24 / 643
島の東へ
しおりを挟む
俺は今、ヌーサンス島を南の港跡からぐるりと島の東に向かって探索している。崖下の湖と繋がっているであろう川か湖を発見する為だ。
探索の邪魔をし、襲い来るのは数々の魔物や野生動物たち。ベナ草がみっちり生えて、足元の視界が悪いのを良い事に、トカゲや角ウサギ、ヤギが草陰から襲い掛かってくる。
しかし俺には通用しない。大トカゲ戦以来、野生の勘を鍛えに鍛えまくったお陰で、俺は360度どこから攻撃を受けようと、対処出来るようになっていた。今後の課題はこの探知範囲をどこまで拡張していけるかだ。
何故なら、俺の探知範囲の外から、一気に急襲してくる輩がいるからだ。それは鳥。
鳥のスピードと言うものは馬鹿に出来ない。何でも、鷹の仲間であるハヤブサは獲物を狩る時、上空からの急降下により、時速四百キロ近く出すのだそうだ。この島の鳥がどれ程俺にとって脅威か、理解いただけただろうか? いや、流石に四百キロは出ていないだろうけど。
そして鳥は今日も上空から急襲を仕掛けてくる。
鳴きながら上空を旋回していたかと思ったら、あっという間に急降下して俺の前に現れる。正にハヤブサの如しだ。
俺だってやられてばっかりではない。鳴き声が聞こえたらすぐに臨戦態勢を取り、どこから鳥が襲ってこようと、大丈夫なように黒剣を構える。やられるより速く剣を打ち込む為だ。
しかし鳥は一瞬の内に俺の探知範囲に入ったかと思ったら、死角から一撃食らわせて戦線から華麗に離脱を繰り返し、俺を苦しめてくるのだ。これが一羽ならまだしも、三羽四羽と徒党を組んで時間差で攻撃してくるのでたちが悪い。
それでも俺のプレイヤースキルが向上したからだろう。四羽のうち、二羽までは返り討ちに出来るようになってきた。
「ムカつく。何が頭にくるって、あれで魔物じゃないってんだから、この世界の生き物はどうなってるんだ?」
『魔物なんてのは、生物の分類の一部でしかないからな』
「そうなの?」
『生物の中で、体内に魔石を有するようになったものを魔物と呼ぶのだ』
「有するようになった? まるでどの魔物も初めは魔物じゃなかったかのような口振りだな?」
『うむ。生物が魔物へと変貌するのは、食の好みや環境の変化など様々だが、初めから魔物として世に産み落とされた生物と言うものは、人工物以外にはおるまい』
成程。魔物にも色々あるんだねえ。まあ、それを知ったからって鳥の強さは変わらないんだけど。
『まあ、ハルアキの技量も上がってきている。ここらでレベルが上がれば、技量の分上乗せされて鳥にも対応出来るようになるだろう』
そう。俺がプレイヤースキルを磨いているのは、これが理由でもある。同レベル帯でどれだけプレイヤースキルを上げているかで、次のレベルにレベルアップした時の上乗せ分が違ってくるのだ。知ってたらもっとプレイヤースキル磨いてきてたのに。
だが考えてみれば当然だろう。俺たちの世界ではレベルアップはない。プレイヤースキルが全てだ。プレイヤースキルをどれだけ磨き、どれだけ向上させていけるか、の世界なのだ。
そして、もし俺たちの世界にレベルアップの仕組みが導入されたら? プレイヤースキルを磨いてきた者と、そうでなかった者が、等しくレベルアップするのは、俺から見ても不条理である。
なのでこの世界でのレベルアップには、プレイヤースキル、技量の向上、努力の結果による上乗せが発生する仕組みだ。良い仕組みだと思う。神様グッジョブ。
東の山のたもとには小さな滝があった。着地点は滝壺になっていて、そこから東の海へ小川が流れている。
滝を見上げて、ああ成程。と俺は得心した。この滝、恐らく山の中腹にある村の水路と繋がっている。
山頂の湖から水路で中腹の村を通った水は、ここの滝へと流れ落ちていたのだ。そしてこの滝の滝壺が、崖下の湖と地下で繋がっているのだ。
何故分かるのかって? だって滝壺の周り、カエルだらけだからな。え? 何これ? 大量発生? 百匹以上なんて言葉が生易しい。
『この量のカエルは初めて見るな』
マジかー。
襲って来るカエルたちを、俺は黒剣でぶった斬って回った。黒い刃の波動でもって、数匹を一度にぶった斬る。一度に十匹以上が襲い掛かり、それを横に一閃するのだ。
それでも止まらない怒涛のカエル攻勢。俺に覆い被さり、引っ掻き噛み付いてくる。
「どぅああああッ!!」
カエルが近過ぎて剣なんて振るっていられない。俺はアニンをグローブに変化させ、殴る。殴る。殴る。蹴りも加えて格闘戦だ。
飛びかかってくるカエルを殴り、引っ掴まったカエルを引き剥がして地面に叩き付ける。足に噛み付いた奴はそのまま蹴り上げてやった。格闘戦は格好付け過ぎだった。ただ暴れただけだ。
気付けば動くカエルの姿は見えず、辺りを埋め尽くすカエルの死屍累々。小川はカエルの血で赤く染まり、小川に落ちたカエルを、魚たちが我先に貪り食っていた。
そして俺は、こんなアホみたいなカエルたちとの血闘によって、レベルを上げたのだった。
