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24 村 ⑤
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「ミイちゃん、レトルトカレー食べられる?」
「いや、好きじゃないからご飯だけ食べるよ」
「あ~大人用のレトルトカレーに混ざって1つだけ子ども用『初めてのカレー』ってのが入ってるよ~。これミイちゃん用じゃない~?」
「…子どもじゃないぞ俺」
「まあまあ~どうぞ~」
「うわっ勝手にかけやがった…せっかくのご飯が…あれ?美味しい…なんで?」
「さすがヤマモトさんセレクトだな。ミイちゃんの好みを知り尽くしてる」
先ほどの事を忘れたように彼らが和気藹々と夕食をとっているのを見ているとこの図太さがこの一族の持ち味なのかもしれないなと実感した。あとはそれをぶち壊す事さえしなければ…
「コウ兄さん~後でこの屋敷内をアリさんロボでしらみ潰しに調べていい~?この心霊現象の理由もわかるかもしれないし~」
もうぶち壊しにきた。早い。早過ぎる。
「…アリ?虫の?」
「うん、アリ~」
コウさんが何か言いたげにこちらを見ている。はい、言いたい事わかりますよ。
私たちが今日来るのが遅れる原因になったのは
『この間のサイバー攻撃の犯人が出頭してきました。一応知り合いかどうかの確認をしてほしい』
と警察から連絡を受けてコウさんと弁護士である私が出向く事になっだからだ。マジックミラーで犯人を見せてもらったが全く知らない顔だった。匿名の依頼主から報酬をもらってサイバー攻撃をする仕事をしている奴らしく犯人も依頼主が誰なのかはわからないようだ。
その為普通は依頼主はおろか犯人さえも特定するのは難しいケースだと思われるのに何故自ら出頭してきたのか?担当の警官に聞いてみると、犯人は
『あの件以来自分は呪われているんです。他の仲間からあの家に関わる仕事はしない方がいいって言われてたのに報酬に釣られちゃって…家の電化製品は理由もなく次々壊れるし…新品を買ってきてもその日のうちに壊れるんです、おかしいでしょ?その上ふと気がつくと虫の…アリの集団が現れるんです。…今アリ如きって思ったでしょ?違うんです!握りつぶしてやろうとするとあっと言う間に消えるし、殺虫剤は効かないし、朝起きると顔にうじゃうじゃいるし…アリ!アリ!もうだめだ!俺はアリに殺される!…知っている事は全部お話ししますから…刑事さん助けて下さい!』
とたいそう怯えながら供述し、その呪いとやらから逃れる為に出頭してきたらしい。
『精神的におかしくなってるのかもしれませんね…しかしやった犯罪行為について話してる内容は裏付けがとれましたので立件はできそうです』
との事だった。
今ショウさんの言っている『アリさんロボ』と犯人が怯えていた『アリ』…同じ物の可能性大…ひょっとして電化製品が壊れてるのもそれの仕業では…コウさんも私と同じ考えに至ったようだ。どうしますか?と目で聞いてみるとコウさんは数秒考えて
「ショウの仕返しだろう。ま、この程度なら許容範囲だと思おう、任せたんだしな」
と私にこっそり耳打ちした。そんな事には全く気づいてないショウさんが割り込んできた。
「なになに内緒話~?で、いい?アリさんロボ使っても?」
「…調べてみろ。私も原因が知りたいからな。でもそのアリさんロボは商品化は絶対しないからな」
…確実にS案件なので元々無理だったとは思うが、知っている人間は少ない方がいいだろう。
「ただ、そのお掃除ロボットは優れものだ。私にもらえないか?自宅を掃除してもらいたいんだ」
ああ、あのお掃除ロボットね。確かにあれはいい。市販の物の無断改造版のようなのでうちの会社から売る事は難しいのがとても残念なくらいだ。
「いいよ~。マツナガさんもいる?」
「いや、私はいらないです。床にこの掃除機が動けるほどのスペースがないので」
「…ひょっとしてマツナガさんちって汚部屋?」
その質問にはノーコメントでお願いします。
コウさんの許可を得たショウさんは猛スピードで食事をとり屋敷内をまた調べ始めた。後片付けを忘れているが、コウさんとケイタロウさんがショウさんの分の片付けもしてあげていた。この兄弟(戸籍上は親子)はショウさんに駄々甘い。
片付けが終わり、3人で居間でくつろいでいると
「うわっ!どうしよう~皆来て~」
とショウさんの大声がした。
「…奥の間の方かな?人騒がせな奴だ。何があったんだ?」
ショウさんの声のした部屋の襖を開けるとそこは真っ暗で、案の定人魂とショウさんがいた。
「人魂じゃないか…さっきも見たぞ」
人魂も2度目となると驚きは少ない。慣れとは恐ろしいものだ。
「よく見てこの顔~見覚えあるでしょう?」
ショウさんに言われて人魂をじっと見る。
「…ジジイ!」「ソウエモン様!」
コウさんをもっと厳つくした老人の顔がそこにあった。コウさんの祖父のソウエモン様の顔だった。
衝撃だった。この屋敷に出る人魂なのだから彼がいてもおかしくはないのだが…なんて懐かしい。
ソウエモン様の『マツナガ!』と呼びかける声が聞こえてくる気がする。
コウさんは?と横を見るとーーー泣いていた。一言も発さずに泣いていた。でも目は一瞬たりとも人魂から離さない。
普段『クソジジイ』と口汚く言っているものの、コウさんにしてみたら仕事や家の事を教え導いてくれたのはソウエモン様だったはず。それだけに2人にしかわからない絆があるだろうと思う。
「マツナガさんはいこれ」
ケイタロウさんが私にティシュを差し出した。コウさんに渡せばいいのかな?
「…マツナガさんもいるでしょ?邪魔しないから気が済むまで会ってていいよ。ショウ、他の部屋を調べよう」
と言い、そっと襖を閉めて2人出て行った。
涙が頬を伝っているのに今更気がついた。
「いや、好きじゃないからご飯だけ食べるよ」
「あ~大人用のレトルトカレーに混ざって1つだけ子ども用『初めてのカレー』ってのが入ってるよ~。これミイちゃん用じゃない~?」
「…子どもじゃないぞ俺」
「まあまあ~どうぞ~」
「うわっ勝手にかけやがった…せっかくのご飯が…あれ?美味しい…なんで?」
「さすがヤマモトさんセレクトだな。ミイちゃんの好みを知り尽くしてる」
先ほどの事を忘れたように彼らが和気藹々と夕食をとっているのを見ているとこの図太さがこの一族の持ち味なのかもしれないなと実感した。あとはそれをぶち壊す事さえしなければ…
「コウ兄さん~後でこの屋敷内をアリさんロボでしらみ潰しに調べていい~?この心霊現象の理由もわかるかもしれないし~」
もうぶち壊しにきた。早い。早過ぎる。
「…アリ?虫の?」
「うん、アリ~」
コウさんが何か言いたげにこちらを見ている。はい、言いたい事わかりますよ。
私たちが今日来るのが遅れる原因になったのは
『この間のサイバー攻撃の犯人が出頭してきました。一応知り合いかどうかの確認をしてほしい』
と警察から連絡を受けてコウさんと弁護士である私が出向く事になっだからだ。マジックミラーで犯人を見せてもらったが全く知らない顔だった。匿名の依頼主から報酬をもらってサイバー攻撃をする仕事をしている奴らしく犯人も依頼主が誰なのかはわからないようだ。
その為普通は依頼主はおろか犯人さえも特定するのは難しいケースだと思われるのに何故自ら出頭してきたのか?担当の警官に聞いてみると、犯人は
『あの件以来自分は呪われているんです。他の仲間からあの家に関わる仕事はしない方がいいって言われてたのに報酬に釣られちゃって…家の電化製品は理由もなく次々壊れるし…新品を買ってきてもその日のうちに壊れるんです、おかしいでしょ?その上ふと気がつくと虫の…アリの集団が現れるんです。…今アリ如きって思ったでしょ?違うんです!握りつぶしてやろうとするとあっと言う間に消えるし、殺虫剤は効かないし、朝起きると顔にうじゃうじゃいるし…アリ!アリ!もうだめだ!俺はアリに殺される!…知っている事は全部お話ししますから…刑事さん助けて下さい!』
とたいそう怯えながら供述し、その呪いとやらから逃れる為に出頭してきたらしい。
『精神的におかしくなってるのかもしれませんね…しかしやった犯罪行為について話してる内容は裏付けがとれましたので立件はできそうです』
との事だった。
今ショウさんの言っている『アリさんロボ』と犯人が怯えていた『アリ』…同じ物の可能性大…ひょっとして電化製品が壊れてるのもそれの仕業では…コウさんも私と同じ考えに至ったようだ。どうしますか?と目で聞いてみるとコウさんは数秒考えて
「ショウの仕返しだろう。ま、この程度なら許容範囲だと思おう、任せたんだしな」
と私にこっそり耳打ちした。そんな事には全く気づいてないショウさんが割り込んできた。
「なになに内緒話~?で、いい?アリさんロボ使っても?」
「…調べてみろ。私も原因が知りたいからな。でもそのアリさんロボは商品化は絶対しないからな」
…確実にS案件なので元々無理だったとは思うが、知っている人間は少ない方がいいだろう。
「ただ、そのお掃除ロボットは優れものだ。私にもらえないか?自宅を掃除してもらいたいんだ」
ああ、あのお掃除ロボットね。確かにあれはいい。市販の物の無断改造版のようなのでうちの会社から売る事は難しいのがとても残念なくらいだ。
「いいよ~。マツナガさんもいる?」
「いや、私はいらないです。床にこの掃除機が動けるほどのスペースがないので」
「…ひょっとしてマツナガさんちって汚部屋?」
その質問にはノーコメントでお願いします。
コウさんの許可を得たショウさんは猛スピードで食事をとり屋敷内をまた調べ始めた。後片付けを忘れているが、コウさんとケイタロウさんがショウさんの分の片付けもしてあげていた。この兄弟(戸籍上は親子)はショウさんに駄々甘い。
片付けが終わり、3人で居間でくつろいでいると
「うわっ!どうしよう~皆来て~」
とショウさんの大声がした。
「…奥の間の方かな?人騒がせな奴だ。何があったんだ?」
ショウさんの声のした部屋の襖を開けるとそこは真っ暗で、案の定人魂とショウさんがいた。
「人魂じゃないか…さっきも見たぞ」
人魂も2度目となると驚きは少ない。慣れとは恐ろしいものだ。
「よく見てこの顔~見覚えあるでしょう?」
ショウさんに言われて人魂をじっと見る。
「…ジジイ!」「ソウエモン様!」
コウさんをもっと厳つくした老人の顔がそこにあった。コウさんの祖父のソウエモン様の顔だった。
衝撃だった。この屋敷に出る人魂なのだから彼がいてもおかしくはないのだが…なんて懐かしい。
ソウエモン様の『マツナガ!』と呼びかける声が聞こえてくる気がする。
コウさんは?と横を見るとーーー泣いていた。一言も発さずに泣いていた。でも目は一瞬たりとも人魂から離さない。
普段『クソジジイ』と口汚く言っているものの、コウさんにしてみたら仕事や家の事を教え導いてくれたのはソウエモン様だったはず。それだけに2人にしかわからない絆があるだろうと思う。
「マツナガさんはいこれ」
ケイタロウさんが私にティシュを差し出した。コウさんに渡せばいいのかな?
「…マツナガさんもいるでしょ?邪魔しないから気が済むまで会ってていいよ。ショウ、他の部屋を調べよう」
と言い、そっと襖を閉めて2人出て行った。
涙が頬を伝っているのに今更気がついた。
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