉の下半身に顔を近付けると、陰茎に口づけた。大きな口ですっぽりと含むと、裏筋を絶妙に舐め、締め付け、刺激してくる。

「うわぁっ、あぁ、んっ」

 佐倉はどうしようもなく、透の頭を掴み、感じる快楽に翻弄され引き剥がす事も出来ず、髪の毛をかき回す。佐倉は己の中に知らないうちに指を入れられている事にも気付かなかった。やがて、佐倉は耐えきれずガクガク震えながら精液を吐き出した。

 虚脱して息を整える間もなく、透の唇が佐倉の後孔に触れる。びくりと大きく身体を震わせるも、舌を中に入れられ、また温かい何かが流れ込んできた。

「う~~~ー」

 佐倉は呻くも、肚のうちは既に痺れ、与えられる刺激を心待ちにしているように淫猥にうねる。

「ハハハ! 蒼生くん……すごい顔をしているよ。こんな蕩けた顔、見たことないよ。すごく色っぽくて綺麗だ」
「……ふ、ふざけるな……うあっ」

 透は、佐倉を辱め嘲っているという風ではなく、純粋に称賛するように言っているのが、余計に恥辱を感じる。しかも怒鳴り返そうとしても、口から漏れる言葉は弱々しく甘い喘ぎに近いものになる。

 透が着ていた服を脱ぐと、鋼のような筋肉に覆われた身体が現れ、下半身には目を見張るほど大きく猛々しい男根がそそり立っていた。

「ねえ、入れされて」

 ぴとりと性器を後孔に擦り付けた透は、甘えるように佐倉にねだる。

「ずっと一人で怖かったんだ。寂しくて蒼生くんの事を死ぬ前も、蘇ってからも想っていたんだよ。お願い。俺を蒼生くんの全てで抱きしめて」

 拒絶の言葉を吐き出そうとしていた佐倉は、唇を噛み締めると、ゆっくりと息を吐いた。

「こいよ。入れろ」

 すぶっと、大きな音がしたのではないかと言うほどの衝撃に、佐倉は目を回す。身体が大きく揺れ、己がどんな言葉を発しているのかも分からない。ただ、これまで感じた事のない快感に、己が溶けていくようなそんな恐怖を抱いていた。



「あんっ……あっ、あっ、う~~」
「は~~っ、気持ちいいよ、蒼生くんは?」
「うん、うん、キモチイイ……ふぁっ、あっ」
「ふふ……すっかり、とろけちゃってるね。普段の蒼生くんが見たら憤死しそう。可愛いなー」
「やぁっ、また、イクイクッ、うぅーーー」

 透の腰は激しく動き、その熱く固い肉棒は佐倉の内部を我が物顔に蹂躙した。佐倉は何も出さずにまた気をやって、身体をはねさせ痙攣させる。ぎゅっと己の引き締まった脚を透の腰に巻きつけ、動かないでと懇願する。

「ああっ、何て淫らで美しい生き物だろう。俺がこうしたんだ。俺のだ。俺だけの……」
「とおる……、とおる」
「うん? どうしたの? 蒼生くん」
「お前とあえてよかった。ずっとずっと探してたんだ。もう、死んでるって分かってたけど、それでもせめて骨の一欠片でもって。ごめん。ごめんな」
「…………」

 透は初めて乱暴に佐倉の顎を掴むと、噛み付くように口づける。

「あんたはずるいっ、俺だけがこんなにも囚われている。今もこうして組み敷いて蹂躙して快楽で堕としているのに、より深みにはまっていくのは俺の方だ」
「とおる、とおる」

 佐倉は何を言われているのかも分からず、己を苛む男を全身で抱きしめる。

「は~~っ、でも良いよ。どれだけ時間を掛けても蒼生くんを堕とすって決めてるんだ」

 透はそう言って、とても幸せそうに笑ったのだった。

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