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「ダイザーロの話にも一理あると思うわよ」
とバヨネッタさんまでが、そんな都合のよい事を口にしだした。
「ハルアキの『虚空』って、『超時空操作』、『清浄星』、『英雄運』って言う、三つのギフトを一つに統合したものなのでしょう?」
これに頷く。
「それなら、『英雄運』も統合されているのだから、英雄=武功を立てる。となっていても、おかしな話じゃないわ。それにハルアキはこれまでに、人を殺したと言っても、私からしたら少ないものだし、無辜の善人を殺して回っていた訳じゃないもの」
成程。『英雄運』の影響がここで出てくるのか。確かアメリカやカナダ、ヨーロッパのいくつかの国では、カーネギー英雄基金から、英雄的行為を行った者へカーネギー賞を贈り、受賞者や被害にあった人々へ財政援助を行ったりすると言うものがあったな。そう考えると、『虚空』の業は陽徳、陰徳は関係ないのかも知れないなあ。
「分かりました。俺の『虚空』もこれから要検証って事で」
俺の言に三人とも頷く。先程までの陰鬱な空気はもう霧散していた。さて、それはそれとして、このエキストラフィールドから脱出する事も平行して考えていかないといけない。
「俺とダイザーロくんが修練場に居残っていた間に、冒険者ギルドに四つのダンジョンの情報を依頼したんですよね? そっちはどうなったんですか?」
「芳しくないわねえ。タケダたちと一緒に冒険者ギルドへ行って、あの愛想の悪い亡霊の受付嬢と話して、依頼の値段設定をして、掲示板に正式な依頼として張り出したんだけど、私たちが提示した値段が安かったのか、良い情報は集まっていないわ」
バヨネッタさんの言に俺は腕組みして、もう一人の事情を知っているだろうカッテナさんの方を見遣る。
「今集まっている情報としては、まず、『北の氷結洞』のある場所は、一面氷に覆われた永久凍土? と呼ばれる起伏の激しい氷原で、しばらく歩いていくと、大きなクレバスがあり、そこを下っていくと、『北の氷結洞』の入口の扉があるそうです。が、どうやら扉は閉まっており、開ける為に何やらギミックを作動させなければならないそうです」
何やらギミックを、ねえ。誰も扉を開けられなかったのか、それとも依頼の値段的に、それ以上教えて貰えなかったのか。気になるところだ。
「他も同じような感じですか?」
「はい。『南の溶岩洞』の入口は火山の麓にあり、『西の大海原』の入口は海底にあり、どちらも扉が閉ざされているそうです。『東の大草原』に関しては、そもそも入口自体見付けられなかったとか」
うわ~お。カヌスの奴、いったい何ヶ月俺たちをここに足止めするつもりだよ?
「はあ……」
俺が嘆息を漏らすと、それに連られたように三人も嘆息を漏らした。あっという間にまた陰鬱な空気が戻って来てしまった。
「おいおい、どうした? 揃いも揃って、死人よりも不景気そうな顔をしているじゃないか」
そんな俺たちに話し掛けてきたのは、今や交換所の店主と成り果てたベイビードゥだった。ベイビードゥが当然のように俺たちと同じ卓に座ると、いつものスパークリングソウルドリンクを持って、骸骨のウエイトレスさんがやって来る。
「どうした若人よ? 悩みがあるなら、俺が聞いてやるぞ?」
駆け付け一杯でスパークリングソウルドリンクをグビグビと半分飲んだベイビードゥが、「くはあ~」とジョッキを卓に置いて、俺たちを見遣る。誰目線なんだよお前。
「それが、カヌス様から出された、『エキストラフィールド脱出クエスト』があまりに高難度で、どうしたものか。と皆で知恵を出し合っていた次第でして」
ダイザーロくんが当然のように事情説明する。気の知れた仲だからだろうけど、一度は刃を交えた相手にする相談じゃないと思うよ。
「ああ、あの方は昔から無類のゲームが好きだからなあ。ジオの話だと、このフィールド作りゲームにも相当ハマっているらしいし。なんか? 色々出来る事が多過ぎみたいだし、お前らをこのフィールドから出すのなんて、二の次三の次で、ただ単にこのフィールドを成長させるゲームにハマっているだけなんじゃないか?」
二の次三の次って。俺たちがこのエキストラフィールドから出るのは、カヌスからしたらどうでも良いって事か。はあ…………。いや、待て。ベイビードゥの言に俺は疑問を持つ。現状を鑑みるに、カヌスがハマっていると言う、俺のスマホにダウンロードされているゲームは二種類。町を大きくしていき、フィールドを攻略していくストラテジーゲームと、俺がオススメしたファンタジーRPG。このエキストラフィールドはその二つをミックスしたものに感じる。
だが、ベイビードゥの言葉を信じるなら、カヌスはかなりのゲーム好きだ。そんなカヌスが、たった二つのゲームだけで満足するだろうか? 俺のスマホには十を超えるゲームがダウンロードされている。だとしたら、
「どうにかなるかも知れない?」
俺の呟きに、目聡くバヨネッタさんたちがこちらを注視してくる。とは言え、
「まだ可能性の段階です」
我ながら半信半疑だが、このエキストラフィールドから脱出する筋道が見えた気がする。
