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ベルトニアにて。
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アダム コリンズは黒塗りのSUV車の後部座席で
ゆっくりと目を閉じ、冷静な意識を保とうとした。
(自分のペースをいかに保てるか?できるはずだぞ、アーニー)。
彼と親しい者はそう呼ぶ。
コリンズがいるのは、東欧の小国ベルトニア共和国の郊外で、
SUV車は川沿いの道路の一点に陣取り、
また同じ車がもう一台、少し間隔を空けて停車していた。
コリンズを含む2台の車の中では眼光の鋭い特殊作戦部隊の男たちが戦闘用火器類を
フル装備にして、じっとしていた。
「チーム1本部よりバイパーリーダ―へ、現状を報告せよ」
イヤホン型無線機から音声が入りコリンズは急いで目を開けた。
「こちら、バイパーリーダー、20分、
監視を続けたが周囲に人影はない。 侵入対象地点では、見張りはいるかもしれんが、なんとか処理しよう」。
「了解チーム1、確認。作戦開始を許可する。以上」。
それで通信が切れ コリンズは深呼吸を一回した。
「よしいくぞ」。
その一声で、SUV車の各部ドアが開き、特殊部隊の面々は素早く地面に降り立ち、
特殊任務用アサルトカービンライフルを構えた。
彼らの正体はアメリカ・イギリス軍合同編成部隊 フォース・アルファ262であり、
NATOの特殊作戦を担当している。彼らがこの、東欧の辺鄙な地帯に赴いたのは、
数年前から、成長を続けている、
国際麻薬カルテルの一つ、チェルカソフ・カルテルの幹部を奇襲するためであり、
29歳のコリンズが今回の作戦で現場チームの指揮をすることになったのだ。
19歳で、米国陸軍に入隊してから、
この青年は、厳しい軍隊生活を
10年も続けてきた。フォース・アルファでの要員を務めるようになったのが、一年前で、
地球上のあらゆる、紛争の解決に関わってきた、
彼は、この仕事に付き物の強烈なプレッシャーを一層感じていた。
部隊は、隊列を組んで、
道路を静かに進んだ。先頭を実戦慣れしたアメリカ陸軍出身の古参兵、ブラウンが行き、
コリンズは逆Ⅴ字隊形のちょうど真ん中辺りにいて、
全員が腰を低めに足音に注意を払っていた。
周囲は暗闇が、たちこめ、街灯や月の光は少なかった。
時刻は深夜2 時25分。コリンズは戦闘用ヘルメットに取り付けられている、
高性能NVG(暗視ゴーグル)をとおして
警戒の目を左右、正面に走らせた。 後方は、ほかの隊員に任せれば良かった。
チームの人数はコリンズを含め8名。
残った、SUVはすでに脱出し、
仮設置された本部の施設に向かっているはずだ。
コリンズたちのチームは、任務が成功すれば特殊用途タイプの
中型ヘリに回収してもらえる。
失敗した場合のプランもあるが、そもそもこのチームが、ミスをすることは、まずない。
全員が酷烈な訓練を欠かさない繰り返し、任務の対応スキルを極限まで高めてきたからだ。 チームは、なおも進む。
突如ブラウンが、手信号で(静止!)と表現した。
チームは急停止しカービン銃を持つ手の握力を強めた。
ブラウンは、また信号を出し、コリンズに、そばに来るよう求めた。
チーム指揮官は確認して、部下に歩み寄った。
「どうした?」
「あれが見えますか? 侵入対象ではないかと思います」。
陸軍出身の部下はコリンズに耳打ちした。
部隊のいる場所は草が、やや多い、川辺の中で20メートル前方に船着場と古びた小屋があり、グレーのヨットが一隻係留されていた。
サイズは、コリンズたちの乗っていたSUVの3~ 4倍は、あるようなものだった。
明らかに金持ち向けのものだった。
桟橋のところに懐中電灯を手に、見回りをする男が1人いて、右手に9ミリ口径の自動拳銃を一丁持っていた。
(やはり、、見張りがいたか、、、)
コリンズは心の中で愚痴ったが、気持ちを切り替えた。
彼はブラウンに言った。
「近づいて殺れ、それと同時に、ヨットに仕掛ける」。
そのチームリーダーの指示にブラウンは頷きで答えた。
ブラウンは、一人、チームから2メートルほど、間隔をあけて、離れ、桟橋方面に向かった。
数秒後コリンズたちは地に体を伏せ、匍匐前進を始め、
古びた、小屋の陰にたどり着くと、そこに潜んで、ブラウンの行動を見守った。
ブラウンは桟橋の下に位置して、しゃがんで例の拳銃を所持した男の動作を注意深く
サプレッサー付きカービンライフルの照準器を通して、見続けた。
男はブラウンに背を向け眠気に耐えかねたのか、あくびを一つもらした。
その瞬間、絞り続けていた、カービンライフルのトリガーをブラウンは引いた。
(ブシュン)という低い音が一回しただけで桟橋の武装男は首筋に弾丸を食らい
声もあげずに、倒れ込んだ。
そして、小屋の影からコリンズたちのチームが躍り出て、倒れた男の死体を引きずり後方へと下げた。
チームのもう1人の古参兵でこちらは、英国陸軍の空挺コマンドだった、ディーターが1人ヨットに接近して、船体に乗り込んだ。
船のドアに突入口を開くため、彼は爆薬を設置し始めた。
所要時間は40秒を少し過ぎただけだった。
イギリス人は手信号で(突入可能)と
サインを出した。 コリンズは(起爆を許可)という意味で頷いた。
ディーターは起爆のために専用装置のスイッチを押した。
耳の鼓膜を破るかと、思える爆音が、発生し、ドアが勢いよく爆発で崩れ去った。
ディーター、コリンズがカービンを手に突入口である、破壊されたドア付近を抜け、
内部へと突入した。
その先では、床に男たちが3人うずくまって、先ほどの爆音と閃光によってか、立ち上がるのもままならず、状況の把握さえ、できていなかった。
その隙にディーターはライフルで1人また、1人と2連射で射殺した
後ろからコリンズが続いた。
アダムは最後に残った男が近くにあった、サブマシンガンへと手を伸ばすのを見逃さず
、正確に連続で速射した、男は後頭部とうなじを撃たれ息絶えた。
銃には触れるのも叶わなかった。
(戦闘終了)。
いや戦闘ではなく、一方的すぎた奇襲制圧であった。
だが、コリンズには感動も後悔もなかった。
これはフェアプレーが重視されるスポーツとは違うのだ。
焼け焦げ、破壊されたドアから
他のチーム要員が2人、入ってきた。うち一人は
ブラウンだった。
「こちらの損害は、ああ、、ゼロですね。すいません、、」
コリンズは、ニヤッと笑った
「謝ることじゃない。 こいつらの顔写真とここの状態を撮影しろ
証拠品もあれば、押収する」
「了解」。
その後コリンズの言葉通り隊員各自がデジタルカメラを手に写真と動画を撮り始め、
現場の分析が行われた。 コリンズはブラウンをひとり従え ヨットの奥へと進み、
あるベッドのある小部屋に辿りついた。
この中には、ラップトップPCが3台とタブレット端末2台があった。
コリンズは、部屋へと入り、PCなどの画面を見たが、セキュリティロックがかかっていて
情報の確認は不可能だった。
「電源を切って回収します。 データの解析はアナリスト連中の
仕事ですから、任せましょう」。
ブラウンがそう言って
アダムはこう答えた。
「そうだな、、」
チーム指揮官は無線のスイッチを入れ、あるチャンネルへと繋いだ。
「バイパーリーダーよりチーム1本部へ
対象地点への侵入と交戦は終了
敵の死者は3名、味方はゼロ。現場の分析終了予定時間は推定18分。ヘリをポイントB―2―7で待機させておいてくれ」。
「チーム1本部、確認した。では、
バイパーリーダー、回収用ヘリを待機させる。以上」。
「こちらも以上」。
コリンズは無線機の電源をオフにした。
彼は視線をブラウンにむけると、
この部下はちょうどコンピューター類を
バックパックに収納し終えたところだった。
「よし引き上げるぞ
持ち帰った情報で専門家がどれだけ苦労するか楽しみだな、、」。
「そうですね、」。
ブラウンは白い歯をニッと見せ、部屋を出ていき、コリンズも後に続いた。
ふと、彼の脳裏には麻薬と犯罪で荒廃した
米国の故郷の街が蘇っていた。
麻薬という、あまりにも醜い存在、、、そう、、
あんなものが無ければと願ったことが
何度あったかわからないくらいだ。
この任務の説明を初めてNATO司令部より受けてから、今まで、コリンズは個人的な怒りをくすぶらせていなかった、といえば嘘になる。
麻薬で幸福はみつからないし、生きる上での苦痛もやわらぎもしない。
結論として、社会の中で、自分を正し
麻薬などの害悪と戦えるのはつまるところ、自分だけだ。 それを教えてくれたのは
麻薬中毒者向けのカウンセラーをしていた 、アダムの母だった。
この作戦後、
休暇でアメリカに戻れるから、会いにもいけるだろう。
アーニーは内心思った。
「麻薬よりも怒った時の母さんの怖さに対して戦慄する、俺はいくつになったら直るんだ?」
アダムは思わず、苦笑して、ヨット内の通路を歩み続けた。
ゆっくりと目を閉じ、冷静な意識を保とうとした。
(自分のペースをいかに保てるか?できるはずだぞ、アーニー)。
彼と親しい者はそう呼ぶ。
コリンズがいるのは、東欧の小国ベルトニア共和国の郊外で、
SUV車は川沿いの道路の一点に陣取り、
また同じ車がもう一台、少し間隔を空けて停車していた。
コリンズを含む2台の車の中では眼光の鋭い特殊作戦部隊の男たちが戦闘用火器類を
フル装備にして、じっとしていた。
「チーム1本部よりバイパーリーダ―へ、現状を報告せよ」
イヤホン型無線機から音声が入りコリンズは急いで目を開けた。
「こちら、バイパーリーダー、20分、
監視を続けたが周囲に人影はない。 侵入対象地点では、見張りはいるかもしれんが、なんとか処理しよう」。
「了解チーム1、確認。作戦開始を許可する。以上」。
それで通信が切れ コリンズは深呼吸を一回した。
「よしいくぞ」。
その一声で、SUV車の各部ドアが開き、特殊部隊の面々は素早く地面に降り立ち、
特殊任務用アサルトカービンライフルを構えた。
彼らの正体はアメリカ・イギリス軍合同編成部隊 フォース・アルファ262であり、
NATOの特殊作戦を担当している。彼らがこの、東欧の辺鄙な地帯に赴いたのは、
数年前から、成長を続けている、
国際麻薬カルテルの一つ、チェルカソフ・カルテルの幹部を奇襲するためであり、
29歳のコリンズが今回の作戦で現場チームの指揮をすることになったのだ。
19歳で、米国陸軍に入隊してから、
この青年は、厳しい軍隊生活を
10年も続けてきた。フォース・アルファでの要員を務めるようになったのが、一年前で、
地球上のあらゆる、紛争の解決に関わってきた、
彼は、この仕事に付き物の強烈なプレッシャーを一層感じていた。
部隊は、隊列を組んで、
道路を静かに進んだ。先頭を実戦慣れしたアメリカ陸軍出身の古参兵、ブラウンが行き、
コリンズは逆Ⅴ字隊形のちょうど真ん中辺りにいて、
全員が腰を低めに足音に注意を払っていた。
周囲は暗闇が、たちこめ、街灯や月の光は少なかった。
時刻は深夜2 時25分。コリンズは戦闘用ヘルメットに取り付けられている、
高性能NVG(暗視ゴーグル)をとおして
警戒の目を左右、正面に走らせた。 後方は、ほかの隊員に任せれば良かった。
チームの人数はコリンズを含め8名。
残った、SUVはすでに脱出し、
仮設置された本部の施設に向かっているはずだ。
コリンズたちのチームは、任務が成功すれば特殊用途タイプの
中型ヘリに回収してもらえる。
失敗した場合のプランもあるが、そもそもこのチームが、ミスをすることは、まずない。
全員が酷烈な訓練を欠かさない繰り返し、任務の対応スキルを極限まで高めてきたからだ。 チームは、なおも進む。
突如ブラウンが、手信号で(静止!)と表現した。
チームは急停止しカービン銃を持つ手の握力を強めた。
ブラウンは、また信号を出し、コリンズに、そばに来るよう求めた。
チーム指揮官は確認して、部下に歩み寄った。
「どうした?」
「あれが見えますか? 侵入対象ではないかと思います」。
陸軍出身の部下はコリンズに耳打ちした。
部隊のいる場所は草が、やや多い、川辺の中で20メートル前方に船着場と古びた小屋があり、グレーのヨットが一隻係留されていた。
サイズは、コリンズたちの乗っていたSUVの3~ 4倍は、あるようなものだった。
明らかに金持ち向けのものだった。
桟橋のところに懐中電灯を手に、見回りをする男が1人いて、右手に9ミリ口径の自動拳銃を一丁持っていた。
(やはり、、見張りがいたか、、、)
コリンズは心の中で愚痴ったが、気持ちを切り替えた。
彼はブラウンに言った。
「近づいて殺れ、それと同時に、ヨットに仕掛ける」。
そのチームリーダーの指示にブラウンは頷きで答えた。
ブラウンは、一人、チームから2メートルほど、間隔をあけて、離れ、桟橋方面に向かった。
数秒後コリンズたちは地に体を伏せ、匍匐前進を始め、
古びた、小屋の陰にたどり着くと、そこに潜んで、ブラウンの行動を見守った。
ブラウンは桟橋の下に位置して、しゃがんで例の拳銃を所持した男の動作を注意深く
サプレッサー付きカービンライフルの照準器を通して、見続けた。
男はブラウンに背を向け眠気に耐えかねたのか、あくびを一つもらした。
