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ACT-16
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「ちっ、逃げられちまった!」
「ご主人様…」(ご主人様は魔王軍の幹部全員を相手しているのに、力を出しきっていなかった。それは、私たちケガ人に、攻撃が当たらないようにするための配慮だった。相手に近づき、肉弾戦のみの戦闘をすることで、私たちのことを守りながら戦っていた。本来なら、魔法で倒せていたのに、私たちが足を引っ張ってしまったせいで…)
「オレたちがサポートできていたら」
「相手の気をひくこともできないの」
「なんて、無力なんだ」
怪我をしていて、動けなかった冒険者たちは、自分の無力さを嘆いた。
「まぁ、仕方ないや、次倒せばいいことだし」
「ん?」 一同
「皆んな、回復魔法で治すから、ちょっと待ってて」
健太郎の切り替えの早さに、一同は動揺を隠せなかった。
「気にしてないんですか?」
「そりゃ、取り逃したのは悔しいけど、誰も死なないで街に帰れるんだから、俺はそれで満足かな、って」
そう言うと、健太郎は回復魔法で、冒険者たちの傷を癒した。
「さてと、イベエラに帰ろうぜ、シエラ」
「はい」
『迷宮崩壊までのタイムリミットを宣告します』
「なんだ? このアナウンスは?」
健太郎が周りを見渡すと、冒険者たちは真っ青な顔をしていた。
「迷宮が崩壊するぞ! みんな、急いで外へ出るぞ!」
「なんで、迷宮が崩壊するんだ?」
「考えられる理由は、外部から強い攻撃を受けたり、激しい戦闘で、迷宮内が耐えられなくなったかと」
(ヤベェー! 心当たりしかないわー!)
『迷宮崩壊まで、タイムリミット10分』
「ここから最上階にたどり着くまでに、最低でも15分はかかる。このままじゃ、絶対に間に合わない」
「ご主人様、どうしましょう」
「そうだな~、あっ! 集団転送陣で脱出すればいいんだ」
「全員で脱出できるんですか」
「いや、下の階の冒険者たちもあわせると、人数オーバーしている」
「それじゃあ、誰が残らないといけないんですか」
「まぁ、そうなるな」
「どれくらいの人数が残らないといけないんだ」
「そうだな、俺を含めて五人かな」
「なら、私がご主人様と一緒に残ります」
「あとの三人は…」
街に家族を残す冒険者たちは、なかなか名乗り出すことができなかった。
「オレたちが残るよ」
「貴方たちは昨日の…」
昨日、二人に絡んできた、チンピラ冒険者三人が、二人と残ることになった。
「お前ら、またシエラにいちゃもんつける気か」
「もう、そんなバカなまねは決してしない。二人を冒険者の仲間として見ているつもりだ」
「本当か?」
三人が無言で頷く。
「ご主人様、この人たちのことを信じてあげましょう」
「シエラがそう言うなら…」
健太郎は渋々受け入れ、集団転送陣の準備に取り掛かった。
『タイムリミットまで、あと5分』
「間に合わなくなってしまうぞ!」
「まあまあ、そう慌てなさんな。俺には秘策がある」
「秘策?」
健太郎の秘策とは…。
「ご主人様…」(ご主人様は魔王軍の幹部全員を相手しているのに、力を出しきっていなかった。それは、私たちケガ人に、攻撃が当たらないようにするための配慮だった。相手に近づき、肉弾戦のみの戦闘をすることで、私たちのことを守りながら戦っていた。本来なら、魔法で倒せていたのに、私たちが足を引っ張ってしまったせいで…)
「オレたちがサポートできていたら」
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「なんて、無力なんだ」
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「気にしてないんですか?」
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そう言うと、健太郎は回復魔法で、冒険者たちの傷を癒した。
「さてと、イベエラに帰ろうぜ、シエラ」
「はい」
『迷宮崩壊までのタイムリミットを宣告します』
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「迷宮が崩壊するぞ! みんな、急いで外へ出るぞ!」
「なんで、迷宮が崩壊するんだ?」
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(ヤベェー! 心当たりしかないわー!)
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「ご主人様、どうしましょう」
「そうだな~、あっ! 集団転送陣で脱出すればいいんだ」
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「いや、下の階の冒険者たちもあわせると、人数オーバーしている」
「それじゃあ、誰が残らないといけないんですか」
「まぁ、そうなるな」
「どれくらいの人数が残らないといけないんだ」
「そうだな、俺を含めて五人かな」
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「あとの三人は…」
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「秘策?」
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