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◈◈忌み子の少年◈◈
緑の街 テレーヘ
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気がつけば、周りがガヤガヤと騒がしい。シャルルは思わず目を開けた。
「おや、起きましたか?」
「ん……父さん、ここは?」
「テレーヘの街です。この街の宿屋と連携している馬屋に、馬を預けてあるんです」
シャルルは街の様子を見ようと、毛布からひょっこり顔を出した。そこにはとても綺麗な街並みが広がっていた。屋根は色々な緑色で彩られ、至るところに花や木、植物が覆い茂っている。
「!!……すごい」
「でしょう?この街は別名『緑の街』と呼ばれていまして、あらゆる場所に緑があるんです」
シャルルは初めて見た街にキョロキョロと首を動かし、街に見入った。空は日が沈みはじめ朱色と紫色が入り乱り、屋根の緑色が幻想的な美しさを作り出している。
「ここはパワースポットとしても人気なんです。この現象はここでしか見れなくて、それでもごく稀にしか発生しない特別な現象なんです」
それを聞いて、驚いたように少し眉を動かしたシャルルは脳裏に焼きつけるように目を見開きジッと空を見上げ続けた。
「ほら、シャルル。そんなに上を見てたら、首が疲れて痛めてしまいますよ」
そう言われたシャルルは思わずクビを引っ込めた。それを見たルディウスは笑って
「そんなに引っ込めなくても大丈夫ですよ。ほら、今日泊まる宿屋が見えてきましたよ。あの青っぽい緑色の屋根の1番大きな建物が私達の泊まる宿屋です。その隣の一回り小さい建物が馬を預けてある馬屋です」
「あれが……」
騎士団の皆が全員泊まれそうな、大きな宿屋だった。シャルルがポケーッとナ眺めていると、すっと横をヴァンフリートが通って、受付に行った。
「すまない子供が一人増えたんだが」
「新しくお部屋をお取りしましょうか?」
「いや、ルディウス副団長と同じ部屋に泊まる」
「副団長様と同じ部屋なら、ベッドを1つ増やしましょうか?」
「ルディウスと一緒に寝てるから大丈夫だ。それで、料金はいくらになる?」
「部屋もベッドも増やさないのならば、料金はこの前と同じで大丈夫です。ここでは泊まる人数じゃなく、その部屋やサービスで決まりますから」
「助かる。ただ、子供にも飯を頼みたいんだが」
「なら、サービスしときますね。食堂で言っていただければ、無料でお出しさせていただきますわ」
「何、それは本当か!?助かる!!あ、あと、子供の飯はお腹に優しいものを頼む。栄養も取れると助かるんだが」
「あら?ご病気ですか?良ければお医者様を呼ぶことも可能ですが……」
「あぁ、頼む。病気ではないんだが、どうやら虐待を受けて育ったらしくな。体も小さく傷だらけなんだ」
「まあ!!それは大変ですわ!!すぐにお医者様をお呼びいたします!!早くお部屋で寝かせてあげてください!!」
「助かる」
受付の女性はパタパタと駆けていった。
「とまあ、そんなわけで、ルディは早くベッドにシャルルを寝かせてやれ」
「はい」
∵∴✿∴∵❀∵∴✿∴∵
「ふむ、病気にはかかっておらぬようじゃな。体も擦り傷や切り傷、打撲なども結構みられるが、全てじきに治るじゃろう。ただ栄養失調のようじゃな。もう少し見つけるのが遅れておったら、この子は間違いなく助からなかったじゃろう。しばらくは安静にして、栄養のあるものを食べさせてやることじゃ。栄養があるからと、いきなり消化の悪いものを食べさせてはダメじゃぞ。弱った胃腸を優しくねぎらってやれ。お腹に優しいものから食べさせていくと良い。下手すればこの子はご飯どころか食べ物一口でさえ食べられなくなってしまうからの」
「わかりました。ありがとうございました」
「なんのなんの。これくらいどうってことないわい。医者として当然じゃ。何かあった時はまた呼ぶとええ。それじゃあ、お大事にの」
パタンと扉が閉まり、医者が扉の向こうに消えた。すると、その場にいたルディウスとヴァンフリートはどっと疲れたように相互を崩した。
「は~……なんかあの爺には勝てない気がするんだよなぁ、昔から」
ヴァンフリートはイスの背もたれにもたれかかった。
「分かります。なんというか、圧倒的絶対感があって、逆らったら殺されるような気がしました……」
ルディウスは、ベッドに突っ伏してもごもごと言った。
「まあ、とにかく大事なくて良かったじゃねぇの」
「そうですね。栄養失調の子は病気にもかかりやすい聞きますし」
二人は格好を元に戻し、シャルルの顔を覗き込んだ。シャルルはベッドに下ろすと落ち着いたのか、寝かせた途端に吸い込まれるように眠りについたのだった。
「それにしても、団長があの医者と知り合いだったとは思いませんでした」
「ああ、まあな。俺の爺の知り合いでな。王都に来るたびに屋敷に訪れてんだよ」
「そうだったのですか」
ヴァンフリートは椅子から立ち上がって、ドアを開けた。
