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愚痴る
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巨樹のダンジョンを上へ上へと上っていく程に、根が少なくなり、次第に枝だけが張り巡らされるようになっていく。とは言え出てくる魔物は木の人形のパーティがほとんどで、たまに芋虫のような幼虫系の魔物が、壁を食い破って出てくるくらいだ。成程。このエキストラフィールドのダンジョンとしては一番簡単だと言われるのも頷ける。
しかし木の人形のパーティは上階に上がっていく程にその種類を増やし、特に中衛を担う魔法使いや物理職系は、使ってくる魔法の種類も増えれば、階を増すごとに強力になっていき、物理職も剣士や槍士に加え、弓士や斧士など様々出てくる。しかもどいつもこいつも硬いのだ。アニンを拳銃にして距離を取っても、その装甲に弾かれてしまう。ガトリングやミニガンにしてはLPの消費が激しくなってしまうので、結局はアニンを曲剣にして斬り伏せていくのが、このダンジョンを攻略するうえでは低燃費だと言う結論に至った。
ザンッ!
本日何体目かも分からない剣士の木の人形を斬って倒した。
「行くわよ」
「ちょ、バヨネッタさん、ちょっと休憩挟みませんか?」
これまた本日何度目かの俺の泣き言に、バヨネッタさんが、またか。と嘆息する。
「ハルアキ、あなたが強くなりたいと言うから連れてきたのよ?」
「そうですけど、物理職系全部を俺が相手させられる事になるとは思わないじゃないですか」
これも強くなる為と、タンク以外の物理職系は全て俺が受け持つ事に、いつの間にやらなっていた。いや、バヨネッタさんたちは最初からそのつもりだったのかも知れないけど、説明を受けていない俺からしたら、たまったものじゃない。
「仲間の後ろに付いて行って、経験値だけ欲しいと?」
呆れ顔のバヨネッタさん。そりゃあ、俺だって姫プしたい訳じゃない。今後の戦いの事を考えて、純粋に強くなりたくもある。が、敵が強いのも確かなのだ。ちょっとは手伝って欲しいのも本心だ。
「まあまあ、ここを抜ければ最後のセーフティゾーンだ。そこで一休みしよう」
俺とバヨネッタさんの仲がギスギスしだしたのを感じ取って、ミカリー卿が仲裁に入ってくれ、バヨネッタさんが、仕方ない。と通路を進み出す。はあ。次が最後のセーフティゾーンって事は、
「そのセーフティゾーンの先はボス部屋ですか?」
三人の後を付いて行く俺の言、ミカリー卿が振り返って頷いてくれた。これは休憩出来るからと言って、気が抜けないな。
突き当たりに扉のあるドーム状のセーフティゾーンに着いた俺は、床に座り込むと、『有頂天』をMP偏重で解除して、ポーションでHPを回復させる。スキルに魔力回復系を持っていると言っても、マナポーションがないのだから、どうしても『有頂天』を解除する時はMP偏重になってしまう。ポーションは結構な数があるし、安全地帯の町でも買えるからね。
「どう? もう行ける?」
ポーションを飲み干して一息吐いたばかりの俺に、間髪入れずにそんな事を言ってくるバヨネッタさん。早いよ。と思わず半眼になっているのが自分でも分かる。
「ハルアキ、諦めて覚悟を決めろ」
とデムレイさんがオレを諭しにくる。諦めろって、この後に控えているボスって、そんなに強いのか?
「バヨネッタからしたら、もうここは既知のダンジョンだからな。何なら周回するつもりで来ているはずだ」
「え?」
デムレイさんの思わぬ発言に、バヨネッタさんを見遣れば、何がそんなに不思議なの? と言わんばかりのキョトンとした顔をしていた。
「ダイザーロくんもカッテナくんも、周回させられていたからねえ。今回もそのつもりのはずだよ」
とミカリー卿。
「文句言っていたのはタケダだけだな。あまりにわがまま言うから、途中でダンジョン脱出の使い捨て魔導具で引き返す羽目になったぞ」
とデムレイさん。容易に想像がつくな。武田さんは言わずもがな。ダイザーロくんやカッテナさんにしても、立場的にこの三人に文句が言えなかったのだろう。
もう一度バヨネッタさんを見遣れば、今すぐにでも扉の向こうに行こうと気が急いているのが見て取れた。これは本当に周回するつもりだな。
「ああああ! もう! 分かりましたよ! 周回するって言うなら、サクッとボスを倒してしまいましょう!」
覚悟を決めた俺は、自身を鼓舞する意味も含めて、大声を張り上げると、勢いを付けて立ち上がる。
「そうそう。初めからそのくらいの意気込みで挑めば、私だってとやかく言わなかったわよ」
そうですか。と心の内でぼやきながら、改めてボス部屋に行く前に、ここまで来るのに手に入れたアイテム類を確認する。デムレイさんも言っていたダンジョン脱出用の魔導具に、攻撃魔法系の魔導具など、使い捨ての魔導具類が多い。どれもカードタイプだ。それにここが巨樹のダンジョンだからだろうか? 火炎系の攻撃魔法の魔導具が多いな。
「ハルアキ?」
「はい。行きます」
俺は気合いを込めて再び『有頂天』状態に入る。それと同時にバヨネッタさんがボス部屋とセーフティゾーンを隔てる扉を開く。すぐボス部屋かと思ったら、上へと上る階段だった。
階段を上った俺たちを待ち受けていたのは、外が見える開けた広い、恐らくワンフロアは丸々ある空間で、太い柱で支えられたその空間の高い天井からは、幾本もの枝が垂れ下がり、床にも枝が張り巡らされて、移動し辛いのが一目瞭然。そんな空間の中央に鎮座していたのは、艶光りする黒茶の甲殻に身を包み、二つの尖った大顎がガシガシと軋みながら口の前で交差する、体長五メートルはある昆虫の両雄の片割れ。
「クワガタか」
ここまで木の人形との連戦だったので、てっきりボスも木の人形系統なのかと想像していたが、当てが外れたな。しかしそれはバヨネッタさんたちも同じだったらしい。ここまでスムーズに戦闘をこなしてきたバヨネッタさんたち三人から、緊張感が伝わってくる。
「今回はハズレを引いたわね」
「ハズレ、ですか?」
俺の投げ掛けに三人が首肯で返してきた。
「普通ならここのボスはカブトなのよ。でも低確率でクワガタが出てくるの。カブトよりも強いくせに、貰える経験値はカブトと同等と言う、全くもってハズレのボスよ」
ああ、それはハズレだな。特に周回したいバヨネッタさんからしたら、戦闘時間を多く取られるだろう分、余計にハズレだろう。でも……、
「来るぞ!」
俺が思考を巡らそうとした瞬間、デムレイさんの声で思考が中断される。なんだかんだ考えるのは、このボスの巨大クワガタを倒してからだ。俺がボス部屋中央の巨大クワガタに視線を向けると、奴は翅を広げて宙に浮きあがり、こちらへと突進してきた。
しかし木の人形のパーティは上階に上がっていく程にその種類を増やし、特に中衛を担う魔法使いや物理職系は、使ってくる魔法の種類も増えれば、階を増すごとに強力になっていき、物理職も剣士や槍士に加え、弓士や斧士など様々出てくる。しかもどいつもこいつも硬いのだ。アニンを拳銃にして距離を取っても、その装甲に弾かれてしまう。ガトリングやミニガンにしてはLPの消費が激しくなってしまうので、結局はアニンを曲剣にして斬り伏せていくのが、このダンジョンを攻略するうえでは低燃費だと言う結論に至った。
ザンッ!
本日何体目かも分からない剣士の木の人形を斬って倒した。
「行くわよ」
「ちょ、バヨネッタさん、ちょっと休憩挟みませんか?」
これまた本日何度目かの俺の泣き言に、バヨネッタさんが、またか。と嘆息する。
「ハルアキ、あなたが強くなりたいと言うから連れてきたのよ?」
「そうですけど、物理職系全部を俺が相手させられる事になるとは思わないじゃないですか」
これも強くなる為と、タンク以外の物理職系は全て俺が受け持つ事に、いつの間にやらなっていた。いや、バヨネッタさんたちは最初からそのつもりだったのかも知れないけど、説明を受けていない俺からしたら、たまったものじゃない。
「仲間の後ろに付いて行って、経験値だけ欲しいと?」
呆れ顔のバヨネッタさん。そりゃあ、俺だって姫プしたい訳じゃない。今後の戦いの事を考えて、純粋に強くなりたくもある。が、敵が強いのも確かなのだ。ちょっとは手伝って欲しいのも本心だ。
「まあまあ、ここを抜ければ最後のセーフティゾーンだ。そこで一休みしよう」
俺とバヨネッタさんの仲がギスギスしだしたのを感じ取って、ミカリー卿が仲裁に入ってくれ、バヨネッタさんが、仕方ない。と通路を進み出す。はあ。次が最後のセーフティゾーンって事は、
「そのセーフティゾーンの先はボス部屋ですか?」
三人の後を付いて行く俺の言、ミカリー卿が振り返って頷いてくれた。これは休憩出来るからと言って、気が抜けないな。
突き当たりに扉のあるドーム状のセーフティゾーンに着いた俺は、床に座り込むと、『有頂天』をMP偏重で解除して、ポーションでHPを回復させる。スキルに魔力回復系を持っていると言っても、マナポーションがないのだから、どうしても『有頂天』を解除する時はMP偏重になってしまう。ポーションは結構な数があるし、安全地帯の町でも買えるからね。
「どう? もう行ける?」
ポーションを飲み干して一息吐いたばかりの俺に、間髪入れずにそんな事を言ってくるバヨネッタさん。早いよ。と思わず半眼になっているのが自分でも分かる。
「ハルアキ、諦めて覚悟を決めろ」
とデムレイさんがオレを諭しにくる。諦めろって、この後に控えているボスって、そんなに強いのか?
