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57.道ならぬ恋
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すっかり日も暮れ、せめて一晩お休みになっていってはと何度も引き止めてくださるプレストン辺境伯の言葉を丁重に辞退して、私たち一行は辺境伯邸を去ることにした。突然王妃たちが宿泊するとなればきっと屋敷の使用人たちも大変で疲れきってしまうだろう。
「アリア様、もしよければ、時折お手紙を差し上げてもよろしいですか?」
「もちろんですわコーデリア様!嬉しい。私も書きますわね。また必ずお会いしましょう」
長年の友人同士のように、私たちの心はすっかり打ち解けあっていた。まさかコーデリア様とこんなに気の合う友人になれるなんて。訪問の目的は決してコーデリア様と対面することではなかったのだけれど、
(来てよかったな…)
目の前の優しい笑顔を見つめながら、私は心からそう思った。
馬車に乗り込む直前、ふいにコーデリア様が声をかけてきた。
「あの、アリア様…、……カイル様は、…アドラム公爵令息は、お元気でいらっしゃいますか?」
(……えっ?)
「ええ。お元気ですわ。アドラム公爵令息は日々陛下のおそばでお仕事に邁進されているようです」
私が振り返りそう答えると、彼女はホッとしたように微笑んだ。
「そうですか。それなら、よかった…」
「…彼とも親しいお知り合いでしたの?」
その様子が気になって思わずそう尋ねると、コーデリア様は言った。
「ええ。私と陛下とカイル様は幼なじみで、王立学園にも共に通っておりましたわ。彼のことも…、ずっと気にかかっていたので」
「まぁ、そうだったのですね」
私は驚いた。あの腹黒宰相の顔が頭に浮かぶ。あいつめ…。前にコーデリア様のことを尋ねた時、ジェラルド様とコーデリア様が幼なじみで同窓生だったことは聞いたけれど、自分の息子も幼なじみだったなんてその時は一言も言ってなかったわ。
(普通自然な流れで言わない?何でいちいち隠すのよ。何を企んでるんだか、まったく)
頭の中の宰相の顔を指でペシッと弾きながら、私はコーデリア様に言った。
「アドラム公爵令息に、何か伝言などありますか?」
「……。お願いしても、よろしいのですか?」
「ええ!もちろん。伝えることがあれば伝えておきますわ」
私がそう言うと、コーデリア様は一度俯き、しばらくしてから何かを決意したように顔を上げた。
薄暗い景色の中で、その瞳が少し潤んでいるように見えた。
「…私は、今とても幸せですと。あなた様も、どうか元気でいてくださいと。…そうお伝えいただけますか?」
その声は、かすかに震えていた。
「…ええ!分かりましたわ。必ず伝えます」
「ありがとうございます、アリア様。どうかお気を付けて。…アリア様のお幸せも、ずっとお祈りしています」
私が女性として幸せになれる日は、きっとやって来ない。
この人が得られた安寧や幸福は、私は永久に得ることはないだろう。
それでも、私にはこの道しかないんだ。
「ありがとう、コーデリア様」
「またお会いしましょう」
私たちはどちらからともなく、最後にしっかりと手を握りあったのだった。
「…よかったですね、滞りなく訪問が終わって」
その夜滞在を予定していた宿に着き、部屋の前でおやすみの挨拶をする時にエルドがそう言った。
「ええ。プレストン辺境伯は支援を快諾してくださったし、コーデリア様とは親しくなれたし。言うことなしだわ」
「楽しそうでしたね、アリア様。あなたのあんな表情を見たのは初めてです」
「……そう?」
包み込むような優しいエルドの視線に妙に照れてしまって、私は目を逸らすと言い訳をするように言った。
「だって、コーデリア様って本当に素敵な方だったんだもの。私に対してきっといい感情を持ってはいないだろうと思っていたのに、あんなに優しくしてくださって」
「そうですか」
「そうよ。素敵だったでしょう?コーデリア様。……あ、そうか。エルドは元々知ってる人よね」
私がこの国に来るまではしょっちゅう王宮に来られていたはずだもの。何度も見てるわよね。
そんなことを考えていると、エルドが言った。
「まぁ…、素敵かと問われれば、たしかに立派な女性だとは思いますが…」
「でしょう?」
「俺にとっては、アリア様がこの世の誰よりも素敵な女性ですので」
………………え。
今、何て言った?
エルドの口から聞こえてきた言葉をもう一度頭の中で反芻して、私はゆっくりと彼を見上げた。
エルドはただ静かに私のことを見ている。さっきまでと何も変わらない、いつもの静かな眼差しで。
(~~~~~~~~っ!!)
一瞬の後、体中の血液が沸騰するんじゃないかと思うほどの熱が湧き上がり、私は慌てて顔を背けた。…あ、いやだ、どうしよう。耳まで一気に真っ赤になっていくのが分かる。
「も、もう。エルドったら…。…あ、えっと、そ、それじゃあ、また…」
またって何よ。またって。
「…ふ。はい、おやすみなさいませアリア様。今宵もどうぞ、良い夢を」
いつもと変わらず落ち着いた様子のエルドから必死で顔を背けたまま、無様なまでに目を泳がせながら私はどうにか扉を閉めた。
そのままベッドに勢いよく飛び込み、顔を伏せ、心の中で全力の叫び声を上げる。
(こっ……この世の、誰よりも…、す、素敵な、女性…?!嘘でしょう?!どうしよう、気絶しそう……)
心臓が激しく跳ねまわりながら悲鳴を上げている。大好きな人からあんな言葉をかけられて、平然としていられる女なんているはずがない。エ、エルドったら…!いつも淡々としているくせに…、どうして何の前触れもなくあんな殺し文句が言えるの…?!
(ちょっと…落ち着くのよ私…!エルドの言葉に深い意味は一切ないんだから。彼にとって私は護衛の対象であって、ラドレイヴンの王妃。それだけのことよ。なのに…私ったら…。彼の何気ない一言でいちいちこんなに舞い上がって…)
必死で自分にそう言い聞かせても、興奮と嬉しさのあまり震える指先さえ抑えられない。たったこれだけのことで、こんなにも一喜一憂して。我ながら情けない…。
だけどエルドは、今となってはもう私の人生の唯一の喜び。生涯誰にも知られることのない、道ならぬ恋でしかないけれど、彼の存在があるからこそ私は自分を奮い立たせていける。
(…エルド…。ありがとう…)
扉の向こうにいる恋しい人を意識しながら、深夜にようやく眠りにつくまでの間、私は何度も何度もエルドの優しい言葉を思い出しては甘いため息をついていた。
離宮に帰ってきても、王宮の執務室と離宮の自分の部屋を往復するばかりの毎日なのでバッタリ出会うことはまずない。
また嫌な顔をされるんだろうなぁとは思いつつ、私は彼を呼び出した。
「…お呼びでしょうか、妃陛下」
案の定、その端正な顔に浮かぶ不機嫌を隠そうともしないでカイル様は現れた。
「プレストン辺境伯領から戻ったから、あなたにも報告しておこうと思って。辺境伯は資産の中からかの国への援助を行うことを快諾してくださったわ」
「…それはよかったですね。まぁだからと言って、向こうの国にしてみれば不信感は残るでしょうけど。何故国からの支援はないのかと。…何もしないよりはマシかもしれませんがね」
「ええ、そうね。…それでね、あなたを呼んだのはもう一つ理由があって。…コーデリア様からあなたに伝言を預かってきているのよ」
その瞬間。
たった今まで不貞腐れたような顔をしていた彼の瞳が分かりやすく揺らいだ。いつも気怠げに視線を逸らす彼が、その絹糸のような銀髪を揺らし弾かれたように私の目を見る。
一言も聞き漏らすまいとしているような、切実さを感じるその瞳。
「コーデリア様は、今とても幸せですと。あなた様もどうか元気でいてくださいと。…そう伝えてほしいと言われたわ」
「……っ、」
食い入るような目で私の言葉を聞いていたカイル様は、ほんの一瞬、幼子のような頼りない表情を見せた。今にも泣き出しそうな、触れれば崩れ落ちてしまいそうな。
だけどそのまま一度俯き、再び顔を上げた彼の顔はいつもと同じ冷静なものだった。
「…そうですか。分かりました。では、私はこれで失礼します」
そう言って踵を返したカイル様の声が、やっぱり少しだけ震えていて。
その後ろ姿を見守っていると、部屋を出る直前、彼はピタリと立ち止まって一呼吸置くとこちらを振り返った。
「…ありがとうございます、妃陛下」
(……っ!)
