Re : play / リプレイ

貯古齢糖 壬琉苦

文字の大きさ
17 / 52

ACT-16

しおりを挟む
「ちっ、逃げられちまった!」

「ご主人様…」(ご主人様は魔王軍の幹部全員を相手しているのに、力を出しきっていなかった。それは、私たちケガ人に、攻撃が当たらないようにするための配慮だった。相手に近づき、肉弾戦のみの戦闘をすることで、私たちのことを守りながら戦っていた。本来なら、魔法で倒せていたのに、私たちが足を引っ張ってしまったせいで…)

「オレたちがサポートできていたら」

「相手の気をひくこともできないの」

「なんて、無力なんだ」


 怪我をしていて、動けなかった冒険者たちは、自分の無力さを嘆いた。


「まぁ、仕方ないや、次倒せばいいことだし」

「ん?」 一同

「皆んな、回復魔法で治すから、ちょっと待ってて」


 健太郎の切り替えの早さに、一同は動揺を隠せなかった。


「気にしてないんですか?」

「そりゃ、取り逃したのは悔しいけど、誰も死なないで街に帰れるんだから、俺はそれで満足かな、って」


 そう言うと、健太郎は回復魔法で、冒険者たちの傷を癒した。


「さてと、イベエラに帰ろうぜ、シエラ」

「はい」


『迷宮崩壊までのタイムリミットを宣告します』


「なんだ? このアナウンスは?」


 健太郎が周りを見渡すと、冒険者たちは真っ青な顔をしていた。


「迷宮が崩壊するぞ! みんな、急いで外へ出るぞ!」

「なんで、迷宮が崩壊するんだ?」

「考えられる理由は、外部から強い攻撃を受けたり、激しい戦闘で、迷宮内が耐えられなくなったかと」

  (ヤベェー! 心当たりしかないわー!)


『迷宮崩壊まで、タイムリミット10分』


「ここから最上階にたどり着くまでに、最低でも15分はかかる。このままじゃ、絶対に間に合わない」

「ご主人様、どうしましょう」

「そうだな~、あっ! 集団転送陣で脱出すればいいんだ」

「全員で脱出できるんですか」

「いや、下の階の冒険者たちもあわせると、人数オーバーしている」

「それじゃあ、誰が残らないといけないんですか」

「まぁ、そうなるな」

「どれくらいの人数が残らないといけないんだ」

「そうだな、俺を含めて五人かな」

「なら、私がご主人様と一緒に残ります」

「あとの三人は…」


 街に家族を残す冒険者たちは、なかなか名乗り出すことができなかった。


「オレたちが残るよ」

「貴方たちは昨日の…」


 昨日、二人に絡んできた、チンピラ冒険者三人が、二人と残ることになった。


「お前ら、またシエラにいちゃもんつける気か」

「もう、そんなバカなまねは決してしない。二人を冒険者の仲間として見ているつもりだ」

「本当か?」


 三人が無言で頷く。


「ご主人様、この人たちのことを信じてあげましょう」

「シエラがそう言うなら…」


 健太郎は渋々受け入れ、集団転送陣の準備に取り掛かった。


『タイムリミットまで、あと5分』


「間に合わなくなってしまうぞ!」

「まあまあ、そう慌てなさんな。俺には秘策がある」

「秘策?」


 健太郎の秘策とは…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷遇された聖女の結末

菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。 本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。 カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ここは少女マンガの世界みたいだけど、そんなこと知ったこっちゃない

ゆーぞー
ファンタジー
気がつけば昔読んだ少女マンガの世界だった。マンガの通りなら決して幸せにはなれない。そんなわけにはいかない。自分が幸せになるためにやれることをやっていこう。

処理中です...