18 / 51
18.先生との作戦会議
しおりを挟む
長い話し合い終了後、俺たちはオットー先生と面談室にいた。ルドルフが学園を受けるきっかけになった曽祖父の日記からMさんによって起こされたうちの村での騒動などなど…基本ルドルフが話して俺は足りなさそうと思う所を話すスタイルでと決めていたが彼の話は筋道が通っていて分かりやすい。俺の口出しは必要なさそうだ(俺の村の『エルフの祝福』については内緒)
先生は一言も口を出さずに真剣に聞き、話が終わるとほっとしたような表情で
「やっと話してくれて私は嬉しい」
どうやらうちの村からMさんが壊した物の請求書とその顛末が学園に届いていたようで俺たちには知られないように独自調査をしていたらしい。それにより大体の事情の把握はしていたが
『色々な事情を持った学生が多い為当人が求めない限り手出し、口出し無用』
が基本ルールな学園側から何も出来ずに俺たちが言ってくるのをやきもきしながら待っていたようだ。
「こうモヤモヤした気持ちがやっと晴れました。いやー良かった。これで動けます」
よほどモヤモヤが溜まっていたらしく今やる気に満ち溢れている。
「まずは本当に学園内に内通者がいないかの確認。次は学園の警備と情報共有。ルドルフ君の安全な避難場所の確保。そして大事なのは学園の門前町に彼女の手の者を入れない、入ってきたら追い出す事。最後のこの対策は王族で、尚且つ大きな力を持つ学園長が適任でしょう。よし!やりましょう!」
この内容を全部やりきるのには最低1ヶ月はかかるのでそれまでは油断せずに過ごす事、この間のように町で騒ぎを起こさないよう重々念押しされた…騒ぎを起こしたわけじゃないと言う俺たちの言葉は却下された。
「先生、気になっていたんですけどうちの村の壊した物のお金って支払ってもらえたんですか?」
「君の村の損害ですから気になりますよね。とりあえず学園長のポケットマネーで支払った後、その旨彼女の家にお知らせしたところ御当主から丁寧な詫び状とお支払いがありました。御当主は大変キチンとした方のようですね。まあ君の村で何かがあったときは王族に知らせるのが決まりですし、うちの学生が巻き込まれているのですから学園に請求書を送るのは強ち間違いとも言えないでしょう」
彼女が当主じゃないんだな。あと王族に知らせるって?初めて聞くよなぁとルドルフに同意を求めると
「村長さんが言ってた事を調べていたらそれも古法に載っていたよ。あの村は王家直轄地、最低年1回村の事を報告するのが必須、それ以外でも大きな事が起きればすぐ王族に知らせる決まりになっているんだ」
と返された。確かに調べるって言ってたけどお前勉強しすぎじゃない?そんな事まで知ってるなんてびっくりだよ。
「あとルドルフ君の曽祖父の件はかなり昔の事なので覚えている方がいらっしゃるかどうか…とりあえず長く学園にいる先生たちと卒業生に聞いてみます。あと仮面の学生が次の日から仮面無しになった事はそこそこ大きな出来事ではあるので学園の業務日誌に載っている可能性がありますね。後回しになってはしまいますがそちらも当たって見ましょう」
やる気満々なオットー先生を見送った俺たちは安心したせいかどっと疲れを感じていた。なんだかんだ緊張してたんだな俺たち。
「…ノラ先生?」
ただいま魔法の実習中。皆の視線が俺に刺さる。
「ランニングって必要?」
皆が水出したり炎出したりしている最中俺だけランニング…ホント意味分からない。
「今日は足の強化をやるからね~準備運動だよ~。終わったらこれ足に巻いて~」
ランニングが終わりやっと視線が無くなると思ったが甘かった。足に巻けと渡されたのは紫と黄色のまだら模様の長い紐2本。
どう巻けば?てか趣味悪い色だけど何か理由があるのか?
「色は私の趣味!巻き方はね~こう足の付け根からぐるぐるとくるぶしまで~。よし完成~」
両足の付け根からくるぶしまでぐるぐると紐(理屈はわからないがどこにも結んでないのに落ちない)を巻かれた俺。とんでもなく恥ずかしい。見てみろ!ルドルフですら後ろ向いて肩を震わせている。こうなったら正面切って笑われた方がましだ。
「本当にこれって必要?遊んでるわけじゃ…」
ノラ先生はケラケラと高笑いし
「必要に決まってるよ~。まずは目を閉じていつもの馬鹿力を出すように魔力を集めて~」
おっ!初めて魔法実習っぽくなった!
「そしたら、それを足の方に降ろしていく!下に~下に~。巻かれてる紐に沿って降ろす感じ。下に~」
あ、足に降ろす時の目安にしてるんだこの紐。
「どの辺まで降ろせた?」
「うーん意外に難しい…太ももの途中くらいできれちゃいました」
「最初にしては上出来~。それを足先まで降ろせると~」
目の前からノラ先生が消えた。一瞬でかなり遠くまで移動していたのだ。凄い!こんなの初めて見た。
「こんな事が出来ます~やる気出たでしょ?」
と言いつつ今度は皆の頭上をジャンプで飛び越し戻ってきた。
「俄然やる気出ました!あのスピード欲しい!ジャンプも凄い!」
実習後
「練習するならこの紐あげる。くれぐれも準備運動忘れずに~」
とまだら模様の紐が渡された。心の中で『もう少し趣味の良い色に塗り替えられないか』と思いつつ初めてやる気の起きた授業に俺は興奮冷めやらず、ルドルフが熱心に勉強している気持ちが少ーしわかった気がした。
先生は一言も口を出さずに真剣に聞き、話が終わるとほっとしたような表情で
「やっと話してくれて私は嬉しい」
どうやらうちの村からMさんが壊した物の請求書とその顛末が学園に届いていたようで俺たちには知られないように独自調査をしていたらしい。それにより大体の事情の把握はしていたが
『色々な事情を持った学生が多い為当人が求めない限り手出し、口出し無用』
が基本ルールな学園側から何も出来ずに俺たちが言ってくるのをやきもきしながら待っていたようだ。
「こうモヤモヤした気持ちがやっと晴れました。いやー良かった。これで動けます」
よほどモヤモヤが溜まっていたらしく今やる気に満ち溢れている。
「まずは本当に学園内に内通者がいないかの確認。次は学園の警備と情報共有。ルドルフ君の安全な避難場所の確保。そして大事なのは学園の門前町に彼女の手の者を入れない、入ってきたら追い出す事。最後のこの対策は王族で、尚且つ大きな力を持つ学園長が適任でしょう。よし!やりましょう!」
この内容を全部やりきるのには最低1ヶ月はかかるのでそれまでは油断せずに過ごす事、この間のように町で騒ぎを起こさないよう重々念押しされた…騒ぎを起こしたわけじゃないと言う俺たちの言葉は却下された。
「先生、気になっていたんですけどうちの村の壊した物のお金って支払ってもらえたんですか?」
「君の村の損害ですから気になりますよね。とりあえず学園長のポケットマネーで支払った後、その旨彼女の家にお知らせしたところ御当主から丁寧な詫び状とお支払いがありました。御当主は大変キチンとした方のようですね。まあ君の村で何かがあったときは王族に知らせるのが決まりですし、うちの学生が巻き込まれているのですから学園に請求書を送るのは強ち間違いとも言えないでしょう」
彼女が当主じゃないんだな。あと王族に知らせるって?初めて聞くよなぁとルドルフに同意を求めると
「村長さんが言ってた事を調べていたらそれも古法に載っていたよ。あの村は王家直轄地、最低年1回村の事を報告するのが必須、それ以外でも大きな事が起きればすぐ王族に知らせる決まりになっているんだ」
と返された。確かに調べるって言ってたけどお前勉強しすぎじゃない?そんな事まで知ってるなんてびっくりだよ。
「あとルドルフ君の曽祖父の件はかなり昔の事なので覚えている方がいらっしゃるかどうか…とりあえず長く学園にいる先生たちと卒業生に聞いてみます。あと仮面の学生が次の日から仮面無しになった事はそこそこ大きな出来事ではあるので学園の業務日誌に載っている可能性がありますね。後回しになってはしまいますがそちらも当たって見ましょう」
やる気満々なオットー先生を見送った俺たちは安心したせいかどっと疲れを感じていた。なんだかんだ緊張してたんだな俺たち。
「…ノラ先生?」
ただいま魔法の実習中。皆の視線が俺に刺さる。
「ランニングって必要?」
皆が水出したり炎出したりしている最中俺だけランニング…ホント意味分からない。
「今日は足の強化をやるからね~準備運動だよ~。終わったらこれ足に巻いて~」
ランニングが終わりやっと視線が無くなると思ったが甘かった。足に巻けと渡されたのは紫と黄色のまだら模様の長い紐2本。
どう巻けば?てか趣味悪い色だけど何か理由があるのか?
「色は私の趣味!巻き方はね~こう足の付け根からぐるぐるとくるぶしまで~。よし完成~」
両足の付け根からくるぶしまでぐるぐると紐(理屈はわからないがどこにも結んでないのに落ちない)を巻かれた俺。とんでもなく恥ずかしい。見てみろ!ルドルフですら後ろ向いて肩を震わせている。こうなったら正面切って笑われた方がましだ。
「本当にこれって必要?遊んでるわけじゃ…」
ノラ先生はケラケラと高笑いし
「必要に決まってるよ~。まずは目を閉じていつもの馬鹿力を出すように魔力を集めて~」
おっ!初めて魔法実習っぽくなった!
「そしたら、それを足の方に降ろしていく!下に~下に~。巻かれてる紐に沿って降ろす感じ。下に~」
あ、足に降ろす時の目安にしてるんだこの紐。
「どの辺まで降ろせた?」
「うーん意外に難しい…太ももの途中くらいできれちゃいました」
「最初にしては上出来~。それを足先まで降ろせると~」
目の前からノラ先生が消えた。一瞬でかなり遠くまで移動していたのだ。凄い!こんなの初めて見た。
「こんな事が出来ます~やる気出たでしょ?」
と言いつつ今度は皆の頭上をジャンプで飛び越し戻ってきた。
「俄然やる気出ました!あのスピード欲しい!ジャンプも凄い!」
実習後
「練習するならこの紐あげる。くれぐれも準備運動忘れずに~」
とまだら模様の紐が渡された。心の中で『もう少し趣味の良い色に塗り替えられないか』と思いつつ初めてやる気の起きた授業に俺は興奮冷めやらず、ルドルフが熱心に勉強している気持ちが少ーしわかった気がした。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる