転生先は水神様の眷属様!?

お花見茶

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···❆転生前・狭間編❆···

俺の子ども〜side.ヴィグセルツ〜

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 それから、彼女に眷属の説明ををして、珠に魔力を流させる。すると珠が青白くピカーッと光り、足元に子どもが現れる。まだ、1歳にも満たないような赤ん坊だ。

 珠がなくなったことに驚いている彼女に、ここだと赤ん坊を指差す。すると、彼女は急いで赤ん坊を抱き上げた。と思ったら、俺に抱かせて、自分はどこからかもう1人赤ん坊を抱き上げた。どうやら、草に隠れて、俺の位置からは見えなかったらしい。どうやら双子だったようだ。

 赤ん坊を抱いて立ち上がった彼女に、本題を突きつける。この子たちの子育てだ。
驚いて叫ぶ彼女に、この子たちが珠から生まれ、俺たちの子どもだということを伝える。

 しばらくの間戸惑っていた彼女だが、時間が経つに連れ落ち着いて、しっかりとした顔つきになり始めた。

「私がお母さんか……。よし、ならまず名前をつけましょう!!」
「何かいい名前はあるか?」

 俺が聞くと、彼女は少しの間考え、チラリと俺を見る。

「……ゆかりあおいなんてどうでしょう?」

 ゆかりあおい……。

「目の色から取ったんですが……。や、やっぱりそのまますぎますか……?」

 不安そうな顔の彼女に首を振って、気に入ったことを伝える。

「俺が抱いている子が碧で、弥生の抱いている子が紫か」

 俺は子どもたちを見て、思わず頬を緩めた。俺たちの愛しい子どもは、腕の中ですやすやと眠っていた。

 彼女にこの子たちが何なのかと聞かれたため、聖竜の後継者であることを説明する。

 紫は紫がかった紺色の髪に紫の瞳の女の子、碧は水色っぽい白い髪に青緑の瞳の男の子だ。二人共顔立ちは整っていて、将来はさぞかし美形になるだろうと思うのは、親の贔屓目だろうか?

 飽きもせず碧の寝顔を見ていた俺は、同じく紫を見ていた彼女の体がビクッと震えたことに気づいた。

「とうしたんだ?」
「いえ、あの……紫を見てたら何かが頭の中に浮かんできて……」
「それは鑑定だな」

 俺の眷属になったときにいくつかスキルを与えたが、鑑定は与えてない。もとからのスキルだろう。鑑定は世界中に3人いるかどうかのスキルだ。それをもとから持っているという彼女は、とても珍しい。ちなみに俺も持っている。

 紫のステータスを見ていたらしい彼女は、困惑した顔になる。

「あの、セル様。種族が聖竜じゃないんですけど……」
「何!?そんなはずない。もう1回よく見てみろ!!」
「何回見ても“黒龍”です」

 何!?俺も慌てて鑑定をする。

「本当に“黒龍”だ……」

 彼女に黒龍の説明をする。まだ黒龍は最初の1頭しか確認されていない幻の生き物だ。そんな幻級の生物に会えるとは……。

 急いで世界神に報告しようとする俺を止めて、彼女がとんでもない発言をする。

「あの……もしかしたら、もしかしたらなんですけど……碧も、なんてことは……」
「……確認、しておこう」

 結果。“白龍”だった……。白龍は黒龍と同じく、幻級の生き物。こちらも黒龍の兄弟である1頭しか確認できてないらしい。

 とりあえず世界神に報告の手紙を送り、待つこと数分。世界神からの手紙が返ってきた。

「ひ、開くぞ……?」
「は、はい」

 ドキドキとしながら手紙を広げる……。俺たちは文面に目を走らせた。

 ………………。

 グシャッ
 ビリビリッ
 ドシャッ

 地面に叩きつけた手紙の残骸をグリグリと踏みつける。

 そうだ。すっかり忘れていた。世界神はこういう奴だった。紫たちへの動揺で、頭が回らなかった。

 何が『僕は元気だぜ★』だ、クソが!!お前の事情なんて知るか!!というか、お前が何十年も仕事の書類を隠してサボってたのが悪い!!お前に紫たちを見せるわけないだろ!!お前に会わせたらどうなることか…!!初代聖竜もどうなるか分かってたから見せなかったんだよ!!初代聖竜が会わせなかったのに、どうして俺たちが会わせると思ったんだ、このボケ!!

 ドスドスと踏み続ける。落ち着いたときにはもうそれが何なのかわからなくなっていた。

「よし、行くか」
「え!?どこにですか!?」
「俺の世界だ。大丈夫だ。しばらくの間は俺たちに干渉できない。神は地上に干渉できないんだ。」

 俺は行かないのかと不安そうな顔をする彼女に、俺も行くことを伝える。世界神が許可を出したんだ。神界と地上を行き来して良いと。緊急事態でない限り、神界には戻らなくてもいいとも。

 ふむ、そうだな……普通に人になろうかと思ったが、紫たちは龍だし、龍人になるとしよう。龍人は竜人から稀に生まれる種族で、その力は竜人の何倍も強い。俺は神だから余計に強くなるだろうが。ちなみに、龍も同じく竜の何倍も強く、全てにおいて竜よりも秀でている。まぁ、そんな龍でも聖竜には勝てないがな。結局のところ、最強なのは黒龍と白龍だ。

「それと、俺のことはセルと呼べ。セル様だと、どこかの貴族に思われる」
「わ、分かりました」
「敬語も無しでいい。それじゃあ、行くぞ」
「はい!!……じゃなかった、うん!!」

 俺は右手で碧を抱き、左手を彼女に差し出した。同じ様に左手で紫を抱いた彼女――弥生は、右手を俺の手に重ねた。





・・・・・・・・・・・・・・・

これで転生前・狭間編は終了です。

次回はしばらく置いての、5日後となります。
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