幼馴染と9日戦争

ぷるぷる

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第壱章

DAY1 -3人の幼馴染-

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「、、、は~~」

頬杖とため息をつきながら空に浮かぶ綿菓子のような雲を眺める。

雲って味すんのかなぁ。

「ルーク。」

「へ、はい!」

「ぼーっと窓の向こうばかり見てないで授業に集中しなさい。ほら、この絵について説明してみろ。」

 ルドルフ魔法学院に通うルークは黒髪のよく似合う青年だった。学力はあまり高くなく現在行われている魔法史の授業は特に頭に入ってこなかった。


「これは男の子と女の子が額をくっつけあってますね。男の人は目を閉じてますけど、女の人は泣いてます。一体何があったんでしょうか。」

「それを俺は聞いている。」

「優しいシュタルク先生なら教えてくださると思ったんですが。。」

「あいにく俺は男を可愛がる趣味はないんでな。」

 魔法史を担当するシュタルクは銀髪の高身長イケメンであり、ファンになる女子生徒は数知れない。まだ結婚していないことも人気の秘密であるが、兼ねてから想いを寄せている女性がいるとの噂。きっと誰かが告白でもして得た情報なのだろう。

「じゃあ代わりにユウナ。この絵について解説してみなさい。」

 ユウナは鮮やかな茶髪をした容姿端麗な生徒だった。学力も校内で常にトップクラスを維持しており、まさに才色兼備という言葉の似合う女性だった。ルークとは幼馴染みであり、今回のようにルークのフォローを頼まれることが多かった。

「これは戦死したジークを恋人であるリーシャが自らの命を犠牲に蘇生魔法ダルセーニョをかけている場面を描写した絵です。」

「ん。素晴らしい。ルーク君にも見習ってほしいものだな。」

「ルークには無理です。」

「なーにを!俺だって本気出せばこんなのちょちょいのちょいだって!」

「まあまあ喧嘩をするな。ちなみにこの英雄ジークは瞳が赤いことで有名だ。これはジークのフォニム量に由来しておりアコルト現象と呼ばれる稀な症状による者だ。私が推察するにこの症状によってジークの潜在的な力がより増大し…」

 シュタルクは時々授業中に語り始めてしまうところが悪い癖だった。

「ならこの彫刻について答えてみてよ。」

 ユウナはシュタルクを無視して先程のルークの発言に対して挑戦状を叩きつけた。もちろんシュタルクの邪魔をしないように小声で。

「これはー、、おっさんがムキムキに鍛えた自慢ボディをみんなに見せつけるべく後世に残した、、」

キーンコーンカーン

「おっとこれは授業の終わりを告げる神の鐘!!俺は次の実技で忙しいからまた後で解説してやるよ!」

颯爽と教室を出て行くバカをクラスメートは哀れみの目で見送る。

「解説しているのは私なんだが。」

「気にしないでください。。」

「まあ…そうだな。ユウナには悪いがあいつとジャックの成績は芳しくない。これからもフォローを宜しく頼む、、ってそういえばジャックはどこだ??」

ビシャッ!!扉の悲鳴が鳴り響く。

「遅刻だあー!うわっ!よりによって今日の一限シュタルク先生かよぉ~。ナンデモスルンデユルシテクダサイ。」

「遅刻のレベルじゃないわよバカ。」

 気の抜けた声で頭をペコっと下げるバカにすかさずユウナがツッコミを入れる。ジャックも2人の幼馴染みであり、黒髪でルークより短い髪をしていた。しかしルークと体型もよく似ており、間違えられることがしばしばあった。性格はとてもひょうきんでクラスのムードメーカーではあったが、遅刻癖が治らない。

