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オマージュ

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「それで? もう一つの方はどうなんだ?」


 デムレイさんとミカリー卿が来たところで、現状を説明すると、デムレイさんから質問が飛んできた。もう一つと言うのは、呼吸の問題だ。


「『魔呼吸細胞』の方も、しっかり機能しています」


「なんだその魔貫◯殺砲みたいな名前は?」


 スキル名を聞いて、L天使とわちゃわちゃやっていた武田さんがツッコんでくる。


「名前は別に良いじゃないですか。そもそも格好良いじゃないですか、魔◯光殺砲」


 まあ、それだと額に二本指を押し当てていないと、スキルが機能しなさそうだが。実際は『LP呼吸細胞』にしたかったのだが、軽く調べた感じ、LP細胞と言うのが、どうやら癌に関係あるらしいので、縁起を考えてこちらにしたのだ。


「まあな。男の子大好き魔貫光◯砲ではあるが」


 などと武田さんも納得して、またL天使と動画の再生数にキャッキャしている。ちなみに『魔呼吸細胞』のスキル効果はこんな感じだ。


『魔呼吸細胞』:魔力で出来たクラインの壺型の細胞。細胞小器官として全ての体細胞内に存在し、魔力を消費する事で、空気を吸えない状況にあっても身体を動かすエネルギーを生み出し、十全に身体を動かす事を可能とする。また、普通に呼吸している時には、魔力貯蔵を担い、呼吸ごとに魔力蓄えていき、身体全体で百MP貯蔵すると、細胞分裂を起こし数が増える。更に『有頂天』状態ではその細胞数はレベルに応じて数を増やす。


 我ながら、説明文が長くなってしまったな。だが、その分かなり強力なスキルになったと思う。空気を吸えない状況とは、塔内部のあの部屋だけでなく、ガスが充満している場所や水中も含まれるので、移動範囲がかなり広がったと言える。『有頂天』状態云々はおまけだが、単純に強力だ。


「これで、準備は万端かな?」


 紅茶を嗜みながら、ミカリー卿が尋ねてきた。


「L天使から、あの馬鹿げたスーツの他に、片手で持てる空気組成分析器も、オルさんから配達して貰いましたし、他にも宇宙空間でも撃てる電子式拳銃も調達して貰ったので、少しは戦闘力も向上したかと」


「村正は使わないのか?」


 なんて事を話していたら、また武田さんからチクリと刺された。妖刀村正は、小太郎くんが最後の戦いで使っていた武器だ。あの戦いで接収しておいて、今は俺が管理している。聖属性の魔力を打ち破る魔属性の強力な刀だが、皆の認識では、魔王の一人、ブラフマーによって過去改変されているので、魔族が使用した武器と言う認識になっている。


「う~ん、あまり強い武器を携行していくと、奪われた瞬間に、形勢逆転してしまいますからねえ」


「弱気ね。それだけ準備しておいて、負け前提で挑むつもり?」


 バヨネッタさんの言ももっともだ。負け確定で挑んでは、勝てる勝負も勝てなくなる。…………いやいや、一応勇者のスカウトに行くんだった。目的を間違えるところだった。そう言う意味では、電子銃もいらないか?


「俺は話し合いに行くつもりなんですが?」


「あら? ハルアキの『瞬間予知』も警告しているんじゃないの? 戦いになるって」


 相変わらず痛いところを突いてくる。確かに、今回は珍しく俺の『瞬間予知』が、こんな早くから気働きをしているのは気になる。バヨネッタさんを見て、それから武田さんを見ても、その顔は戦闘になると語っていた。


「分かりました。じゃあ、村正も持っていきます。それなら……」


 二人の懸念に観念し、俺は村正を持っていく事を渋々承諾する。そして戦闘になるなら、用意しておきたいスキルがある。俺は『空間庫』から、『クリエイションノート』と『フィックスペン』と取り出し、新たにスキルを習得する。


『位階上昇』:『有頂天』状態でのみ使用可能のスキル。『有頂天』状態となると、プレイヤースキル、魔法、スキル、ギフトなど、LPを行使する行動に対して、その位階を押し上げる。


 要するに、俺の持つ『鑑定(低)』の場合、『有頂天』状態となると、それが『鑑定』に上位変換されるスキルが、『位階上昇』だ。これだけでなく、他のスキルやギフト、プレイヤースキルなども上位変換させられるので、有用だと考えて加えてみた。『有頂天』状態でのみ使用可能な理由は、全能力を上昇させるので、魔力消費量がかなり多くなると、書く前から予想出来ていたからだ。言ってしまえば、界◯拳だからね。心身への負担が大きくなるのは分かり切っている。しかし今日はDBネタが多いな。国民的アニメだから、どうしても思い描き易くなってしまうのだろう。うちの場合、父親が好きだったので、子供の頃、嫌と言う程見させられたからなあ。



「じゃあ、勝ってきなさい」


 塔の前でバヨネッタさんに渡されたのは、バヨネッタさん製の黄金のマスクだ。もちろん金属繊維で出来ているので、これを付けたら普通は呼吸が出来なくなる。これを受け取り、


「では、行ってきます」


 と俺はバヨネッタさんへ首肯を返し、更にぐるりと皆を見てから、不安そうな皆へ笑顔を返し、塔の門を潜った。


 塔に入った俺は、まず空気組成分析器で空気の組成を調べる。


「酸素が少し薄いか。気圧も低いな。そもそもここが南極でも高地だから、それと均されている感じか」


 これくらいの変化だと、下手にレベルが高い分、違和感が仕事しない感じか。そしてこの状況に慣れさせられ、ドアを開けても変化に気付かったのかも知れない。


(ハルアキ)


「分かっているアニン。ここに留まっている訳にもいかないし、行こうか」


 俺は塔内で一歩を踏み出した。

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