探索の邪魔をし、襲い来るのは数々の魔物や野生動物たち。ベナ草がみっちり生えて、足元の視界が悪いのを良い事に、トカゲや角ウサギ、ヤギが草陰から襲い掛かってくる。
しかし俺には通用しない。大トカゲ戦以来、野生の勘を鍛えに鍛えまくったお陰で、俺は360度どこから攻撃を受けようと、対処出来るようになっていた。今後の課題はこの探知範囲をどこまで拡張していけるかだ。
何故なら、俺の探知範囲の外から、一気に急襲してくる輩がいるからだ。それは鳥。
鳥のスピードと言うものは馬鹿に出来ない。何でも、鷹の仲間であるハヤブサは獲物を狩る時、上空からの急降下により、時速四百キロ近く出すのだそうだ。この島の鳥がどれ程俺にとって脅威か、理解いただけただろうか? いや、流石に四百キロは出ていないだろうけど。
そして鳥は今日も上空から急襲を仕掛けてくる。
鳴きながら上空を旋回していたかと思ったら、あっという間に急降下して俺の前に現れる。正にハヤブサの如しだ。
俺だってやられてばっかりではない。鳴き声が聞こえたらすぐに臨戦態勢を取り、どこから鳥が襲ってこようと、大丈夫なように黒剣を構える。やられるより速く剣を打ち込む為だ。
しかし鳥は一瞬の内に俺の探知範囲に入ったかと思ったら、死角から一撃食らわせて戦線から華麗に離脱を繰り返し、俺を苦しめてくるのだ。これが一羽ならまだしも、三羽四羽と徒党を組んで時間差で攻撃してくるのでたちが悪い。
それでも俺のプレイヤースキルが向上したからだろう。四羽のうち、二羽までは返り討ちに出来るようになってきた。
「ムカつく。何が頭にくるって、あれで魔物じゃないってんだから、この世界の生き物はどうなってるんだ?」
『魔物なんてのは、生物の分類の一部でしかないからな』
「そうなの?」
『生物の中で、体内に魔石を有するようになったものを魔物と呼ぶのだ』
「有するようになった? まるでどの魔物も初めは魔物じゃなかったかのような口振りだな?」
『うむ。生物が魔物へと変貌するのは、食の好みや環境の変化など様々だが、初めから魔物として世に産み落とされた生物と言うものは、人工物以外にはおるまい』
成程。魔物にも色々あるんだねえ。まあ、それを知ったからって鳥の強さは変わらないんだけど。
『まあ、ハルアキの技量も上がってきている。ここらでレベルが上がれば、技量の分上乗せされて鳥にも対応出来るようになるだろう』
そう。俺がプレイヤースキルを磨いているのは、これが理由でもある。同レベル帯でどれだけプレイヤースキルを上げているかで、次のレベルにレベルアップした時の上乗せ分が違ってくるのだ。知ってたらもっとプレイヤースキル磨いてきてたのに。
だが考えてみれば当然だろう。俺たちの世界ではレベルアップはない。プレイヤースキルが全てだ。プレイヤースキルをどれだけ磨き、どれだけ向上させていけるか、の世界なのだ。
そして、もし俺たちの世界にレベルアップの仕組みが導入されたら? プレイヤースキルを磨いてきた者と、そうでなかった者が、等しくレベルアップするのは、俺から見ても不条理である。
なのでこの世界でのレベルアップには、プレイヤースキル、技量の向上、努力の結果による上乗せが発生する仕組みだ。良い仕組みだと思う。神様グッジョブ。
東の山のたもとには小さな滝があった。着地点は滝壺になっていて、そこから東の海へ小川が流れている。
滝を見上げて、ああ成程。と俺は得心した。この滝、恐らく山の中腹にある村の水路と繋がっている。
山頂の湖から水路で中腹の村を通った水は、ここの滝へと流れ落ちていたのだ。そしてこの滝の滝壺が、崖下の湖と地下で繋がっているのだ。
何故分かるのかって? だって滝壺の周り、カエルだらけだからな。え? 何これ? 大量発生? 百匹以上なんて言葉が生易しい。
『この量のカエルは初めて見るな』
マジかー。
襲って来るカエルたちを、俺は黒剣でぶった斬って回った。黒い刃の波動でもって、数匹を一度にぶった斬る。一度に十匹以上が襲い掛かり、それを横に一閃するのだ。
それでも止まらない怒涛のカエル攻勢。俺に覆い被さり、引っ掻き噛み付いてくる。
「どぅああああッ!!」
カエルが近過ぎて剣なんて振るっていられない。俺はアニンをグローブに変化させ、殴る。殴る。殴る。蹴りも加えて格闘戦だ。
飛びかかってくるカエルを殴り、引っ掴まったカエルを引き剥がして地面に叩き付ける。足に噛み付いた奴はそのまま蹴り上げてやった。格闘戦は格好付け過ぎだった。ただ暴れただけだ。
気付けば動くカエルの姿は見えず、辺りを埋め尽くすカエルの死屍累々。小川はカエルの血で赤く染まり、小川に落ちたカエルを、魚たちが我先に貪り食っていた。
そして俺は、こんなアホみたいなカエルたちとの血闘によって、レベルを上げたのだった。
30
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる