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貯古齢糖 壬琉苦

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ACT-23

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「昨日は雲一つ見当たらない天気だったのに、今日は雨ですね」

「そっ…、そうだね…」

「?」


 お祭りから一夜明け、二人はギルドに来ていた。


「ご主人様、今日はどのようなクエストを受けますか?」

「なるべく、仕事は室内で出来て、防音管理がしっかりしているところがいいかな」

「そうですね、今日は雨も降っていますし、室内で受けられるクエストの方が良さそうですね。では、早速探して来ます」

「任せるよ」


 シエラは、クエストを探しに行った。


「スズキさん、ちょっといいですか…」

「あ、受付嬢さん。どうかしたんですか?」

「あの、スズキさんは冒険者登録をして日が浅いので、先に教えておこうと思いまして…」

「何をですか?」

「実はイベエラでは、年に一度だけ最悪な天気になる日があるんです」

「それって、そんなに危ないものなんですか…」

「はい、それは豪雷雲といって、大陸に位置する全ての街を、一晩かけて苦しめる天候があるのです」

「ゴクリ…」

「なので、今日は早く帰ることをオススメします」

「そうかー、それなら仕方ないなー、今日のところは帰るとしよう(棒)」


 そう言うと、健太郎は猛スピードでシエラのもとに向かった。


「シエラ! 今日はもう帰ろう!」

「どうしたんですか、急に?」

「豪雷雲っていう、危ない天候が迫って来ているらしい。今日は安全のためにも帰ろう!」

「大丈夫ですよ、ご主人様なら、どんな自然現象にも負ける筈がありませんよ」

  (そう言う問題じゃないんだよなー)

「そんなことより、これを見てください」

「なになに、豪華客船の護衛?」

「イベエラから出航する船の護衛です。この天気なら海賊たちはまず襲っては来ませんから、簡単にクエストをクリア出来ると思います」

「でも、豪雷雲が…」

「心配ご無用! 豪華客船には風除けの加護が付与されているので、豪雷雲が来ても出航できます」

「わぁー、それはすごいー(棒)」


 結局、護衛クエストを受けることになった健太郎。


  (マジかー! 護衛クエスト自体は嫌じゃないけど、他の問題がこっちにはあるんだよなー!)

「ご主人様、あれが今回護衛する船みたいですよ」

「デカ! そして眩しい!」


 二人は護衛する船が停まっている港に着くと、黄金に光り輝く豪華な船が見えた。


「へぇ~、これが豪華客船か~」

「この豪華客船は、世界中の貴族の方を乗せて来たそうですよ」

「それでこんなにも金ピカなのか~」


 ゴロゴロ…。


「ヒッ!?」

「どうかしましたか?」

「いや、どうもしないけど…。それよりも、早く中に入ろうーーーー」


 ドォーン!!!!


「ギニャーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

「ご主人様!?」


 艦隊砲撃のような雷が鳴った瞬間、健太郎はどこかに走って行った。


「ギニャ!!ギニャーーナナ!!ギニャー!!!!!ギニャーーナナーーーーーー!!!!!」


 健太郎は走って行った方角とは、真逆に帰ってきた。

 おそらく、世界を一周してきたのだろう。


「危ないです!そのままだと、海に落下します!」

「ギニャナナーーーーーー!!!!!!!」


 シエラの注意は、現在、錯乱している健太郎には、全く届いていなかった。


 バシャン!!


 勢いを保ちながら、海面に叩きつけられた健太郎は、一向に浮かんでこない。


「ご主人様! 誰か助けて下さい!! あの人、お風呂でも溺れちゃうぐらいカナヅチなんです!!」

「おい! 誰か海に落ちただってよ! 早く、誰か助けてやれ!」

「無理だって! 豪雷雲が近づいてきて、海は大荒れなんだぞ! 助けに行けるわけがない!」

「まったく、魔王軍の幹部を二人も倒したと聞いて、少しばかり期待していたのだが…。思ったよりも期待はずれだったようだな」


 豪華客船から、いたるところに黄金の装飾が施されて胸当てに、黄金に光り輝く竜の紋章が刻印された鎧を着用している金髪美少女が現れた。


「フィーちゃん、初対面の人にそんなことを言っちゃダメだよ。私たちよりも年上なんだから」

「なに、当の本人は海流に呑み込まれていて、聞こえてはいないだろう」


 美少女の隣には、魔法使いが被っているような大きな長帽子に、地面にまで丈がつくローブを着ている、桜髪の少女がいた。


「こうなったら、身体強化して、私が…」

「そこの獣人、無理はするな! 汝の主人は、この私が助けよう」


 金髪の美少女は、何か呪文を唱えた。すると、海面に大きな穴が空き、その中から、大きなシャボン玉に包まれた健太郎が出てきた。


「ご主人様! 大丈夫ですか!」

「カミナリ…キケン…タスケテ…」

「本当に、あのような男が金龍の勲章に選ばれる程の者なのか?」

「私の水晶魔法では、確かにあの人を映しているよ」

「そうか、ミスリル王国からわざわざ会いに来たのだが、とんだ無駄足だったようだな」

「あの、ご主人様を助けていただき、ありがとうございます」

「気にするな、騎士として当然のことをしたまでだ」

「フィーちゃん、そろそろ船が出ちゃうよ」

「そう焦るな、竜騎士を目指す者は、時に身を委ねてだな……」

「騎士道の教えはいいから、それでは、失礼します」


 健太郎を助けた二人は、嵐のように去って行った。
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