とバヨネッタさんまでが、そんな都合のよい事を口にしだした。
「ハルアキの『虚空』って、『超時空操作』、『清浄星』、『英雄運』って言う、三つのギフトを一つに統合したものなのでしょう?」
これに頷く。
「それなら、『英雄運』も統合されているのだから、英雄=武功を立てる。となっていても、おかしな話じゃないわ。それにハルアキはこれまでに、人を殺したと言っても、私からしたら少ないものだし、無辜の善人を殺して回っていた訳じゃないもの」
成程。『英雄運』の影響がここで出てくるのか。確かアメリカやカナダ、ヨーロッパのいくつかの国では、カーネギー英雄基金から、英雄的行為を行った者へカーネギー賞を贈り、受賞者や被害にあった人々へ財政援助を行ったりすると言うものがあったな。そう考えると、『虚空』の業は陽徳、陰徳は関係ないのかも知れないなあ。
「分かりました。俺の『虚空』もこれから要検証って事で」
俺の言に三人とも頷く。先程までの陰鬱な空気はもう霧散していた。さて、それはそれとして、このエキストラフィールドから脱出する事も平行して考えていかないといけない。
「俺とダイザーロくんが修練場に居残っていた間に、冒険者ギルドに四つのダンジョンの情報を依頼したんですよね? そっちはどうなったんですか?」
「芳しくないわねえ。タケダたちと一緒に冒険者ギルドへ行って、あの愛想の悪い亡霊の受付嬢と話して、依頼の値段設定をして、掲示板に正式な依頼として張り出したんだけど、私たちが提示した値段が安かったのか、良い情報は集まっていないわ」
バヨネッタさんの言に俺は腕組みして、もう一人の事情を知っているだろうカッテナさんの方を見遣る。
「今集まっている情報としては、まず、『北の氷結洞』のある場所は、一面氷に覆われた永久凍土? と呼ばれる起伏の激しい氷原で、しばらく歩いていくと、大きなクレバスがあり、そこを下っていくと、『北の氷結洞』の入口の扉があるそうです。が、どうやら扉は閉まっており、開ける為に何やらギミックを作動させなければならないそうです」
何やらギミックを、ねえ。誰も扉を開けられなかったのか、それとも依頼の値段的に、それ以上教えて貰えなかったのか。気になるところだ。
「他も同じような感じですか?」
「はい。『南の溶岩洞』の入口は火山の麓にあり、『西の大海原』の入口は海底にあり、どちらも扉が閉ざされているそうです。『東の大草原』に関しては、そもそも入口自体見付けられなかったとか」
うわ~お。カヌスの奴、いったい何ヶ月俺たちをここに足止めするつもりだよ?
「はあ……」
俺が嘆息を漏らすと、それに連られたように三人も嘆息を漏らした。あっという間にまた陰鬱な空気が戻って来てしまった。
「おいおい、どうした? 揃いも揃って、死人よりも不景気そうな顔をしているじゃないか」
そんな俺たちに話し掛けてきたのは、今や交換所の店主と成り果てたベイビードゥだった。ベイビードゥが当然のように俺たちと同じ卓に座ると、いつものスパークリングソウルドリンクを持って、骸骨のウエイトレスさんがやって来る。
「どうした若人よ? 悩みがあるなら、俺が聞いてやるぞ?」
駆け付け一杯でスパークリングソウルドリンクをグビグビと半分飲んだベイビードゥが、「くはあ~」とジョッキを卓に置いて、俺たちを見遣る。誰目線なんだよお前。
「それが、カヌス様から出された、『エキストラフィールド脱出クエスト』があまりに高難度で、どうしたものか。と皆で知恵を出し合っていた次第でして」
ダイザーロくんが当然のように事情説明する。気の知れた仲だからだろうけど、一度は刃を交えた相手にする相談じゃないと思うよ。
「ああ、あの方は昔から無類のゲームが好きだからなあ。ジオの話だと、このフィールド作りゲームにも相当ハマっているらしいし。なんか? 色々出来る事が多過ぎみたいだし、お前らをこのフィールドから出すのなんて、二の次三の次で、ただ単にこのフィールドを成長させるゲームにハマっているだけなんじゃないか?」
二の次三の次って。俺たちがこのエキストラフィールドから出るのは、カヌスからしたらどうでも良いって事か。はあ…………。いや、待て。ベイビードゥの言に俺は疑問を持つ。現状を鑑みるに、カヌスがハマっていると言う、俺のスマホにダウンロードされているゲームは二種類。町を大きくしていき、フィールドを攻略していくストラテジーゲームと、俺がオススメしたファンタジーRPG。このエキストラフィールドはその二つをミックスしたものに感じる。
だが、ベイビードゥの言葉を信じるなら、カヌスはかなりのゲーム好きだ。そんなカヌスが、たった二つのゲームだけで満足するだろうか? 俺のスマホには十を超えるゲームがダウンロードされている。だとしたら、
「どうにかなるかも知れない?」
俺の呟きに、目聡くバヨネッタさんたちがこちらを注視してくる。とは言え、
「まだ可能性の段階です」
我ながら半信半疑だが、このエキストラフィールドから脱出する筋道が見えた気がする。
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