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№141 どこにいるの?
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大学生の時、付き合っていた彼女に騙されマンションも車も何もかも奪われました。惚れた弱みというか、強く抵抗できず……。
それで、ある公園に1ヶ月弱滞在しました。その公園は広くて一部遊具がある場所は子連れの家族や小学生が遊んでいましたが、ホームレスがひっそりと住んでいる一角もありました。
ある日ちびちびと炊き出しを食べていたら、目の端に何かが写りました。見ると細い棒のような足で、驚いて顔を上げると小さな女の子が珍しそうに私を眺めていました。間違えて来てしまったんだと思い
「ここは遊ぶところないよ」
と話しかけました。しかし小汚い男を怖がるどころか、ますます近づいて
「おじさん、何してるの?」
と。俺はちょっと苛ついて野良犬を払うようにしっしっと手を振りました。するとぱっと消えてしまったんです。突然のことに俺は驚いてきょろきょろと周りを見渡し、近くにいたホームレスに
「ここに女の子がいなかったか」
と聞きました。その人は真剣な顔になり
「あんた、もうすぐ死ぬよ」
と言ったんです。これまでにこの公園で突然、女の子がいる、消えたなど言い出す人は必ず1週間以内に公園の隅で死んでしまうそうです。
そして、その夜から毎晩、女の子の笑い声がどこからともなく聞こえてきて、眠れないんです。昼間も倦怠感が抜けず、食欲もなくなり、3日目で俺は死を覚悟しました。しかし夜に笑い声を聞いていると絶望感が徐々に怒りに代わってきたんです。なんで俺がこんな目に。どうせならあの性悪女に取り憑けよって。
そしたら突然笑い声がぴたっとやみ、耳元で
「その女、どこにいるの」
と子供の声がしました。背筋がぞっと冷たくなり、勝手に体が震え出しました。また
「どこにいるの?」
と聞かれ、俺は心の中で元カノに取られた住所を何度も言いました。気がつけば朝になっていて、周りには誰もいませんでした。俺はすぐに公園を後にしました。そして隣の県に住んでいる実家に向かって歩いていました。
その後実家で療養、大学は中退になりましたが、兄の紹介で就職でき、今年で5年目です。
先日、あの公園に思い切って行ってみました。ホームレスは一人もいなくなっていて、あの時より明るくなったようでした。ぼんやり眺めていると
「おじさーん」
と声を掛けられました。見ると10メートルほど先で5歳くらいの女の子が手を振っています。知らない子です。どうしたものか迷っていると、その子の隣の女性に見覚えがあることに気づきました。元カノでした。げっそり痩せていて薄汚い服を着ていて、あの頃の見る陰もありませんでしたが。彼女も俺に気づいたらしくさっと目をそらし、女の子をおいて歩き出しました。女の子は元カノに
「お母さん待ってよ」
と、ふくらはぎあたりを蹴ったんです。元カノは倒れました。女の子はそれを横目に見ながら俺に向かって
「ありがとうね」
と言ったんです。
――宇梶さんはそれ以降絶対にその公園のある県には行かないことにしたという。
それで、ある公園に1ヶ月弱滞在しました。その公園は広くて一部遊具がある場所は子連れの家族や小学生が遊んでいましたが、ホームレスがひっそりと住んでいる一角もありました。
ある日ちびちびと炊き出しを食べていたら、目の端に何かが写りました。見ると細い棒のような足で、驚いて顔を上げると小さな女の子が珍しそうに私を眺めていました。間違えて来てしまったんだと思い
「ここは遊ぶところないよ」
と話しかけました。しかし小汚い男を怖がるどころか、ますます近づいて
「おじさん、何してるの?」
と。俺はちょっと苛ついて野良犬を払うようにしっしっと手を振りました。するとぱっと消えてしまったんです。突然のことに俺は驚いてきょろきょろと周りを見渡し、近くにいたホームレスに
「ここに女の子がいなかったか」
と聞きました。その人は真剣な顔になり
「あんた、もうすぐ死ぬよ」
と言ったんです。これまでにこの公園で突然、女の子がいる、消えたなど言い出す人は必ず1週間以内に公園の隅で死んでしまうそうです。
そして、その夜から毎晩、女の子の笑い声がどこからともなく聞こえてきて、眠れないんです。昼間も倦怠感が抜けず、食欲もなくなり、3日目で俺は死を覚悟しました。しかし夜に笑い声を聞いていると絶望感が徐々に怒りに代わってきたんです。なんで俺がこんな目に。どうせならあの性悪女に取り憑けよって。
そしたら突然笑い声がぴたっとやみ、耳元で
「その女、どこにいるの」
と子供の声がしました。背筋がぞっと冷たくなり、勝手に体が震え出しました。また
「どこにいるの?」
と聞かれ、俺は心の中で元カノに取られた住所を何度も言いました。気がつけば朝になっていて、周りには誰もいませんでした。俺はすぐに公園を後にしました。そして隣の県に住んでいる実家に向かって歩いていました。
その後実家で療養、大学は中退になりましたが、兄の紹介で就職でき、今年で5年目です。
先日、あの公園に思い切って行ってみました。ホームレスは一人もいなくなっていて、あの時より明るくなったようでした。ぼんやり眺めていると
「おじさーん」
と声を掛けられました。見ると10メートルほど先で5歳くらいの女の子が手を振っています。知らない子です。どうしたものか迷っていると、その子の隣の女性に見覚えがあることに気づきました。元カノでした。げっそり痩せていて薄汚い服を着ていて、あの頃の見る陰もありませんでしたが。彼女も俺に気づいたらしくさっと目をそらし、女の子をおいて歩き出しました。女の子は元カノに
「お母さん待ってよ」
と、ふくらはぎあたりを蹴ったんです。元カノは倒れました。女の子はそれを横目に見ながら俺に向かって
「ありがとうね」
と言ったんです。
――宇梶さんはそれ以降絶対にその公園のある県には行かないことにしたという。
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