幼馴染と9日戦争

ぷるぷる

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第弐章

DAY6 -作戦会議-

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一行は長い遠征の疲れを癒すために、お昼の間は睡眠をとることにした。町の人々が畑を耕し、花に水を与え、夕食の準備をし始めた頃、腹を空かせた一行は続々と目を覚ました。

「ん~おはよ~。ていいつつ周りが暗いと調子狂うな~。」

「時差ボケって感じだな。まあ実際なったことないからよくわかんないけど。」

「そうね。疲れも取れた感じがあまりしないし。色々ありすぎたからかな。。」

「まあとりあえず腹は空いたろ?飯にしよう。今日は町の人の手料理だ。シャルルもたまにはご馳走になる側にならないとな。」

ボブの呼びかけに対して、シャルルは嬉しそうに駆け寄っていく。

「あらあら。みなさん目が覚めたようですね。遠いところからご苦労様。スズカなら奥で待ってるわ。すぐご飯用意するからゆっくりしてて。」

白髪混じりのおばさんが、心落ち着く声で部屋の奥へと案内をしてくれた。美味しい香りが鼻をくすぐる中、4人は部屋へと歩いていく。奥の部屋では縦長のダイニングテーブルが鎮座しており、スズカは紅茶をすすりながら地図を眺めていた。

「あ、おはよう。ご飯の用意がもうできるっておばさんが言ってたわ。」

「さっき俺たちも聞いた~。何がでるんだろうね??」

「んー多分だけど、オムライスと唐揚げとハンバーグだと思うよ??あとデザートでプリンが出てくるかな。」

「おー!めっちゃ美味しそう!、、だけどすっごい子供扱いされてる気が。。」

「そうね。どれも幼稚園児が好みそうな食べ物ばかり。。」

ジャックとユウナが苦笑いしながら話し合う。

「……。」

スズカは深刻な顔で机の上に広げた地図へと視線を落としていた。

「どうかしたかスズカ??地図なんて広げて。次の目的地を決めかねてるのか??」

「…いいえ。そうじゃないの。ただ…。」

「どうした?話せることなら遠慮するな。」

「…ただ、、、。どれもその、、私の、、◯\#△(ゴニョゴニョ)」

「ん?すまん。最後が聞き取れなかった。」

「、、、どれも、、私の好物、、なの。。」

「ん?、、、あ。食事のことか?」

スズカはコクっと頷く。

ジャックとユウナはあわあわする。

ボブとルークは笑うのを堪えてふるふるする。

ルークの膝上にいたシャルルもご主人様にバレないように、机をうまく死角にしながらふるふるしている。

ヘンテコな空気が満ち満ちとした中、おばさんが料理を運んできた。

「みなさんお待たせ。今日の料理はオムライスと唐揚げとハンバーグよ。デザートにはプリンもあるからたんとたべてね。」

スズカは顔を赤らめる。今ではスズカ以外はみんなふるふるしていた。中でもシャルルは酷く、誤ってルークの膝上から転げ落ちた。

スズカはそれを目に留める。シャルルのみ、やばい空気を感じ取る。そこへまたしてもおばさんが割り込んできた。

「猫ちゃんはキャットフード用意してるからね。さあお食べ。」

シャルルは猫なのに絶句した。スズカはそれを見てニヤつく。

「シャルル?今日の晩御飯はとっても美味しそうでよかったわね?」

シャルルは半泣きの状態でおばさんの足にすがりつく。

「あらあら。こんなに喜んでくれるなんて。お代わりならたくさんあるからね?シャルルちゃん。」

意図を正しく汲み取れなかったおばさんはシャルルの頭をなでなでした。シャルルはご主人様に助けを求めるが、先ほどの一件で完全なミスをしていたので相手にされなかった。

「シャルルもしかしてキャットフード嫌いなんじゃないの??」

ここでまさかの救いの声。シャルルはルークに感激の眼差しを向け、コクコクと頷いた。

「何言ってるの。猫ちゃんはキャットフードが大好物なの。人間の食べるものなんて与えたらお腹壊しちゃうわ。ね?シャルルちゃん。」

シャルルの中で何かが崩れる音がした。

「そうよ。ルーク。間違ってもシャルルにハンバーグとかあげちゃダメよ?子供の食べ物なんだしね??」

シャルルは遠くを見つめて固まっていた。後悔先に立たず。ちなみにスズカの辛辣な言葉にユウナとジャックも目を伏せて固まっていた。

「、、まあ。頂こうか。冷めては勿体無いしな。」

「そ、そうね!いただきまーす!」

ユウナが声を少し裏返しながら返事をした。そしてみんなは美味しそうにご飯を食べ始めた。

シャルルは絶望の表情で餌を眺めていた。

「ところでこの先はどーするの??」

オムライスを頬張りながらルークが質問をした。

「そのことなんだけど、そろそろ学院に向かおうと思ってるの。」

全員の食事の手が止まる。その一瞬の隙を逃さずシャルルはジャックのハンバーグめがけてダッシュしたが、気づくと逆方向に走っていた。何が起きたかわからないシャルルは辺りを見渡すとスズカと目が合い全てを悟った。どうあってもご主人様は食べさせてくれないらしい。

「まだ早いと思うが?」

「ええ。確かに時期尚早だと思う。でも今回の一件で敵に私たちのことは確実にバレたわ。早急に動かなければ、向こうに迎撃の準備をさせてしまうことになる。」

「でもまだ俺たちはボブたちの足元にも及ばないってつい最近言ってたじゃん。」

「そこまでは言ってないわ。ただ私たちの方がまだ強いと言っただけ。あなたたちはとてもセンスがいい。あと少し詰めて、3人が連携を取れれば可能性はある。」

「そ、そうかなー?」

「照れないでルーク。…それでいつ出発する気なんですか?」

「4日後。3日間みっちり修行したあと1日休んで出発するわ。」

「3日?!そんなんで俺たち大丈夫かよ?!死んじゃうよ!」

「そのリスクはみんな背負ってる。覚悟がないなら今降りてくれても構わない。」

「お、、降りはしないけどさ。。」

「これでも時間を割いた方なの。向こうは反乱分子が学院内で封印されたままだと思って外からの攻撃は想定していない。そこを突くのが勝利への第一歩だったの。その作戦を決行するまでのタイムリミットは限られてる。」

「まあ確かにタンテムから学院まではまだ相当な距離がある。俺たちみたいにワープでもしなけりゃ直ぐには情報は伝わらないだろうな。」

「その間に封印を解こうとしている敵勢力を一掃する。そして鍵で封印を解き戦争を再開させる…ということですか??」

「ええ。詳しい作戦は明日までにまとめるわ。時間も限られてるからプリンを食べたらすぐ修行を始めるわよ?」

スズカはそっと席を立ち、キャットフードを泣きながらかじるシャルルに食べかけのハンバーグとオムライスを差し出す。シャルルは一瞬の間を置き、ご主人様を崇めるように見つめた。スズカが笑顔を返すとシャルルはとっても嬉しそうに食事にありついた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

プリンまで大変美味しくいただいた一行は、身支度を整え修行を始める。

「明日から三日間計画的に修行を行なっていくわけだから、今日は0日目ってとこかな?まあとにかく今日と明日で君達は一人一つ以上高等魔法を習得してもらいます。」

「ええ!1日なんかで覚えられるわけないでしょ!もしできてもそんなの高等魔法っていわないよ!」

ルークが反抗する。

「もちろん1日なんかで習得できるとは思ってないわ。でもそれは何も準備をしていなかったらの話。」

「どういうことですか??」

「つまり、あなたたちは今までの修行で高等魔法を習得するための準備を行なってたわけ。だからみんな全く同じメニューは無かったし、ユウナとジャックは個人レッスンもしたでしょ?」

「なるほど。して俺たちが覚える高等魔法とは??」

ジャックが少しドキドキしながら質問する。

「うん。まずルークはフォルテ。ユウナはセブンスウェル。ジャックは六属性魔法よ。」

「俺とジャックはまあまあ予想通りだったけどさ、ユウナのセブンスウェルって何??」

「まあざっくり言うと7体の召喚獣を同時召喚する魔法よ。」

「7体…多いわね。」

「確かにな。でも今まで5体くらいまでは出してたろ?いけるんじゃない??」

「うーん。まあでもレイナ先生は20体くらい出してたものね。わたしもそれに張り合えるくらいには成長しなきゃ。」

「それは高等魔法でもバタリオンの方ね。ユウナもよくバタリオンを使うみたいだけどセブンスウェルは全く別物よ。」

「別??」

「そう。バタリオンなどの召喚は基本的に自分の想像力を具現するものだけど、セブンスウェルは違う。既に設計された召喚獣を呼び覚まして戦うの。事前に設計された召喚獣はより繊細で強力な攻撃や動きができるようになる分、扱いが難しい。だからバタリオンみたいに数を多く出すことはできなくなるの。」

「なるほど。少数精鋭ってことか。」

「5体までしか出したことない私にとっては全然少数じゃないけど、、」

「まだ始めてないのに弱音を吐かない!それにセブンスウェルの本領は7体揃えた後に発揮されるのよ?」

「やっぱり高等魔法の道は遠いわね。。」

「てなわけでユウナは私が教えるからルークはボブ。ジャックはシャルルに習ってね。」

「まって!シャルルに教えてもらうってめちゃくちゃ難しくない?!向こうは俺の言葉わかっても、俺が向こうの言葉を理解できない!」

「そんなことない。絶対に理解できる。」

「どーこーにその根拠があるんだよ?!」

「シャルルはあなたたちと同じ人間だもの。絶対に理解できるわ。」

「、、、へ?人間?」

「そう。でも本人曰く猫の姿の方が気楽に生活できるからそうしてるだけらしいわ。」

「、、、おれ。おしっこかけられたよ?」

「人間の姿じゃ無かったらそう言うこともできて楽しいと言ってたな。」

「嘘だろシャルル??」

シャルルは右手を頭の後ろに回して舌をペロッと出した。テヘッと聞こえたような気がした。

ーーーーーーーーーーーーーーー

皆それぞれ先生となる人たちについて行き別々の場所へと移動した。ルークとボブは街外れまで移動し、周りに何もない空間を整えていた。

「それじゃあいよいよフォルテの習得ということで、気合い入れてけよ?ルーク。」

「ほんといよいよだなぁ。そしてついに荷物運びもおわる。。」

「ふむ。確かに荷物を運ばせる理由がなくなるな。あれは楽だったから続けてもらいたいところだが。」

「いやいや!かさ張るし重いし良いことない!特にボブの荷物は重すぎだよ。。」

「確かにな。まあその重い荷物もこの修行のために持ってきたんだ。」

「、、、??単に荷物を重くさせるためとかじゃないよね??」

「まあそれも無きにしも非ずなんだがな。あの状態で山道とか大変だったろ?」

「めちゃくちゃね。魔物と戦闘して疲れててもみんな容赦ないし。」

「まあもちろんそれだけが目的ではなかった。」

そう言いながらボブは自分の荷物のチャックを開きひっくり返した。カバンの中に入っているのはどうやらそれだけらしく、鈍い音を立てて地面に落ちた。

「何?その、、金属の塊は。。」

「これはメタルスライムと言ってな。まあ口で説明するより体感してもらったほうが早い。だがこれだけは言っておく。」

「、、死んだりしないよね?」

「ああ。俺がいるから大丈夫だ。」

一瞬感じた嫌な予感を免れたルークはホッと一息ついた。

「このメタルスライムは非常に希少でな。今所有しているのはこいつだけだ。つまり、一回で修行を成功させなければ2度と挑戦できない。」

ルークは生唾を飲み込んだ。

「まあどの道修行の期間も限られている。一発で決めてみせろ。期待してるぞ。」

「わかった。俺の準備はもういいよ。」

ふっ。旅のおかげかすこし顔つきが凛々しくなったな。だがこの修行は厳しい。俺も死にかけたからな。もともと体が普通のルークに耐えれるかはいささか不安だが、お前なら出来る。本当に期待してるぞ。

「ボブ?どーしたの。」

「ああ。すまん。ではそのメタルスライムに触れてみろ。」

「うん。…こう?」

緊張しながらルークはその金属の塊に右手を添える。すると金属はグニャリと変形しルークの右手を覆い始めた。

「うわっ!!なにこれ!!」

メタルスライムは、みるみるうちにルークの体を覆っていく。ボブはすかさずルークのそばに行き赤いフォニムを纏わせた右手をルークの額に押し付けた。メタルスライムはそれに反応し、ルークの首より上には侵食をしなかったもののそれ以下は全て覆っていた。

「な、なにこれ。めちゃくちゃ重いしすっごい動きづらい。」

「常人なら動けもしない。メタルスライムに侵食された生物は基本的になにもできないんだ。今俺が処置を行わなければお前は全身包まれ確実に死んでいた。」

ルークはゾッとした。そしてなにやら力が抜けていくのを感じた。

「メタルスライムの恐ろしい特性はそれだけではない。その金属は纏わり付いたもののフォニムを取り込んでいく。吸い尽くされるまで放っとけばその状態でもいずれ死ぬ。」

「え?!どうすればいいの!!」

「焦るな。額まで侵食はされていないからタクトから直接吸収されることはない。時間はある。ザッと8時間くらいか。」

「8時間…。それまでにどうすればいいの?」

「それまでにメタルスライムのフォニムを喰らい尽くせ。」

「フォニムを喰らい尽くす?」

「今お前とそれはほぼ一体化している。お前のフォニムを喰らい尽くそうとしているメタルスライムは今まで蓄積してきた大量のフォニムがあるんだ。それを全て取り込め。」

「どうやって?」

「全身のフォニムを皮膚の一枚下側に集約させるイメージだ。今までフォニムを捉えたりする修行はたくさんしてきたろ?メタルスライムの中のフォニムを感じ取りそれをひっくるめて全て集約させてみせろ。それが第一段階だ。」

「くう。。やってみてはいるけど……いつもとなんか違って自分のフォニムも制御出来ない感じが…」

「当たり前だ。今お前とメタルスライムはフォニムの奪い合いをしてるんだぞ。そう簡単に行くものか。」

「くっ……!こいつぅ…。…なんかコツとかないの…?」

「とにかく集中することだ。今はまだメタルスライムも穏やかだが時間が経つにつれお前のフォニムに慣れてくる。どこかで気を抜けば一気に持っていかれて死ぬからな。」

「そんな!」

「とにかく頑張れ。8時間集中して、奪い取ってみせろ。」

「くっ……」

さて。こいつはメタルスライムに打ち勝てるか。俺も当時は死にかけたからな。後半のこいつの吸収力は異常だ。それにまだフォルテ習得の第一段階。何とかしてみせろよ。ルーク。

ーーーーーーーーーーーーーーー

一方スズカとユウナはある一軒家の中に来ていた。その家は誰かが住んでる様子もなく、床はギシギシと音を立てていた。本棚が至る所にあり、部屋一面を埋め尽くしていた。スズカは埃を払いながらある本を引っ張り出す。

「ここは、私が幼い頃住んでたの。おばあちゃんがとても優秀な魔法使いでね。あらゆる魔法を研究していたの。」

そう言いながら一冊の本を小さな木の机の上に置いた。

「召喚魔法も研究内容の一つだったみたいで、セブンスウェルも研究してたわ。だけどこの魔法は少し特別でね。優秀な魔法使いだからといって習得できるものではなかったみたい。」

「これは…リーシャの書いた本……ですか??」

「ええ。とっても珍しいでしょ?」

「はい。リーシャが本を残してたことさえ知りませんでした。」

「知らなくて当然よ。おばあちゃんもどこでこの本を見つけたんだろうね?」

クスッと笑いながらスズカは話を続ける。

「リーシャが用いた…というか開発したっていった方がいいのかな?まあとにかくリーシャの魔法はフォニムの量や質、それに扱い方が重要ではないの。」

「…どういうことですか?」

「うん。リーシャの魔法で重要なのは感情よ。」

「…感情。」

「もちろんある程度以上の能力は必要よ?その辺の魔法使いじゃあ話にもならない。でも、高等魔法まで扱えるユウナはその点はクリアしている。」

「あとはその感情っていうのをクリアすれば習得できると?」

「ええ。でもこの魔法はやっぱり特別でね。感情に加えて魔法との相性もあるみたい。」

ユウナは一般的な魔法の習得の要領では上手くいかないことは理解したが、具体的なところはモヤモヤしていて頭を悩ませていた。

「感情を重要視するリーシャが生み出した召喚獣は一体一体が感情を持ってるの。だからそれぞれの召喚獣は認めたものにしか力を貸さない。」

「つまり七体の召喚獣全てに自分を認めさせるということですか?」

「ええ。レイガ、ゼーダ、リュオ、クロア、トゥエンテ、ネウリョーテ、ヴァルファーレ。これら7体に認められないとセブンスウェルは発動しない。」

「多いですね。。何から手をつければいいのか。。」

「まずはレイガから始めましょう。この子は単純だから優しくしとけばいいわ。そしたら次はゼーダ。この子はレイガと仲がいいそうよ。だからレイガが認めてたら大丈夫。その次はリュオこの子は生真面目だから誠心誠意ぶつかって。その次はクロア。可愛いものが好きらしいわ。その次はトゥエンテ。寂しがり屋で流されすいらしいからここまで順調にいってればまず大丈夫。その次はネウリョーテ。この子は無口で直感的に気に入られないとダメらしいから、なんとも言えないわね。。そして最後がヴァルファーレ。他の6体が認めてないと見向きもしないらしいわ。とまあこんな感じ。一気に言ったけど理解できた?」

「何となくは。。」

「まあ一体ずつ直前に確認しながら行なっていきましょう。この本に細かい召喚方法は書かれてるから、それに従って召喚して認めさせましょう。言ってみたら契約みたいなものかな?召喚士って感じで楽しそうでしょ?」

笑いながらスズカは話す。

「ところでどうしてそんなに詳しく知っているんですか?この本には召喚方法しか書かれてないように見えるんですけど。」

「それは私のおばあちゃんに感謝して。一体ずつ検証しながら習得しようとしたみたい。でもトゥエンテに気に入られなかったらしく断念したみたいよ。ヴァルファーレに関しては相手もされなかったからよく分かってないそうよ。だからおばあちゃんは5体までしかダメだったんだってさ。」

「スズカさんは挑戦しなかったんですか?」

その質問に対してクスッと笑いながらスズカは答えた。

「召喚魔法ってあなたが思うほど簡単じゃないのよ?私は苦手でね、その本通りに召喚ができないの。」

なるほど。だからある程度以上の能力は必要って言ってたんだ。、、、てことは私の方がスズカさんよりある意味優秀ってことか。

ユウナは初めてスズカに勝てるポイントを見つけ出し、少し高揚していた。

「なーにニヤニヤしてるの?」

「え!いやっ。。そんなつもりは。。」

焦る可愛いユウナを見て、スズカは少しいたずらをしたくなっていた。

「これを習得できたらルークの評価もぐんぐん上がるかもよ?」

その言葉にユウナの心臓が激しく反応した。

「ル、ルークは関係ありません!」

「そう?ルークのこと好きなんでしょ??」

ニヤニヤしながらスズカは続ける。

「ま、まっさかー!そんなわけないじゃないですか!あんなアホでバカでおっぱい大好きど変態のどこがいいんですか!」

「じゃー私がルークを奪ってもいいの??」

「ダメ!!!!!!」

咄嗟に出てきた言葉をユウナは後悔し、顔がどんどん熱を帯びていくのを感じた。

「ふふ。素直になりなさい。大人のお姉さんを甘く見たらダメよ?」

「うぅ。。」

「色々落ち着いたら相談に乗ってあげるわ。たまにはガールズトークも悪くないでしょ?」

「、、、はい。。お願いします。。」

まあこんなに分かりやすい態度だったら誰でも気づくけどね。それにしても鈍感なこの子たちはもう一人の男の子の気持ちなんて理解もしてないのかな?

ーーーーーーーーーーーーーーー

ジャックとシャルルは穏やかに流れる川の麓まで来ていた。川のせせらぎが心地よく響いていたが、ジャックはその音色に耳を傾ける余裕がなかった。短期間で高等魔法を習得することのプレッシャー、シャルルが猫じゃなく人だったという驚きなどから、未だに頭がクリアになっていなかったのだ。

「、、、。、、あのぉ。まずはどうすれば、、??」

ジャックは恐る恐るシャルルに聞いてみる。

こいつ喋るのか??人間なら喋るよな??

川の流れをぼーっと見ていたシャルルはジャックの方を一瞥すると尻尾をひょいと上げて返事をした。

、、、。いや、スズカさんならともかく、俺はそれではわからんぞ??シャルル??