「ユウナ。お前だけはしっかりな。」

「間違ってもこいつらみたいにははなりません。。」

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「へっへーん。やっぱグラウンドには俺が一番乗りか~。」

「ふふっ。ルーク君はいつも早いのね。」

「レイナ先生!実技の授業だけは誰にも負けたくないんで!」

というのは半分冗談で、本当の目的はレイナのダイナマイトボディを眺められる時間を少しでも長くするためだった。金髪の髪がよく似合うレイナの美貌は世界レベルであり、著名な魔法雑誌の表紙を飾ることも少なくなかった。

ユウナもこんくらいでっかくなったら毎日楽しくなるだろうにな。

「おっぱい見すぎ。」

「うわっ!来たのかよ!」

「そりゃ来るわよ。、、、、てかそんな表情で人のおっぱい見ないでくれる??」

「もーちょっとユウナも頑張ろうな。」

ポンと肩を叩こうとする手をひらりとかわす。才色兼備なユウナが唯一恵まれなかったのは胸だった。本人はかなりそれについて悩んでいる。

「ペチャパイも需要あるぜ?」

「黙れジャック。」

「ナンデモスルンデユルシテクダサイ。」

「はいはい喧嘩はそこまで。みんな揃ったみたいだから実技の授業始めるわよ。」

気づけば周りには総勢21名のクラスメートが揃っていた。ルークはダイナマイトボディに夢中になりすぎていたようだ。

「今回の授業はタスキを使います。タスキを尻尾みたいに体操ズボンへ挟み込んでください。2チームに分かれてこのタスキを奪い合い、チーム全員がタスキを奪われてしまったら負けとなります。基本的には身体強化魔法を使って行ってもらいますが、実技ですので状況によっては攻撃魔法を使っても構いません。たーだーし、節度は守ってね??」

「こ、今回の罰ゲームはなんですか??」

生徒全員が生唾を飲む。

「校長先生専用トイレのお掃除です♡」

うげぇーと一斉に声が漏れる。

あんなジジイの専用トイレ掃除なんかやってられるか。てか専用トイレってなんだよ。

「せんせー。」

「はい。なんですかジャック君??」

「うちのクラスの人数じゃ綺麗に割れないから不利なチームでませんか??」

「そうですね。よく気づきましたジャック君。そこで今回はスペシャルゲストを用意しました!この方です!」

その方はぬるっと現れる。

「どもっ!」

「え。校長じゃん。」

「はい!スペシャルゲストはルドルフ校長先生です!」

「いやーレイナ先生の頼みは断れんですわい。」

 ルドルフ魔法学院の校長であるルドルフは白髪のお爺さんだった。身長はとても低く1mあるかないかほどであった。年齢については80近いとの噂であるが肌と性格は老人とは思えないピチピチ加減であった。

「いやいやいや、ジジイ相手に俺らが勝てるわけないじゃん。1対21でも勝てないよ。」

「もちろんハンデをつけます!校長先生にはこのフォニムメッチャオサエールリングをつけてもらい魔法の具現化に必要なエネルギーであるフォニムの排出量を極端に制限させていただきます!なんと10分の1までフォニムを抑えられるんですよ!」

「そーいうことじゃ。これでもはやただのジジイじゃ。のう!レイナ先生!」

「はい!」

 ぐふぐふと息を漏らしながら変態ジジイはレイナ先生にちょっかいを出す。

「あのジジイもおっぱいばっか見て。男っていつまでたってもクソね。あとリングの名前ださすぎ。」

「まあまあ。ペチャパイも需要あるって。あとツッコミ入れなきゃ落ち着かないの?」

「はいそれじゃ、チーム分けするので順番にこのクジを引いていってねー!えーっとそこで鼻を抑えて転がってるジャック君は余りのクジってことでよろしく♡」

「おれいっちばーん!」

早速ルークがクジを引き、釣られて他の生徒も順々に引いていく。

「おれとユウナが同じチームか。てかこっちジジイもいるから余裕だな!ジャックトイレ掃除頑張れよ~!」

「ジジイは変なリングで使い物にならねえかもしれねえぞ。それよりこれ負けたらジジイもトイレ掃除するんですか??」

「それじゃあ面白くないからのう。こういうのはどうじゃ!わしレイナ先生専用便器になる!」

??(一同混乱)??

「よーし始まったら一斉にあのクソイカレポンチジジイのタスキを奪うぞ。」

ジャックのチームは一致団結するのであった。

「はーい!それではみなさん準備はいいですかー??」

男性陣を中心に大きな声で返事をする。全員おっぱいに魅せられているのだ。おっぱいは正義だ。

「あ、ちなみに私は魔法でみなさんの邪魔をしますからね!平等に♡」

ん?

「それじゃースタートー♡」

スタートの合図とともにレイナから青いフォニムが放出され狼が具現化される。召喚魔法でも複数体を同時に操る高等魔法バタリオンだ。全員一斉に狼の対処に追われタスキを奪うどころではなくなった。


ある1人を除いては。


ガブッ!

「ぬおおおおおお!!!これがレイナ先生のプレイですかなああ!!」

「ユウナちゃん。あの変態ジジイ思いっきり噛まれてますけど。」

「あの変態クソジジイは私たちとはいろんな意味で違うの。ルークは噛まれちゃダメよ。」

「うん。あいつみたいに自分から狼にお尻差し出したりできないし。」

「よしっみんなジジイのタスキを奪え!」

ジャックが魔法で火を放射状にばら撒き狼を怯ませて、味方をうまく誘導した。身体強化魔法を用いてジジイに向かって全員が高速で接近する。

「気持ち良いのおお!」

ジジイが歓喜の声を上げている隙に生徒たちはタスキを射程圏内に捉えた。が、その瞬間ジャックのチームはピクリとも動けなくなった。

「迂闊に飛び込んでくるとはまだまだひよっこじゃのう。」

ルドルフの周りを半球状に紫のフォニムが覆っていた。

「何しやがったあのジジイ!」

「動きを封印されたのよ。ジジ、、じゃなくてルドルフ校長先生は封印魔法がお得意ですから♡」

「そのとーりじゃレイナちゃん!わしレイナちゃんのために頑張る!」

「はい!頑張ってください♡」

「レイナ先生、校長の応援かよ~。俺も応援されたいなー。」

「バカ言ってないで今のうちに動けない子達のタスキとった方がいいわよ。てかそもそもあのジジイ負けたら先生の便器になるとかいうとんでもないマニフェストかがげてるから、そりゃ応援するでしょ。」

「それもそーだな。ジャック悪いけど遠慮しないからなー!」

「おいおいまじかよ。動きの封印とか聞いたことねえよ。あのジジイ色々イカレポンチじゃねーか。ちょっと止まれルーク!こんな早く白黒ついても楽しくねーぞ!」

「やーだね!タスキいただきーー!!」

ピタッ。

「は?」

「あ、わしの魔法の効果範囲に入ったらそりゃそうなるぞ。」

「解いてよ。」

「無理じゃ。今解いたらみんな動き出す。諦めておくれ。」

「ルーク…。封印魔法はそれを解く鍵が必ず術者によって用意されるはずよ。それを見つけて解きなさい。」

「そんなこと言われましてもねぇ。鍵って何。」

「鍵は物理的な物もあれば目に見えぬものもある。後者で言えば積年の自らの過ちに対する深い自責の念など心情を利用するものが多いのう。今回の鍵もそういった類のものじゃ。まあ答えを探る探知魔法も使えぬお主では鍵を見つけるのは難しいじゃろうのう。」

