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12.学園に戻ると
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楽しかった宴会が終わって一夜あけ、学園に戻る時間がきてしまった。
「体に気をつけてって…リュなら大丈夫か」
「学園追い出されないようにな」
「今度はルドルフさんだけでも歓迎するからいつでもおいで!」
おい俺に対する扱い酷くない?
ともあれ入学の時様なもの悲しい気分に全くならないのがいい。だいぶ学園に馴染んだせいかな?帰りも父ちゃんが馬車で送ってくれると言うのでお願いした。馬車に揺られながら、ルドルフは母ちゃんからもらった手編みのレースの袋を眺めてこう言った。
「『無くした仮面の代わりに被って帰れば?』って渡されたんだけど大丈夫かな」
「レースか…うっすら顔が見えるんじゃないかなぁ。それが怖いね」
「そこも問題だけれどもせっかくのご厚意なのに学園の許可がおりるか不安で」
それは大丈夫だと思う。仮面の予備は持ち込みOKらしいから『これも予備です!』って強気で押せばいい。俺も『通気性が良いので暑い季節には必要です』って援護してやるよ。
「あと、ひょっとしてリュは村との連絡に動物…鳥かな…使ってないか?それで手紙より早く情報伝達出来てるのでは?だからお父上様は私を初めて見ても何も聞かなかったのでは?」
ルドルフ当たり!手紙を送るのは学園内にある事務室を通さないといけないのでやや時間がかかるんだけど、鳥の脚に伝言を書いた小さい紙を巻いて、『村1番のでっかい人間(父ちゃん)に渡して。その人から美味しいおやつをもらって下さい』とお願いすれば数時間で到着する。あくまでもこちらがお願いしている立場なので『できるだけ早く!』とか注文をつけられないのが難点だけど…と説明をすると『どのくらいの精度で届けられるのか?』とか『他にできる事は?』とか質問攻めが始まった。それを知ってどうしたいのかは全く分からないが基本勉強熱心な奴なんで止まらない。そのうちに馬車は学園の門の前に着いた。
「ほらお前たち到着したぞ。気をつけて行ってこい!何かあったら連絡しろ、いいな!」
「ありがとう父ちゃん」
「ありがとうございます」
馬車に乗って立ち去ろうとした父ちゃんは急にくるりと俺たちの方に戻ってきた。何だ?
「危なく忘れるところだった…リュ、お前ゲルダのところにまだ顔出してないだろう?『こんなに近くに来たのに顔出し一つしないなんて!』って怒ってたぞ。近いうちに1度顔出してやりな、何かの時には役に立つだろう。店の場所はわかってるな?」
あーそう言えば行ってない。入学が決まってからはバタバタですっかり忘れてた。
「大通りにある薬草店だよね。じゃなるべく早く行くよ」
学園に戻ってきたルドルフは手紙を書くと言って自室に帰った。彼女への対応を新たに家族と協議するためだろうか…おばばの言った事が正しいならルドルフが成人して魅了が収まるのを待つという今までの方針が根本から崩れるのでゼロスタートいやマイナススタートな感じになりそう。と言っても俺が出来そうな事はあまりない…すると
バサッ
部屋の窓枠に何かが止まったのが見えた。ノスリの「フォーちゃん」だ。中型とは言え猛禽類につけるにはあまりに可愛らしい名前を持つ彼はマリアが良く連絡用に使っている鳥で、小鳥の時怪我したのをマリアが助けてからのお付き合いだ。(『ちゃん』までが名前。名付けはマリア)何か伝言でもあるのかな?それにしちゃあ何かご機嫌斜めな雰囲気だなぁ。
「おい!ルドルフとかいうのを出せ!」
開口1番それ?ルドルフになんか用?あいつは俺と違ってお前と話せないぞ?
「マリアが…」
マリアに何かあったのか?慌ててフォーちゃんに近づいた。すると
「マリアが〝ルドルフさんかっこよかったー。また来て欲しい〟って…」
言いつつガックリ肩?を落とすフォーちゃん。
「そう何度も言ってるからそいつのツラを拝んでやろうと来たんだ!出せ!私のマリアに手を出さないよう言ってやるんだ!さあさあ!」
ヤキモチか?とりあえずマリアは無事らしいのでよかった…そう言えばルドルフが村に来た時フォーちゃんはどっか行ってたから彼に会ってないんだと気づいた。てか『私のマリア』とは何だ!聞き捨てならないぞ。お前は恋人か?
その後も『出せ出せ』とうるさいので諦めてルドルフを呼びに行った。
「手紙書いてるところ悪いな。会わせろってうるさいんだ。襲ったりしないようにはするから…」
「会ってみたかったから大歓迎だ。でも意思疎通は出来ないけど大丈夫なのか?」
自室に戻るとイライラとした感じを漂わせたフォーちゃんがこちらに背を向け窓枠に止まっていた。
「フォーちゃん。ルドルフ連れて来たよー」
「おう!きたか!お前なぁ…」
くるりと振り返って「素顔」のルドルフを見たフォーちゃんは動きを止めた。
「フォーちゃんさん。初めましてルドルフです」
鳥にまで丁寧なご挨拶だな
「……反則だ」
「え?何と?」
「そんなにかっこいいなんて反則だー!」
と一声叫んで飛び去って行ってしまった。半泣きだったなアレ。
「なんか気にさわったのかな?」
呆然と飛び去った方を見つめるルドルフ。
まあルドルフの顔は覚えてもらえただろうからよしとするか。
その3日後マリアからの手紙に
『この間フォーちゃんが半べそかきながら
〝男は顔じゃないよな?〟って言ってたんだけどなんかあったの?』
とあったのはルドルフには秘密だ。
「体に気をつけてって…リュなら大丈夫か」
「学園追い出されないようにな」
「今度はルドルフさんだけでも歓迎するからいつでもおいで!」
おい俺に対する扱い酷くない?