その瞬間、絞り続けていた、カービンライフルのトリガーをブラウンは引いた。
(ブシュン)という低い音が一回しただけで桟橋の武装男は首筋に弾丸を食らい
声もあげずに、倒れ込んだ。
そして、小屋の影からコリンズたちのチームが躍り出て、倒れた男の死体を引きずり後方へと下げた。
チームのもう1人の古参兵でこちらは、英国陸軍の空挺コマンドだった、ディーターが1人ヨットに接近して、船体に乗り込んだ。
船のドアに突入口を開くため、彼は爆薬を設置し始めた。
所要時間は40秒を少し過ぎただけだった。
イギリス人は手信号で(突入可能)と
サインを出した。 コリンズは(起爆を許可)という意味で頷いた。
ディーターは起爆のために専用装置のスイッチを押した。
耳の鼓膜を破るかと、思える爆音が、発生し、ドアが勢いよく爆発で崩れ去った。
ディーター、コリンズがカービンを手に突入口である、破壊されたドア付近を抜け、
内部へと突入した。
その先では、床に男たちが3人うずくまって、先ほどの爆音と閃光によってか、立ち上がるのもままならず、状況の把握さえ、できていなかった。
その隙にディーターはライフルで1人また、1人と2連射で射殺した
後ろからコリンズが続いた。
アダムは最後に残った男が近くにあった、サブマシンガンへと手を伸ばすのを見逃さず
、正確に連続で速射した、男は後頭部とうなじを撃たれ息絶えた。
銃には触れるのも叶わなかった。
(戦闘終了)。
いや戦闘ではなく、一方的すぎた奇襲制圧であった。
だが、コリンズには感動も後悔もなかった。
これはフェアプレーが重視されるスポーツとは違うのだ。
焼け焦げ、破壊されたドアから
他のチーム要員が2人、入ってきた。うち一人は
ブラウンだった。
「こちらの損害は、ああ、、ゼロですね。すいません、、」
コリンズは、ニヤッと笑った
「謝ることじゃない。 こいつらの顔写真とここの状態を撮影しろ
証拠品もあれば、押収する」
「了解」。
その後コリンズの言葉通り隊員各自がデジタルカメラを手に写真と動画を撮り始め、
現場の分析が行われた。 コリンズはブラウンをひとり従え ヨットの奥へと進み、
あるベッドのある小部屋に辿りついた。
この中には、ラップトップPCが3台とタブレット端末2台があった。
コリンズは、部屋へと入り、PCなどの画面を見たが、セキュリティロックがかかっていて
情報の確認は不可能だった。
「電源を切って回収します。 データの解析はアナリスト連中の
仕事ですから、任せましょう」。
ブラウンがそう言って
アダムはこう答えた。
「そうだな、、」
チーム指揮官は無線のスイッチを入れ、あるチャンネルへと繋いだ。
「バイパーリーダーよりチーム1本部へ
対象地点への侵入と交戦は終了
敵の死者は3名、味方はゼロ。現場の分析終了予定時間は推定18分。ヘリをポイントB―2―7で待機させておいてくれ」。
「チーム1本部、確認した。では、
バイパーリーダー、回収用ヘリを待機させる。以上」。
「こちらも以上」。
コリンズは無線機の電源をオフにした。
彼は視線をブラウンにむけると、
この部下はちょうどコンピューター類を
バックパックに収納し終えたところだった。
「よし引き上げるぞ
持ち帰った情報で専門家がどれだけ苦労するか楽しみだな、、」。
「そうですね、」。
ブラウンは白い歯をニッと見せ、部屋を出ていき、コリンズも後に続いた。
ふと、彼の脳裏には麻薬と犯罪で荒廃した
米国の故郷の街が蘇っていた。
麻薬という、あまりにも醜い存在、、、そう、、
あんなものが無ければと願ったことが
何度あったかわからないくらいだ。
この任務の説明を初めてNATO司令部より受けてから、今まで、コリンズは個人的な怒りをくすぶらせていなかった、といえば嘘になる。
麻薬で幸福はみつからないし、生きる上での苦痛もやわらぎもしない。
結論として、社会の中で、自分を正し
麻薬などの害悪と戦えるのはつまるところ、自分だけだ。 それを教えてくれたのは
麻薬中毒者向けのカウンセラーをしていた 、アダムの母だった。
この作戦後、
休暇でアメリカに戻れるから、会いにもいけるだろう。
アーニーは内心思った。
「麻薬よりも怒った時の母さんの怖さに対して戦慄する、俺はいくつになったら直るんだ?」
アダムは思わず、苦笑して、ヨット内の通路を歩み続けた。
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