3 / 42
一目惚れ2
しおりを挟む
自分が何をしていて、何をしようとしているか、宗助はわからない。ただ湧き上がる衝動を抑えることが出来なかった。
「おい、あれ!」
「えっ、なんだ?!」
「おい、あれ風斬じゃないか」
一階の席で食事、舞台を見ていた観客が、自分達の頭上を飛ぶ宗助の姿に声を上げる。しかし、宗助にはそんな声など聞こえない。
そして、宗助は彼女の前に降り立つ。
「あ、あの」
戸惑う彼女の手を宗助は取る。柔らかく、冷たい鱗の感触に宗助の胸は高鳴り、跪く。
清廉な美しさを持つ美少女、エメラルドの宝石姫を見上げ、まっすぐに言葉を紡いだ。
「俺と結婚して、白い屋根の屋敷で俺の子供、息子一人と娘二人を産んでくれ」
風斬の異名を持つ、A級ハンター、竜人族の宗助、一目惚れだった。
衝撃の展開に、フォーチュナ劇場は静まり返った。皆何が起きたのかが理解できなかった。
何拍かの無言。最初に立ち直ったのは、フォーチュナ劇場の古参、サファイアの宝石姫。
バシンっ!
次の出番のために、舞台袖で控えていたサファイアの宝石姫、コーデリアは海人族。海人族は水中で呼吸が出来る鰓と指の間に膜がある、平べったい手足の鰭を持つ種族。
コーデリアは自分の、鰭の右足で狼藉者の宗助を蹴り上げた。それとも、叩いたと言ったほうが正しいだろうか。
不意を突かれた、と言うよりもエメラルドの宝石姫に夢中になっていた宗助は、無様に舞台から蹴落とされた。A級ハンターがかっこ悪い。
「フォーチュナ劇場一の宝石姫であるわたくしを差し置いて、求婚とは何事です!」
舞台から落ちた宗助にコーデリアはビシッと指さした。フォーチュナ劇場の団員は我に返り、コーデリアの意図に察する。
「っ、そうだ!サファイアの宝石姫がフォーチュナ劇場の一番だ!」
「違うぞ!エメラルドの宝石姫が、宝石姫の中の宝石姫!」
「いいえ、ルビーの宝石姫が素敵よ!」
コーデリアの言葉に便乗するように、声をあげる。
団員の言葉につられて観客達も、自分にお気に入りの宝石姫や役者の名前を叫ぶ。その間に、他の団員が狼藉者の宗助に声を掛けて、常連客であるニールが宗助を引きづって連れていく。なんとか誤魔化せそうだ。
「ならば、わたくしの魅力を教えて差し上げますわ!」
フォーチュナ劇場一の歌姫、サファイアの宝石姫の高らかな宣言に、観客達が盛り上がる。コーデリアの合図でフォーチュナ劇場の楽師が曲を奏で始める。
サファイアの宝石姫、コーデリアは宝石姫一の歌姫。コーデリア自慢の魅力、甘い妖艶な歌声が劇場に響き渡る。観客達はコーデリアに注目する。
コーデリアは歌いながら、未だに混乱しているエメラルドの宝石姫に、舞台から下がりなさいと合図を送る。
何が起きたのか。エメラルドの宝石姫こと、綾音は全くわからない。なので綾音はコーデリアの指示に従い、舞台から降りたのであった。
「おい、あれ!」
「えっ、なんだ?!」
「おい、あれ風斬じゃないか」
一階の席で食事、舞台を見ていた観客が、自分達の頭上を飛ぶ宗助の姿に声を上げる。しかし、宗助にはそんな声など聞こえない。
そして、宗助は彼女の前に降り立つ。
「あ、あの」
戸惑う彼女の手を宗助は取る。柔らかく、冷たい鱗の感触に宗助の胸は高鳴り、跪く。
清廉な美しさを持つ美少女、エメラルドの宝石姫を見上げ、まっすぐに言葉を紡いだ。
「俺と結婚して、白い屋根の屋敷で俺の子供、息子一人と娘二人を産んでくれ」
風斬の異名を持つ、A級ハンター、竜人族の宗助、一目惚れだった。
衝撃の展開に、フォーチュナ劇場は静まり返った。皆何が起きたのかが理解できなかった。
何拍かの無言。最初に立ち直ったのは、フォーチュナ劇場の古参、サファイアの宝石姫。
バシンっ!
次の出番のために、舞台袖で控えていたサファイアの宝石姫、コーデリアは海人族。海人族は水中で呼吸が出来る鰓と指の間に膜がある、平べったい手足の鰭を持つ種族。
コーデリアは自分の、鰭の右足で狼藉者の宗助を蹴り上げた。それとも、叩いたと言ったほうが正しいだろうか。
不意を突かれた、と言うよりもエメラルドの宝石姫に夢中になっていた宗助は、無様に舞台から蹴落とされた。A級ハンターがかっこ悪い。
「フォーチュナ劇場一の宝石姫であるわたくしを差し置いて、求婚とは何事です!」
舞台から落ちた宗助にコーデリアはビシッと指さした。フォーチュナ劇場の団員は我に返り、コーデリアの意図に察する。
「っ、そうだ!サファイアの宝石姫がフォーチュナ劇場の一番だ!」
「違うぞ!エメラルドの宝石姫が、宝石姫の中の宝石姫!」
「いいえ、ルビーの宝石姫が素敵よ!」
コーデリアの言葉に便乗するように、声をあげる。
団員の言葉につられて観客達も、自分にお気に入りの宝石姫や役者の名前を叫ぶ。その間に、他の団員が狼藉者の宗助に声を掛けて、常連客であるニールが宗助を引きづって連れていく。なんとか誤魔化せそうだ。
「ならば、わたくしの魅力を教えて差し上げますわ!」
フォーチュナ劇場一の歌姫、サファイアの宝石姫の高らかな宣言に、観客達が盛り上がる。コーデリアの合図でフォーチュナ劇場の楽師が曲を奏で始める。
サファイアの宝石姫、コーデリアは宝石姫一の歌姫。コーデリア自慢の魅力、甘い妖艶な歌声が劇場に響き渡る。観客達はコーデリアに注目する。
コーデリアは歌いながら、未だに混乱しているエメラルドの宝石姫に、舞台から下がりなさいと合図を送る。
何が起きたのか。エメラルドの宝石姫こと、綾音は全くわからない。なので綾音はコーデリアの指示に従い、舞台から降りたのであった。
1
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる