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原因と対策
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再度南極の天賦の塔へ挑む前に、サングリッター・スローン後部のバヨネッタさんの部屋に皆で集まった。
「そう。復活地点は更新されたけれど、命数は戻らなかった。そして、ハルアキは二度目の挑戦を既に終えている。それが現状で良いのね?」
バヨネッタさんの言に、俺は深く頷いた。これに黙り込む皆。俺が二度目の復活を遂げたと言う事は、自分たちで立てた作戦が無駄に終わった証左だからだ。さて、この塔をどのように攻略するか、それともここから引き返すか、その選択が皆に求められた。そこで、
「今回は俺の死因が分かりました」
と一歩前進した事を皆に報告する。
「死因が分かったか。ジャスティンとは対峙したのか?」
武田さんの言に、俺は首を横に振るう。
「つまり、死因はジャスティンではないと?」
これにデムレイさんが腕組みしながら尋ねてくる。
「それは分かりません。俺の死因は、窒息死でしたので」
これには皆が驚く。
「窒息死? つまりドアの向こうには空気がなかったの?」
バヨネッタさんの問いに、また首を横に振る。
「いえ、気圧の変化は感じなかったので、宇宙空間のように空気がない訳ではなく、空気の成分が違っていたのかと」
俺の説明に、ダイザーロくんとカッテナさんが首を傾げる。空気の成分と言われても、ピンと来ないのだろう。なので補足も含め、説明を加える。
「地上の空気と言うのは、様々な成分が混ざって出来ているんだ。大地の栄養である窒素、人間や動物の活力の源である酸素、そして植物を育てる二酸化炭素。他にも成分はあるんだけど、ここでは省くね。この中で空気中一番多いのは、大地の栄養である窒素で、空気中、約八割弱が窒素で、次いで酸素が二割強。後の二酸化炭素などは、空気の中で百分の一もないんだ」
これに、何となく理解が追い付き、ダイザーロくんとカッテナさんが頷く。それを確認して、俺は話を先に進めた。
「それで、今回可能性が高いのが、大地の栄養である窒素や、植物の栄養である二酸化炭素が多分に含まれた空気を吸い込んで死んだ」
「大地の栄養や、植物の栄養で死んだんですか?」
訳が分からず、ダイザーロくんが首を傾げる。
「うん。薬も量を間違えれば毒になるのは、そちらの世界でも言われているだろう?」
これにダイザーロくんとカッテナさんが頷き、
「成程、栄養過多で、大地の栄養や植物の栄養が毒に変わってしまったんですね?」
と自分の中でピースがハマったのだろう。ダイザーロくんが答え合わせで俺に尋ねてくる。これに頷く俺。
「地球の空気の成分は、何十億年と言う長い年月を経て、現在の形を取っているんだ。だから、その成分が少し変化しただけでも、様々なものに害が出る。今回は空気の成分がまるで違っていたから、それを吸って俺は死んだんだ」
「空気に普通に含まれている成分だから、ガスマスクが機能しなかったのか」
武田さんの言に俺は頷き、
「二酸化炭素が三割含まれた空気を吸い込むと、人間は一瞬で気を失い、死に至るそうです。なので、俺は恐らくドアを開けた瞬間に、何某か、成分過多の空気を吸い込んで死んだかと」
と俺が説明すると、皆が首肯する。
「となれば、『クリエイションノート』で、呼吸困難状態でも活動出来るようなスキルを獲得するのが常道か」
顎を擦りながら、デムレイさんが呟く。
「いえ、それだとレベル上げに時間を掛けなきゃ、長時間活動出来ないわ。呼吸困難になった場合、魔力を栄養として活動出来るようなスキルの方が、今回の問題には対処出来るんじゃない?」
それに対して、バヨネッタさんが別案を提示する。確かに、レベル上げに時間を掛ける必要がありそうなスキルは、この場の対処には不向きか。
まあ、ここで一旦引き返して、向こうの世界の地下界でレベル上げをしてから、またここに戻ってくる案もあるが、それだと、ジャスティンを仲間に引き入れ、ジャスティンのレベルア上げに時間を割けないし、レベル五十を超えている俺では、これ以上のレベルアップには時間も経験値も多く必要になるので、やはり現実的ではないか。
「魔力を使った内呼吸は、確かに今回のパターンには合っているかも知れませんね。それに魔力を使って呼吸をする事は、魔力を使って全能力を向上させる『有頂天』に通じる部分があるので、『有頂天』と組み合わせて、併用出来るスキルと言うのもアリですね」
俺の言に皆が頷く。これと、もう一つ解決しておきたい問題を俺は皆に相談した。
「それと、塔内で時間が分からなくなるのを、俺としてはどうにかしたいですね」
「時間が分からない事くらいが、問題になるの?」
バヨネッタさんは不思議そうにしているが、
「人間には体内時計と言うものが備わっているとされ、それは毎朝朝日を浴びる事でリセットされ、健康な状態を維持すると言われている。塔内と言う閉塞された空間内で、時間がまるで分からないと、この体内時計が狂って、本調子でいられなくなる可能性はなくはないだろう」
と武田さんが異を唱える。まさに俺が言いたかった事だ。あの塔内にいると、感覚がゲシュタルト崩壊するんだよねえ。
━━━━━━━━━━
今年もありがとうございました。
