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第参章
DAY9 -最初で最後の- 交戦編 ボブの激闘
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スズカとジャックは戦線を離脱し、学院の外へと転移した。そこにはユウナとネウリョーテが待っており、ジャックは自分の傷を癒すためだと理解した。
「ジャック大丈夫?!」
「なんとか生きてますよ。けどちとやばいんでネウリョーテさんたのんます。。」
「ええ。それじゃあ早速。」
ネウリョーテはすぐさまジャックを水球で包み込んだ。水は炭酸水のように細かな気泡がシュワシュワと生じており、ジャックは傷が徐々に癒えていることが実感できた。どうやら呼吸もできるらしくまさに極楽だった。
「これすごいよぉ、、って会話もできんの?!」
「召喚獣をあまり舐めないでほしいわね。こんなのおちゃのこさいさいよ。」
若干表現が古いなあと思いつつジャックはスズカに発言した。
「それよりボブを助けてあげて!!ここなら敵もいなそうだしユウナがいればなんとかなるから!!」
「いいえ。万が一でもあなたを失うわけにはいかない。」
「でも!!」
「それにね。時空間魔法の使いすぎで私のフォニムもだいぶ枯渇してるの。一度ネウリョーテに分けてもらわなければ…ね。」
「くそっ!!さすがにボブと言えどあの二人は相手にできないよ!!ユウナだけでも…」
「ユウナも失うわけにはいかない。2人にはそれぞれ違う役目があり、どちらもこの戦争で重要なキーなの。場合によってはボブの命より大切だと理解して。」
「そんな…。」
「でもボブがやられるとは思ってないわ。あの人今まであなたを守りきることを最優先事項として戦ってたでしょ?自由になった彼の力は計り知れないものよ。」
「…なんかそれ聞くと、足引っ張ってしまって申し訳ない感がすごい。。」
「ふふっ。そんなことないわ。おかげでボブはフォニムを温存できてるはず。ここからが私たちの逆襲。私たちも万全の準備を整えて参戦するわよ。」
(ボブ!!絶対死ぬなよ!!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「私はあんたを過小評価なんてしてない。戦争に勝つためにも各個撃破でいかせてもらうよ?後悔ないね?」
「勿論だ。まあ仲間から死亡フラグを立てられたことは気がかりだが。」
「…なんの話だ?」
「すまない。こちらの話だったな。」
そう言うとボブはフォルテを最大限に引き上げた。周りの空気は激しく振動し、アリーはその空撃によろめいた。
「…今まで手を抜いてたってわけ?」
「温存だ。今まではLV1だったが今はLV3だな。」
「もちろん3が最大だろ?」
「いや…4まである。」
「Ahhh.…なめられたもんだぜ!!」
アリーは瞬間的にレーザを5連放ったがボブは構わずそのまま突っ込んだ。Lv3のフォルテは全てのレーザを無力化し、アリーに牙を剥いた。前回同様アリーはそれを蹴りで受け止めようとするも、寸前のところで姿を消した。ボブの拳は空を切ったが、辺り一面は大砲が撃ち込まれたように吹き飛び、いくらかの一般兵は巻き込まれていた。
「…いい判断だ。」
「規格外とはこのことだね。…だがいつまでもその状態が続くわけではないだろ?」
「さあな。そんな大事な情報教えるわけがないだろう。」
「それもそうだねぇ。…まあ命懸けで撃ち合いって事に変わりはなさそうだ。楽しくなってきたぜ!」
相変わらずこいつは戦闘狂だな…。問題はシュタルクだ。この一連の間にスズカを追いかけるわけでもなく、俺の動きを洞察していた。もどかしいから来るならきてほしいとこだが…。
「よそ見してんじゃねえよ。」
アリーの銃口は以前と異なりバチバチと帯電しているようだった。次の瞬間プラズマ弾がボブを襲った。両腕で防いだもののボブはダメージを負っていた。
「hooo!!さすがにこれは効くだろ??」
「ああ。だが連射はできないようだな。」
すかさずボブはアリーに攻撃する。スピードでは遥かにボブが上。一瞬で接近し攻撃をするもアリーは瞬時に時空を飛ぶ。しかしボブもすぐに感知し、転移先に転換する。あまりの反応スピードにアリーは対応できておらず、ボブは空間が捻じ曲がるのではないかと言うほどのスピードで移動していた。
いける…!