小さな声でそれだけを言うと、カイル様は今度こそ姿を消した。
「……。」
そうか。そういうことだったんだ。
(あの人も道ならぬ恋に苦しんだことがあったのね…)
いつも仏頂面で冷淡で、私に対して嫌悪感を隠そうともしなかった彼の内面が垣間見えた気がした。
ほんの少しだけ、親近感を覚えた。
「アリア様、もしよければ、時折お手紙を差し上げてもよろしいですか?」
「もちろんですわコーデリア様!嬉しい。私も書きますわね。また必ずお会いしましょう」
長年の友人同士のように、私たちの心はすっかり打ち解けあっていた。まさかコーデリア様とこんなに気の合う友人になれるなんて。訪問の目的は決してコーデリア様と対面することではなかったのだけれど、
(来てよかったな…)
目の前の優しい笑顔を見つめながら、私は心からそう思った。
馬車に乗り込む直前、ふいにコーデリア様が声をかけてきた。
「あの、アリア様…、……カイル様は、…アドラム公爵令息は、お元気でいらっしゃいますか?」
(……えっ?)
「ええ。お元気ですわ。アドラム公爵令息は日々陛下のおそばでお仕事に邁進されているようです」
私が振り返りそう答えると、彼女はホッとしたように微笑んだ。
「そうですか。それなら、よかった…」
「…彼とも親しいお知り合いでしたの?」
その様子が気になって思わずそう尋ねると、コーデリア様は言った。
「ええ。私と陛下とカイル様は幼なじみで、王立学園にも共に通っておりましたわ。彼のことも…、ずっと気にかかっていたので」
「まぁ、そうだったのですね」
私は驚いた。あの腹黒宰相の顔が頭に浮かぶ。あいつめ…。前にコーデリア様のことを尋ねた時、ジェラルド様とコーデリア様が幼なじみで同窓生だったことは聞いたけれど、自分の息子も幼なじみだったなんてその時は一言も言ってなかったわ。
(普通自然な流れで言わない?何でいちいち隠すのよ。何を企んでるんだか、まったく)
頭の中の宰相の顔を指でペシッと弾きながら、私はコーデリア様に言った。
「アドラム公爵令息に、何か伝言などありますか?」
「……。お願いしても、よろしいのですか?」
「ええ!もちろん。伝えることがあれば伝えておきますわ」
私がそう言うと、コーデリア様は一度俯き、しばらくしてから何かを決意したように顔を上げた。
薄暗い景色の中で、その瞳が少し潤んでいるように見えた。
「…私は、今とても幸せですと。あなた様も、どうか元気でいてくださいと。…そうお伝えいただけますか?」
その声は、かすかに震えていた。
「…ええ!分かりましたわ。必ず伝えます」
「ありがとうございます、アリア様。どうかお気を付けて。…アリア様のお幸せも、ずっとお祈りしています」
私が女性として幸せになれる日は、きっとやって来ない。
この人が得られた安寧や幸福は、私は永久に得ることはないだろう。
それでも、私にはこの道しかないんだ。
「ありがとう、コーデリア様」
「またお会いしましょう」
私たちはどちらからともなく、最後にしっかりと手を握りあったのだった。
「…よかったですね、滞りなく訪問が終わって」
その夜滞在を予定していた宿に着き、部屋の前でおやすみの挨拶をする時にエルドがそう言った。
「ええ。プレストン辺境伯は支援を快諾してくださったし、コーデリア様とは親しくなれたし。言うことなしだわ」
「楽しそうでしたね、アリア様。あなたのあんな表情を見たのは初めてです」
「……そう?」
包み込むような優しいエルドの視線に妙に照れてしまって、私は目を逸らすと言い訳をするように言った。
「だって、コーデリア様って本当に素敵な方だったんだもの。私に対してきっといい感情を持ってはいないだろうと思っていたのに、あんなに優しくしてくださって」
「そうですか」
「そうよ。素敵だったでしょう?コーデリア様。……あ、そうか。エルドは元々知ってる人よね」
私がこの国に来るまではしょっちゅう王宮に来られていたはずだもの。何度も見てるわよね。
そんなことを考えていると、エルドが言った。
「まぁ…、素敵かと問われれば、たしかに立派な女性だとは思いますが…」
「でしょう?」
「俺にとっては、アリア様がこの世の誰よりも素敵な女性ですので」
………………え。
今、何て言った?
エルドの口から聞こえてきた言葉をもう一度頭の中で反芻して、私はゆっくりと彼を見上げた。
エルドはただ静かに私のことを見ている。さっきまでと何も変わらない、いつもの静かな眼差しで。
(~~~~~~~~っ!!)
一瞬の後、体中の血液が沸騰するんじゃないかと思うほどの熱が湧き上がり、私は慌てて顔を背けた。…あ、いやだ、どうしよう。耳まで一気に真っ赤になっていくのが分かる。
「も、もう。エルドったら…。…あ、えっと、そ、それじゃあ、また…」
またって何よ。またって。
「…ふ。はい、おやすみなさいませアリア様。今宵もどうぞ、良い夢を」
いつもと変わらず落ち着いた様子のエルドから必死で顔を背けたまま、無様なまでに目を泳がせながら私はどうにか扉を閉めた。
そのままベッドに勢いよく飛び込み、顔を伏せ、心の中で全力の叫び声を上げる。
(こっ……この世の、誰よりも…、す、素敵な、女性…?!嘘でしょう?!どうしよう、気絶しそう……)
心臓が激しく跳ねまわりながら悲鳴を上げている。大好きな人からあんな言葉をかけられて、平然としていられる女なんているはずがない。エ、エルドったら…!いつも淡々としているくせに…、どうして何の前触れもなくあんな殺し文句が言えるの…?!
(ちょっと…落ち着くのよ私…!エルドの言葉に深い意味は一切ないんだから。彼にとって私は護衛の対象であって、ラドレイヴンの王妃。それだけのことよ。なのに…私ったら…。彼の何気ない一言でいちいちこんなに舞い上がって…)
必死で自分にそう言い聞かせても、興奮と嬉しさのあまり震える指先さえ抑えられない。たったこれだけのことで、こんなにも一喜一憂して。我ながら情けない…。
だけどエルドは、今となってはもう私の人生の唯一の喜び。生涯誰にも知られることのない、道ならぬ恋でしかないけれど、彼の存在があるからこそ私は自分を奮い立たせていける。
(…エルド…。ありがとう…)
扉の向こうにいる恋しい人を意識しながら、深夜にようやく眠りにつくまでの間、私は何度も何度もエルドの優しい言葉を思い出しては甘いため息をついていた。
離宮に帰ってきても、王宮の執務室と離宮の自分の部屋を往復するばかりの毎日なのでバッタリ出会うことはまずない。
また嫌な顔をされるんだろうなぁとは思いつつ、私は彼を呼び出した。
「…お呼びでしょうか、妃陛下」
案の定、その端正な顔に浮かぶ不機嫌を隠そうともしないでカイル様は現れた。
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「…それはよかったですね。まぁだからと言って、向こうの国にしてみれば不信感は残るでしょうけど。何故国からの支援はないのかと。…何もしないよりはマシかもしれませんがね」
「ええ、そうね。…それでね、あなたを呼んだのはもう一つ理由があって。…コーデリア様からあなたに伝言を預かってきているのよ」
その瞬間。
たった今まで不貞腐れたような顔をしていた彼の瞳が分かりやすく揺らいだ。いつも気怠げに視線を逸らす彼が、その絹糸のような銀髪を揺らし弾かれたように私の目を見る。
一言も聞き漏らすまいとしているような、切実さを感じるその瞳。
「コーデリア様は、今とても幸せですと。あなた様もどうか元気でいてくださいと。…そう伝えてほしいと言われたわ」
「……っ、」
食い入るような目で私の言葉を聞いていたカイル様は、ほんの一瞬、幼子のような頼りない表情を見せた。今にも泣き出しそうな、触れれば崩れ落ちてしまいそうな。
だけどそのまま一度俯き、再び顔を上げた彼の顔はいつもと同じ冷静なものだった。
「…そうですか。分かりました。では、私はこれで失礼します」
そう言って踵を返したカイル様の声が、やっぱり少しだけ震えていて。
その後ろ姿を見守っていると、部屋を出る直前、彼はピタリと立ち止まって一呼吸置くとこちらを振り返った。
「…ありがとうございます、妃陛下」
(……っ!)
小さな声でそれだけを言うと、カイル様は今度こそ姿を消した。
「……。」
そうか。そういうことだったんだ。
(あの人も道ならぬ恋に苦しんだことがあったのね…)
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