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第壱章
DAY2 -冒険の幕開け-
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「……どこ。ここ。」
辺りは暗く木々が生い茂っている。
「…森…かな??」
「何が起きたってんだよぉ。ま、まさか、、、」
「どーしたジャック??」
「いや、、その、、怒らずに聞いてくれるか??」
「事による。」
「ユウナは冷たいなあ。実はさっきな、、鳥が真下に落ちてる時に、ワープシテニゲタイヨォ的な軟弱発言をしてしまったんだ。。それが原因で今こうして、、」
「違うから。絶対ジジイの魔法だから。」
「デスヨネー。」
「そんなしょーもないこと言ってる場合じゃないわ。とにかくここがどこだか考えないと。」
「その前に学院は?!無事なのか?!」
「…ルドルフ校長は変なリングのせいで本調子じゃないし、さらに生徒を守りながら戦ってた。シュタルク先生が加勢に入ってたけど、相手は謎の召喚獣とヴォルフ先生。」
「状況から考えて無事じゃないだろうな。相手がヴォルフってのも厄介だ。それにしてもルーク、よくアイツの一撃喰らって無事だったな。アイツちまたじゃ『剣聖』って呼ばれてるくらいの達人だぞ。」
「…あの時は咄嗟に体が反応しただけだよ。その後は無様に震えて…。シュタルク先生が来てなかったら俺は死ん…」
その事実を口にしようとするだけで、体がまた震え始めた。きっと心の底から、疑いようが微塵もないほどに、事実がその通りなのだと体が理解してるのだろう。
「…それにあの召喚獣。多分…レイナ先生よね。」
「断定はできないが、あの時姿が見えなかったのが気になるな。十中八九ユウナの言う通りだと思う。」
「一体なんでこんなことを…。」
「とにかく、それを考えるにしても今私たちのおかれている状況を理解しないと行動に移せな…」
草をかき分ける音が聞こえた。密やかに行動する様子はなく、威圧的にさえ感じる。
3人は一斉に臨戦態勢に入った。
「魔物か?」
「可能性はあるわ。私たちのいた場所みたいに治安が良いところとは限らないもの。」
音の正体は、樹木を掻き分け姿を現した。
大量の足を持ったその姿は恐ろしさもあったが、よく見かけたことのあるフォルムだった。
「なーんだ。でっかいムカデか。」
ルークは構えていた剣を収める。ムカデ自身もこちらに興味はないようで、他所へと向かっていた。
「デカすぎるけどね。俺らと変わらないくらいあるじゃないか。」
「……!!」
「どーしたユウナ??後ろに隠れて。らしくないぞ。」
「むむむし、、き、きらいなの!!」
ルークとジャックは驚いた顔で見合わせ、次第ににやけ顔になる。
「そーかそーか。ほれほれムカデがムカッデ(向かって)くるかもよ~。」
「ううう。。」
「ありゃ。華麗なツッコミ期待したのに。どうやらマジらしいぞ。」
「とにかくちょっと離れるかぁ。今はとやかく考えてもまとまりそうにないし、なんなら夜だしいいとこ見つけて寝ようぜ。…ん?てかなんで夜??」
「そ、それだけ、、は、離れた場所まで飛ばされたのかも、、、」
「まーじで!てか怖がるユウナなんて見る機会あんまないから楽しいなー。ヨワミニギッタゾ。」
ぐふぐふと笑うジャック。ユウナに蹴りを入れられた後、3人は見晴らしのいい場所にある大きな樹の下で眠ることにした。
「とりあえず、わたしの召喚獣を3匹ほど見張りにつけるから、なにかあった時はすぐ対処できるようにだけしててね。」
「おっきな虫が出たら助けてくださいオウジサマ~。でしょ??」
「ジャック覚えとけよ。」
「ナンデモスルンデユルシテクダサイ。」
こうしてバタバタした1日を見知らぬ森で終える3人であった。
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鳥の鳴き声で目を覚ますルーク。しかしルークはあまり寝た気がしなかった。辺りを見渡すとユウナが樹の幹に寄りかかって座り込んでいるのが見えた
「おはよ。ユウナ??…まさかずっと起きてたの?」
「ええ。と言っても4時間くらいしか経ってないわ。多分、私たちが飛ばされた時間帯は明け方に近かったのね。」
「まあどのみちあんだけでかい虫が出たらユウナちゃんに寝ることは厳しいでしょう。」
ジャックも2人の会話で身を覚ました様子だった。
「ていうかこんなところで眠れるあんたらの方がおかしいと思うんだけど。。」
「これからどーするよルーク。」
「学院のことは気になるけど、とりあえず町みたいなとこ探してどこにいるかだけでも把握しようか。」
「そうね。でもちょっといいかしら。」
「なに??」
ルークとジャックは声を合わせて返事する。こいつら本当に似たもの同士だよなぁと思うユウナであった。
「さっきそこで川を見つけたの。」
「あー飲み水ね!」
「それもあるけど、昨日からバタバタしてて、、ちょっと水浴びしてきてもいい??」
「いいぞー。」
またしても声を揃えて返事をする。
「絶対のぞいたりしないでよ!」
「絶対覗かねえよ。ペチャパイ興味ないし。」
「俺も。」
「、、!!!昨日はペチャパイも需要あるって言ってたじゃない!!!!」
ユウナがルークに激しくビンタし、川に向かって走り出す。
「昨日ペチャパイも需要あるって言ったのジャックだよな??俺なにも言ってないのに殴られたぞ??」
「ルークモオトメゴゴロヲリカイシナイトネエ。」
「どゆこと??」
「うーん。まあいいや。それよりさ!おれはユウナの意志を組んでやろうと思うんだが。」
「と、いうと??」
「だーかーらー!あいつペチャパイの私の体なんて興味がないのね!グスッ。ってな感じで怒ったわけじゃん??この怒りを鎮めてやるには、私の体はやっぱり魅力的なのね!って思わせることだと思うわけよ。つーまーり!」
「覗きに行くってことか!」
「ゴメイトウ。では私の作戦を今から話すのでよ~く聞いて理解するように。」
「任せろ相棒!」
「いーかルーク。ユウナのことだ。警戒心は半端じゃないからきっと召喚獣に見張りをさせるなりして近くの状況を察知しているはずだ。そこで我々はゆっくり近づき、ユウナの警戒範囲内に入ったらじっとする。それだけだ。」
「え??覗けないじゃん。」
「いーかルーク。おれらが完璧にのぞいたとしよう。それはつまり、俺たちが覗きにきたことをユウナが気づいてないってことだ。これでは自信を取り戻せない。それになんかその後俺たちが一方的に気まずくなる。それは避けたい。」
「言いたいことはわかるよ??でもそれって覗きに行ってわざとバレてユウナに追い回されるってことだよな??、、、あいつなにするかわかんねえぞ??」
「うむ。その通りだ。そこでこの作戦二手に分かれて行動する。どちらかはやられるかもしれないがその時は全てを受け入れて裁きを受けよう。裁かれなかった方は相方に感謝の念を忘れないように。」
(まあさっきのビンタを見る限りやられるのは絶対ルークだけどねー。)と思うジャックであった。
「あとルーク。間違っても暴走したりすんなよ?」
「するわけねーだろ。ペチャパイには興味ないんだって。」
「なら問題ない。それでは武運を祈る。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「はーーー。。どーして男っておっぱいばっかに目がいくのかなあ。私ももっとこう、こう、こんな感じにおっぱいでかかったらなあ。」
変身魔法の応用をしてユウナはいつもの2倍、いや3倍ほどの大きさに変えながら水浴びをしていた。
「ルークのおっぱい好きと言ったら。。魔法でごまかしてもしんどいだけだしなぁ。やっぱ牛乳のも。牛乳。牛みたいにでかくならないかなぁ。。」
(だいぶ近づいたな。ルークはーっと、あそこか。いい位置だな。これでやられるのはあいつだから俺はここでじっとしよう。…しかしあれだな。このチャンス逃すのは男として…ダメだと思う。うん。俺はクズじゃない。やられるのはルークだしちらっとだけ拝見させてもらってもバチは当たらんだろう。ちらーっと…ってあいつ変身魔法で爆乳になってやがる!まずい。そんなに気にしてたのか…。ってことは召喚獣に警備させるのを忘れてる可能性も。。やばいこのままではルークが爆乳みて暴走す…あーだめだ。ルークの目が逝っちゃってます。あいつ徐々に近づいてますよ。ありゃきっと無意識ですな。もーユウナにバレるぞ。ほれバレろ。ほれ。ほれ。
…やーいバレたー!ぐふぐふ。鼻血吹き出して飛んでったぞあいつ。あーあ。こりゃ余計に巨乳の需要を意識させちまったかなあ。まあでも想定外が重なっちまったし仕方ねえ。戻って何事もなかったかのように待っとくか。あいつら戻ってきたらなんて最初に声かけようかなーっ。ルークどーしたんだその傷は!なに??覗きに行ったのか??とかかな。ぐふぐふ。しかしそれだとルークキレそうだな。まあ適当に煽っとけば面白くもなるし俺も1発くらい殴られるだろ。)
「ペチャパイも需要あるぜ!ってな!」
「なんだって??」
背後に恐ろしくフォニムを放出するユウナが立っていた。右手にはルークとおぼしき人?人形??みたいなのをひこずっている。
「…ナンデモスルンデユルシテクダサイ」
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ユウナは色々あった森を抜け町を目指して半日ほど歩を進めていた。
「ここの辺りは道ができてるわね。そろそろ町かしら。」
ユウナがそう呟くとまだ遠くではあるが町らしきものが見えてきた。大きな風車が印象的だ。
「宿か何かあると助かるのだけど。。とにかく人を探しましょう。」
数分後、畑を耕すおばさんをユウナが見つける。
「こんにちは。つかぬ事をお聞きするのですがこの町の名前を教えていただけませんか??」
「名前ですか??ここはシャ、、きゃあ!!どーされたんですか??そのひこずられている2人は!?血まみれですよ??」
「あー。これはですね。そのー。ま、まもの!魔物に襲われて命からがらここまで逃げてきたんですぅ。できればこの町に宿のようなところがあれば手当もできて嬉しいのですが。グスッ。」
咄嗟に胡散臭い演技をしてしまったユウナは恥ずかしくなり顔を赤らめる。
「まあまあ。ここらで魔物が出ることなんてそうそうないのに…大変でしたね。それでしたらうちに泊まるといいわ!とにかく早くその子たちを手当しましょう!」
(うっ。おばさんの優しさで胸が痛い。でもここはお言葉に甘えさせてもらってこいつらの手当をさせてもらおうかな。我ながらやりすぎたし。てかこいつらもあまりに無抵抗だったからこんなにもダメージ負うのよ。)
畑を少し進んだところに小さな木の一軒家が立っていた。年季が入っているものの、持ち主に大切にされてきたのがよくわかる出で立ちであった。
「まあまあ。本当にこっぴどくやられていますね。こんな凶暴な魔物が出るのならちょっと対策立てないとこの町も危ないわね。」
「えーっと、さっきその魔物倒してきたので心配しなくてもいいですよーっ!!」
「あら。さっきは逃げてきたって。」
「いやっ、そのーっ、あれっ?ドーダッタカナー??」
ジャックみたいな口調になった自分を殴りたいと思うユウナだった。
「きっと怖い目にあって混乱してるのね。あなたもゆっくりやすみなさい。いまから食事の準備をするから待っててね。」
「いえいえ!そんなお気になさらず。。」
「いいのよ。久しぶりに子供達が帰ってきたみたいで嬉しいの。主人ももうすぐ帰ってくるからよかったら相手をしてあげて?」
「…ありがとうございます。」
(優しい人もいるものね。それに比べて私。ちょっとおっぱいのこといじられたからってこいつらボコボコにして大人気なかったな。次からはもっと大人の女性を目指そ。おっぱいなくたってレイナ先生になんて負けやしないんだから!)
木製の扉が開く特有の音が響いた。
「ただいまーっ。っうお。これはこれはお客様で。」
「すみませんお邪魔してます。」
「いえいえ、その男の子2人を見る限り何かあったんでしょう。まだ若いのに大変でしたね。15歳くらいかい??」
「いえ今年で18になります。」
「ほう。(おっぱいに向けられる熱い視線)……そうか。」
(こいつ。おっぱいで年齢判断しやがったな。)
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食器同士の当たる音や咀嚼音に加え、喉を鳴らしながら勢いよく飲み干す者たちで食卓は賑わっていた。
「おかわり!」
「おかわり!」
「あんたら遠慮って言葉知ってる??」
「いいのよ。こんなに美味しそうに食べてくれておばさん嬉しいわ。あなたも遠慮しないで欲しいものがあったら言ってね。」
「すみません。…じゃあ牛乳をもう一杯頂けますか??」
「ユウナそんな牛乳好きだったっけ??」
「え、ええ。甘くて美味しいじゃない。」
「そういえばお名前は何ていうのかしら??」
「おれルークです!」
「私はユウナと申します。」
「おれはジャックって言います。」
「みなさんいい名前ね。私はモミジと言います。主人はボブっていうんですよ。」
「うん。わかる。すごくボブっぽい顔してるもん。」
すかさずジャックの足をユウナが蹴る。
「ボブさんかあ。なんか俺ボブさんに会ったことある気がするんだけど…気のせいですかね??」
「あー。多分あれだよ。ミュンヘンの彫刻だろ。」
「あ、言われてみればそうですね。」
「みゅんへんのちょーこく??」
「ほら。つい最近の授業で私がこの彫刻何って聞いたでしょ??あれがミュンヘンの彫刻っていうのよ。」
「あれか!顔も似てるしおじさんムキムキだからすっげえ似てますね!」
「まあミュンヘンの子孫だからな。」
「ミュンヘンの子孫!?すごいですね。ということはもしかしてここはシャトーという町ですか??」
「そうよ。ここは風車の町シャトー。食べ物も電気も自分たちで作って生活してるとってものどかな町よ。あ、でもあなた。なんでも凶暴な魔物が現れたそうよ。それでこの子たち襲われたみたいで。」
「なに?そりゃ気の毒だったな。今度退治しに行かなければならんな。どんな魔物だったか特徴を教えてくれるか?」
「ペチャパ…」
ガンッ!ルークの足は魔物によって蹴り飛ばされた。
「…?ペチャパ…?」
「私たちの故郷にはペチャパっていうゴリラみたいな魔物が現れるんです!それに似てたからペチャパかなあって!」
(本当に情けない。穴があったら入りたい…。)と思うユウナの傍で、ジャックは肩を震わして笑っていた。ユウナは必ずジャックを血祭りに上げると心に強く決めた。
「ゴリラね。見つけたら退治しておこう。」
「おじさん強そうだなあ。」
「そりゃ英雄ミュンヘンの子孫だからな。細かい魔法は得意じゃねえが、身体強化系の魔法なら自身がある。こんな感じにな!」
そういうと体を包むように赤いフォニムが放出される。そしてルークはヴォルフのことを思い出した。同時に自分がヴォルフに対してなにもできなかったことも。
「………」
「どうした?お前らの故郷じゃ珍しくない魔法だったか??」
「いえ。……実は俺も身体強化系の魔法をよく使うんですけど、よかったらその魔法の使い方教えていただけませんか?」
「…やめておけ。この魔法はある程度の攻撃なら弾くし便利ではあるが、その分フォニムの消費が激しい。それに今のお前の肉体じゃ耐えられねえよ。」
「じゃあ修行します!その魔法使えるようにならなきゃいけないんです!」
「なんか訳ありみたいだが、悪いことは言わん。やめとけ。軽はずみで見せた俺も悪かったが、俺もこの術身につけるために苦労したんだ。本当の意味で死ぬかと思ったよ。」
「はいはい。ルドルフさんにしごかれたんでしょう。その話は長くなるからやめてあげて。」
「ルドルフのジジイを知ってるんですか?!」
「…?ああ。おれはルドルフ魔法学院の卒業生だからな。」
「実は私たち、そのルドルフ魔法学院に通っている生徒なんです。」
「なんだって?それがなんでこんな遠い地にいるんだい。」
「実は………」
ユウナはありのまま起きたことを伝えた。実技の途中に大量の召喚獣によって学院が攻められたこと。先生の1人がルドルフ校長に斬りかかったこと。そしてルドルフ校長によって私たちは見知らぬ町に飛ばされたこと。
「なるほどな。それで教師の1人がこの魔法を使っていてそいつと張り合うために同じものを覚える必要があると思ったんだな。」
「はい。みんなを助けたいんです。」
「でもルーク。言い方がよくないかもしれないけど、今更遅いと思うわ。もう丸一日以上たってるもの。どんな結果であれ学院では決着がついてると思う。それにここから学院まで行こうとしたら飛空艇を使っても1日以上かかる距離よ。」
「いや。そうとも限らんぞ。」
「どういうことですか??もっと良い移動手段をお持ちなんですか?」
「ああすまん、そっちじゃない。学院で決着がついているかも…って方に関してだ。お前らルドルフ校長によってここまで空間転移してきたわけだろ??そりゃただ逃がすためにやったとは考えづらい。」
「じゃー、なんのために逃がしたんですか??」
「恐らくルドルフ校長はお前らを逃がした後お得意の封印魔法で学院の時間か何かを封印してると思う。」
「時間を封印?!んなこと…あーでもあのイカレポンチジジイならできそうだな。。」
「つまり今の学院は私たちが空間転移する直前のままである可能性が高いと??」
「だと思うな。その証拠にお前らからは別のフォニムをかすかに感じる。」
「別のフォニム??」
「ああ。お前ら自身のフォニムとは別に何か違うものを感じる。反応が小さくて詳しくはわからねえが、きっとお前らはその封印の鍵にされたんだ。」
「?!」
ルークとジャックが顔を見合わせる。
「あーすまん。語弊があった。そこのあー、ジャック君かな?君からは何も感じない。」
「何でだよ!そういう仲間外れ的なのよくないと思うな!」
「つまり私とルークが学院に戻れば、封印が解放され学院の時間が動き出すと??」
「ユウナつっこんでよ!」
「まあ憶測の範囲だが可能性は高いと思う。」
「じゃあなおさら修行した方がいいじゃん!」
「そうだな。その話を聞かされたら流石に協力せざるおえんな。」
「…!!ありがとうございます!!」
「なら私たちも修行して万全の体制で向かった方がいいわね。時間もたっぷりあるみたいだし。」
「それなんだか時間はたっぷりあるとは思えねえ。」
「え?」
「ルドルフ校長はきっと自分ごと時間を止めて封印してる。そうしないとフォニムが枯渇し続けてすぐ封印が解けるからな。だけどこれだとルドルフ校長は外敵からの封印解除に対して抵抗ができない。学院を襲おうっていうんだから敵はそれなりの集団であるはずだ。学院外で控えていた敵がもしいるのなら、そいつらはきっと封印を解こうとする。解かれたらその時点でアウトだ。まず間違いなく学院は崩壊する。」
「てことはほとんど時間ないようなもんじゃん!」
「そうなるな。まあわざわざここまで空間転移させたんだ。校長的には一ヶ月くらいの猶予は見てるんじゃないか?」
「そんなに長く封印が解かれないものですか??」
「ルドルフ校長をなめるな。だがそれだけの膨大なフォニムを消費したということは封印が解けたらルドルフ校長は多分戦えないだろう。その点も加味して修行するように。明日から始めるから今日はよく休んどけ。」
(…それにしても、学院を襲うなんて。敵は何を考えてるんだ??やばい企みがあるようにしか思えねぇ。仕方ねえ。あいつらにも声をかけてみるか。これは久々に命をかける必要があるかもな…。)
辺りは暗く木々が生い茂っている。
「…森…かな??」
「何が起きたってんだよぉ。ま、まさか、、、」
「どーしたジャック??」
「いや、、その、、怒らずに聞いてくれるか??」
「事による。」
「ユウナは冷たいなあ。実はさっきな、、鳥が真下に落ちてる時に、ワープシテニゲタイヨォ的な軟弱発言をしてしまったんだ。。それが原因で今こうして、、」
「違うから。絶対ジジイの魔法だから。」
「デスヨネー。」
「そんなしょーもないこと言ってる場合じゃないわ。とにかくここがどこだか考えないと。」
「その前に学院は?!無事なのか?!」
「…ルドルフ校長は変なリングのせいで本調子じゃないし、さらに生徒を守りながら戦ってた。シュタルク先生が加勢に入ってたけど、相手は謎の召喚獣とヴォルフ先生。」
「状況から考えて無事じゃないだろうな。相手がヴォルフってのも厄介だ。それにしてもルーク、よくアイツの一撃喰らって無事だったな。アイツちまたじゃ『剣聖』って呼ばれてるくらいの達人だぞ。」
「…あの時は咄嗟に体が反応しただけだよ。その後は無様に震えて…。シュタルク先生が来てなかったら俺は死ん…」
その事実を口にしようとするだけで、体がまた震え始めた。きっと心の底から、疑いようが微塵もないほどに、事実がその通りなのだと体が理解してるのだろう。
「…それにあの召喚獣。多分…レイナ先生よね。」
「断定はできないが、あの時姿が見えなかったのが気になるな。十中八九ユウナの言う通りだと思う。」
「一体なんでこんなことを…。」
「とにかく、それを考えるにしても今私たちのおかれている状況を理解しないと行動に移せな…」
草をかき分ける音が聞こえた。密やかに行動する様子はなく、威圧的にさえ感じる。
3人は一斉に臨戦態勢に入った。
「魔物か?」
「可能性はあるわ。私たちのいた場所みたいに治安が良いところとは限らないもの。」
音の正体は、樹木を掻き分け姿を現した。
大量の足を持ったその姿は恐ろしさもあったが、よく見かけたことのあるフォルムだった。
「なーんだ。でっかいムカデか。」
ルークは構えていた剣を収める。ムカデ自身もこちらに興味はないようで、他所へと向かっていた。
「デカすぎるけどね。俺らと変わらないくらいあるじゃないか。」
「……!!」
「どーしたユウナ??後ろに隠れて。らしくないぞ。」
「むむむし、、き、きらいなの!!」
ルークとジャックは驚いた顔で見合わせ、次第ににやけ顔になる。
「そーかそーか。ほれほれムカデがムカッデ(向かって)くるかもよ~。」
「ううう。。」
「ありゃ。華麗なツッコミ期待したのに。どうやらマジらしいぞ。」
「とにかくちょっと離れるかぁ。今はとやかく考えてもまとまりそうにないし、なんなら夜だしいいとこ見つけて寝ようぜ。…ん?てかなんで夜??」
「そ、それだけ、、は、離れた場所まで飛ばされたのかも、、、」
「まーじで!てか怖がるユウナなんて見る機会あんまないから楽しいなー。ヨワミニギッタゾ。」
ぐふぐふと笑うジャック。ユウナに蹴りを入れられた後、3人は見晴らしのいい場所にある大きな樹の下で眠ることにした。
「とりあえず、わたしの召喚獣を3匹ほど見張りにつけるから、なにかあった時はすぐ対処できるようにだけしててね。」
「おっきな虫が出たら助けてくださいオウジサマ~。でしょ??」
「ジャック覚えとけよ。」
「ナンデモスルンデユルシテクダサイ。」
こうしてバタバタした1日を見知らぬ森で終える3人であった。
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鳥の鳴き声で目を覚ますルーク。しかしルークはあまり寝た気がしなかった。辺りを見渡すとユウナが樹の幹に寄りかかって座り込んでいるのが見えた
「おはよ。ユウナ??…まさかずっと起きてたの?」
「ええ。と言っても4時間くらいしか経ってないわ。多分、私たちが飛ばされた時間帯は明け方に近かったのね。」
「まあどのみちあんだけでかい虫が出たらユウナちゃんに寝ることは厳しいでしょう。」
ジャックも2人の会話で身を覚ました様子だった。
「ていうかこんなところで眠れるあんたらの方がおかしいと思うんだけど。。」
「これからどーするよルーク。」
「学院のことは気になるけど、とりあえず町みたいなとこ探してどこにいるかだけでも把握しようか。」
「そうね。でもちょっといいかしら。」
「なに??」
ルークとジャックは声を合わせて返事する。こいつら本当に似たもの同士だよなぁと思うユウナであった。
「さっきそこで川を見つけたの。」
「あー飲み水ね!」
「それもあるけど、昨日からバタバタしてて、、ちょっと水浴びしてきてもいい??」
「いいぞー。」
またしても声を揃えて返事をする。
「絶対のぞいたりしないでよ!」
「絶対覗かねえよ。ペチャパイ興味ないし。」
「俺も。」
「、、!!!昨日はペチャパイも需要あるって言ってたじゃない!!!!」
ユウナがルークに激しくビンタし、川に向かって走り出す。
「昨日ペチャパイも需要あるって言ったのジャックだよな??俺なにも言ってないのに殴られたぞ??」
「ルークモオトメゴゴロヲリカイシナイトネエ。」
「どゆこと??」
「うーん。まあいいや。それよりさ!おれはユウナの意志を組んでやろうと思うんだが。」
「と、いうと??」
「だーかーらー!あいつペチャパイの私の体なんて興味がないのね!グスッ。ってな感じで怒ったわけじゃん??この怒りを鎮めてやるには、私の体はやっぱり魅力的なのね!って思わせることだと思うわけよ。つーまーり!」
「覗きに行くってことか!」
「ゴメイトウ。では私の作戦を今から話すのでよ~く聞いて理解するように。」
「任せろ相棒!」
「いーかルーク。ユウナのことだ。警戒心は半端じゃないからきっと召喚獣に見張りをさせるなりして近くの状況を察知しているはずだ。そこで我々はゆっくり近づき、ユウナの警戒範囲内に入ったらじっとする。それだけだ。」
「え??覗けないじゃん。」
「いーかルーク。おれらが完璧にのぞいたとしよう。それはつまり、俺たちが覗きにきたことをユウナが気づいてないってことだ。これでは自信を取り戻せない。それになんかその後俺たちが一方的に気まずくなる。それは避けたい。」
「言いたいことはわかるよ??でもそれって覗きに行ってわざとバレてユウナに追い回されるってことだよな??、、、あいつなにするかわかんねえぞ??」
「うむ。その通りだ。そこでこの作戦二手に分かれて行動する。どちらかはやられるかもしれないがその時は全てを受け入れて裁きを受けよう。裁かれなかった方は相方に感謝の念を忘れないように。」
(まあさっきのビンタを見る限りやられるのは絶対ルークだけどねー。)と思うジャックであった。
「あとルーク。間違っても暴走したりすんなよ?」
「するわけねーだろ。ペチャパイには興味ないんだって。」
「なら問題ない。それでは武運を祈る。」
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「はーーー。。どーして男っておっぱいばっかに目がいくのかなあ。私ももっとこう、こう、こんな感じにおっぱいでかかったらなあ。」
変身魔法の応用をしてユウナはいつもの2倍、いや3倍ほどの大きさに変えながら水浴びをしていた。
「ルークのおっぱい好きと言ったら。。魔法でごまかしてもしんどいだけだしなぁ。やっぱ牛乳のも。牛乳。牛みたいにでかくならないかなぁ。。」
(だいぶ近づいたな。ルークはーっと、あそこか。いい位置だな。これでやられるのはあいつだから俺はここでじっとしよう。…しかしあれだな。このチャンス逃すのは男として…ダメだと思う。うん。俺はクズじゃない。やられるのはルークだしちらっとだけ拝見させてもらってもバチは当たらんだろう。ちらーっと…ってあいつ変身魔法で爆乳になってやがる!まずい。そんなに気にしてたのか…。ってことは召喚獣に警備させるのを忘れてる可能性も。。やばいこのままではルークが爆乳みて暴走す…あーだめだ。ルークの目が逝っちゃってます。あいつ徐々に近づいてますよ。ありゃきっと無意識ですな。もーユウナにバレるぞ。ほれバレろ。ほれ。ほれ。
…やーいバレたー!ぐふぐふ。鼻血吹き出して飛んでったぞあいつ。あーあ。こりゃ余計に巨乳の需要を意識させちまったかなあ。まあでも想定外が重なっちまったし仕方ねえ。戻って何事もなかったかのように待っとくか。あいつら戻ってきたらなんて最初に声かけようかなーっ。ルークどーしたんだその傷は!なに??覗きに行ったのか??とかかな。ぐふぐふ。しかしそれだとルークキレそうだな。まあ適当に煽っとけば面白くもなるし俺も1発くらい殴られるだろ。)
「ペチャパイも需要あるぜ!ってな!」
「なんだって??」
背後に恐ろしくフォニムを放出するユウナが立っていた。右手にはルークとおぼしき人?人形??みたいなのをひこずっている。
「…ナンデモスルンデユルシテクダサイ」
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ユウナは色々あった森を抜け町を目指して半日ほど歩を進めていた。
「ここの辺りは道ができてるわね。そろそろ町かしら。」
ユウナがそう呟くとまだ遠くではあるが町らしきものが見えてきた。大きな風車が印象的だ。
「宿か何かあると助かるのだけど。。とにかく人を探しましょう。」
数分後、畑を耕すおばさんをユウナが見つける。
「こんにちは。つかぬ事をお聞きするのですがこの町の名前を教えていただけませんか??」
「名前ですか??ここはシャ、、きゃあ!!どーされたんですか??そのひこずられている2人は!?血まみれですよ??」
「あー。これはですね。そのー。ま、まもの!魔物に襲われて命からがらここまで逃げてきたんですぅ。できればこの町に宿のようなところがあれば手当もできて嬉しいのですが。グスッ。」
咄嗟に胡散臭い演技をしてしまったユウナは恥ずかしくなり顔を赤らめる。
「まあまあ。ここらで魔物が出ることなんてそうそうないのに…大変でしたね。それでしたらうちに泊まるといいわ!とにかく早くその子たちを手当しましょう!」
(うっ。おばさんの優しさで胸が痛い。でもここはお言葉に甘えさせてもらってこいつらの手当をさせてもらおうかな。我ながらやりすぎたし。てかこいつらもあまりに無抵抗だったからこんなにもダメージ負うのよ。)
畑を少し進んだところに小さな木の一軒家が立っていた。年季が入っているものの、持ち主に大切にされてきたのがよくわかる出で立ちであった。
「まあまあ。本当にこっぴどくやられていますね。こんな凶暴な魔物が出るのならちょっと対策立てないとこの町も危ないわね。」
「えーっと、さっきその魔物倒してきたので心配しなくてもいいですよーっ!!」
「あら。さっきは逃げてきたって。」
「いやっ、そのーっ、あれっ?ドーダッタカナー??」
ジャックみたいな口調になった自分を殴りたいと思うユウナだった。
「きっと怖い目にあって混乱してるのね。あなたもゆっくりやすみなさい。いまから食事の準備をするから待っててね。」
「いえいえ!そんなお気になさらず。。」
「いいのよ。久しぶりに子供達が帰ってきたみたいで嬉しいの。主人ももうすぐ帰ってくるからよかったら相手をしてあげて?」
「…ありがとうございます。」
(優しい人もいるものね。それに比べて私。ちょっとおっぱいのこといじられたからってこいつらボコボコにして大人気なかったな。次からはもっと大人の女性を目指そ。おっぱいなくたってレイナ先生になんて負けやしないんだから!)
木製の扉が開く特有の音が響いた。
「ただいまーっ。っうお。これはこれはお客様で。」
「すみませんお邪魔してます。」
「いえいえ、その男の子2人を見る限り何かあったんでしょう。まだ若いのに大変でしたね。15歳くらいかい??」
「いえ今年で18になります。」
「ほう。(おっぱいに向けられる熱い視線)……そうか。」
(こいつ。おっぱいで年齢判断しやがったな。)
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食器同士の当たる音や咀嚼音に加え、喉を鳴らしながら勢いよく飲み干す者たちで食卓は賑わっていた。
「おかわり!」
「おかわり!」
「あんたら遠慮って言葉知ってる??」
「いいのよ。こんなに美味しそうに食べてくれておばさん嬉しいわ。あなたも遠慮しないで欲しいものがあったら言ってね。」
「すみません。…じゃあ牛乳をもう一杯頂けますか??」
「ユウナそんな牛乳好きだったっけ??」
「え、ええ。甘くて美味しいじゃない。」
「そういえばお名前は何ていうのかしら??」
「おれルークです!」
「私はユウナと申します。」
「おれはジャックって言います。」
「みなさんいい名前ね。私はモミジと言います。主人はボブっていうんですよ。」
「うん。わかる。すごくボブっぽい顔してるもん。」
すかさずジャックの足をユウナが蹴る。
「ボブさんかあ。なんか俺ボブさんに会ったことある気がするんだけど…気のせいですかね??」
「あー。多分あれだよ。ミュンヘンの彫刻だろ。」
「あ、言われてみればそうですね。」
「みゅんへんのちょーこく??」
「ほら。つい最近の授業で私がこの彫刻何って聞いたでしょ??あれがミュンヘンの彫刻っていうのよ。」
「あれか!顔も似てるしおじさんムキムキだからすっげえ似てますね!」
「まあミュンヘンの子孫だからな。」
「ミュンヘンの子孫!?すごいですね。ということはもしかしてここはシャトーという町ですか??」
「そうよ。ここは風車の町シャトー。食べ物も電気も自分たちで作って生活してるとってものどかな町よ。あ、でもあなた。なんでも凶暴な魔物が現れたそうよ。それでこの子たち襲われたみたいで。」
「なに?そりゃ気の毒だったな。今度退治しに行かなければならんな。どんな魔物だったか特徴を教えてくれるか?」
「ペチャパ…」
ガンッ!ルークの足は魔物によって蹴り飛ばされた。
「…?ペチャパ…?」
「私たちの故郷にはペチャパっていうゴリラみたいな魔物が現れるんです!それに似てたからペチャパかなあって!」
(本当に情けない。穴があったら入りたい…。)と思うユウナの傍で、ジャックは肩を震わして笑っていた。ユウナは必ずジャックを血祭りに上げると心に強く決めた。
「ゴリラね。見つけたら退治しておこう。」
「おじさん強そうだなあ。」
「そりゃ英雄ミュンヘンの子孫だからな。細かい魔法は得意じゃねえが、身体強化系の魔法なら自身がある。こんな感じにな!」
そういうと体を包むように赤いフォニムが放出される。そしてルークはヴォルフのことを思い出した。同時に自分がヴォルフに対してなにもできなかったことも。
「………」
「どうした?お前らの故郷じゃ珍しくない魔法だったか??」
「いえ。……実は俺も身体強化系の魔法をよく使うんですけど、よかったらその魔法の使い方教えていただけませんか?」
「…やめておけ。この魔法はある程度の攻撃なら弾くし便利ではあるが、その分フォニムの消費が激しい。それに今のお前の肉体じゃ耐えられねえよ。」
「じゃあ修行します!その魔法使えるようにならなきゃいけないんです!」
「なんか訳ありみたいだが、悪いことは言わん。やめとけ。軽はずみで見せた俺も悪かったが、俺もこの術身につけるために苦労したんだ。本当の意味で死ぬかと思ったよ。」
「はいはい。ルドルフさんにしごかれたんでしょう。その話は長くなるからやめてあげて。」
「ルドルフのジジイを知ってるんですか?!」
「…?ああ。おれはルドルフ魔法学院の卒業生だからな。」
「実は私たち、そのルドルフ魔法学院に通っている生徒なんです。」
「なんだって?それがなんでこんな遠い地にいるんだい。」
「実は………」
ユウナはありのまま起きたことを伝えた。実技の途中に大量の召喚獣によって学院が攻められたこと。先生の1人がルドルフ校長に斬りかかったこと。そしてルドルフ校長によって私たちは見知らぬ町に飛ばされたこと。
「なるほどな。それで教師の1人がこの魔法を使っていてそいつと張り合うために同じものを覚える必要があると思ったんだな。」
「はい。みんなを助けたいんです。」
「でもルーク。言い方がよくないかもしれないけど、今更遅いと思うわ。もう丸一日以上たってるもの。どんな結果であれ学院では決着がついてると思う。それにここから学院まで行こうとしたら飛空艇を使っても1日以上かかる距離よ。」
「いや。そうとも限らんぞ。」
「どういうことですか??もっと良い移動手段をお持ちなんですか?」
「ああすまん、そっちじゃない。学院で決着がついているかも…って方に関してだ。お前らルドルフ校長によってここまで空間転移してきたわけだろ??そりゃただ逃がすためにやったとは考えづらい。」
「じゃー、なんのために逃がしたんですか??」
「恐らくルドルフ校長はお前らを逃がした後お得意の封印魔法で学院の時間か何かを封印してると思う。」
「時間を封印?!んなこと…あーでもあのイカレポンチジジイならできそうだな。。」
「つまり今の学院は私たちが空間転移する直前のままである可能性が高いと??」
「だと思うな。その証拠にお前らからは別のフォニムをかすかに感じる。」
「別のフォニム??」
「ああ。お前ら自身のフォニムとは別に何か違うものを感じる。反応が小さくて詳しくはわからねえが、きっとお前らはその封印の鍵にされたんだ。」
「?!」
ルークとジャックが顔を見合わせる。
「あーすまん。語弊があった。そこのあー、ジャック君かな?君からは何も感じない。」
「何でだよ!そういう仲間外れ的なのよくないと思うな!」
「つまり私とルークが学院に戻れば、封印が解放され学院の時間が動き出すと??」
「ユウナつっこんでよ!」
「まあ憶測の範囲だが可能性は高いと思う。」
「じゃあなおさら修行した方がいいじゃん!」
「そうだな。その話を聞かされたら流石に協力せざるおえんな。」
「…!!ありがとうございます!!」
「なら私たちも修行して万全の体制で向かった方がいいわね。時間もたっぷりあるみたいだし。」
「それなんだか時間はたっぷりあるとは思えねえ。」
「え?」
「ルドルフ校長はきっと自分ごと時間を止めて封印してる。そうしないとフォニムが枯渇し続けてすぐ封印が解けるからな。だけどこれだとルドルフ校長は外敵からの封印解除に対して抵抗ができない。学院を襲おうっていうんだから敵はそれなりの集団であるはずだ。学院外で控えていた敵がもしいるのなら、そいつらはきっと封印を解こうとする。解かれたらその時点でアウトだ。まず間違いなく学院は崩壊する。」
「てことはほとんど時間ないようなもんじゃん!」
「そうなるな。まあわざわざここまで空間転移させたんだ。校長的には一ヶ月くらいの猶予は見てるんじゃないか?」
「そんなに長く封印が解かれないものですか??」
「ルドルフ校長をなめるな。だがそれだけの膨大なフォニムを消費したということは封印が解けたらルドルフ校長は多分戦えないだろう。その点も加味して修行するように。明日から始めるから今日はよく休んどけ。」
(…それにしても、学院を襲うなんて。敵は何を考えてるんだ??やばい企みがあるようにしか思えねぇ。仕方ねえ。あいつらにも声をかけてみるか。これは久々に命をかける必要があるかもな…。)
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