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話題の男女2
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宗助と綾音は、日当たりのよい窓側の席に座っていた。こっそりとチラチラと伺う女性客の視線を、二人は気にもとめていない。
テーブルに運ばれてきたケーキに、目を輝かせる綾音は可愛いく、宗助の頬はだらしなく緩む。
「ではごゆっくり」
ケーキを運んできた女性店員は、頭を下げて立ち去る。
「では、いただきます」
手を合わせて、食への感謝を告げた綾音はフォークを手に取る。
余談だが、礼儀正しい綾音の行動に宗助は好感、ますます惚れ込む。
「おいしい!」
「そうか、それはよかった」
新作のフルーツタルトを一口食べた綾音は、笑顔で素直な感想を漏らす。喜ぶ綾音によかったと安心した宗助は、チーズケーキを食べ始めた。
濃厚なチーズの味が、珈琲に合っておいしい。それに、フルーツタルトを美味しそうに夢中で食べる綾音は可愛い。
チーズケーキを食べ終えた宗助は、次に手のひらサイズのジャムタルトを手に取る。季節の果物で作ったジャムタルトは酸味があって、さっぱりとして食べやすい。
「そちらのジャムタルトも美味しいですか?」
「ああ、綾音も食べてみないか?」
フルーツタルトを食べ終えた綾音に、宗助はジャムタルトが乗った皿を差し出す。
サクサクしたタルト台に濃厚なカスタードクリーム、季節の果物を贅沢に飾ったフルーツタルトは、同じ季節の果物を使っているジャムタルトよりも味が濃厚だ。口直しにと宗助はジャムタルトを勧めた。
「いいのですか?」
「ああ」
ジャムタルトが気になっていた綾音は、宗助の言葉に甘えることにした。
「では」
あ~んと宗助に向かって、綾音は口を開く。小さな口だな、可愛いな、いやそうじゃないと宗助は真顔で大混乱。
チラチラと綾音と宗助の様子を窺っていた女性客はガン見で、キャッキャッと騒ぐ声が店に響く。さぁ、どうするのと女性客の好奇心が宗助に突き刺さる。
「(何してるの、ソウくん!せっかくのチャンスを無駄にしない!)」
「(頑張ってください!)」
綾音の座る椅子から死角にある席に座る追跡組の三人組、女性陣が特にうるさい。
エルマとアンネ、ニールは、こっそりと綾音に気がつかれないようにと入店。しかも、ケーキと飲み物まで頼んでいる。もう一組は店の外で待機中。現実逃避はこのへんで。
せっかくのチャンスを逃すわけにはいかない、宗助は行動した。
成人した男が恥ずかしそうに覚悟を決めて、年下の女の子の口元にジャムタルトを差し出す。目撃しているニールは何とも言えない気持ち。珈琲と共に焼き菓子を注文したことを後悔した。珈琲だけにしとけばよかった。
「いただきます」
綾音がパクッと一口。宗助の一口なら半分は食べるジャムタルトは、綾音の一口では三分の一ほど、本当に小さな口だなと宗助は素直な感想。
「うん、美味しい」
ペロッと唇についたジャムを舐めて、綾音は満足気に微笑。宗助の手からジャムタルトを手に取る。宗助はされるがまま、そして一言。
「……そうか」
器用にテーブル上のケーキを避けながら、宗助はテーブルに突っ伏した。その耳は真っ赤で限界。
見事にやり切った宗助にエルマとアンネ、女性客は、音のない拍手を送った。
テーブルに運ばれてきたケーキに、目を輝かせる綾音は可愛いく、宗助の頬はだらしなく緩む。
「ではごゆっくり」
ケーキを運んできた女性店員は、頭を下げて立ち去る。
「では、いただきます」
手を合わせて、食への感謝を告げた綾音はフォークを手に取る。
余談だが、礼儀正しい綾音の行動に宗助は好感、ますます惚れ込む。
「おいしい!」
「そうか、それはよかった」
新作のフルーツタルトを一口食べた綾音は、笑顔で素直な感想を漏らす。喜ぶ綾音によかったと安心した宗助は、チーズケーキを食べ始めた。
濃厚なチーズの味が、珈琲に合っておいしい。それに、フルーツタルトを美味しそうに夢中で食べる綾音は可愛い。
チーズケーキを食べ終えた宗助は、次に手のひらサイズのジャムタルトを手に取る。季節の果物で作ったジャムタルトは酸味があって、さっぱりとして食べやすい。
「そちらのジャムタルトも美味しいですか?」
「ああ、綾音も食べてみないか?」
フルーツタルトを食べ終えた綾音に、宗助はジャムタルトが乗った皿を差し出す。
サクサクしたタルト台に濃厚なカスタードクリーム、季節の果物を贅沢に飾ったフルーツタルトは、同じ季節の果物を使っているジャムタルトよりも味が濃厚だ。口直しにと宗助はジャムタルトを勧めた。
「いいのですか?」
「ああ」
ジャムタルトが気になっていた綾音は、宗助の言葉に甘えることにした。
「では」
あ~んと宗助に向かって、綾音は口を開く。小さな口だな、可愛いな、いやそうじゃないと宗助は真顔で大混乱。
チラチラと綾音と宗助の様子を窺っていた女性客はガン見で、キャッキャッと騒ぐ声が店に響く。さぁ、どうするのと女性客の好奇心が宗助に突き刺さる。
「(何してるの、ソウくん!せっかくのチャンスを無駄にしない!)」
「(頑張ってください!)」
綾音の座る椅子から死角にある席に座る追跡組の三人組、女性陣が特にうるさい。
エルマとアンネ、ニールは、こっそりと綾音に気がつかれないようにと入店。しかも、ケーキと飲み物まで頼んでいる。もう一組は店の外で待機中。現実逃避はこのへんで。
せっかくのチャンスを逃すわけにはいかない、宗助は行動した。
成人した男が恥ずかしそうに覚悟を決めて、年下の女の子の口元にジャムタルトを差し出す。目撃しているニールは何とも言えない気持ち。珈琲と共に焼き菓子を注文したことを後悔した。珈琲だけにしとけばよかった。
「いただきます」
綾音がパクッと一口。宗助の一口なら半分は食べるジャムタルトは、綾音の一口では三分の一ほど、本当に小さな口だなと宗助は素直な感想。
「うん、美味しい」
ペロッと唇についたジャムを舐めて、綾音は満足気に微笑。宗助の手からジャムタルトを手に取る。宗助はされるがまま、そして一言。
「……そうか」
器用にテーブル上のケーキを避けながら、宗助はテーブルに突っ伏した。その耳は真っ赤で限界。
見事にやり切った宗助にエルマとアンネ、女性客は、音のない拍手を送った。
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