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三十一話
魔王様、スマホデビューする
しおりを挟む魔王城では魔王レイスとロキが対峙している。
「和平だと?」
「うんうん、考えてみたら俺に魔族を根絶やしにする理由も無いし、そっちも今の状況でもう一回王都を包囲する余裕もないでしょ?もちろん人間側も国を再建しなくちゃならんだろう」
「他人事の様だな」
「そうでもないさ、ズールの城には俺とこのアイちゃんが……あと黒龍も暮らしてる豪華絢爛、リゾート顔負けのフロアがあるからね。今回だって城が壊されそうだったから渋々戦ったわけ……まぁ結果大分楽しかったんだけど」
ロキは続ける。
「でさ、今回の侵攻もアンタを俺が殺し損ねたから起きたんだって反省してたからね、次はぜってぇ殺す!オラ容赦しねぇ!って思ってたんだけど、君の生死は関係なかった事がさっきわかった」
「そりゃそうだよな、だって今回戦った化け物、例えば60mの巨象や、100mのデカい黄金の三頭龍、アンタ斃せるかい?」
「さっきあの青髪に映像を見せられたが、まぁ無理だろうな。黄金龍にしても、巨象にしても、俺の想像力を超えている」
「だよね、だから既にアンタは俺の敵って感じじゃない。別に眼中に無いとか、そんなんじゃ無くてさ」
「敵はあの青髪の男って事だな?」
「まぁ……恐らくね。あいつか、あいつの背後にいる何かってとこだろうね」
「とにかく、これ以上あいつに踊らされてこの大陸がめちゃくちゃになるのは避けたい、だから和平さ」
「元々、大陸の真ん中を横断するデカいなんちゃら山脈の北側を魔族が、南を人間が治めてたわけだろ?多少の諍いはあっただろうがね」
「どう?和平の話に乗るかい?」
「……」
先程、青髪の男に身体を硬直させられた魔女狼ウルはようやく立ち上がる事が出来た。
「レイス様!和平なんて簡単に受けてはいけません!せめて我ら側近が揃ってから皆で協議を!」
「んー、このエロい格好の人、誰?」
「腹心の一人、ウルだ」
「アイちゃん、駄目だよ。こいつ殺っちまおうかって顔してるけど、今和平交渉中だから」
「そんな顔!……してたかな……?と言うか、その子、前回殺し済みなんですけど」
ウルは前回殺された時のアイーシャとの戦いを思い出し黙らざるを得なかった。
「ところで、レイスって言ったか?アンタ、前に戦った時より格段に強くなってるな?それは俺にリベンジする為だろう?」
「そうだ、だが青髪にまだ雑魚だって言われたがな」
「まぁ、別にアンタが俺に恨みがあってリベンジしたいならいつでも相手になってやるよ。だが、国同士や種族同士の全面戦争は罪の無い奴らが死に過ぎるから駄目、戦うならタイマンが一番よ」
「……いや、やっぱいつでもは嘘。先にアポ欲しいからこれ渡しとく」
ロキはレイスにスマホを投げて渡した。
「これは、何だ?」
「んー電話って言ってもわからんか、無線……も無理か。あれよ遠くでも話が出来る魔道具、そう、魔道具」
「どう使うのか、わからんが」
「これ、説明書ね、良く読んでね。あとこれが充電器、後から工事の人が来て基地局設置と充電出来るようにするから。工事の人、オヤマダって言うんだけど」
「そうか、では和平の承諾はこれで連絡させてもらう」
「ま、しっかり仲間と話し合って納得した上で連絡くれたらいい」
「仲間か……そうだな。話し合う事としよう」
「じゃ、俺たちまだ人命救助が残ってるから、帰るわ」
ロキはアイーシャと天井の魔法陣から帰ろうとしたが。
「あ、さっきの青髪のやつが来たら俺のとこに直接来いって言っといて、乱暴しないからって」
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