「バヨネッタからしたら、もうここは既知のダンジョンだからな。何なら周回するつもりで来ているはずだ」
「え?」
デムレイさんの思わぬ発言に、バヨネッタさんを見遣れば、何がそんなに不思議なの? と言わんばかりのキョトンとした顔をしていた。
「ダイザーロくんもカッテナくんも、周回させられていたからねえ。今回もそのつもりのはずだよ」
とミカリー卿。
「文句言っていたのはタケダだけだな。あまりにわがまま言うから、途中でダンジョン脱出の使い捨て魔導具で引き返す羽目になったぞ」
とデムレイさん。容易に想像がつくな。武田さんは言わずもがな。ダイザーロくんやカッテナさんにしても、立場的にこの三人に文句が言えなかったのだろう。
もう一度バヨネッタさんを見遣れば、今すぐにでも扉の向こうに行こうと気が急いているのが見て取れた。これは本当に周回するつもりだな。
「ああああ! もう! 分かりましたよ! 周回するって言うなら、サクッとボスを倒してしまいましょう!」
覚悟を決めた俺は、自身を鼓舞する意味も含めて、大声を張り上げると、勢いを付けて立ち上がる。
「そうそう。初めからそのくらいの意気込みで挑めば、私だってとやかく言わなかったわよ」
そうですか。と心の内でぼやきながら、改めてボス部屋に行く前に、ここまで来るのに手に入れたアイテム類を確認する。デムレイさんも言っていたダンジョン脱出用の魔導具に、攻撃魔法系の魔導具など、使い捨ての魔導具類が多い。どれもカードタイプだ。それにここが巨樹のダンジョンだからだろうか? 火炎系の攻撃魔法の魔導具が多いな。
「ハルアキ?」
「はい。行きます」
俺は気合いを込めて再び『有頂天』状態に入る。それと同時にバヨネッタさんがボス部屋とセーフティゾーンを隔てる扉を開く。すぐボス部屋かと思ったら、上へと上る階段だった。
階段を上った俺たちを待ち受けていたのは、外が見える開けた広い、恐らくワンフロアは丸々ある空間で、太い柱で支えられたその空間の高い天井からは、幾本もの枝が垂れ下がり、床にも枝が張り巡らされて、移動し辛いのが一目瞭然。そんな空間の中央に鎮座していたのは、艶光りする黒茶の甲殻に身を包み、二つの尖った大顎がガシガシと軋みながら口の前で交差する、体長五メートルはある昆虫の両雄の片割れ。
「クワガタか」
ここまで木の人形との連戦だったので、てっきりボスも木の人形系統なのかと想像していたが、当てが外れたな。しかしそれはバヨネッタさんたちも同じだったらしい。ここまでスムーズに戦闘をこなしてきたバヨネッタさんたち三人から、緊張感が伝わってくる。
「今回はハズレを引いたわね」
「ハズレ、ですか?」
俺の投げ掛けに三人が首肯で返してきた。
「普通ならここのボスはカブトなのよ。でも低確率でクワガタが出てくるの。カブトよりも強いくせに、貰える経験値はカブトと同等と言う、全くもってハズレのボスよ」
ああ、それはハズレだな。特に周回したいバヨネッタさんからしたら、戦闘時間を多く取られるだろう分、余計にハズレだろう。でも……、
「来るぞ!」
俺が思考を巡らそうとした瞬間、デムレイさんの声で思考が中断される。なんだかんだ考えるのは、このボスの巨大クワガタを倒してからだ。俺がボス部屋中央の巨大クワガタに視線を向けると、奴は翅を広げて宙に浮きあがり、こちらへと突進してきた。
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