転生先は水神様の眷属様!?

お花見茶

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···❆クラソフィア入都編❆···

門番の騎士

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 私たちは、列に並び順番になるのを待つことにした。紫たちはまだぐっすり眠っている。今起きられては困るから、正直ありがたい。

 昼を少し過ぎた頃、やっと私たちの番が来た。セルの言ったとおり、もう少ししたら入れそうだ。

「身分証明書の提示をお願いします」
「すまない。実は身分証明書を持っていなくてな」
「では、こちらに来てください。おい、こっちは頼んだぞ」

 門番をしていた騎士さんは、もう一人の騎士さんにその場を任せ私達を詰所奥へと連れて行った。そこは騎士たちの休憩所のようだった。騎士たちのものと思われる物がいくつかあった。部屋はそれほど広くなかったけど、真ん中には机があり、イスが四脚あった。

「そちらにどうぞ」

 騎士さんに促され、右側のイスにセルが、左のイスに私が座った。

「それではまず、身分証明書を持っていない理由を訪ねてもよろしいでしょうか?」
「馬車での移動途中に魔物に襲われて、馬車をおいて逃げてきたんだ。身分証明書はその馬車においてきてしまった」
「そうでしたか……。では、仮身分証明書を作るので、こちらの水晶に手をかざして頂いてもよろしいでしょうか。犯罪の有無や名前、年齢を調べますので」
「ああ」

 セルが水晶に手をかざす。水晶が軽く光り、カードが出てきた。騎士さんはカードを机の上に滑らすようにして差し出した。

「こちらが仮身分証明書になります。1週間はこれで滞在することができますが、それ以降はお金を払っても滞在することはできませんので、ご注意ください。身分証明書を新たに作られるのでしたら、ギルドに所属することをオススメします。その場合は、この詰所に来てこの仮身分証明書とカードを見せてください。そうしないと1週間後に強制的に街から追い出さなければいけなくなりますので」

 騎士さんが色々と説明してくれる。優しい騎士さんで良かった。……でもさっきから、説明の合間にチラチラと見られている気がするのは気のせいだろうか。とりあえずニコッと笑っておくと、騎士さんの顔が赤くなった。

「で、では、妹さんの方も……」

 妹って私のことだろうか……?

 どうやら私たちは兄妹に見えているらしい。とりあえず手をかざす。同じようにカードが出てきて私に手渡される。

「ありがとうございます」

 私が笑ってお礼を言うと、騎士さんは顔をさらに赤くさせて口ごもってしまった。面白い。

「いえ、あの、えっと、その……」

 どうしたんだろうか。それからしばらくしても騎士さんは何か言いたそうな雰囲気で口をもごもごと動かす。ちょっと気になるが、それよりも気になるのが……

「……あの、そろそろ手を離してもらっても?」

 そう、騎士さんはずっと私の手を握っていたのだ。カードを渡されたときから。

「す、すみません!!……あ、あのもしよかったらこの後……!!」
「この後、なにか?あ、そういえばまだ自己紹介してませんでしたね。私はヤヨイ・ユヅキと言います。今日はありがとうございました。お忙しいでしょうに」
「い、いえ。とんでもありません!!わ、私はデルディル・シュトーム、20歳、独身、彼女無しです!!」

 よくわからないけど、何故だか彼女の有無まで言われた。

「シュトームさん、よろしくお願いしますね」
「こ、こちらこそ今後ともよろしくお願いします!!あと、デルディルで結構です!!(できれば、ディルと呼んでほしいなぁなんて……)あ、あの、お義兄さん……あ、お兄さんの名前は……」

 うん?今、お兄さんの発音がちょっと違ったような……。

「俺はセルン・ユヅキ。俺も20歳だ」

 セルがぶっきらぼうに言う。もう少し愛想よくできないなのかしら。そこがカッコいいんだけれども。

「よろしくお願いします、お義兄さ……セルンさん!!」
「……さっきから気になってたんだが、そのお義兄さんはなんだ」

 セルが眉を寄せて言った。

「あら、セルはお兄さんって呼ばれて嬉しくないの?」

 こんなに慕われているのに。私がそう言うと、目の前でデルディルさんがぱぁっと嬉しそうにした。

「弥生、多分お前の思ってるのと違うぞ?」

 何が?

「お、お義兄さん、是非ともヤヨイさんを……!!」
「うぎゃあぁぁぁっっ!!」
「ぎゃああぁぁぁんっっ!!」
「ああ、よしよし。大丈夫よ」

 紫が起きて泣き出し、それにより碧も起きて泣き出す。私は急いで二人をあやした。そういえば、デルディルさんが何か言おうとしてたように思ったけど、気のせい?

「いつの間に赤ちゃんが……?」
「言っとくが、最初からいたぞ」

 デルディルさんとセルが話してるのに気づかず、どうにか泣き止ませることに成功する。

「セル、碧を抱いていてくれないかな?」
「分かった」

 セルは碧をひょいと抱き上げた。その手付きはもうずっと父親をやっていたみたいな、そんな感じを思わせる。

「あ、あの、その子たちは?」

 あ。デルディルさんがいたことを忘れてた。
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