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『アラフォー獣医師の日常風景』〜ちょいとイケメン風な⁉猛(たける)先生。町の獣医師さん!笑顔あり、ドタバタ⁉ありの、アットホームなお話です!
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第一話
~猛(たける)の日常風景~
本庄猛(ほんじょうたける)は39歳の獣医師である。
東京の下町に小さな動物病院を
構え、いつしか地元民に親しまれる存在となっていた。
彼は、ハーフという、
ちょっとユニークな出自があった。
彼の父親はシンガポール人で
母親は日本人。
背はスラリと高く小顔なイケメン風。
なのだが、、、
いまだ独身である。
「おはようござぁーす!
どうしましたか?」
この日も朝から、
ワンちゃん!を抱えた飼い主さんが駆け込んできた。
猛は、すぐさま診療に取りかかる。
大きな優しい手付きでワンちゃん!を撫でながら、飼い主さんに
症状を訊く。
「いつものように
元気だったんですけど、つい先ほど急に具合が悪くなって…」
心配そうな飼い主さんに、
猛は、
「大丈夫ですよ」と穏やかな笑みを浮かべ、安心させる。
その場で簡単な検査を済ませると、
「おなかの調子が少し悪いみたいですね。点滴を打って様子を見ましょう」
猛の診断は的確だった。
ささっと判断を下し、慌てる
飼い主に代わって迅速な手際で治療を施した。
こうした、動物患者や飼い主に
寄り添う姿勢が、
猛の魅力でもあった。
いつも一匹一匹の患者様に、
丁寧に対応することを心掛けていたのだ。
というより、自然とそうなるのだ。
ワンちゃん!が安堵の表情を浮かべる...と、
「いつもありがとうございます」
飼い主は深々と頭を下げた。
こうした人々の喜びの表情を
見られることが、
何よりも猛の喜びでもあった。
午前中はこうした
diagnosticsの繰り返しで、
忙しかった。
ダイアグノティクスとは、
病気や問題の原因や状態を特定する為に行われる、医療や技術上の検査や分析のことである。
お昼を過ぎても患者さんが絶えることはなく、一人でこなしている。
そんな中でも幾つかの愉快なエピソードがあったので、
紹介するとしよう!
例えば、
ねこのチエ嬢!の来院だ!
この猫は獣医が変わると
パニックを起こすらしく、
飼い主さんによると、
猛の病院に来てからは、
一度もないそうだ。
「あんた、ほんとに!お世話になっとるわね、、、」
とでも言わんばかりに、
チエ嬢!は、猛に馴れ馴れしく語りかけてくる。
「そうですそうです。チエさんは、私のお気に入りですからね」
猛は、チエ嬢の毛づくろいの手伝いをしながら、そんな調子で返す。
動物とこうして対話するような営みが、猛の癖になっていた。
動物への愛情は並々ならぬものがあり、時に人間関係よりも動物のほうが分かり合えると思うことさえあった。
少し変わっているのかもしれないが?
だからこそ、
この獣医師という仕事に誇りを
持っていたのだ。
そんな猛の人生にも、
ときどき寂しさは付きまとった。
実のことをいうと、
いまだ!
独身で彼女がいないのだ。
「獣医さん。年を取っても独り身でいいんですか?」
かねてから世話になっている飼い主のひげ面おじさんに、たまに気になる言葉を投げかけられることがあった。
ここで猛は照れくさそうに笑う。
「まあ…そのうち、いい人が現れると思いますよ。
そのうちに、、、」
そう言いつつも、
実は年に一度は、
マッチングアプリに挑戦するくらい、
恋人がほしいという思いがあった。
それなのに、、、
連絡が続かない。
どうしても職務が最優先で、
なかなか時間も作れないのが現実だった。
やっと、、、
待ち合わせまでこぎつけて、
会ったのだが、、、
会話が、はずまない、、、
できる限り、、、頑張ってみたのだが。
空回り、、、話が続かず、
途切れてしまう。
彼女曰く、職業柄なのだと。
なぜなら、葬儀屋に勤めているからだと。
そういえば、笑顔を、、、まだ見ていない。
いや、彼女のせいではない。
まぁ、、、僕がいけなかったのだろう。
他にも、色々あったのだが...。
後は、お察しの通りである。
それはそうと、、、
!!!
ついに、運命的な出会いが
訪れた、、、⁉
第ニ話
~運命的な出会い~
それはある日の深夜のこと。
ここ、『ほっこりペットクリニック』に
突然!
エキゾチックな美女が訪れたのだ!
「私のシーザーを見て下さい!先生!今すぐ!!」
シーザーというのはコーギーの
名前らしい。
美女から叫ばれるままに
猛(たける)は、
診療に入った。
いつも通りに、
大切に、そして丁寧に、、、。
すると美女から
「獣医さん、すごい!!」
という言葉が漏れた。
それはただのお世辞でなく、
本当に心から猛の技術を賞賛しているようだった!
「え、えっと…そんな、
あ、
ありがとうございます、、、」
この日、猛の人生は大きく動き出すのだった――。
動物への愛情は並々ならぬものがあり、動物とのふれあいに猛は、心の底から喜びを覚えていた。
しかし、猛にはそれ以上に、
女性への思いがあった。
結婚適齢期とはいえ、
実はかなりの女好きだったのだ。
ここだけの話。
一時期は、
夜な夜なバーなどで女性を物色することもあった、
周りの獣医仲間からは
"ユルい男"と囁かれていたのだが、、、。
実際には、
そうではないのだ。
その行動範囲は程々のもので、
決して色っぽい関係までいくことはなかった。
そこはしっかりとした一線を
守る、いわば倫理的なロマンティスト、、、
だったのである。
それが猛の魅力の核でもあった。
動物への愛情と、ひと頃の女性への想いを、
うまく両立させていたのだ。
しかし、
こんな~美女!!!
