【完結済】結婚式の翌日、私はこの結婚が白い結婚であることを知りました。

鳴宮野々花@書籍4作品発売中

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「ち、ちょっと待ってってばミッチェル」
「待てないよポーラ。もう何週間が過ぎたと思っているんだい?こんなに魅力的な君と一つ屋根の下で、毎夜僕がどれほど身を焦がしながら心の中で君を求めていたか……!」

(きっ……気持ち悪……っ!)

 嘘ばっかり!!あなたにはポーラがいるでしょうが!!私に触らないでよ!!

 そう言えたらどんなにスッキリするか。でもここまで来たらもう舞台を整えて盛大にやり返してやらないと気が済まない。頑張れ私。耐えるのよ。

「も、もうミッチェルったら……。分かったから、先に上がっててよ」
「いいから、ほら、一緒においでアミカ」

 だんだんと強い力で私の腕を引っ張り始めたミッチェルと、絶対に寝室に行きたくない私の全力の攻防戦が始まった。私は腕に力を込めてプルプルさせながら必死で男の力に抗う。

「もう、何を照れてるんだよアミカ。そういう可愛いところがまた……ふふ……新鮮だなぁ…」
「や、止めてミッチェル……!ちょっと……ね、ねぇ…………、……っ、……や…………止めてってば!!」


 ブスッ


「ぎゃあぁぁっ!いたぁぁっ!!」

 私はミッチェルの手を引き剥がすフリをして、怒りまかせに彼の手の甲に刺繍針を深く突き刺した。

「きゃぁっ!ミッチェル!!ごっ、ごめんなさい!」
「あ、あいた…………い、痛い……っ!」

 相当痛かったのだろう、ミッチェルの両目から涙が溢れる。口をへの字に曲げ唇を震わせながら手を押さえ、情けない顔で私を見つめてくる。

(……。……ふっ…………)

 その顔がなんだかおかしくて、私は思わず口角が上がりそうになる。まずい。私は咄嗟に両手で顔をバッと覆った。腹筋が震える。

「ごっ!ごめんなさい……!まさか、……まさかあなたに針が刺さってしまうなんて……!……誰かぁっ!誰か来てぇっ!!」
「……いかがなさいましたか奥様?!」

 私のはしたない大声に驚いたメイドが一人居間に飛び込んできてくれた。

「わ、私がミッチェルに怪我をさせてしまったの……っ!お願いよ、手当てをしてあげてちょうだい……。わ、私……、私……、申し訳なくて、もう今日はあなたと顔を合わせられないわっ!あはぁぁぁんっ!!」
「アッ、アミカ、待って……!!」

 私は号泣(するふりを)しながら居間を飛び出し、そのまま2階の自室に駆け上がってしっかりと鍵をかけた。



 そしてそのまま朝まですやすやと眠ったのだった。



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