忌み子は鬼になれるのか

お花見茶

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◈◈忌み子の少年◈◈

保護

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 森が焼かれて、どれくらい経っただろうか。少年が穴の中で毛布にくるまり、ウトウトとしていると、どこからか話し声が聞こえてきた。

「……すげぇことになってんな。」
「あぁ。こんなとこに森があったことも驚きだが、森全てが燃やされている……」

 ザッザッと、足音が近づいてくる。少年は穴の中で体を縮こませて、息を潜めた。

「お、何か開けた場所に出たぞ。」
「何だこれ?何かの建物だったようだが……。」

 足音がどんどんと穴に近づいてくる。老木が邪魔になって、よく見ないと穴には気づかないはずだ。じっと息を潜めていると、老木の下から一人分の足が見えた。

「……ん?穴か?なんでこんなところに……。」

 男はしゃがみ込み、木の下から穴を覗き込んだ。

「な!?なんでこんなところに子供が……!!」
「おい、どうした?何か見つかったのか?」
「宝石や金でも見つかったんですか?あ、まさかお酒?」
「そんなこと言ってないで、いいから来い!!」

 男のもとにぞろぞろと人が集まってくる。

「たく、どうしたんだよ。そんなに慌てて。」
「団長!!じ、実はこの木の裏の穴に子供が!!」
「あ?子供だと!?おい、今すぐそこをどけ!!」

 さっきとは違う男が穴を覗き込む。少年は捕まらないようにと、できるだけ奥へと行く。

「っ!?おい、坊主。こっちに来い!!」

 いきなり怒鳴るようにして呼ばれて、ビクッと体をすくませる。感情がなくても、体は覚えてしまっているのだ。

「……出てこねぇな。」
「当たり前でしょう!!いきなり怒鳴るようにして呼ばれたら、子供なら誰だって怖くなります!!」
「う、うるせぇ!!知るわけないだろう、そんなの!!そんなに言うなら、お前がやれよ!!」
「いいですよ。
 ……大丈夫でしたか?もう怖くないですよ。こっちにおいで。」

 また違う男が来た。最初の男とも、さっきの男とも違うようだ。少年は優しそうな声につられて、ソロソロと前を見た。顔はよく見えないが、長い金髪がキラキラと太陽の光を反射して輝いていた。思わず、少年はそちらの方へと近づいた。

「もう大丈夫ですよ」

 男はそっと少年を抱きしめ、立ち上がった。少年は外の眩しさに目を細めた。初めての太陽だった。

 目が慣れてまわりを見ると、人間が沢山いた。思わず、体が強ばる。塔に来る男以外、初めての人間だった。

「大丈夫ですよ。皆見た目はアレですが、怖くはありません」

 少年を抱いた男は、あやすようにして言った。

「私はルディウス・レイクルートと言います。この王国騎士団の副団長をしています。あなたの名前は?」

 少年はじっとルディウスと名乗った男を見つめた。沈黙に耐えかねて、ルディウスは次の質問をした。

「では、あなたのご両親はどこですか?」

 少年は変わらずじっとルディウスを見る。

「あなたの年は?」

 少年は動かない。あまりにも少年が動かないため、不安になったルディウスは、

「私達の言葉は分かりますか?」

 コクンと頷く少年。反応があったことに少しホッとしつつ、質問を続ける。

「じゃあ、あなたのお家はどこですか?」

 少年が少し首を傾げる。

「聞き方を変えましょう。あなたの住んでいた場所は?」

 少年が瓦礫を振り返り、ゆっくりと指を指す。

「ここに住んでいたのですね?」

 確認するようにゆっくりと言うと、少年はまたコクリと頷いた。

「ふぅ、とりあえず今はこれくらいしか聞けなさそうです。」

 ルディウスは一人の男に、振り返って言った。

「いや、十分だ。無理に思い出させるようなことはしなくていい。小せぇ子には酷だ。」
「この子はどうしましょう?」
「親もいねぇみたいだし、保護して村まで連れて帰ろう。」
「分かりました。では、この子は私が世話をします。」
「お前が進んでやるなんて珍しいな。子供好きだっけ?」
「どう考えたって、この中で子供の世話ができるの私だけでしょう!!子持ちも何人かいますが、皆ガサツで、頼んだらこの子の存在を忘れて酒を飲んで遊んでる姿が目に浮かびます!!」
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