いや...失礼。
彼女に出会ったことで、
猛の心に
久々に炎が点ったのも
無理はない。
「先生は、素晴らしぃ!
このコーギーの
命を救ってくれて、
本当に感謝しています!」
美女は深々と頭を下げた。
その姿は、まるで古典映画から
抜け出してきたような
気品に満ちていた。
「いえいえ、そんな誉め言葉は…」
猛は少し照れくさそうに笑った。
が、しかし本当は、
心の内側ではわくわくしていた。
この人となら、、、!?
いや...失礼。
実は!
美女の名前は、アイリと言い、
シンガポール人とスウェーデン人のハーフだった。
その見目麗しい容姿に、思わず見惚れる猛。
アイリの方も、また彼の優しく
気配りのできる態度に好感を抱いていたのだ。
「先生、、、少しお話し、しませんか?」
そう切り出されて、
二人は近くのカフェに向かうことになる。
それがきっかけとなり、
動物への愛とは別の、、、
男女の愛が芽生え始めるのは
当然の流れ。
のようにみえた!
猛は今宵、アイリの魅力に心酔しつつ、獣医としても、
一人の男としても、、、
これからどう歩んでいけばいいのか、熱い思いを抱くのだった、、、。
第三話
~ファーストデート~
カフェで、二人は、
動物の話から個人的な話へと会話を深めていった。
アイリは、
ハーフで、複雑な環境下で、
幼少時代を過ごしたようだった。
加えて10代後半までは、両親の都合で数か所の国に、移り住んだという。
東京っ子の 猛(たける)は、
ますます興味を惹かれた。
「私の両親は異文化の出会いから生まれた存在なんです。
でも、日本での生活には、なかなか馴染めずにいて、、、」
アイリはそう切り出すと、
両親の出自や、自身の複雑な立場について赤裸々に語り始めるのだった...。
猛(たける)も、自分がハーフであることを打ち明けると、
互いの境遇に共感を覚え、
ぐっと距離は縮まり、ますます意気投合した。
お互いの想いを打ち明けあう中で、エピソードから人生観まで、さまざまな話が弾んでいった。
時には大笑いを交わし、時に真剣に耳を傾け合う。
この夜の出会いは、二人にとって運命的なものになった事は、
言うまでもない。
アルコールが進むにつれ、
猛はアイリの魅力にすっかり惹かれていくのが、自分でもわかっていた。
気づけばすでに、俗に言う、、、
鼻の下が伸びた状態。
アイリの方もまた、この優しくて誠実な猛に好意を持ち始めていた。
「獣医さん!これからも、付き合っていけたらいいですね」
アイリは、ほろ酔い加減で猛に
言った。
「はい、ぜひ! アイリさんがそうおっしゃってくれるなら!」
急に照れくさくなった猛(たける)は、ニコリと、、、
笑みを浮かべた。
穏やかな時が流れる~。
二人は、しばらく街を散策することにした。
ちょうど近くに、公園があったのだ。
、、、ベンチに腰掛ける二人。
心地よい 夜風にあたりながら
語らい合う。
動物への愛を軸に過ごしてきた 猛(たける)だったが、
このアイリとの出会いで、
新たな恋の扉が開かれたのだった。
アイリの言動一つ一つに心を奪われ、これからの二人の行く末をしっかりと想像し始めていた。
疑いなく、、、真剣に。
この出会いをきっかけに、、、
猛の人生は、また
新たな局面を迎えることになるのだった!!
第四話
~恋煩い?!~
本日。
猛(たける)は翌朝から、
いつもと変わらず獣医としての
業務に打ち込んでいた。
しかしアイリとの出会いが、
頭から離れず、
診療中も彼女の
ことを考えては夢心地になってしまう。
「すみません、集中できてなくて」
猛は申し訳なさそうに飼い主さんに頭を下げた。
ワンちゃん!
の様子を診る手際が今ひとつだったのだ。
「先生、そんな無理しなくていいですから。朝からボーッとしてたから、、、」
心配そうに猛を見つめた。
このワンちゃん!の飼い主さんは、はやく猛にいい嫁さんが来ないものかと、
心配し世話を焼いてくれることもあった。
「え、えっと、それが...」
猛は照れくさそうに頬を撫でつつ、昨夜のアイリとのデートの
顛末を語り始める。
彼女の可憐な笑顔、スラリとした美しい仕草、動物への深い愛情。
猛はすっかりアイリの虜になってしまっていた。
「そうだったんですね。
そう、、、わかりました」
飼い主さんは優しく頷きながら、猛の恋話に耳を傾けてくれた。
親切な飼い主さんのお陰で、
猛はなぜだか、少しホッとした様子で、またいつもの親切丁寧な獣医業務に戻っていった。
ところが!
そのまた次の日に、
猛の診療室にアイリが!
姿を現した日のことである。
「たけちゃん、
おはよぅ~!」
猛は驚いた表情を浮かべると、
すぐさま笑顔に変えた。
アイリを前にすると、つい気持ちが高ぶってしまうのだ。
「あら、アイリさん、おはようございます!」
猛はそう言うと、アイリの手に馴染んでいたシーザー(コーギー)を、まずは診ることにした。
「たけちゃんの親切味のある
行動に、また惚れ直しちゃった!」
アイリは嬉しそうに言った!
そして二人は、幸せそうな笑みを交わした。
ここ最近、猛の獣医師としての
業務は変わりつつあった。
アイリの存在があるため、
ワンちゃんやネコちゃんの患者さんたちに対する思いが、
より一層強くなっているのだ。
それはまるで、
動物に対する"愛し愛される関係"を実感できているようでもあった。
「愛情って大切ですよね。動物も人も。」
猛はそう呟いた。
アイリも頷きながら、
猛の仕事ぶりに感心の眼差しを
向けた。
二人の恋は芽生えたばかりだが、お互いに魅力を感じあい、
熱を帯びつつある。
このまま大切な恋人を得て幸せになれるのだろうか。
それとも、動物への愛情と恋愛の両立に苦労することになるのだろうか。
時を経てきっと答えが出るはずだ。
それは猛の人生に、
新たな夢と希望が生まれた瞬間だった、、、。
第五話
~失恋と再起~
猛(たける)は、
アイリとの出会いから
確かに、、、恋に落ちていった。
しかし、
その思いは、
ある事実が発覚して、あっけなく打ち砕かれてしまう。
「え??!、、、
結婚してるの!?」
アイリの口から衝撃の言葉が
漏れた。
実は彼女には、シンガポールに住む夫がいたのだ。
猛はそのことを知らされていなかった。
「独身だと...思い込んでいた、、、」
「ごめんなさい。
聞かれなかったから、、、
言うタイミングがなくて。」
落胆し、絶望の淵に突き落とされたような思いだった。
アイリに一途に尽くした想いが、まるで無に帰してしまったかのようで。
それでも、動物への愛情
だけは
揺るがなかった。
「仕方ない、、、よな。」
自分に言い聞かせ、
再び獣医の仕事に専念することにした。
だが、、、
それにしても、一人でこなすには大変な業務だった。
それでも、
その仕事振りには、
かつてないほどの熱心さを帯びていた。
失恋の喪失感を、獣医業に注ぎ込んだのだ。
「先生、、、大変そうですね」
心配げに見守る飼い主さんたち。
だが、猛は、ただ一心不乱に動物への愛情を捧げ、
業務を遂行し続けた。
そんなある日、
チャンス!!が巡ってくる。
動物看護師の募集に、
28歳のはなという女性が応募してきたのだ。
面接の際、すぐさま はなの資質に惹かれてしまった。
動物が大好きなんだな、、、という事がすぐにみてとれた。
「私は獣医ではありませんが、
アニマルナースと動物健康管理師の資格があります。
どうかここで働かせてください!」
猛は、迷うことなく、
はなを迎え入れた。
そして二人三脚での仕事が始まった。
「わぁ、先生の技術は本当にすごい!!流石、プロフェッショナルですね!」
はなは猛の仕事ぶりに
感服し、尊敬の念を抱いていた。
それもそうだ!
大学院では、トップクラスの成績!
研修医時代にも、優秀な成績を収め、推薦を受けるなど、
目覚ましいものがあった...。
そんな猛も、
はなの動物への
優しい接し方には、心を打たれていた。
こうして相乗効果が生まれ、
二人の仕事ぶりは、勢いを増していったのだった。
「はなさん、本当に動物が好きなんですね!
だからすばらしいんです!」
はなを労うと、二人で笑顔になった
そうして少しずつ、猛の心の傷は癒やされていった。
新たに力を得た猛は、
今度こそ...!!!
「ほっこり!ペットクリニック」を
軌道に乗せることができるのだ!!
地域に密着し、高度な技術を
提供し、
何よりも動物への愛情を届けていく!
そんな猛と、はなの活躍に期待が高まり、
新たな展開を見せていくことになる...。
第六話
~ドタバタ奮闘記~
はなが来てから、
「ほっこり!ペットクリニック」では笑顔が絶えなくなった。
「先生ー!!このワンちゃん!
ざ、ざ、座薬が、、、
なかなか、、、」
はなの困り顔に、猛(たける)
は、優しく微笑み返す。
「そうですね。でも焦らずに...」
そういうと、いつものように しっかりと落ち着いた態度で
ワンちゃん!に近づき、世話をした。
はなは、猛のプロ意識と対応力に感服しきりだった。
そして、一方の猛はもまた、
はなのアニマルナースとしての
資質の高さに感心していた。
こうして二人三脚の賑やかな?!
毎日が始まった。
獣医師と動物看護師という違う
立場から、
動物への愛情を一心に捧げることになった。
「先生ー!わぁ~!
どうしましょう?イノシシが
脱走しちゃってぇ~、、、」
ときには大ゲンカも起きた。
動物たちのわがままで、
大変な目にも遭ったが、
猛とはなの手際の良さで、
フォローしあえた事で、
不思議なことに?
なんとかなった。
飼い主さんたちからは、
そんな二人の
無骨でありながらも
愛情深い姿に、
ついつい目がいってしまうのだ。
「この二人は、何か いいカップルだわ」
「二人ともすらっとしたスタイルで、ほんとお似合いよね?」
「動物からみても、きっと中がいいんでしょうね!」
ときどき、そんな声すら飛び交った。
猛には、動物への愛情とは違う?
はなへの 別な思いが、芽生えはじめていた。
一方のはなも、プロの獣医師ゆえの猛のたくましさに惹かれつつあった。
だが二人とも、お互いの気持ちに気づいていないふりをしているのだろう。
プロ意識が強すぎたのか?
互いに慎重になってしまっていたのだ。
そうこうするうちに、
またケンカが勃発!
今度はイヌの患者同士が喧嘩を
始めてしまい...
「おっと!落ち着いて落ち着いて、、、」
猛は、はなを庇いながら、強面のイヌたちをなだめていた。
その猛の行動に はなは、
釘付けになり、あらためて惹かれる気持ちが込み上げてくる。
猛もまた、はなとのこれまでの事を 思い返しながら、、、
少しずつ、
気づきはじめていた。
第七話
~ペットと飼い主の絆~
ドタバタの毎日を過ごす中で、
猛とはなの間には、愛の絆が芽生え始めていた。
それに、
飼い主さんたちからも、
「あの二人さ、きっとうまくいくんじゃない?」
有り難い事に、そう、、、
囁かれていた、、、。
そして、
猛とはなの出会いを祝し、
《ほっこり!ペットクリニック》には、
幸せの空気が満ちていた。
、、、
しかーし!
平和な日々も長くは続かなかった。
突然の出来事が
二人を巻き込むことになる!!
「先生ー!
大変です!」
ある日の朝、はなが慌てた様子で診療所に駆け込んできた。
「どうしたんだ?」
猛(たける)も危機感を抱いて
声を掛けた。
「あの、空き地に、
捨て猫がいるん
です!」
はなの言葉に、猛の表情が
一変した。
「まさか...また」
二人して空き地へと急いだ。
そこには6匹の子猫が今にも消えてしまいそうな、、、
弱々しい声で鳴いていた。
どうやら誰かに捨てられたらしい、、、。
「かわいそうに、、、」
はなは、哀れな光景に涙ぐんでいた。そして二人は、渾身の技術と看護を駆使して、必死な思いで
子猫たちの世話をした、、、。
それから数日は、
子猫たちの面倒をみることになった。
お察しの通り、
診療所は一時的な、
捨て猫の保護施設と化し、
仔猫たちは、徐々に元気を
取り戻していった。
「ミャーーー!」
「ミィーーー!」
「ミャーオー!」
「ニャオーーーン!」
「ガォーーー!!」
相変わらず、、、子猫たちに、、、
翻弄されながらも、二人は笑顔を忘れない。
「猛さん、この子は私が面倒をみます!」
「おう、頼もしいな!」
そんな愉快な光景に、
他の動物患者の飼い主
たちも、自然と加わっていった。
子猫たちの世話も、
大勢で手伝えば、
楽しくもなる。
ある日の事、
子猫たちが院内で、とんでもない大ケンカを始めた。
もみくちゃになった診療所で、
猛は、苦笑いを浮かべていた、、、。
そうこうするうちに、子猫たちは無事に 里親たちに、保護された。
しかし、そのうちの1匹の子猫の足の怪我には、まだ入院治療が
必要だった...。
「私がこの子の世話をします」
猛の言葉に、はなは頷いた。
そうして二人で力を合わせて、
引き続き、子猫を預かることになった。
そして、最後の1匹を除く子猫たちが新しい家族の元へと
旅立っていった。
飼い主さんたちはこの出来事を、ペットと人間との絆を確かめ合う良い機会だったと言ってくれた。
「動物を愛する気持ちは、人と人との絆にもなりますね。」
そう猛は言った。
はなもまた、小さく頷きながら
微笑んだ。
捨て猫騒動を経て、
猛とはなの関係は、ますます
深まっていった。
そして
新しい人生が、
二人を待ち
受けていた、、、。
第八話
~ 猛とはな電撃結婚~
捨て猫騒動の余韻が残る中、
猛(たける)とはなには新しい驚きが待っていた!
実はあの最後の1匹の子猫が、
あるご夫婦に、引き取られることに
なっていたのだ。
「すみません、お待たせしました」
玄関から子猫!を抱えた
年配の男性が入ってきた。
隣に立つのは奥さんらしき
品のある女性だ。
「あら猛さん、元気そうで良かったわ」
年配の女性が優しく微笑んだ。
「えっ!!」
はなは、驚いた様子で言うと、猛の方にちらりと振り向いた。
「ははは、そうかそうか。私たちは猛の親なんだよ!」
男性の言葉に、猛もはなも、目を丸くした!
実は彼らは、猛の両親だったのだ!
そして、子猫の引き取り手、、、でもある。
「猛から、話を聞いていましたか?」
「いいえ、とくに...
何も、、、」
はなは、戸惑いながらも 再び、猛を見た。
すぐに猛は頷き、すべてを説明し始めた。
「ごめん。まだ言ってなかったけど。実は僕には両親がいて。
でも、独立して獣医になる夢を諦められず、故郷を離れてしまった。
それで、、、疎遠になってしまったんだ」
猛の両親は、亡くなった先代、祖父から引き継いだ ペットクリニックを経営していたのだった。
「それで、、、はな子!!この子猫を一緒に育ててくれないかと思ってね。」
両親の言葉に、二人は驚いた。
「待ってください。それって、つまり、私たちに...」
「そうなの。私達もはやく孫の顔が見たいんだから。」
驚きの展開に、
猛とはなは、どうしてよいのか分からなくなった。
動物を通じて知り合い、両思いになり、そして結婚を望まれる事になるとは?!
なんという展開の速さに!
驚いたのも束の間だった。
「はなさん!これからも、ずっーーーーーーーーっと
、、、一緒にいて下さい!」
「、、、はい!」
二人は笑顔で顔を見合わせた。
猛の両親も喜びを隠しきれない
様子だった。
そしてその日を境に、
最後の捨て猫も猛の両親のもとで可愛がられることになる。
ペットと飼い主、
ペットクリニックとの絆がきっかけで、猛とはなの人生に
新しい幸せが訪れたのだった。
『ほっこりアニマルクリニック
日誌』~より~
~動物が繋いだ素敵なご縁~
たける&はな
~完~
~猛(たける)の日常風景~
本庄猛(ほんじょうたける)は39歳の獣医師である。
東京の下町に小さな動物病院を
構え、いつしか地元民に親しまれる存在となっていた。
彼は、ハーフという、
ちょっとユニークな出自があった。
彼の父親はシンガポール人で
母親は日本人。
背はスラリと高く小顔なイケメン風。
なのだが、、、
いまだ独身である。
「おはようござぁーす!
どうしましたか?」
この日も朝から、
ワンちゃん!を抱えた飼い主さんが駆け込んできた。
猛は、すぐさま診療に取りかかる。
大きな優しい手付きでワンちゃん!を撫でながら、飼い主さんに
症状を訊く。
「いつものように
元気だったんですけど、つい先ほど急に具合が悪くなって…」
心配そうな飼い主さんに、
猛は、
「大丈夫ですよ」と穏やかな笑みを浮かべ、安心させる。
その場で簡単な検査を済ませると、
「おなかの調子が少し悪いみたいですね。点滴を打って様子を見ましょう」
猛の診断は的確だった。
ささっと判断を下し、慌てる
飼い主に代わって迅速な手際で治療を施した。
こうした、動物患者や飼い主に
寄り添う姿勢が、
猛の魅力でもあった。
いつも一匹一匹の患者様に、
丁寧に対応することを心掛けていたのだ。
というより、自然とそうなるのだ。
ワンちゃん!が安堵の表情を浮かべる...と、
「いつもありがとうございます」
飼い主は深々と頭を下げた。
こうした人々の喜びの表情を
見られることが、
何よりも猛の喜びでもあった。
午前中はこうした
diagnosticsの繰り返しで、
忙しかった。
ダイアグノティクスとは、
病気や問題の原因や状態を特定する為に行われる、医療や技術上の検査や分析のことである。
お昼を過ぎても患者さんが絶えることはなく、一人でこなしている。
そんな中でも幾つかの愉快なエピソードがあったので、
紹介するとしよう!
例えば、
ねこのチエ嬢!の来院だ!
この猫は獣医が変わると
パニックを起こすらしく、
飼い主さんによると、
猛の病院に来てからは、
一度もないそうだ。
「あんた、ほんとに!お世話になっとるわね、、、」
とでも言わんばかりに、
チエ嬢!は、猛に馴れ馴れしく語りかけてくる。
「そうですそうです。チエさんは、私のお気に入りですからね」
猛は、チエ嬢の毛づくろいの手伝いをしながら、そんな調子で返す。
動物とこうして対話するような営みが、猛の癖になっていた。
動物への愛情は並々ならぬものがあり、時に人間関係よりも動物のほうが分かり合えると思うことさえあった。
少し変わっているのかもしれないが?
だからこそ、
この獣医師という仕事に誇りを
持っていたのだ。
そんな猛の人生にも、
ときどき寂しさは付きまとった。
実のことをいうと、
いまだ!
独身で彼女がいないのだ。
「獣医さん。年を取っても独り身でいいんですか?」
かねてから世話になっている飼い主のひげ面おじさんに、たまに気になる言葉を投げかけられることがあった。
ここで猛は照れくさそうに笑う。
「まあ…そのうち、いい人が現れると思いますよ。
そのうちに、、、」
そう言いつつも、
実は年に一度は、
マッチングアプリに挑戦するくらい、
恋人がほしいという思いがあった。
それなのに、、、
連絡が続かない。
どうしても職務が最優先で、
なかなか時間も作れないのが現実だった。
やっと、、、
待ち合わせまでこぎつけて、
会ったのだが、、、
会話が、はずまない、、、
できる限り、、、頑張ってみたのだが。
空回り、、、話が続かず、
途切れてしまう。
彼女曰く、職業柄なのだと。
なぜなら、葬儀屋に勤めているからだと。
そういえば、笑顔を、、、まだ見ていない。
いや、彼女のせいではない。
まぁ、、、僕がいけなかったのだろう。
他にも、色々あったのだが...。
後は、お察しの通りである。
それはそうと、、、
!!!
ついに、運命的な出会いが
訪れた、、、⁉
第ニ話
~運命的な出会い~
それはある日の深夜のこと。
ここ、『ほっこりペットクリニック』に
突然!
エキゾチックな美女が訪れたのだ!
「私のシーザーを見て下さい!先生!今すぐ!!」
シーザーというのはコーギーの
名前らしい。
美女から叫ばれるままに
猛(たける)は、
診療に入った。
いつも通りに、
大切に、そして丁寧に、、、。
すると美女から
「獣医さん、すごい!!」
という言葉が漏れた。
それはただのお世辞でなく、
本当に心から猛の技術を賞賛しているようだった!
「え、えっと…そんな、
あ、
ありがとうございます、、、」
この日、猛の人生は大きく動き出すのだった――。
動物への愛情は並々ならぬものがあり、動物とのふれあいに猛は、心の底から喜びを覚えていた。
しかし、猛にはそれ以上に、
女性への思いがあった。
結婚適齢期とはいえ、
実はかなりの女好きだったのだ。
ここだけの話。
一時期は、
夜な夜なバーなどで女性を物色することもあった、
周りの獣医仲間からは
"ユルい男"と囁かれていたのだが、、、。
実際には、
そうではないのだ。
その行動範囲は程々のもので、
決して色っぽい関係までいくことはなかった。
そこはしっかりとした一線を
守る、いわば倫理的なロマンティスト、、、
だったのである。
それが猛の魅力の核でもあった。
動物への愛情と、ひと頃の女性への想いを、
うまく両立させていたのだ。
しかし、
こんな~美女!!!
いや...失礼。
彼女に出会ったことで、
猛の心に
久々に炎が点ったのも
無理はない。
「先生は、素晴らしぃ!
このコーギーの
命を救ってくれて、
本当に感謝しています!」
美女は深々と頭を下げた。
その姿は、まるで古典映画から
抜け出してきたような
気品に満ちていた。
「いえいえ、そんな誉め言葉は…」
猛は少し照れくさそうに笑った。
が、しかし本当は、
心の内側ではわくわくしていた。
この人となら、、、!?
いや...失礼。
実は!
美女の名前は、アイリと言い、
シンガポール人とスウェーデン人のハーフだった。
その見目麗しい容姿に、思わず見惚れる猛。
アイリの方も、また彼の優しく
気配りのできる態度に好感を抱いていたのだ。
「先生、、、少しお話し、しませんか?」
そう切り出されて、
二人は近くのカフェに向かうことになる。
それがきっかけとなり、
動物への愛とは別の、、、
男女の愛が芽生え始めるのは
当然の流れ。
のようにみえた!
猛は今宵、アイリの魅力に心酔しつつ、獣医としても、
一人の男としても、、、
これからどう歩んでいけばいいのか、熱い思いを抱くのだった、、、。
第三話
~ファーストデート~
カフェで、二人は、
動物の話から個人的な話へと会話を深めていった。
アイリは、
ハーフで、複雑な環境下で、
幼少時代を過ごしたようだった。
加えて10代後半までは、両親の都合で数か所の国に、移り住んだという。
東京っ子の 猛(たける)は、
ますます興味を惹かれた。
「私の両親は異文化の出会いから生まれた存在なんです。
でも、日本での生活には、なかなか馴染めずにいて、、、」
アイリはそう切り出すと、
両親の出自や、自身の複雑な立場について赤裸々に語り始めるのだった...。
猛(たける)も、自分がハーフであることを打ち明けると、
互いの境遇に共感を覚え、
ぐっと距離は縮まり、ますます意気投合した。
お互いの想いを打ち明けあう中で、エピソードから人生観まで、さまざまな話が弾んでいった。
時には大笑いを交わし、時に真剣に耳を傾け合う。
この夜の出会いは、二人にとって運命的なものになった事は、
言うまでもない。
アルコールが進むにつれ、
猛はアイリの魅力にすっかり惹かれていくのが、自分でもわかっていた。
気づけばすでに、俗に言う、、、
鼻の下が伸びた状態。
アイリの方もまた、この優しくて誠実な猛に好意を持ち始めていた。
「獣医さん!これからも、付き合っていけたらいいですね」
アイリは、ほろ酔い加減で猛に
言った。
「はい、ぜひ! アイリさんがそうおっしゃってくれるなら!」
急に照れくさくなった猛(たける)は、ニコリと、、、
笑みを浮かべた。
穏やかな時が流れる~。
二人は、しばらく街を散策することにした。
ちょうど近くに、公園があったのだ。
、、、ベンチに腰掛ける二人。
心地よい 夜風にあたりながら
語らい合う。
動物への愛を軸に過ごしてきた 猛(たける)だったが、
このアイリとの出会いで、
新たな恋の扉が開かれたのだった。
アイリの言動一つ一つに心を奪われ、これからの二人の行く末をしっかりと想像し始めていた。
疑いなく、、、真剣に。
この出会いをきっかけに、、、
猛の人生は、また
新たな局面を迎えることになるのだった!!
第四話
~恋煩い?!~
本日。
猛(たける)は翌朝から、
いつもと変わらず獣医としての
業務に打ち込んでいた。
しかしアイリとの出会いが、
頭から離れず、
診療中も彼女の
ことを考えては夢心地になってしまう。
「すみません、集中できてなくて」
猛は申し訳なさそうに飼い主さんに頭を下げた。
ワンちゃん!
の様子を診る手際が今ひとつだったのだ。
「先生、そんな無理しなくていいですから。朝からボーッとしてたから、、、」
心配そうに猛を見つめた。
このワンちゃん!の飼い主さんは、はやく猛にいい嫁さんが来ないものかと、
心配し世話を焼いてくれることもあった。
「え、えっと、それが...」
猛は照れくさそうに頬を撫でつつ、昨夜のアイリとのデートの
顛末を語り始める。
彼女の可憐な笑顔、スラリとした美しい仕草、動物への深い愛情。
猛はすっかりアイリの虜になってしまっていた。
「そうだったんですね。
そう、、、わかりました」
飼い主さんは優しく頷きながら、猛の恋話に耳を傾けてくれた。
親切な飼い主さんのお陰で、
猛はなぜだか、少しホッとした様子で、またいつもの親切丁寧な獣医業務に戻っていった。
ところが!
そのまた次の日に、
猛の診療室にアイリが!
姿を現した日のことである。
「たけちゃん、
おはよぅ~!」
猛は驚いた表情を浮かべると、
すぐさま笑顔に変えた。
アイリを前にすると、つい気持ちが高ぶってしまうのだ。
「あら、アイリさん、おはようございます!」
猛はそう言うと、アイリの手に馴染んでいたシーザー(コーギー)を、まずは診ることにした。
「たけちゃんの親切味のある
行動に、また惚れ直しちゃった!」
アイリは嬉しそうに言った!
そして二人は、幸せそうな笑みを交わした。
ここ最近、猛の獣医師としての
業務は変わりつつあった。
アイリの存在があるため、
ワンちゃんやネコちゃんの患者さんたちに対する思いが、
より一層強くなっているのだ。
それはまるで、
動物に対する"愛し愛される関係"を実感できているようでもあった。
「愛情って大切ですよね。動物も人も。」
猛はそう呟いた。
アイリも頷きながら、
猛の仕事ぶりに感心の眼差しを
向けた。
二人の恋は芽生えたばかりだが、お互いに魅力を感じあい、
熱を帯びつつある。
このまま大切な恋人を得て幸せになれるのだろうか。
それとも、動物への愛情と恋愛の両立に苦労することになるのだろうか。
時を経てきっと答えが出るはずだ。
それは猛の人生に、
新たな夢と希望が生まれた瞬間だった、、、。
第五話
~失恋と再起~
猛(たける)は、
アイリとの出会いから
確かに、、、恋に落ちていった。
しかし、
その思いは、
ある事実が発覚して、あっけなく打ち砕かれてしまう。
「え??!、、、
結婚してるの!?」
アイリの口から衝撃の言葉が
漏れた。
実は彼女には、シンガポールに住む夫がいたのだ。
猛はそのことを知らされていなかった。
「独身だと...思い込んでいた、、、」
「ごめんなさい。
聞かれなかったから、、、
言うタイミングがなくて。」
落胆し、絶望の淵に突き落とされたような思いだった。
アイリに一途に尽くした想いが、まるで無に帰してしまったかのようで。
それでも、動物への愛情
だけは
揺るがなかった。
「仕方ない、、、よな。」
自分に言い聞かせ、
再び獣医の仕事に専念することにした。
だが、、、
それにしても、一人でこなすには大変な業務だった。
それでも、
その仕事振りには、
かつてないほどの熱心さを帯びていた。
失恋の喪失感を、獣医業に注ぎ込んだのだ。
「先生、、、大変そうですね」
心配げに見守る飼い主さんたち。
だが、猛は、ただ一心不乱に動物への愛情を捧げ、
業務を遂行し続けた。
そんなある日、
チャンス!!が巡ってくる。
動物看護師の募集に、
28歳のはなという女性が応募してきたのだ。
面接の際、すぐさま はなの資質に惹かれてしまった。
動物が大好きなんだな、、、という事がすぐにみてとれた。
「私は獣医ではありませんが、
アニマルナースと動物健康管理師の資格があります。
どうかここで働かせてください!」
猛は、迷うことなく、
はなを迎え入れた。
そして二人三脚での仕事が始まった。
「わぁ、先生の技術は本当にすごい!!流石、プロフェッショナルですね!」
はなは猛の仕事ぶりに
感服し、尊敬の念を抱いていた。
それもそうだ!
大学院では、トップクラスの成績!
研修医時代にも、優秀な成績を収め、推薦を受けるなど、
目覚ましいものがあった...。
そんな猛も、
はなの動物への
優しい接し方には、心を打たれていた。
こうして相乗効果が生まれ、
二人の仕事ぶりは、勢いを増していったのだった。
「はなさん、本当に動物が好きなんですね!
だからすばらしいんです!」
はなを労うと、二人で笑顔になった
そうして少しずつ、猛の心の傷は癒やされていった。
新たに力を得た猛は、
今度こそ...!!!
「ほっこり!ペットクリニック」を
軌道に乗せることができるのだ!!
地域に密着し、高度な技術を
提供し、
何よりも動物への愛情を届けていく!
そんな猛と、はなの活躍に期待が高まり、
新たな展開を見せていくことになる...。
第六話
~ドタバタ奮闘記~
はなが来てから、
「ほっこり!ペットクリニック」では笑顔が絶えなくなった。
「先生ー!!このワンちゃん!
ざ、ざ、座薬が、、、
なかなか、、、」
はなの困り顔に、猛(たける)
は、優しく微笑み返す。
「そうですね。でも焦らずに...」
そういうと、いつものように しっかりと落ち着いた態度で
ワンちゃん!に近づき、世話をした。
はなは、猛のプロ意識と対応力に感服しきりだった。
そして、一方の猛はもまた、
はなのアニマルナースとしての
資質の高さに感心していた。
こうして二人三脚の賑やかな?!
毎日が始まった。
獣医師と動物看護師という違う
立場から、
動物への愛情を一心に捧げることになった。
「先生ー!わぁ~!
どうしましょう?イノシシが
脱走しちゃってぇ~、、、」
ときには大ゲンカも起きた。
動物たちのわがままで、
大変な目にも遭ったが、
猛とはなの手際の良さで、
フォローしあえた事で、
不思議なことに?
なんとかなった。
飼い主さんたちからは、
そんな二人の
無骨でありながらも
愛情深い姿に、
ついつい目がいってしまうのだ。
「この二人は、何か いいカップルだわ」
「二人ともすらっとしたスタイルで、ほんとお似合いよね?」
「動物からみても、きっと中がいいんでしょうね!」
ときどき、そんな声すら飛び交った。
猛には、動物への愛情とは違う?
はなへの 別な思いが、芽生えはじめていた。
一方のはなも、プロの獣医師ゆえの猛のたくましさに惹かれつつあった。
だが二人とも、お互いの気持ちに気づいていないふりをしているのだろう。
プロ意識が強すぎたのか?
互いに慎重になってしまっていたのだ。
そうこうするうちに、
またケンカが勃発!
今度はイヌの患者同士が喧嘩を
始めてしまい...
「おっと!落ち着いて落ち着いて、、、」
猛は、はなを庇いながら、強面のイヌたちをなだめていた。
その猛の行動に はなは、
釘付けになり、あらためて惹かれる気持ちが込み上げてくる。
猛もまた、はなとのこれまでの事を 思い返しながら、、、
少しずつ、
気づきはじめていた。
第七話
~ペットと飼い主の絆~
ドタバタの毎日を過ごす中で、
猛とはなの間には、愛の絆が芽生え始めていた。
それに、
飼い主さんたちからも、
「あの二人さ、きっとうまくいくんじゃない?」
有り難い事に、そう、、、
囁かれていた、、、。
そして、
猛とはなの出会いを祝し、
《ほっこり!ペットクリニック》には、
幸せの空気が満ちていた。
、、、
しかーし!
平和な日々も長くは続かなかった。
突然の出来事が
二人を巻き込むことになる!!
「先生ー!
大変です!」
ある日の朝、はなが慌てた様子で診療所に駆け込んできた。
「どうしたんだ?」
猛(たける)も危機感を抱いて
声を掛けた。
「あの、空き地に、
捨て猫がいるん
です!」
はなの言葉に、猛の表情が
一変した。
「まさか...また」
二人して空き地へと急いだ。
そこには6匹の子猫が今にも消えてしまいそうな、、、
弱々しい声で鳴いていた。
どうやら誰かに捨てられたらしい、、、。
「かわいそうに、、、」
はなは、哀れな光景に涙ぐんでいた。そして二人は、渾身の技術と看護を駆使して、必死な思いで
子猫たちの世話をした、、、。
それから数日は、
子猫たちの面倒をみることになった。
お察しの通り、
診療所は一時的な、
捨て猫の保護施設と化し、
仔猫たちは、徐々に元気を
取り戻していった。
「ミャーーー!」
「ミィーーー!」
「ミャーオー!」
「ニャオーーーン!」
「ガォーーー!!」
相変わらず、、、子猫たちに、、、
翻弄されながらも、二人は笑顔を忘れない。
「猛さん、この子は私が面倒をみます!」
「おう、頼もしいな!」
そんな愉快な光景に、
他の動物患者の飼い主
たちも、自然と加わっていった。
子猫たちの世話も、
大勢で手伝えば、
楽しくもなる。
ある日の事、
子猫たちが院内で、とんでもない大ケンカを始めた。
もみくちゃになった診療所で、
猛は、苦笑いを浮かべていた、、、。
そうこうするうちに、子猫たちは無事に 里親たちに、保護された。
しかし、そのうちの1匹の子猫の足の怪我には、まだ入院治療が
必要だった...。
「私がこの子の世話をします」
猛の言葉に、はなは頷いた。
そうして二人で力を合わせて、
引き続き、子猫を預かることになった。
そして、最後の1匹を除く子猫たちが新しい家族の元へと
旅立っていった。
飼い主さんたちはこの出来事を、ペットと人間との絆を確かめ合う良い機会だったと言ってくれた。
「動物を愛する気持ちは、人と人との絆にもなりますね。」
そう猛は言った。
はなもまた、小さく頷きながら
微笑んだ。
捨て猫騒動を経て、
猛とはなの関係は、ますます
深まっていった。
そして
新しい人生が、
二人を待ち
受けていた、、、。
第八話
~ 猛とはな電撃結婚~
捨て猫騒動の余韻が残る中、
猛(たける)とはなには新しい驚きが待っていた!
実はあの最後の1匹の子猫が、
あるご夫婦に、引き取られることに
なっていたのだ。
「すみません、お待たせしました」
玄関から子猫!を抱えた
年配の男性が入ってきた。
隣に立つのは奥さんらしき
品のある女性だ。
「あら猛さん、元気そうで良かったわ」
年配の女性が優しく微笑んだ。
「えっ!!」
はなは、驚いた様子で言うと、猛の方にちらりと振り向いた。
「ははは、そうかそうか。私たちは猛の親なんだよ!」
男性の言葉に、猛もはなも、目を丸くした!
実は彼らは、猛の両親だったのだ!
そして、子猫の引き取り手、、、でもある。
「猛から、話を聞いていましたか?」
「いいえ、とくに...
何も、、、」
はなは、戸惑いながらも 再び、猛を見た。
すぐに猛は頷き、すべてを説明し始めた。
「ごめん。まだ言ってなかったけど。実は僕には両親がいて。
でも、独立して獣医になる夢を諦められず、故郷を離れてしまった。
それで、、、疎遠になってしまったんだ」
猛の両親は、亡くなった先代、祖父から引き継いだ ペットクリニックを経営していたのだった。
「それで、、、はな子!!この子猫を一緒に育ててくれないかと思ってね。」
両親の言葉に、二人は驚いた。
「待ってください。それって、つまり、私たちに...」
「そうなの。私達もはやく孫の顔が見たいんだから。」
驚きの展開に、
猛とはなは、どうしてよいのか分からなくなった。
動物を通じて知り合い、両思いになり、そして結婚を望まれる事になるとは?!
なんという展開の速さに!
驚いたのも束の間だった。
「はなさん!これからも、ずっーーーーーーーーっと
、、、一緒にいて下さい!」
「、、、はい!」
二人は笑顔で顔を見合わせた。
猛の両親も喜びを隠しきれない
様子だった。
そしてその日を境に、
最後の捨て猫も猛の両親のもとで可愛がられることになる。
ペットと飼い主、
ペットクリニックとの絆がきっかけで、猛とはなの人生に
新しい幸せが訪れたのだった。
『ほっこりアニマルクリニック
日誌』~より~
~動物が繋いだ素敵なご縁~
たける&はな
~完~
0
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