次週は一週休んで、次々週から、投稿再開したいと思います。
「そう。復活地点は更新されたけれど、命数は戻らなかった。そして、ハルアキは二度目の挑戦を既に終えている。それが現状で良いのね?」
バヨネッタさんの言に、俺は深く頷いた。これに黙り込む皆。俺が二度目の復活を遂げたと言う事は、自分たちで立てた作戦が無駄に終わった証左だからだ。さて、この塔をどのように攻略するか、それともここから引き返すか、その選択が皆に求められた。そこで、
「今回は俺の死因が分かりました」
と一歩前進した事を皆に報告する。
「死因が分かったか。ジャスティンとは対峙したのか?」
武田さんの言に、俺は首を横に振るう。
「つまり、死因はジャスティンではないと?」
これにデムレイさんが腕組みしながら尋ねてくる。
「それは分かりません。俺の死因は、窒息死でしたので」
これには皆が驚く。
「窒息死? つまりドアの向こうには空気がなかったの?」
バヨネッタさんの問いに、また首を横に振る。
「いえ、気圧の変化は感じなかったので、宇宙空間のように空気がない訳ではなく、空気の成分が違っていたのかと」
俺の説明に、ダイザーロくんとカッテナさんが首を傾げる。空気の成分と言われても、ピンと来ないのだろう。なので補足も含め、説明を加える。
「地上の空気と言うのは、様々な成分が混ざって出来ているんだ。大地の栄養である窒素、人間や動物の活力の源である酸素、そして植物を育てる二酸化炭素。他にも成分はあるんだけど、ここでは省くね。この中で空気中一番多いのは、大地の栄養である窒素で、空気中、約八割弱が窒素で、次いで酸素が二割強。後の二酸化炭素などは、空気の中で百分の一もないんだ」
これに、何となく理解が追い付き、ダイザーロくんとカッテナさんが頷く。それを確認して、俺は話を先に進めた。
「それで、今回可能性が高いのが、大地の栄養である窒素や、植物の栄養である二酸化炭素が多分に含まれた空気を吸い込んで死んだ」
「大地の栄養や、植物の栄養で死んだんですか?」
訳が分からず、ダイザーロくんが首を傾げる。
「うん。薬も量を間違えれば毒になるのは、そちらの世界でも言われているだろう?」
これにダイザーロくんとカッテナさんが頷き、
「成程、栄養過多で、大地の栄養や植物の栄養が毒に変わってしまったんですね?」
と自分の中でピースがハマったのだろう。ダイザーロくんが答え合わせで俺に尋ねてくる。これに頷く俺。
「地球の空気の成分は、何十億年と言う長い年月を経て、現在の形を取っているんだ。だから、その成分が少し変化しただけでも、様々なものに害が出る。今回は空気の成分がまるで違っていたから、それを吸って俺は死んだんだ」
「空気に普通に含まれている成分だから、ガスマスクが機能しなかったのか」
武田さんの言に俺は頷き、
「二酸化炭素が三割含まれた空気を吸い込むと、人間は一瞬で気を失い、死に至るそうです。なので、俺は恐らくドアを開けた瞬間に、何某か、成分過多の空気を吸い込んで死んだかと」
と俺が説明すると、皆が首肯する。
「となれば、『クリエイションノート』で、呼吸困難状態でも活動出来るようなスキルを獲得するのが常道か」
顎を擦りながら、デムレイさんが呟く。
「いえ、それだとレベル上げに時間を掛けなきゃ、長時間活動出来ないわ。呼吸困難になった場合、魔力を栄養として活動出来るようなスキルの方が、今回の問題には対処出来るんじゃない?」
それに対して、バヨネッタさんが別案を提示する。確かに、レベル上げに時間を掛ける必要がありそうなスキルは、この場の対処には不向きか。
まあ、ここで一旦引き返して、向こうの世界の地下界でレベル上げをしてから、またここに戻ってくる案もあるが、それだと、ジャスティンを仲間に引き入れ、ジャスティンのレベルア上げに時間を割けないし、レベル五十を超えている俺では、これ以上のレベルアップには時間も経験値も多く必要になるので、やはり現実的ではないか。
「魔力を使った内呼吸は、確かに今回のパターンには合っているかも知れませんね。それに魔力を使って呼吸をする事は、魔力を使って全能力を向上させる『有頂天』に通じる部分があるので、『有頂天』と組み合わせて、併用出来るスキルと言うのもアリですね」
俺の言に皆が頷く。これと、もう一つ解決しておきたい問題を俺は皆に相談した。
「それと、塔内で時間が分からなくなるのを、俺としてはどうにかしたいですね」
「時間が分からない事くらいが、問題になるの?」
バヨネッタさんは不思議そうにしているが、
「人間には体内時計と言うものが備わっているとされ、それは毎朝朝日を浴びる事でリセットされ、健康な状態を維持すると言われている。塔内と言う閉塞された空間内で、時間がまるで分からないと、この体内時計が狂って、本調子でいられなくなる可能性はなくはないだろう」
と武田さんが異を唱える。まさに俺が言いたかった事だ。あの塔内にいると、感覚がゲシュタルト崩壊するんだよねえ。
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今年もありがとうございました。
次週は一週休んで、次々週から、投稿再開したいと思います。
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