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回収と捜索
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「はあ……」
コルト王家の宮殿。その応接室でだらりと一休み。俺も神経が図太くなってきたものだ。俺たちが一休みしている間に、コルト王家には他のビチューレ王家に連絡して貰って、金器に入っていたウサギの回収か、それが出来ないなら、黄金の毛皮を持った角ウサギに心当たりがないか尋ねて貰っている。
「武田さん、何だったんです? あの骸骨騎士。知り合いみたいでしたけど?」
一息吐いて落ち着いた所で、俺は武田さんに聞いてみた。
「ベイビードゥか。アルティニン廟の中にいる門番の一体だよ。どうやらあいつの能力は空間認知を曲げるようでな。お陰で俺の『空織』も狂わされるんだ」
それでか。『空織』を持つ武田さんがいるのに、俺たちが急襲されるなんておかしいと思ったんだよ。あれだけ近くにあんな軍勢がいれば、気付いてくれていたはずだ。
「でも、倒した。みたいな事を言っていたけど?」
とミカリー卿が聞くと、
「はずなんだが。生きていたみたいだ? いや、骸骨なんだから元から死んでいるのか?」
首を捻る武田さん。混乱しているなあ。まあ、倒しはしたのだろう。当時は聖職者のストーノ教皇もいただろうし、死霊系には強かったはずだ。ん? アンゲルスタでの戦いで、魂はすぐに天に還るみたいな話を聞いたから、怨霊が取り憑いて骸骨騎士を操っている訳じゃあないんだよな?
「あの骸骨騎士は、アルティニン廟のギミックなんでしょうね」
バヨネッタさんがお茶を手に語る。
「ギミック、ですか?」
「ペッグ回廊のヤマタノオロチと同じようなものよ」
ああ、成程。確か俺たちが倒したヤマタノオロチは、十年周期で復活する。みたいな事をシンヤが言っていたなあ。
「あいつがダンジョンのギミックだと言うなら納得だな。そりゃあ復活する訳だ」
武田さんが椅子の背もたれに身体を預けて天井を見上げる。色々前世の記憶を思い出しているのだろう。
「ベイビードゥ以外にも、ボスに相当する魔物はいるんですよね?」
「いる」
天井を見上げたまま、武田さんは応えた。
「五体いる」
五体か。シンヤたちが攻略しようとしているペッグ回廊は地下百階まであり、十体のボスがいるそうだから、それよりはマシなのか?
「ベイビードゥはその五体の中でどれくらい強いんですか? まさか一番弱いとか言わないですよね?」
「それはない」
良かった。
「下から二番目だ」
マジかー。引き連れていた軍勢もレベル四十オーバーだったし、これは本当にキツいな。
「バヨネッタさん。ここは全員レベル五十を超えてから、挑戦した方が良いのでは?」
「どこでレベル上げをするの?」
それはそうなんだよなあ。弱い魔物をちまちま倒してレベル上げをするなら、リスク覚悟でアルティニン廟に挑戦した方が、レベルアップは早い。それに上限解放の為のエリクサーは、ゼラン仙者から貰っている。
「はあ。でもそれも、竜の口を閉じさせる方法が確立してからですよ」
「金器のウサギは貸してくれるだろう」
とミカリー卿は答える。
「ですかね?」
「でなければ、竜の口が開きっぱなしになってしまうからね」
そうか。金器のウサギがなければ、ビチューレ小国家群がとんでもない災禍に見舞われるんだから、貸してくれるか。
「それより問題になるのは、金器のウサギ肉を全て集めても、竜の口を完全に閉じさせる事が出来ない場合だよ。金器のウサギをバラバラにした事で、ウサギの効果が弱まっている可能性は低くないと見積もるべきだろう」
「はあ……」
全員の口から嘆息が漏れる。そうだよなあ。それを考えると、新たに金毛の角ウサギを見付けるのが確実か。
皆が今後を考えて沈黙するところへ、コルト王国のチーク王が入ってきた。
「皆様、よろしいでしょうか?」
本当に、この王様は腰が低い。
「どうぞ」
「各王家に連絡したところ、あくまでも一時的に貸し出す。と言う条件でなら、ウサギ肉を貸し出すそうです。流石にレベル四十を超える魔物が国内に放たれるのは、どの王家も避けたいようで」
「ありがとうございます」
これで当面は、アルティニン廟の魔物を封じ込める算段はついたな。
「それと、金毛の角ウサギの件なのですが……」
ああ、そっか。そっちも尋ねて貰っていたんだっけ。
「イデー王家より更に東、オルドランドとビチューレ小国家群を隔てるハーンシネア山脈に、そのような角ウサギの噂があると」
「本当ですか!?」
その噂の方がこちらは助かる。
「はい。ハーンシネア山脈で暮らす、オヨボ族の伝承にそのようなものがあると、イデー王家より言付かっております」
「伝承レベル、ですか?」
「ええ。何せ、その角ウサギが近くに来た兆しだけで、魔物も野獣も家畜も逃げ出すとの話で、その角ウサギを見た。と言う者はおらぬそうです」
それはそうなるか。でも、
「でも、そうなるとおかしな話ね。誰も見た事がないのに、何で金毛の角ウサギだと言う伝承が残っているの?」
と俺が思った事をバヨネッタさんが言ってくれた。
「はい。何でもアリクサンダル大王の治世に、アリクサンダル大王自らが、ハーンシネア山脈で狩猟を行い、その際に金毛の角ウサギを狩ったとの伝承だそうです」
チーク王の言葉に俺たちは顔を見合わせた。成程。色々な伝承、逸話が繋がってくる。
「では、金器の角ウサギはチーク王にお任せして、俺たちはハーンシネア山脈に行ってみますか」
これに反論する人はいなかった。
コルト王家の宮殿。その応接室でだらりと一休み。俺も神経が図太くなってきたものだ。俺たちが一休みしている間に、コルト王家には他のビチューレ王家に連絡して貰って、金器に入っていたウサギの回収か、それが出来ないなら、黄金の毛皮を持った角ウサギに心当たりがないか尋ねて貰っている。
「武田さん、何だったんです? あの骸骨騎士。知り合いみたいでしたけど?」
一息吐いて落ち着いた所で、俺は武田さんに聞いてみた。
「ベイビードゥか。アルティニン廟の中にいる門番の一体だよ。どうやらあいつの能力は空間認知を曲げるようでな。お陰で俺の『空織』も狂わされるんだ」
それでか。『空織』を持つ武田さんがいるのに、俺たちが急襲されるなんておかしいと思ったんだよ。あれだけ近くにあんな軍勢がいれば、気付いてくれていたはずだ。
「でも、倒した。みたいな事を言っていたけど?」
とミカリー卿が聞くと、
「はずなんだが。生きていたみたいだ? いや、骸骨なんだから元から死んでいるのか?」
首を捻る武田さん。混乱しているなあ。まあ、倒しはしたのだろう。当時は聖職者のストーノ教皇もいただろうし、死霊系には強かったはずだ。ん? アンゲルスタでの戦いで、魂はすぐに天に還るみたいな話を聞いたから、怨霊が取り憑いて骸骨騎士を操っている訳じゃあないんだよな?
「あの骸骨騎士は、アルティニン廟のギミックなんでしょうね」
バヨネッタさんがお茶を手に語る。
「ギミック、ですか?」
「ペッグ回廊のヤマタノオロチと同じようなものよ」
ああ、成程。確か俺たちが倒したヤマタノオロチは、十年周期で復活する。みたいな事をシンヤが言っていたなあ。
「あいつがダンジョンのギミックだと言うなら納得だな。そりゃあ復活する訳だ」
武田さんが椅子の背もたれに身体を預けて天井を見上げる。色々前世の記憶を思い出しているのだろう。
「ベイビードゥ以外にも、ボスに相当する魔物はいるんですよね?」
「いる」
天井を見上げたまま、武田さんは応えた。
「五体いる」
五体か。シンヤたちが攻略しようとしているペッグ回廊は地下百階まであり、十体のボスがいるそうだから、それよりはマシなのか?
「ベイビードゥはその五体の中でどれくらい強いんですか? まさか一番弱いとか言わないですよね?」
「それはない」
良かった。
「下から二番目だ」
マジかー。引き連れていた軍勢もレベル四十オーバーだったし、これは本当にキツいな。
「バヨネッタさん。ここは全員レベル五十を超えてから、挑戦した方が良いのでは?」
「どこでレベル上げをするの?」
それはそうなんだよなあ。弱い魔物をちまちま倒してレベル上げをするなら、リスク覚悟でアルティニン廟に挑戦した方が、レベルアップは早い。それに上限解放の為のエリクサーは、ゼラン仙者から貰っている。
「はあ。でもそれも、竜の口を閉じさせる方法が確立してからですよ」
「金器のウサギは貸してくれるだろう」
とミカリー卿は答える。
「ですかね?」
「でなければ、竜の口が開きっぱなしになってしまうからね」
そうか。金器のウサギがなければ、ビチューレ小国家群がとんでもない災禍に見舞われるんだから、貸してくれるか。
「それより問題になるのは、金器のウサギ肉を全て集めても、竜の口を完全に閉じさせる事が出来ない場合だよ。金器のウサギをバラバラにした事で、ウサギの効果が弱まっている可能性は低くないと見積もるべきだろう」
「はあ……」
全員の口から嘆息が漏れる。そうだよなあ。それを考えると、新たに金毛の角ウサギを見付けるのが確実か。
皆が今後を考えて沈黙するところへ、コルト王国のチーク王が入ってきた。
「皆様、よろしいでしょうか?」
本当に、この王様は腰が低い。
「どうぞ」
「各王家に連絡したところ、あくまでも一時的に貸し出す。と言う条件でなら、ウサギ肉を貸し出すそうです。流石にレベル四十を超える魔物が国内に放たれるのは、どの王家も避けたいようで」
「ありがとうございます」
これで当面は、アルティニン廟の魔物を封じ込める算段はついたな。
「それと、金毛の角ウサギの件なのですが……」
ああ、そっか。そっちも尋ねて貰っていたんだっけ。
「イデー王家より更に東、オルドランドとビチューレ小国家群を隔てるハーンシネア山脈に、そのような角ウサギの噂があると」
「本当ですか!?」
その噂の方がこちらは助かる。
「はい。ハーンシネア山脈で暮らす、オヨボ族の伝承にそのようなものがあると、イデー王家より言付かっております」
「伝承レベル、ですか?」
「ええ。何せ、その角ウサギが近くに来た兆しだけで、魔物も野獣も家畜も逃げ出すとの話で、その角ウサギを見た。と言う者はおらぬそうです」
それはそうなるか。でも、
「でも、そうなるとおかしな話ね。誰も見た事がないのに、何で金毛の角ウサギだと言う伝承が残っているの?」
と俺が思った事をバヨネッタさんが言ってくれた。
「はい。何でもアリクサンダル大王の治世に、アリクサンダル大王自らが、ハーンシネア山脈で狩猟を行い、その際に金毛の角ウサギを狩ったとの伝承だそうです」
チーク王の言葉に俺たちは顔を見合わせた。成程。色々な伝承、逸話が繋がってくる。
「では、金器の角ウサギはチーク王にお任せして、俺たちはハーンシネア山脈に行ってみますか」
これに反論する人はいなかった。
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