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向こう三軒両隣り(違う)
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「はい」
ミウラさんとアネカネが自己紹介した直後に、俺は先生に質問する為に手を上げた。
「何か?」
露骨に面倒臭そうな顔をする先生の心情は無視して、俺は口を開いた。
「何故、ウチのクラスなんですか? しかも二人」
二年生には祖父江妹の百香もいる。ウチのクラスで二人預かる意味が分からない。
「はあ~~。それはウチのクラスに話題のクドウ商会でバイトしている工藤と前田と言う、オルドランド語が話せる人間が二人いるからだよ」
と先生は面倒臭そうにそうこぼした。前田はタカシの名字である。
「向こうとしても初めての環境だからな。なるべく一人にはさせたくなかったようだし、こちらとしても二人別々にするのは心配が増えるから同じクラスにした。と言う訳だ」
理解は出来たけど、何故それを俺だけを見詰めながら話すのだろう? ミウラさんもアネカネも俺の方を見ているし。って言うかタカシの方を見もしない。
「と言う訳で、二人の席は工藤の両隣りだから。工藤よろしく」
「ちょっと!? 俺の立場は!?」
先生の直命にタカシが意見を申し立てる。
「それはない」
とクラスの全員がタカシの意見を否定した。
「前田の横の席になんてしてみろ、どんな問題が起こるか分かったもんじゃない」
「いやいや、流石に俺だって異世界からのお客様相手に、何かしようとなんて考えませんって!」
先生の意見を否定するタカシだったが、クラスの全員がそんなタカシを半眼で見ていた。
「いや、何かする気はないけど、どうなるかは分からないじゃん?」
タカシの発言に全員が嘆息していた。
「はい。じゃあクラスの意見も一致したと言う事で、二人とも、そこの工藤の横の席に着いて貰えるかな?」
「はい」
「分かりました」
首肯した二人が机の間を通って俺の横に座る。ミウラさんが俺の左隣りで、アネカネが右隣りだ。今更だが皆の注目度が凄いな。皆先生の方を見なよ。
「よろしくお願いします」
「よろしく」
ミウラさんとアネカネが両隣りからあいさつしてきた。
「はあ。よろしく」
嘆息した後に俺はオルドランド語でアネカネに尋ねる。
「まさかこんなに早く再会する事になるとは思わなかったよ。どんな手を使ったんだ?」
「ええ? そんなに私に会いたかったの?」
半眼になる俺の視線はアネカネにスルーされた。
「諦めないって言ったでしょう? と言いたいところだけど、私はミウラの護衛よ」
「護衛?」
「オルドランド側からの依頼でね。ミウラがこっちの学校に通う事になるから、エルルランドから学友兼護衛が出来る人間は出せないか? って頼まれたのよ」
「何だそれ? 普通にオルドランドから二人なり三人なり通わせれば良いだろう?」
「オルドランドなりの気遣いよ。あんまり護衛を付けると、日本を信用していないみたいになるでしょう? その点、私なら一人で済むからね」
まあ、事情は理解出来たが、
「何故、アネカネ? アネカネは魔女島の魔女だろ? エルルランドと何の関係もない」
「そこはそれ。オラコラ姉のゴリ押しよ」
「ゴリ押しって」
「ほら、今エルルランドって、上位の探求者がいなくなっちゃっているからさあ」
ああ、ウルドゥラに殺されちゃったからな。
「母さんも今はエルルランドに滞在してるのよ」
ふ~ん。つまりはそこら辺の関係でアネカネが出張ってきたのか。エルルランドとしては、国内の武力を国外に放出するのは避けたかっただろうしな。それにエルルランドとして、こうやってアネカネを出す事で、オルドランドに貸しを作れる訳だ。しかし時期が悪過ぎる。せめて春に転校してきてくれれば、俺も相手するのが楽だったのだが。
「申し訳ありません」
俺が片肘突いて嘆息したところで、ミウラさんに謝られてしまった。その事にびっくりして俺がミウラさんを見遣ると、彼女は申し訳なさそうな顔をしている。
「父から聞いています。今、会談が凄い事になっていると。忙しい時の転校になってしまい、申し訳ありません」
頭を下げるミウラさんに、こちらの方がかしこまってしまう。
「いえ、気にしないでください。忙しいのも数日で終わるでしょうから」
「そんなに早く終わるの?」
アネカネが尋ねてきた。
「パジャンの天が凄い人でな。あの人が前に出てきたから、強引にでも事態が進展すると思う」
「へえ。パジャンの天ってそんなに凄いんだ。ネットでパジャン参入って話題になっていたけど。やっぱり強引なんだ」
「マジでッ!?」
アネカネの言葉に、俺は思わず大声で反応してしまった。俺の声にクラスの視線が一斉に俺に集中する。それを俺は笑って誤魔化す。
しかし驚きだ。アネカネがネットを使える事がじゃない。それにも驚きだが、既にパジャンが会談に参入した事が、ネットでニュースになっている事がである。嘘だろ? 昨日の今日だぞ? しかもトップ会談じゃなく、その前段階の打ち合わせだ。
俺はスマホを取り出すと、周りに気取られないようにネットニュースを漁った。
確かに載っている。Future World Newsと言うサイトが、いち早くパジャンについて取り扱っていた。モーハルドの事にも触れていた。
「Future World News?」
「どうかしたの?」
俺の言葉に両隣りの二人が首を傾げる。
「いや、確かここのサイトって……」
俺は曖昧な返事をしながら、サイトのニュースを遡っていく。
「やっぱりそうだ。このサイト、エルルランドの参入もすっぱ抜いている」
「へえ? 何かありそうね」
そう言いながらアネカネが俺のスマホを覗き込んでくる。いや、近いよ。
「何かあるんですか?」
とミウラさんまで覗き込んでくる。だから近いって。
「何やっている」
そこで先生に指摘され、またもや皆の視線を集めてしまった。ちょっと皆から怒りのオーラを感じる。
「す、すみませ~ん」
言いながら、俺はそっとスマホを仕舞うのだった。
ミウラさんとアネカネが自己紹介した直後に、俺は先生に質問する為に手を上げた。
「何か?」
露骨に面倒臭そうな顔をする先生の心情は無視して、俺は口を開いた。
「何故、ウチのクラスなんですか? しかも二人」
二年生には祖父江妹の百香もいる。ウチのクラスで二人預かる意味が分からない。
「はあ~~。それはウチのクラスに話題のクドウ商会でバイトしている工藤と前田と言う、オルドランド語が話せる人間が二人いるからだよ」
と先生は面倒臭そうにそうこぼした。前田はタカシの名字である。
「向こうとしても初めての環境だからな。なるべく一人にはさせたくなかったようだし、こちらとしても二人別々にするのは心配が増えるから同じクラスにした。と言う訳だ」
理解は出来たけど、何故それを俺だけを見詰めながら話すのだろう? ミウラさんもアネカネも俺の方を見ているし。って言うかタカシの方を見もしない。
「と言う訳で、二人の席は工藤の両隣りだから。工藤よろしく」
「ちょっと!? 俺の立場は!?」
先生の直命にタカシが意見を申し立てる。
「それはない」
とクラスの全員がタカシの意見を否定した。
「前田の横の席になんてしてみろ、どんな問題が起こるか分かったもんじゃない」
「いやいや、流石に俺だって異世界からのお客様相手に、何かしようとなんて考えませんって!」
先生の意見を否定するタカシだったが、クラスの全員がそんなタカシを半眼で見ていた。
「いや、何かする気はないけど、どうなるかは分からないじゃん?」
タカシの発言に全員が嘆息していた。
「はい。じゃあクラスの意見も一致したと言う事で、二人とも、そこの工藤の横の席に着いて貰えるかな?」
「はい」
「分かりました」
首肯した二人が机の間を通って俺の横に座る。ミウラさんが俺の左隣りで、アネカネが右隣りだ。今更だが皆の注目度が凄いな。皆先生の方を見なよ。
「よろしくお願いします」
「よろしく」
ミウラさんとアネカネが両隣りからあいさつしてきた。
「はあ。よろしく」
嘆息した後に俺はオルドランド語でアネカネに尋ねる。
「まさかこんなに早く再会する事になるとは思わなかったよ。どんな手を使ったんだ?」
「ええ? そんなに私に会いたかったの?」
半眼になる俺の視線はアネカネにスルーされた。
「諦めないって言ったでしょう? と言いたいところだけど、私はミウラの護衛よ」
「護衛?」
「オルドランド側からの依頼でね。ミウラがこっちの学校に通う事になるから、エルルランドから学友兼護衛が出来る人間は出せないか? って頼まれたのよ」
「何だそれ? 普通にオルドランドから二人なり三人なり通わせれば良いだろう?」
「オルドランドなりの気遣いよ。あんまり護衛を付けると、日本を信用していないみたいになるでしょう? その点、私なら一人で済むからね」
まあ、事情は理解出来たが、
「何故、アネカネ? アネカネは魔女島の魔女だろ? エルルランドと何の関係もない」
「そこはそれ。オラコラ姉のゴリ押しよ」
「ゴリ押しって」
「ほら、今エルルランドって、上位の探求者がいなくなっちゃっているからさあ」
ああ、ウルドゥラに殺されちゃったからな。
「母さんも今はエルルランドに滞在してるのよ」
ふ~ん。つまりはそこら辺の関係でアネカネが出張ってきたのか。エルルランドとしては、国内の武力を国外に放出するのは避けたかっただろうしな。それにエルルランドとして、こうやってアネカネを出す事で、オルドランドに貸しを作れる訳だ。しかし時期が悪過ぎる。せめて春に転校してきてくれれば、俺も相手するのが楽だったのだが。
「申し訳ありません」
俺が片肘突いて嘆息したところで、ミウラさんに謝られてしまった。その事にびっくりして俺がミウラさんを見遣ると、彼女は申し訳なさそうな顔をしている。
「父から聞いています。今、会談が凄い事になっていると。忙しい時の転校になってしまい、申し訳ありません」
頭を下げるミウラさんに、こちらの方がかしこまってしまう。
「いえ、気にしないでください。忙しいのも数日で終わるでしょうから」
「そんなに早く終わるの?」
アネカネが尋ねてきた。
「パジャンの天が凄い人でな。あの人が前に出てきたから、強引にでも事態が進展すると思う」
「へえ。パジャンの天ってそんなに凄いんだ。ネットでパジャン参入って話題になっていたけど。やっぱり強引なんだ」
「マジでッ!?」
アネカネの言葉に、俺は思わず大声で反応してしまった。俺の声にクラスの視線が一斉に俺に集中する。それを俺は笑って誤魔化す。
しかし驚きだ。アネカネがネットを使える事がじゃない。それにも驚きだが、既にパジャンが会談に参入した事が、ネットでニュースになっている事がである。嘘だろ? 昨日の今日だぞ? しかもトップ会談じゃなく、その前段階の打ち合わせだ。
俺はスマホを取り出すと、周りに気取られないようにネットニュースを漁った。
確かに載っている。Future World Newsと言うサイトが、いち早くパジャンについて取り扱っていた。モーハルドの事にも触れていた。
「Future World News?」
「どうかしたの?」
俺の言葉に両隣りの二人が首を傾げる。
「いや、確かここのサイトって……」
俺は曖昧な返事をしながら、サイトのニュースを遡っていく。
「やっぱりそうだ。このサイト、エルルランドの参入もすっぱ抜いている」
「へえ? 何かありそうね」
そう言いながらアネカネが俺のスマホを覗き込んでくる。いや、近いよ。
「何かあるんですか?」
とミウラさんまで覗き込んでくる。だから近いって。
「何やっている」
そこで先生に指摘され、またもや皆の視線を集めてしまった。ちょっと皆から怒りのオーラを感じる。
「す、すみませ~ん」
言いながら、俺はそっとスマホを仕舞うのだった。
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