「えーっと、、猫じゃなくて人なんですよね??」

尻尾がひょいと上がる。

「人の姿に戻れたりするんですかね??」

ひょいと上がる。

「じゃあお願いしてもいいですか??」

横にフリフリする。

えーっと?この後もずっとこんな感じってことかな?俺がYESかNOで答える質問をし続けるのかな?それはしんどいぞーーー!!

頭を抱えるジャックの側にシャルルが近づく。

「大丈夫。猫の姿でも喋れるから。」

突然の発言にジャックは心底驚き飛び跳ねた。

「び、びっくりしたー。。喋れるなら最初から喋ってよぉ。。」

「猫がいきなり喋ったらそれはそれでびっくりするでしょ??」

確かにと納得しつつジャックは他の事が気になって来た。

「ちなみに年はいくつ??俺より上??」

「乙女にそんなこと聞く??失礼でしょ??」

シャルルはプイッとした態度をとった。

発言や仕草は可愛い女の子っぽいけど、いかんせん姿は猫だから人となりがよく見えてこない。

「乙女ならおしっこかけてこないでよね。。」

「猫の特権よ。実は嬉しかったりしたんじゃない??」

「そこまで成熟してないんで。。」

くそお。遊ばれてる。。こいつ絶対ババアだ。。そもそもスズカさんと10年くらい一緒に住んでるらしいし、絶対ババアだ。。

「あのお。。」

「何??」

「あなたのイメージわかないんで一瞬だけでも人の姿になってくれませんか??」

「だからそれはダメ。」

「どーしてですか?!減るもんじゃないしいいじゃないですか!」

するとシャルルは軽い身のこなしでジャックの肩まで上がり耳元で囁いた。

「今、人の姿に戻ったら裸よ??」

「え、、う、、あ、。」

「それでもいいなら戻るけど、ちゃんと修行に集中してよ??」

「え、、いや、やっぱ。」

「仕方ないなぁ。大サービスだよ??」

するとシャルルは軽やかに地面に降り、全身が眩しい光に包まれた。

「え!え!待って!だめ!お、おれ、どーしたらいいかわかんない!!」

すると眩しい光は収まり、腹を抱えて笑いながら転がっているシャルルがいた。

「あははは!ジョーダンよ!そんなサービスするわけないじゃん!」

このババア。いつか絶対仕返ししてやる。

「ごめんごめん。そんな顔しないで??」

「、、ならそろそろ本題に移りませんか。。」

「そうね。まずは六属性魔法の習得ね。君は四属性は扱えてるから残るは雷と氷ね。」

「はい。具体的には何をするんですか??」

「ひたすら練習。私がコツを教えるから後は君が上手く自分の中に昇華出来るかだけよ。」

「それって、一番難しそうな修行じゃん。。」

「まずは氷ね。まず、確認しとくけど水はどうやって扱ってる??」

「んー、空気中にある水の因子に働きかけて集約して増幅させて放つって感じですかね?」

「おけおけ。ならその集約させる前の水の因子を凍りつかせてみて?」

「、、、どうやって??」

「火を扱う時と逆のイメージかな?水の因子の周りに対して火の因子を逆転させて放てば凍るよ。」

「やっぱ激ムズじゃん。。」

「この程度で根を上げるな!ほらっ!やれっ!」

「こーなりゃヤケクソだ!火の因子と逆だな?!おらあああああ!!!」

ジャックを取り巻く空気が凝縮して行く。

「おっ!できるじゃんっ!こんな簡単に上手く行くとはおもわなかっ、、」

「らあああああああ!!!!」

ジャックがより一層フォニムを込めると、空気の凝縮が止まった。そして次の瞬間。

ボワッ!!

周りが火の海になった。

「バカやろおお!!フォニム込めすぎだあ!!途中の感じで止めとけええ!!」

「やばあ!めっちゃかっこよく発火できた!!」

「喜ぶんじゃねえ!!失敗だバカあ!!」

シャルルが一瞬で周りの空気を凝結させ無数の氷の刃を火の海に落とし相殺させた。ついでにジャックの頭の上に丸い氷をまあまあの高さから落としていた。
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