アリーを目に捉えたボブは確信する。しかしボブの目に映るアリーは突然ぼやけてしまった。横目でシュタルクが動いたことがわかり、アリーとボブの間には厚い氷の壁が形成されていた。ボブは構わず氷を突き破り、最短距離でアリーに詰め寄るが氷の壁によって到達時間が一瞬遅れた。それにより寸前でアリーはまた時空を飛び、ボブの蹴りは空を切った。
…とんでもない速さで氷が生成された。氷属性においてはシャルルの比にならんほどの腕前か。
「助かった。てめえは参加する気がないのかと思ってたよ。」
「私の目的を阻むものは消す。甘えなどもうない。」
「そうでないとな。さすがにこいつは1人じゃ手に負えねえ。共闘と行こうじゃねえか。」
「ああ。君も覚悟してくれ。」
「…もとよりそのつもりだ。さっさときやがれってんだ異常者ども。」
Lv3の状況は長くもたねえ…。早く決めなきゃなんねえが焦りは禁物。そうなればここは…。
ボブを纏う赤いフォニムが一段階小さくなった。それを見たアリーは眉間にシワを寄せる。
「おいてめえ…まさかLevel下げたんじゃねえだろうな?」
「その通りだ。あまりに君たちが不甲斐ないからな。」
「…てめえ!!」
帯電した銃口をボブに向けるも、シュタルクの手がそれを阻んだ。
「安い挑発に乗るな。現状君の一発があいつに攻撃できる手段なんだ。大切に使っていこう。」
「ちっ!」
アリーは銃口を帯電させたまま下ろした。
…次の準備はできているか。あのプラズマ弾はLv3じゃなきゃ受けきれない。避けるかその瞬間に3にするか…ミスれば死ぬな。
「私が揺動する。アリーは最高の瞬間に備えてくれ。」
「…まったく張り合いがねえぜ。」
「…アリー。」
「わーったよ。それでいこう。」
「ありがとう。」
シュタルクはボブに向かって一歩踏み出した。ボブはその動作に反応し、迎え撃とうとしたが突然身動きが封じられた。
まさか…!!これも氷か?!
肌に強烈な冷気を与えるそれはまさしく氷だった。あまりの出来事に頭が混乱している間もシュタルクは一歩ずつ近づいていた。
こんなスピードで…しかもフォルテの内側に氷を張りやがったか。
ボブはもう一度フォルテLv2を発現し氷から脱出した。そしてそのまま接近のため地を蹴り出そうとした瞬間だった。そこにあるはずの大地は存在せず、突然ぽっかり開いた穴に落ちて行ったのだ。
こいつ…!!六属性魔法の展開速度が異常じゃねえか…!!
ボブは空を蹴り、穴から脱出しようとするもシュタルクの攻撃の手は止まらず辺りに雷鳴が轟いた。
「…やはりその魔法厄介だね。」
ボブは赤いフォニムを纏ったまま滞空し、シュタルクを見下ろしていた。
「お互い様だろ。お前の魔法も厄介だ。」
アリーはまだ帯電した銃を持ったまま動きを伺っていた。しかし先ほどまでとは帯電の量が明らかに違うことが見て取れた。
…あれはLv3でも受け切れるかわからねえな。
そう考えているうちに四方八方から氷の刃が押し寄せた。それらをフォルテで吹き飛ばしたあとシュタルクに目を向けなおした。
「お前の力じゃこの鎧は剥けそうにねえな。」
「ほとんどの魔法士は無理だろうから、落ち込みもしないな。それにどんな魔法も使い方次第だと心得てるよ。」
「絶対的な力の前では無駄だ…!!」
ボブはフォルテをLv3に引き上げ、シュタルクに接近した。シュタルクは瞬時に水と炎を混ぜ合わせ辺りは一面霧に覆われた。構わずボブは振り抜いたが手応えはなかった。
…フォニムをアリーしか感じない。シュタルクめ。潜伏も得意なのか…。
現状アリーしか狙えない状況だが、明らかにこれは罠。しかしそうやって俺を動けなくすることが狙いか?…俺はフォルテを展開していることで容易く感知されるため潜伏も不可。…なら。
ボブは意を決して罠に飛び込んだ。
フォルテはLv3。
アリーに急接近して拳を振るう。
さあ…!!どうする?!
アリーは寸前のところで時空を飛んだ。
その瞬間ボブの周りは厚い氷の壁に覆われた。
そして唯一穴が開いている上空にはアリーが現れ銃口を向けていた。
「プロミネンス!!!」
溜めに溜めたエネルギーをアリーは解放した。
銃口から放たれたそれは超高濃密な蒼き砲撃だった。
「はあああああああああ!!!!」
ボブは全く臆することなく、その砲撃に向けて拳を振るった。
右の腕にはフォルテの全てを注ぎ込んで。
2人の攻撃が合わさった瞬間、衝撃の中心から周囲の氷は砕け散った。
それだけでなく戦場には爆音が響き渡り、大地は恐怖に震えた。
砂煙が巻き起こっていたが、シュタルクがそれを取り除いた。
そこには氷の破片が撒き散らされ、先ほどまではなかった大きなクレーターが形成されていた。
そしてその脇には片腕の吹き飛んだアリーがしゃがみ込んでいた。
「はぁはぁ…!!ぁぐっ…!!あいつ…私のプロミネンスを……!!弾き返しやがった…!!」
アリーの左腕は肩と肘の間からなくなっていた。しかし流血はなかった。プロミネンスによって傷口は焼結しているようだった。
シュタルクはアリーに寄り添って担ぎ上げた。穴の中からは大きな赤いフォニムが感知されていた。
「あいつはまだ生きてやがる…!!」
アリーが悔しさで顔を歪ませている姿を見守りながら、シュタルクは引くか迷っていた。
確実にアリーの攻撃はヒットした。フォルテのLv3も長い時間持続している。そろそろ疲労もダメージも溜まり満身創痍のはず…。
悩んでいるシュタルクを煽るように、ボブは悠々と穴の中から飛び出してきた。その体は厚いフォニムに覆われていた。フォルテはまだ使える、そう顕示していた。
「刺激的な良い攻撃だったよ。アリー、君は最高の女だ…!!」
ボブの目に先ほどまでの落ち着きはなかった。殺意と興奮が入り混じったような、常人では直視することすら叶わない威圧感を放っていた。
「強がりはよせ…!!その体で戦おうというのか?!」
シュタルクはボブの奥にまで届くよう、声を張って主張した。
ボブもアリーと同様重傷を負っており、右肩からえぐれるように腕全体を失っていた。
「てめえらがいる限り俺は命尽きるまで戦い続けてやる…!!」
そのたたずまいと声色からは嘘やはったりなどは微塵も感じられなかった。そしてシュタルクの頭にはフォルテのLv4という存在が過ぎった。
「アリー。ここは一旦レイナのところに退こう。」
シュタルクはアリーの耳元で囁いた。アリーは内心では不本意だったが、自らの傷とボブのフォルテを鑑みた結果それしかないと悟った。血が出るほど唇を噛みしめた後、アリーは口を開いた。
「てめえほどの男はなかなかいねえ。悪いがここは一旦退かせてもらうが、すぐに迎えに来てやる!そん時は死ぬまで撃ち合ってもらうぜ?!」
アリーとシュタルクはそのままボブの目の前から姿を消した。
念のためあたりのフォニムを一通り確認したのち、ボブはフォルテを解除した。
「ここまでされてもなお、敵を褒められるなんてなあ…。どんな狂ったやつでも見習うべき点はある…ってか。」
…危うくLv4まで突入しちまうとこだった。使うことなく終わりてえとこだったが…正直この戦況なら使う時が来るかもな。
…モミジ。そんときはすまねえ。
「ジャック大丈夫?!」
「なんとか生きてますよ。けどちとやばいんでネウリョーテさんたのんます。。」
「ええ。それじゃあ早速。」
ネウリョーテはすぐさまジャックを水球で包み込んだ。水は炭酸水のように細かな気泡がシュワシュワと生じており、ジャックは傷が徐々に癒えていることが実感できた。どうやら呼吸もできるらしくまさに極楽だった。
「これすごいよぉ、、って会話もできんの?!」
「召喚獣をあまり舐めないでほしいわね。こんなのおちゃのこさいさいよ。」
若干表現が古いなあと思いつつジャックはスズカに発言した。
「それよりボブを助けてあげて!!ここなら敵もいなそうだしユウナがいればなんとかなるから!!」
「いいえ。万が一でもあなたを失うわけにはいかない。」
「でも!!」
「それにね。時空間魔法の使いすぎで私のフォニムもだいぶ枯渇してるの。一度ネウリョーテに分けてもらわなければ…ね。」
「くそっ!!さすがにボブと言えどあの二人は相手にできないよ!!ユウナだけでも…」
「ユウナも失うわけにはいかない。2人にはそれぞれ違う役目があり、どちらもこの戦争で重要なキーなの。場合によってはボブの命より大切だと理解して。」
「そんな…。」
「でもボブがやられるとは思ってないわ。あの人今まであなたを守りきることを最優先事項として戦ってたでしょ?自由になった彼の力は計り知れないものよ。」
「…なんかそれ聞くと、足引っ張ってしまって申し訳ない感がすごい。。」
「ふふっ。そんなことないわ。おかげでボブはフォニムを温存できてるはず。ここからが私たちの逆襲。私たちも万全の準備を整えて参戦するわよ。」
(ボブ!!絶対死ぬなよ!!)
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「私はあんたを過小評価なんてしてない。戦争に勝つためにも各個撃破でいかせてもらうよ?後悔ないね?」
「勿論だ。まあ仲間から死亡フラグを立てられたことは気がかりだが。」
「…なんの話だ?」
「すまない。こちらの話だったな。」
そう言うとボブはフォルテを最大限に引き上げた。周りの空気は激しく振動し、アリーはその空撃によろめいた。
「…今まで手を抜いてたってわけ?」
「温存だ。今まではLV1だったが今はLV3だな。」
「もちろん3が最大だろ?」
「いや…4まである。」
「Ahhh.…なめられたもんだぜ!!」
アリーは瞬間的にレーザを5連放ったがボブは構わずそのまま突っ込んだ。Lv3のフォルテは全てのレーザを無力化し、アリーに牙を剥いた。前回同様アリーはそれを蹴りで受け止めようとするも、寸前のところで姿を消した。ボブの拳は空を切ったが、辺り一面は大砲が撃ち込まれたように吹き飛び、いくらかの一般兵は巻き込まれていた。
「…いい判断だ。」
「規格外とはこのことだね。…だがいつまでもその状態が続くわけではないだろ?」
「さあな。そんな大事な情報教えるわけがないだろう。」
「それもそうだねぇ。…まあ命懸けで撃ち合いって事に変わりはなさそうだ。楽しくなってきたぜ!」
相変わらずこいつは戦闘狂だな…。問題はシュタルクだ。この一連の間にスズカを追いかけるわけでもなく、俺の動きを洞察していた。もどかしいから来るならきてほしいとこだが…。
「よそ見してんじゃねえよ。」
アリーの銃口は以前と異なりバチバチと帯電しているようだった。次の瞬間プラズマ弾がボブを襲った。両腕で防いだもののボブはダメージを負っていた。
「hooo!!さすがにこれは効くだろ??」
「ああ。だが連射はできないようだな。」
すかさずボブはアリーに攻撃する。スピードでは遥かにボブが上。一瞬で接近し攻撃をするもアリーは瞬時に時空を飛ぶ。しかしボブもすぐに感知し、転移先に転換する。あまりの反応スピードにアリーは対応できておらず、ボブは空間が捻じ曲がるのではないかと言うほどのスピードで移動していた。
いける…!
アリーを目に捉えたボブは確信する。しかしボブの目に映るアリーは突然ぼやけてしまった。横目でシュタルクが動いたことがわかり、アリーとボブの間には厚い氷の壁が形成されていた。ボブは構わず氷を突き破り、最短距離でアリーに詰め寄るが氷の壁によって到達時間が一瞬遅れた。それにより寸前でアリーはまた時空を飛び、ボブの蹴りは空を切った。
…とんでもない速さで氷が生成された。氷属性においてはシャルルの比にならんほどの腕前か。
「助かった。てめえは参加する気がないのかと思ってたよ。」
「私の目的を阻むものは消す。甘えなどもうない。」
「そうでないとな。さすがにこいつは1人じゃ手に負えねえ。共闘と行こうじゃねえか。」
「ああ。君も覚悟してくれ。」
「…もとよりそのつもりだ。さっさときやがれってんだ異常者ども。」
Lv3の状況は長くもたねえ…。早く決めなきゃなんねえが焦りは禁物。そうなればここは…。
ボブを纏う赤いフォニムが一段階小さくなった。それを見たアリーは眉間にシワを寄せる。
「おいてめえ…まさかLevel下げたんじゃねえだろうな?」
「その通りだ。あまりに君たちが不甲斐ないからな。」
「…てめえ!!」
帯電した銃口をボブに向けるも、シュタルクの手がそれを阻んだ。
「安い挑発に乗るな。現状君の一発があいつに攻撃できる手段なんだ。大切に使っていこう。」
「ちっ!」
アリーは銃口を帯電させたまま下ろした。
…次の準備はできているか。あのプラズマ弾はLv3じゃなきゃ受けきれない。避けるかその瞬間に3にするか…ミスれば死ぬな。
「私が揺動する。アリーは最高の瞬間に備えてくれ。」
「…まったく張り合いがねえぜ。」
「…アリー。」
「わーったよ。それでいこう。」
「ありがとう。」
シュタルクはボブに向かって一歩踏み出した。ボブはその動作に反応し、迎え撃とうとしたが突然身動きが封じられた。
まさか…!!これも氷か?!
肌に強烈な冷気を与えるそれはまさしく氷だった。あまりの出来事に頭が混乱している間もシュタルクは一歩ずつ近づいていた。
こんなスピードで…しかもフォルテの内側に氷を張りやがったか。
ボブはもう一度フォルテLv2を発現し氷から脱出した。そしてそのまま接近のため地を蹴り出そうとした瞬間だった。そこにあるはずの大地は存在せず、突然ぽっかり開いた穴に落ちて行ったのだ。
こいつ…!!六属性魔法の展開速度が異常じゃねえか…!!
ボブは空を蹴り、穴から脱出しようとするもシュタルクの攻撃の手は止まらず辺りに雷鳴が轟いた。
「…やはりその魔法厄介だね。」
ボブは赤いフォニムを纏ったまま滞空し、シュタルクを見下ろしていた。
「お互い様だろ。お前の魔法も厄介だ。」
アリーはまだ帯電した銃を持ったまま動きを伺っていた。しかし先ほどまでとは帯電の量が明らかに違うことが見て取れた。
…あれはLv3でも受け切れるかわからねえな。
そう考えているうちに四方八方から氷の刃が押し寄せた。それらをフォルテで吹き飛ばしたあとシュタルクに目を向けなおした。
「お前の力じゃこの鎧は剥けそうにねえな。」
「ほとんどの魔法士は無理だろうから、落ち込みもしないな。それにどんな魔法も使い方次第だと心得てるよ。」
「絶対的な力の前では無駄だ…!!」
ボブはフォルテをLv3に引き上げ、シュタルクに接近した。シュタルクは瞬時に水と炎を混ぜ合わせ辺りは一面霧に覆われた。構わずボブは振り抜いたが手応えはなかった。
…フォニムをアリーしか感じない。シュタルクめ。潜伏も得意なのか…。
現状アリーしか狙えない状況だが、明らかにこれは罠。しかしそうやって俺を動けなくすることが狙いか?…俺はフォルテを展開していることで容易く感知されるため潜伏も不可。…なら。
ボブは意を決して罠に飛び込んだ。
フォルテはLv3。
アリーに急接近して拳を振るう。
さあ…!!どうする?!
アリーは寸前のところで時空を飛んだ。
その瞬間ボブの周りは厚い氷の壁に覆われた。
そして唯一穴が開いている上空にはアリーが現れ銃口を向けていた。
「プロミネンス!!!」
溜めに溜めたエネルギーをアリーは解放した。
銃口から放たれたそれは超高濃密な蒼き砲撃だった。
「はあああああああああ!!!!」
ボブは全く臆することなく、その砲撃に向けて拳を振るった。
右の腕にはフォルテの全てを注ぎ込んで。
2人の攻撃が合わさった瞬間、衝撃の中心から周囲の氷は砕け散った。
それだけでなく戦場には爆音が響き渡り、大地は恐怖に震えた。
砂煙が巻き起こっていたが、シュタルクがそれを取り除いた。
そこには氷の破片が撒き散らされ、先ほどまではなかった大きなクレーターが形成されていた。
そしてその脇には片腕の吹き飛んだアリーがしゃがみ込んでいた。
「はぁはぁ…!!ぁぐっ…!!あいつ…私のプロミネンスを……!!弾き返しやがった…!!」
アリーの左腕は肩と肘の間からなくなっていた。しかし流血はなかった。プロミネンスによって傷口は焼結しているようだった。
シュタルクはアリーに寄り添って担ぎ上げた。穴の中からは大きな赤いフォニムが感知されていた。
「あいつはまだ生きてやがる…!!」
アリーが悔しさで顔を歪ませている姿を見守りながら、シュタルクは引くか迷っていた。
確実にアリーの攻撃はヒットした。フォルテのLv3も長い時間持続している。そろそろ疲労もダメージも溜まり満身創痍のはず…。
悩んでいるシュタルクを煽るように、ボブは悠々と穴の中から飛び出してきた。その体は厚いフォニムに覆われていた。フォルテはまだ使える、そう顕示していた。
「刺激的な良い攻撃だったよ。アリー、君は最高の女だ…!!」
ボブの目に先ほどまでの落ち着きはなかった。殺意と興奮が入り混じったような、常人では直視することすら叶わない威圧感を放っていた。
「強がりはよせ…!!その体で戦おうというのか?!」
シュタルクはボブの奥にまで届くよう、声を張って主張した。
ボブもアリーと同様重傷を負っており、右肩からえぐれるように腕全体を失っていた。
「てめえらがいる限り俺は命尽きるまで戦い続けてやる…!!」
そのたたずまいと声色からは嘘やはったりなどは微塵も感じられなかった。そしてシュタルクの頭にはフォルテのLv4という存在が過ぎった。
「アリー。ここは一旦レイナのところに退こう。」
シュタルクはアリーの耳元で囁いた。アリーは内心では不本意だったが、自らの傷とボブのフォルテを鑑みた結果それしかないと悟った。血が出るほど唇を噛みしめた後、アリーは口を開いた。
「てめえほどの男はなかなかいねえ。悪いがここは一旦退かせてもらうが、すぐに迎えに来てやる!そん時は死ぬまで撃ち合ってもらうぜ?!」
アリーとシュタルクはそのままボブの目の前から姿を消した。
念のためあたりのフォニムを一通り確認したのち、ボブはフォルテを解除した。
「ここまでされてもなお、敵を褒められるなんてなあ…。どんな狂ったやつでも見習うべき点はある…ってか。」
…危うくLv4まで突入しちまうとこだった。使うことなく終わりてえとこだったが…正直この戦況なら使う時が来るかもな。
…モミジ。そんときはすまねえ。
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