ともあれ入学の時様なもの悲しい気分に全くならないのがいい。だいぶ学園に馴染んだせいかな?帰りも父ちゃんが馬車で送ってくれると言うのでお願いした。馬車に揺られながら、ルドルフは母ちゃんからもらった手編みのレースの袋を眺めてこう言った。
「『無くした仮面の代わりに被って帰れば?』って渡されたんだけど大丈夫かな」
「レースか…うっすら顔が見えるんじゃないかなぁ。それが怖いね」
「そこも問題だけれどもせっかくのご厚意なのに学園の許可がおりるか不安で」
それは大丈夫だと思う。仮面の予備は持ち込みOKらしいから『これも予備です!』って強気で押せばいい。俺も『通気性が良いので暑い季節には必要です』って援護してやるよ。
「あと、ひょっとしてリュは村との連絡に動物…鳥かな…使ってないか?それで手紙より早く情報伝達出来てるのでは?だからお父上様は私を初めて見ても何も聞かなかったのでは?」
ルドルフ当たり!手紙を送るのは学園内にある事務室を通さないといけないのでやや時間がかかるんだけど、鳥の脚に伝言を書いた小さい紙を巻いて、『村1番のでっかい人間(父ちゃん)に渡して。その人から美味しいおやつをもらって下さい』とお願いすれば数時間で到着する。あくまでもこちらがお願いしている立場なので『できるだけ早く!』とか注文をつけられないのが難点だけど…と説明をすると『どのくらいの精度で届けられるのか?』とか『他にできる事は?』とか質問攻めが始まった。それを知ってどうしたいのかは全く分からないが基本勉強熱心な奴なんで止まらない。そのうちに馬車は学園の門の前に着いた。
「ほらお前たち到着したぞ。気をつけて行ってこい!何かあったら連絡しろ、いいな!」
「ありがとう父ちゃん」
「ありがとうございます」
馬車に乗って立ち去ろうとした父ちゃんは急にくるりと俺たちの方に戻ってきた。何だ?
「危なく忘れるところだった…リュ、お前ゲルダのところにまだ顔出してないだろう?『こんなに近くに来たのに顔出し一つしないなんて!』って怒ってたぞ。近いうちに1度顔出してやりな、何かの時には役に立つだろう。店の場所はわかってるな?」
あーそう言えば行ってない。入学が決まってからはバタバタですっかり忘れてた。
「大通りにある薬草店だよね。じゃなるべく早く行くよ」
学園に戻ってきたルドルフは手紙を書くと言って自室に帰った。彼女への対応を新たに家族と協議するためだろうか…おばばの言った事が正しいならルドルフが成人して魅了が収まるのを待つという今までの方針が根本から崩れるのでゼロスタートいやマイナススタートな感じになりそう。と言っても俺が出来そうな事はあまりない…すると
バサッ
部屋の窓枠に何かが止まったのが見えた。ノスリの「フォーちゃん」だ。中型とは言え猛禽類につけるにはあまりに可愛らしい名前を持つ彼はマリアが良く連絡用に使っている鳥で、小鳥の時怪我したのをマリアが助けてからのお付き合いだ。(『ちゃん』までが名前。名付けはマリア)何か伝言でもあるのかな?それにしちゃあ何かご機嫌斜めな雰囲気だなぁ。
「おい!ルドルフとかいうのを出せ!」
開口1番それ?ルドルフになんか用?あいつは俺と違ってお前と話せないぞ?
「マリアが…」
マリアに何かあったのか?慌ててフォーちゃんに近づいた。すると
「マリアが〝ルドルフさんかっこよかったー。また来て欲しい〟って…」
言いつつガックリ肩?を落とすフォーちゃん。
「そう何度も言ってるからそいつのツラを拝んでやろうと来たんだ!出せ!私のマリアに手を出さないよう言ってやるんだ!さあさあ!」
ヤキモチか?とりあえずマリアは無事らしいのでよかった…そう言えばルドルフが村に来た時フォーちゃんはどっか行ってたから彼に会ってないんだと気づいた。てか『私のマリア』とは何だ!聞き捨てならないぞ。お前は恋人か?
その後も『出せ出せ』とうるさいので諦めてルドルフを呼びに行った。
「手紙書いてるところ悪いな。会わせろってうるさいんだ。襲ったりしないようにはするから…」
「会ってみたかったから大歓迎だ。でも意思疎通は出来ないけど大丈夫なのか?」
自室に戻るとイライラとした感じを漂わせたフォーちゃんがこちらに背を向け窓枠に止まっていた。
「フォーちゃん。ルドルフ連れて来たよー」
「おう!きたか!お前なぁ…」
くるりと振り返って「素顔」のルドルフを見たフォーちゃんは動きを止めた。
「フォーちゃんさん。初めましてルドルフです」
鳥にまで丁寧なご挨拶だな
「……反則だ」
「え?何と?」
「そんなにかっこいいなんて反則だー!」
と一声叫んで飛び去って行ってしまった。半泣きだったなアレ。
「なんか気にさわったのかな?」
呆然と飛び去った方を見つめるルドルフ。
まあルドルフの顔は覚えてもらえただろうからよしとするか。
その3日後マリアからの手紙に
『この間フォーちゃんが半べそかきながら
〝男は顔じゃないよな?〟って言ってたんだけどなんかあったの?』
とあったのはルドルフには秘密だ。
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