「それじゃあ、俺は食堂の奴に医者の爺にさっき言われたことを伝えてくるわ」
「お願いします」
「おや、起きましたか?」
「ん……父さん、ここは?」
「テレーヘの街です。この街の宿屋と連携している馬屋に、馬を預けてあるんです」
シャルルは街の様子を見ようと、毛布からひょっこり顔を出した。そこにはとても綺麗な街並みが広がっていた。屋根は色々な緑色で彩られ、至るところに花や木、植物が覆い茂っている。
「!!……すごい」
「でしょう?この街は別名『緑の街』と呼ばれていまして、あらゆる場所に緑があるんです」
シャルルは初めて見た街にキョロキョロと首を動かし、街に見入った。空は日が沈みはじめ朱色と紫色が入り乱り、屋根の緑色が幻想的な美しさを作り出している。
「ここはパワースポットとしても人気なんです。この現象はここでしか見れなくて、それでもごく稀にしか発生しない特別な現象なんです」
それを聞いて、驚いたように少し眉を動かしたシャルルは脳裏に焼きつけるように目を見開きジッと空を見上げ続けた。
「ほら、シャルル。そんなに上を見てたら、首が疲れて痛めてしまいますよ」
そう言われたシャルルは思わずクビを引っ込めた。それを見たルディウスは笑って
「そんなに引っ込めなくても大丈夫ですよ。ほら、今日泊まる宿屋が見えてきましたよ。あの青っぽい緑色の屋根の1番大きな建物が私達の泊まる宿屋です。その隣の一回り小さい建物が馬を預けてある馬屋です」
「あれが……」
騎士団の皆が全員泊まれそうな、大きな宿屋だった。シャルルがポケーッとナ眺めていると、すっと横をヴァンフリートが通って、受付に行った。
「すまない子供が一人増えたんだが」
「新しくお部屋をお取りしましょうか?」
「いや、ルディウス副団長と同じ部屋に泊まる」
「副団長様と同じ部屋なら、ベッドを1つ増やしましょうか?」
「ルディウスと一緒に寝てるから大丈夫だ。それで、料金はいくらになる?」
「部屋もベッドも増やさないのならば、料金はこの前と同じで大丈夫です。ここでは泊まる人数じゃなく、その部屋やサービスで決まりますから」
「助かる。ただ、子供にも飯を頼みたいんだが」
「なら、サービスしときますね。食堂で言っていただければ、無料でお出しさせていただきますわ」
「何、それは本当か!?助かる!!あ、あと、子供の飯はお腹に優しいものを頼む。栄養も取れると助かるんだが」
「あら?ご病気ですか?良ければお医者様を呼ぶことも可能ですが……」
「あぁ、頼む。病気ではないんだが、どうやら虐待を受けて育ったらしくな。体も小さく傷だらけなんだ」
「まあ!!それは大変ですわ!!すぐにお医者様をお呼びいたします!!早くお部屋で寝かせてあげてください!!」
「助かる」
受付の女性はパタパタと駆けていった。
「とまあ、そんなわけで、ルディは早くベッドにシャルルを寝かせてやれ」
「はい」
∵∴✿∴∵❀∵∴✿∴∵
「ふむ、病気にはかかっておらぬようじゃな。体も擦り傷や切り傷、打撲なども結構みられるが、全てじきに治るじゃろう。ただ栄養失調のようじゃな。もう少し見つけるのが遅れておったら、この子は間違いなく助からなかったじゃろう。しばらくは安静にして、栄養のあるものを食べさせてやることじゃ。栄養があるからと、いきなり消化の悪いものを食べさせてはダメじゃぞ。弱った胃腸を優しくねぎらってやれ。お腹に優しいものから食べさせていくと良い。下手すればこの子はご飯どころか食べ物一口でさえ食べられなくなってしまうからの」
「わかりました。ありがとうございました」
「なんのなんの。これくらいどうってことないわい。医者として当然じゃ。何かあった時はまた呼ぶとええ。それじゃあ、お大事にの」
パタンと扉が閉まり、医者が扉の向こうに消えた。すると、その場にいたルディウスとヴァンフリートはどっと疲れたように相互を崩した。
「は~……なんかあの爺には勝てない気がするんだよなぁ、昔から」
ヴァンフリートはイスの背もたれにもたれかかった。
「分かります。なんというか、圧倒的絶対感があって、逆らったら殺されるような気がしました……」
ルディウスは、ベッドに突っ伏してもごもごと言った。
「まあ、とにかく大事なくて良かったじゃねぇの」
「そうですね。栄養失調の子は病気にもかかりやすい聞きますし」
二人は格好を元に戻し、シャルルの顔を覗き込んだ。シャルルはベッドに下ろすと落ち着いたのか、寝かせた途端に吸い込まれるように眠りについたのだった。
「それにしても、団長があの医者と知り合いだったとは思いませんでした」
「ああ、まあな。俺の爺の知り合いでな。王都に来るたびに屋敷に訪れてんだよ」
「そうだったのですか」
ヴァンフリートは椅子から立ち上がって、ドアを開けた。
「それじゃあ、俺は食堂の奴に医者の爺にさっき言われたことを伝えてくるわ」
「お願いします」
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