「うん。いきなり漢字ばっかで何いってんのかさっぱりだ。ユウナ助けて~、、って、ウチのチームほぼやられてんじゃん!!」

「ジジイが動かないと分かればこっちにもやりようがあるんだよ。まあユウナは流石に簡単にはいかないわ。」

「ちょっとジャックの相手するからルークは1人で頑張って。」

そう言い残すと2人は激しくフォニムを放出し各々の魔法で敵のノックアウトを狙っている。

「ふむ。ジャックは四属性魔法でユウナはレイナ先生と同じ召喚魔法か。どちらもフォニムの潜在量からして非凡な才能じゃな。」

 ユウナは勿論のことジャックも勉強こそできないが実技に関しては校内で右に出る者はほとんどいなかった。

「ユウナ~。頑張ってジャックを倒して~。そして助けて~。」

 ふむ。しかし一番とんでもないのはこやつか。あの2人もじゃがこやつもとんでもないフォニムを秘めているのを肌でビシビシ感じるわい。この3人が幼馴染とは何の縁かのう。


 ジャックの四属性魔法によって、大地はところどころが飛び出し、風は吹き荒れ炎と水がうねりをあげてユウナに襲いかかる。しかしユウナは自らが召喚した美しい青い鳥に飛び乗り、舞うようにかわす。同時に別の3羽の鳥たちがジャックのタスキをめがけて迫っている。

「あらあら。お二人とも攻撃魔法は控えめにっていったのに。これでは私が邪魔する意味もないですね。」

「くー、なかなか時間かかりそうな感じだな。。ジジイ俺たちどーすんの。」

「うむ。わしもフォニムを抑えられとって動きながら封印術は使えそうにないからのう。あの2人が決着つくまでしばらくこのままかの。尻も心地よいしな。」

 狼の動きも封印されているのでジジイのお尻に噛み付いたままである。

「暇なら自力で鍵を見つけるんじゃな。ほっほっほ。」

「うげー。あいつらの勝負なかなか決着つきそうにないんだよな~。あ、でもユウナが違う召喚してるじゃん!あのトラめっちゃ強そう!!」

「いや、、、あれはおかしいのう。」

 青いトラは目で追うのが難しいほど素早いスピードで跳躍し、気づけばルドルフの封印術圏内にまで入り込んでいた。

「ガルルルルゥゥ!!」

 牙を向けたトラはルドルフの封印術にかかるものの、モゴモゴともがいている。

「ジジイの封印術の中でちょっと動いてるぞ!このトラとんでもなく強いんじゃね?!」

 続けざまに二頭の別のトラが封印術に挑み、同じようにもがき始める。

「これはまずいのう。流石にこの力で暴れられては。それにあの数は、、」

 気づけば20頭ほどのトラがグラウンド内に解き放たれていた。

「えっえっえ!流石にレイナ先生やりすぎじゃない?!、、ってー、レイナ先生は??」

 さっきまでグランドの片隅にいたレイナがいない。

もっとダイナマイトボディ眺めたかったのに。

「嫌な予感がするのぉ。おい小僧ども封印の鍵を教えるからわしの術から脱出しろ!抜け出た後は逃げるなりして自分の身を守るのじゃ!ユウナとジャックはできる範囲でトラに応戦しろ!」

 この頃には9頭のトラが封印術に入り込んでいた。球状に広がっていた紫のフォニムは原型を留めておらず、今にも封印が破られそうである。

「わしのことをカッコいいイケイケダンディズムお兄さんと思え!その心が今回の鍵じゃ!」

「死ぬほどだせえ鍵だな。。お兄さんってのがまた。。」

 続々と同級生が封印術から解放され身を守り始める。トラはルドルフの言葉を理解できず未だにもがいたままだ。あ、ルークも。

「ルーク!はよぉせんか!」

「なんだろう。イケイケダンディズムジジイとは思ってはいるんだけど、心が抵抗してるのかな??」

「ばかたれ!!お兄さんじゃ!!お主もトラと戦い学院を守れ!!」

 ユウナとジャックはそれぞれ一体ずつトラと向き合って戦っていた。ルドルフが半数以上のトラの動きを封じているが残りのトラたちが生徒を襲う。やっとの事で抜け出たルークは瞬時に剣を抜き、爆発的に身体強化を行ってトラに斬りかかった。

 しかしそれよりも速くルークに向かってあるものが斬りかかってきた。刹那の判断で体をねじり、大剣をギリギリでかわしたルークはそのものと対峙する。

「ヴォルフ先生!なんで?!」

 目の前に立っていたのは白髪の教師であるヴォルフだった。彼は体一つ分ほどもある大剣を手に取り、並外れた赤いフォニムで体を覆っていた。身体強化系の魔法だろうがとにかく危ないことをルークは本能的に感じ取っていた。

「邪魔だ。」

そう言い放つとルークはヴォルフを見失う。その直後、鼓膜をつんざくような破裂音が響き渡る。

「…?!シュタルク先生!!」

 ヴォルフの大剣をシュタルクが氷の双剣で止めていた。しかしヴォルフの圧倒的な威力によりシュタルクの足は地面にめり込んでいた。

「シュタルク。私の邪魔をする気か?」

「生徒を守るのは教師の仕事だろうが!!ルークにげろ!!」

 ルークは足に力を入れこの場を去ろうとする。しかし、

「…く、くそっ!う、動けぇ!」

 いつもと違うヴォルフの姿と肌で感じた本物の殺意に当てられてルークの体は言うことを聞かなくなっていた。

「くっ!‥ルーク受け身は上手く取れよ!!ふん!!!」

 シュタルクの魔法により地面が瞬時に迫り上がる。その勢いでルークは宙に投げ出された。

「ユウナ!!ルークを受け取れ!!」

 その言葉に即座に反応したユウナは青い鳥を使わせルークを華麗にキャッチする。

「ルーク!大丈夫?!」

「あぁ、、なんとかな。ありがとうユウナ。でも何が何だか、、」

 気づけば周りにはトラ以外にもプテラノドンのようなものが飛び回っていた。

 ヴォルフはいつの間にかルドルフに迫っており封印術を破っていた。

「大魔法士ルドルフといえどフォニムを抑えられればこの程度か。」

「お主ら。何をしておるかわかっておるのか。」

「貴様こそ本当に俺たちの成そうとしていることがわかっているのか?」

「…!そういうことか。」

「もう遅い。は頂くぞ。」

 斬りかかるヴォルフに対し魔法で応戦するルドルフは防戦一方となる。赤と紫の二つの力の衝突により歪められた大地と空間はこの世の終わりを連想させるほど壮絶であった。

「2人とも大丈夫か!!」

 ジャックが風に乗りルークとユウナのいる鳥に飛び乗る。

「ええ!今の所は無事よ!、、、でもね。3人は定員オーバーよ。」

 鳥は見事に垂直落下し始めた。

「うわあああああ!!もう嫌だああああ!!ワープして逃げたいよおおおお!!」

「ジャックのバカやろおおおおお!!」

「二人とも掴まないで!!きゃああああああ!!!」

3人は向かい合う形で抱き合い、頭から落ちていく。


 あの3人は無事なようじゃのう。シュタルクが生徒を守ってはおるが、いくらかやられておる。それにグラウンドだけではなく学院内もフォニムの荒れを感じるのう。このままでは…

「ルドルフ!お前の時代はもう終わりだ!!」

 より一層大きなフォニムをまとったヴォルフがルドルフを襲う。

「…なら、次の時代に賭けてみるかのう。」


 垂直落下している3人の元に一瞬でルドルフが瞬間移動をする。そのまま右手と左手でルークとユウナの肩を持ちジャックには額を合わせる形で接触する。

「主らに託す。」

「?!!?!!!」

 何かが体の中に流れ込む感触を各々が抱き、次の瞬間3人はグラウンドから姿を消した。

「今更何をしても好転などせんぞ!!」

 ヴォルフは地面を強く蹴り、空中に浮遊するルドルフを追撃する。

「それはわしらの決めることではない。」

 ルドルフが胸の前で合掌をするとグラウンドを含めた学院全体にのフォニムが埋め尽くす。

「…その色は!!!!貴様ぁっ!!!!」

「しばらくの間互いに眠ろうぞ。」
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