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第4章
マイホームお掃除中
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新しい住居にやってきた俺達は、心機一転という名の清掃活動に取り組んでいた。
空気の入れ替えが全くできていなかった旧カターユ邸は、エレナの号令によりまず窓を全部あけて新鮮な空気と入れ替えることになった。
そのおかげで、洋館内は外気と大差ないほどの極寒になったわけだが。
それでも、全員が文句を言わずに作業を行っていたのは、これから生活をする我が家に対して既に愛着が湧いていたからである。
「うぅう…さみーな。
手がいてぇ…。」
「文句言わないで、ちゃっちゃっとやりなさい。
こういうのは、ダラダラと長くやるほどツラくなるんだから。」
いつものエレナとは思えないほど、テキパキとした動きで着々と家は綺麗になっていった。
郊外だし誰もいないことも相まって、メタモルフォーゼを解いて金髪金眼になっているその姿は、さながら掃除の女神様である。
「アニムスは平気か?
さっきから、冷たい雑巾メッチャ絞ってるだろ。」
「全く問題ないのであります。
アニムスは、暑さや寒さに猛烈に強いので。」
「それならいいけど、くれぐれもムリだけはするなよ。」
そういう彼女だったが、さっき壁に激突した時に普通に泣いていた。
きっと、小指を机の角にぶつけたら悶絶すると思う。
結局は、適材適所である。
「そういや、ユキノは1人で大丈夫なのか?」
「あの子なら平気よ。
むしろ、1人の方が良いでしょ。
下手に近づいて邪魔すると、魔力操作に失敗して切り裂かれるかもしれないわよ。」
「まぁ確かに。
手伝いに行っても邪魔になるだけか。」
ユキノは、1人で2階全体を綺麗にしていた。
風魔法を器用に使って、館内全体の汚れやホコリをまとめて巻き上げて、外に出しているのだという。
とんでもなく器用であるし、本当に天才なのだと実感する。
「それにしても、ロボっ子。
アンタ、なかなかやるじゃない。
褒めてあげるわ。」
「お前こそ、褒めてやるのです。
この短期間でこの美しさ、タダものではないのであります。」
エレナはモップを、アニムスは雑巾片手に掃除を頑張っていた。
どうやら、どっちが綺麗にできるか…の勝負らしい。
何の勝負をしとるんだ?
「そろそろお昼だけど、家具が届くんだろ?
で、どうするんだ?
お前らは、自分の部屋とか決めたのか?」
「私は決めたわよ。
日当たりの良い角部屋にするわ。」
「アニムスは、マスターの隣が良いのです。
マスターは?」
「俺か?
俺は余った部屋で良いよ。」
正直、部屋なんてどこでも良い。
昔から、俺は部屋の風水的なこだわりやジンクス的なものにも一切興味がないのだ。
「余ったところって言うけれど、部屋なんて一杯余るわよ?
私達の倍の人数がいても部屋は余るわ。」
「えー…どうしよう。マジでどこでも良いんだよな。
じゃあ、俺エレナと真反対の角部屋で。」
「は?
なんでよ。」
「え?
いや、なんとなく。」
「じゃあ、私の隣にしなさいよ。
で、ユキノが私の前の部屋。」
「では、アニムスはそのマスターの隣の部屋で。」
いや、ヒツジじゃないんだから。
なんでこんな広い館で、隅っこの方で皆で固まらないといけないのだ。
「なんか、そう決められるとイヤになってきたな…。
ちゃんと距離取ろうぜ。プライバシーもあるんだし。」
「なんでよ。意味わかんないんですけど。
アンタにプライバシーとか必要なの?
私の隣で良いでしょ。」
「なんでそんな隣にしたがるんだよ。」
「ほら、ボードゲームとかで遊びたいときに誘いやすいじゃない。」
「修学旅行か?」
毎日毎日、そんなものの誘いに乗るのは御免である。
「アニムスも、少し離れてくれよ。
1人で色々とできるチャンスだぞ。」
「色々とはなんですか?」
「いやほら、現代の知識を取り入れたり、勉強したりとか。
500年ぶりに日常を堪能できるだろ?」
「そんなことよりも、マスターの日常を観察している方が面白いのであります。」
「不気味なことを言ってんじゃないよ。
だいたい、隣の部屋でもそういうのは見れないだろ。」
「壁に穴をあけるのであります。
これで、2人はハッピー。」
「ふざけんなお前マジで。」
「大丈夫なのであります。
人体に無害な高圧洗浄で行いますので。
ピース。」
「そういう問題じゃねーよ。」
結論。
コイツらからは少し離れないとダメだ。
きっと、日常がツラくなる。
そんな話をしていたら、ユキノが2階のベランダから降りてきた。
自分で出した風に乗って。
本当に器用で便利な奴である。
俺も、こういうことをやってみたい。
「だいたい終わりましたよ。
しかし、随分と楽しそうな話をしていましたね。
私抜きでそういうのやめてもらいたいものです。
で、何の話ですか?」
「普通に部屋割りの話だよ。
ユキノは、どの部屋が良いかもう決めたのか?」
「私は皆の側で良いですよ。
腐れ人形だけは遠い部屋で。」
「いや、だからなんで固まるんだよ。
離れよーぜ。
せっかくの広い洋館なのに。」
「いやいや、広いからでしょ。
こういう時こそ、皆で協力して離れずに迷子にならないようにするべきです。」
「なるわけねーじゃん。」
最終的に皆どこかに消えるとか?
アガサ・クリスティーの小説じゃあるまいし。
「でも、寒いじゃないですか?
皆で固まって寒さを凌いだ方が良いですよ。」
「それ、別にリビングで良いだろ。
暖炉もあるし、寒くなったらそれこそ皆でリビングで暖まろうぜ。
そのために、大き目のソファーとか机も買ってくれたんだろ?」
「まぁ、そうですけど…。」
コイツらは、一体全体何が不満なのか。
「あと、ユキノもアニムスもお風呂とかトイレ周りとかは確認しておけよ。
一応、備え付きの魔道具で浄化はできるけどさ。
おそらくかなり古いものだから、利用している最中に壊れましたってのもありうる。
そうなると、シャレにならんからな。
俺、そこらへんは専門でも何でもないし、見ても全くわからなかったぞ。」
「じゃあ、アニムスが見てくるのであります。
魔道具周りは、アホの白髪よりも詳しいので。」
「寝言は寝て言え、腐れ人形が。
私がお前より劣っているところなんて、何一つない。
ステータスもランクも、そしてスタイルもだ。
…ということで、ちょっと見てきますね。」
そう言いながら、二人は仲良く(?)魔道具周りを見に行った。
しばらく2人のやり取りを見ていたが、アレで案外と相性は良いのかもしれない。
「俺達も、とっとと残りをやっちゃおうか。」
「そうね。
口を動かす暇があったら手を動かした方が良いわ。」
本当に、身体を動かすのが好きな女神である。
普段はダラダラしてるのに、切り替えが良いのか何なのか。
「あ、そうだ。
俺エレナに相談があるんだけど。」
「ん?
なに?」
「あのさ、俺もそろそろ魔法とか使いたいんだけど。」
そう。
俺は、肉体的な訓練ばっかりやっていて、実践的な魔法の訓練を全くやっていない。
なので、未だに身体強化以外のスキルを全く使えない。
魔法やスキル周りの知識はなかなか頭に叩き込まれているのだが、それを自分自身で活かす機会がないのだ。
「ユキノの魔法とか見てたらさ、俺もああいうのやりたくてたまらなくなるんだよ。
そろそろ教えてくんない?」
「うーん……。
トータに魔法ねぇ…。」
「やっぱりまだ早い?」
「いや、使えることは使えると思うのだけれど。」
「なんだよ。
煮え切らないな。」
「あのね、トータ。
人には向き不向きがあるの。」
「うん。」
「あなたは、魔法とかいらないんじゃない?」
つまり、お前には魔法なんて向いていない…と言いたいのだろうか。
直接的に言われるよりも、余計に傷つく。
「いやいや。なんか言いたいことはわかったけどさ。
別に不向きでも良いんだよ。ただ使いたいだけだから。
弱くても全然いい。」
「うーん……。」
どうやら、エレナは不器用な俺に気を使ってくれているらしい。
まぁ、器用にユキノみたいに魔法を連戦連発できるとは思っていなかったが。
「そうねぇ…。
じゃあ、今ここでやってみたら?」
などと、エレナが言い出した。
「え?
ここって…い、家の中で?」
「いやいや、庭でね?」
「あ、あぁそっか。そうだよな。
でも、危なくない?」
「大丈夫よ。
ほら、なんでもいいから詠唱して魔法名を唱えてみなさい。」
「詠唱って…アレやったら威力が跳ね上がるんじゃないのか?
簡易的な魔法名と違って。」
俺は、いつかの完全詠唱のユキノの闇魔法を思い出していた。
初心者ダンジョンで、エレナのお尻を燃やしたアレである。
「大丈夫よ。
何かあったら、私がすぐに相殺してあげるから。」
詠唱か…。
あれ、ちょっと恥ずかしいんだよな。
小学生が考えた『僕の考えた最強の呪文』を唱えてる気分になる。
というか、魔法名を叫ぶだけでも恥ずかしいのに。
「えっと…じゃあ。
一番レベルの低い魔法でやってみるよ。」
「相変わらず慎重ねぇ…思い切ってドカンとやれば良いのに。」
などと、エレナはモップの柄の先端に顎を乗せながら呆れて言った。
そんな打ち上げ花火みたいなこと、俺ができるわけないだろう。
勢いあまって、俺まで弾け飛んだらどうする。
「ゴホンッ!
よし、やるぞ。
───紅の息吹よ、焔となって闇を照らせ。
ファイア・ボール!!」
俺がそう叫ぶと、掌に俺の身長の2倍くらいの巨大な火の玉が出てきた。
「おぉおお!!!
おい、エレナ!!
俺にもできたぞ!!!」
「そうね。
じゃあ、それを今度は空に向けて飛ばしてみなさい。
街に向けちゃダメよ?」
「…飛ばす?」
「そっ。」
「………。」
どうやって?
「あの、やり方がわからんのだけども。」
「普通に、今出してる火の玉をバンッと飛ばすイメージよ。」
エレナのこういうわけのわからん抽象的な説明を解読するのは、本当に至難である。
飛ばす…投げるイメージで良いのかな。
「えっと、こんな感じ…?
…ほっ!!」
俺は、空に向けて野球のピッチャーのストレートのように火の玉を投げ飛ばした。
すると、飛んで行った火の玉はわずか5mほど先で消えてしまった。
「あ、あれ!?
消えちゃったぞ!」
「ね?
こういうこと。」
「…いや、どういうこと?」
さっぱりわからん。
「トータはね、自分の身体から魔力を切り離して固着する操作がヘタクソなのよ。
さっきのファイアボールも同じ。
見ていても、すごく不安定なのよね。」
「……全く意味が分からん。
魔法って、自分の魔力を使って顕現したら終わりじゃないの?」
「違うわよ。
だって、そのまま放置してたら魔力源が無くなるじゃない。
魔法って、全部そいつが出した魔力で出来てるんだから。スキルも一緒。
それが無くなったら、消えて当たり前。」
「じゃあ、ファイア・ボールが離れた瞬間に俺の魔力が届かなくなった…ってこと?」
「そういうことね。
というか、普通は魔力を注ぎ続けるんじゃなくて、ああやって魔法が出てきた瞬間に自然とその形を保つための魔力操作を行うのよ。
ハッキリ言ってメチャ簡単なんだけど、トータはその基本が全然できていない。」
「…説明を聞いていても、激しく難しく感じる。
マジでわけわからん。
皆、そんな高度なことやってたの?」
「高度じゃないわよ。
だって、蛇口を締めて固めてるだけだし。
魔法を出した後もずっと魔力を垂れ流しにしてたら、ツライでしょ?」
「あ、それはわかりやすいかも。」
「でしょ?
あなたは、魔法を出した後もずっと蛇口が開いてるのよ。
で、飛ばした後にその蛇口から魔力が届かなくなってるだけ。
だから、身体の近いところだけ威力や効果が大きいの。
実際に、身体強化のスキルはスムーズに使えてるでしょ?」
「おぉ…なるほど。
俺の体、いつのまにかそんな難儀なことになっていたのか…。
じゃあ、俺の魔法って俺の周りにだけは発動する感じなのかな?」
「まぁそういうことね。
激しく効率は悪いけど。」
確かに、エレナから見ると俺は魔法を唱えた後も、無駄にずっとその魔法に水を流し続けているアホな奴に見えてるんだろうな。
そんなの、魔力がいくらあっても足らなくなる気がする。
「俺、普段の魔力操作や身体強化のスキルでも蛇口がずっと開いてる感じなの?」
「いや、そこは大丈夫よ。
ただ、魔法を使おうとして蛇口を開けたら、ずっと締めずに垂れ流してるイメージね。
見ていると、私が締めてやりたくなるもの。
だから、やっぱり向き不向きじゃない?」
「今の説明が一番わかりやすいよ。
俺、すげーもったいないことしてるんだなぁ。」
水道代金ならぬ、魔力代金が膨大なことになりそうである。
「前々からそういう傾向があったから、特に遠距離系の魔法は気を付けたほうが良いわよ。
別に使ってもいいけれど、使うのなら自分の体から離しすぎないようにね?
さっきのファイア・ボールも、手に持ったまま突撃した方が絶対に強いから。」
「なんかそう言われると、危なすぎるな俺…。
炎に身を包んで特攻とか自爆技にしか思えん。」
使えるようになったらしいチートスキルの《ゼロ》もそうだ。
基本的に、俺が使いたい強い必殺技みたいなのは、ほとんど自爆技である。
理不尽すぎない?
俺の力のはずなのに、その力は何故か俺にも牙をむく。
「ちょっと!!
エレナ!トータ!!
聞いてくださいよ!!」
話が一段落したところに、ちょうどユキノとアニムスが帰ってきた。
「なんだよ。
またケンカしたのか?」
「この小便臭いガキが、あまりにも聞きわけがないだけであります。
気に食わないからと、すぐにケンカを売ってくるのです。」
「お前が先にケンカを売って来たんだろ!!」
いったい何を言い争ってるんだか。
「何があったんだよ?」
「魔道具周りを調べていたら、旧式のモノが使われていたのです。
現代では使われていないモノです。
なかなか、高度な浄化システムでしたのでそれを修理した方が効率も性能も良いとアニムスは提案しました。」
「へぇ。良いことじゃん。
無駄なお金を使わないで済むし。」
「でも、このクソガキが…
『こんな魔道具の修理なんて専門的なこと、できるわけがないでしょ。』
とイチャモンを付けてくるのであります。
それで、後でトラブルになったらどうするのかと。」
正直、俺は魔道具周りのことなんてさっぱりわからないから、どう反応して良いのかも全くわからん。
「魔道具の修理って、そんなに難しいのか?」
「そりゃそうですよ。
専門の研究施設や研究家がいるくらいなのに。
構造を1から勉強して新しいモノを開発するのに、一生をかける人だって存在するくらいですよ。」
前世で言うところの、科学屋方面の人達のことなのだろう。
多分。
それは、確かに時間も労力もかかりそうである。
「で、私がそう反論したらこの腐れメスガキ人形が…
『お前ら魔族は本当にいつの時代もアホなんだな。
この程度のこともわからんとは。
人生やり直してこい。』
とか言いだしやがったのです!!」
……うん。
100%アニムスが悪い。
「アニムスは何も悪くありません。
実際に、アニムスには修理できるのであります。」
「ウソをつくな!!!」
本当に、いつまでこんな関係が続くのか。
せっかく、曲がりなりにも同じ屋根の下で暮らすことになったのに。
そんな憂いを一気に払ったのが、やはりというか案の定というかエレナ様であった。
「……ねぇ、私そろそろハッキリとさせておきたいのだけれど。」
突然、エレナがそう切り出した。
「いきなり何の話だ?」
「序列の話よ。
私はね、誰であろうが私に対して不遜で偉そうで傍若無人な態度をとる輩が許せないの。」
などと、不遜で偉そうで傍若無人なエレナが言いだした。
「うーん…つまり?」
「勝負しましょうか、ロボっ子。
ここでハッキリさせましょう。
どちらが上なのかを、ね。」
そうして、戦闘種族のエレナの提案により、エレナVSアニムスの本気の戦いが幕をあけたのだった。
空気の入れ替えが全くできていなかった旧カターユ邸は、エレナの号令によりまず窓を全部あけて新鮮な空気と入れ替えることになった。
そのおかげで、洋館内は外気と大差ないほどの極寒になったわけだが。
それでも、全員が文句を言わずに作業を行っていたのは、これから生活をする我が家に対して既に愛着が湧いていたからである。
「うぅう…さみーな。
手がいてぇ…。」
「文句言わないで、ちゃっちゃっとやりなさい。
こういうのは、ダラダラと長くやるほどツラくなるんだから。」
いつものエレナとは思えないほど、テキパキとした動きで着々と家は綺麗になっていった。
郊外だし誰もいないことも相まって、メタモルフォーゼを解いて金髪金眼になっているその姿は、さながら掃除の女神様である。
「アニムスは平気か?
さっきから、冷たい雑巾メッチャ絞ってるだろ。」
「全く問題ないのであります。
アニムスは、暑さや寒さに猛烈に強いので。」
「それならいいけど、くれぐれもムリだけはするなよ。」
そういう彼女だったが、さっき壁に激突した時に普通に泣いていた。
きっと、小指を机の角にぶつけたら悶絶すると思う。
結局は、適材適所である。
「そういや、ユキノは1人で大丈夫なのか?」
「あの子なら平気よ。
むしろ、1人の方が良いでしょ。
下手に近づいて邪魔すると、魔力操作に失敗して切り裂かれるかもしれないわよ。」
「まぁ確かに。
手伝いに行っても邪魔になるだけか。」
ユキノは、1人で2階全体を綺麗にしていた。
風魔法を器用に使って、館内全体の汚れやホコリをまとめて巻き上げて、外に出しているのだという。
とんでもなく器用であるし、本当に天才なのだと実感する。
「それにしても、ロボっ子。
アンタ、なかなかやるじゃない。
褒めてあげるわ。」
「お前こそ、褒めてやるのです。
この短期間でこの美しさ、タダものではないのであります。」
エレナはモップを、アニムスは雑巾片手に掃除を頑張っていた。
どうやら、どっちが綺麗にできるか…の勝負らしい。
何の勝負をしとるんだ?
「そろそろお昼だけど、家具が届くんだろ?
で、どうするんだ?
お前らは、自分の部屋とか決めたのか?」
「私は決めたわよ。
日当たりの良い角部屋にするわ。」
「アニムスは、マスターの隣が良いのです。
マスターは?」
「俺か?
俺は余った部屋で良いよ。」
正直、部屋なんてどこでも良い。
昔から、俺は部屋の風水的なこだわりやジンクス的なものにも一切興味がないのだ。
「余ったところって言うけれど、部屋なんて一杯余るわよ?
私達の倍の人数がいても部屋は余るわ。」
「えー…どうしよう。マジでどこでも良いんだよな。
じゃあ、俺エレナと真反対の角部屋で。」
「は?
なんでよ。」
「え?
いや、なんとなく。」
「じゃあ、私の隣にしなさいよ。
で、ユキノが私の前の部屋。」
「では、アニムスはそのマスターの隣の部屋で。」
いや、ヒツジじゃないんだから。
なんでこんな広い館で、隅っこの方で皆で固まらないといけないのだ。
「なんか、そう決められるとイヤになってきたな…。
ちゃんと距離取ろうぜ。プライバシーもあるんだし。」
「なんでよ。意味わかんないんですけど。
アンタにプライバシーとか必要なの?
私の隣で良いでしょ。」
「なんでそんな隣にしたがるんだよ。」
「ほら、ボードゲームとかで遊びたいときに誘いやすいじゃない。」
「修学旅行か?」
毎日毎日、そんなものの誘いに乗るのは御免である。
「アニムスも、少し離れてくれよ。
1人で色々とできるチャンスだぞ。」
「色々とはなんですか?」
「いやほら、現代の知識を取り入れたり、勉強したりとか。
500年ぶりに日常を堪能できるだろ?」
「そんなことよりも、マスターの日常を観察している方が面白いのであります。」
「不気味なことを言ってんじゃないよ。
だいたい、隣の部屋でもそういうのは見れないだろ。」
「壁に穴をあけるのであります。
これで、2人はハッピー。」
「ふざけんなお前マジで。」
「大丈夫なのであります。
人体に無害な高圧洗浄で行いますので。
ピース。」
「そういう問題じゃねーよ。」
結論。
コイツらからは少し離れないとダメだ。
きっと、日常がツラくなる。
そんな話をしていたら、ユキノが2階のベランダから降りてきた。
自分で出した風に乗って。
本当に器用で便利な奴である。
俺も、こういうことをやってみたい。
「だいたい終わりましたよ。
しかし、随分と楽しそうな話をしていましたね。
私抜きでそういうのやめてもらいたいものです。
で、何の話ですか?」
「普通に部屋割りの話だよ。
ユキノは、どの部屋が良いかもう決めたのか?」
「私は皆の側で良いですよ。
腐れ人形だけは遠い部屋で。」
「いや、だからなんで固まるんだよ。
離れよーぜ。
せっかくの広い洋館なのに。」
「いやいや、広いからでしょ。
こういう時こそ、皆で協力して離れずに迷子にならないようにするべきです。」
「なるわけねーじゃん。」
最終的に皆どこかに消えるとか?
アガサ・クリスティーの小説じゃあるまいし。
「でも、寒いじゃないですか?
皆で固まって寒さを凌いだ方が良いですよ。」
「それ、別にリビングで良いだろ。
暖炉もあるし、寒くなったらそれこそ皆でリビングで暖まろうぜ。
そのために、大き目のソファーとか机も買ってくれたんだろ?」
「まぁ、そうですけど…。」
コイツらは、一体全体何が不満なのか。
「あと、ユキノもアニムスもお風呂とかトイレ周りとかは確認しておけよ。
一応、備え付きの魔道具で浄化はできるけどさ。
おそらくかなり古いものだから、利用している最中に壊れましたってのもありうる。
そうなると、シャレにならんからな。
俺、そこらへんは専門でも何でもないし、見ても全くわからなかったぞ。」
「じゃあ、アニムスが見てくるのであります。
魔道具周りは、アホの白髪よりも詳しいので。」
「寝言は寝て言え、腐れ人形が。
私がお前より劣っているところなんて、何一つない。
ステータスもランクも、そしてスタイルもだ。
…ということで、ちょっと見てきますね。」
そう言いながら、二人は仲良く(?)魔道具周りを見に行った。
しばらく2人のやり取りを見ていたが、アレで案外と相性は良いのかもしれない。
「俺達も、とっとと残りをやっちゃおうか。」
「そうね。
口を動かす暇があったら手を動かした方が良いわ。」
本当に、身体を動かすのが好きな女神である。
普段はダラダラしてるのに、切り替えが良いのか何なのか。
「あ、そうだ。
俺エレナに相談があるんだけど。」
「ん?
なに?」
「あのさ、俺もそろそろ魔法とか使いたいんだけど。」
そう。
俺は、肉体的な訓練ばっかりやっていて、実践的な魔法の訓練を全くやっていない。
なので、未だに身体強化以外のスキルを全く使えない。
魔法やスキル周りの知識はなかなか頭に叩き込まれているのだが、それを自分自身で活かす機会がないのだ。
「ユキノの魔法とか見てたらさ、俺もああいうのやりたくてたまらなくなるんだよ。
そろそろ教えてくんない?」
「うーん……。
トータに魔法ねぇ…。」
「やっぱりまだ早い?」
「いや、使えることは使えると思うのだけれど。」
「なんだよ。
煮え切らないな。」
「あのね、トータ。
人には向き不向きがあるの。」
「うん。」
「あなたは、魔法とかいらないんじゃない?」
つまり、お前には魔法なんて向いていない…と言いたいのだろうか。
直接的に言われるよりも、余計に傷つく。
「いやいや。なんか言いたいことはわかったけどさ。
別に不向きでも良いんだよ。ただ使いたいだけだから。
弱くても全然いい。」
「うーん……。」
どうやら、エレナは不器用な俺に気を使ってくれているらしい。
まぁ、器用にユキノみたいに魔法を連戦連発できるとは思っていなかったが。
「そうねぇ…。
じゃあ、今ここでやってみたら?」
などと、エレナが言い出した。
「え?
ここって…い、家の中で?」
「いやいや、庭でね?」
「あ、あぁそっか。そうだよな。
でも、危なくない?」
「大丈夫よ。
ほら、なんでもいいから詠唱して魔法名を唱えてみなさい。」
「詠唱って…アレやったら威力が跳ね上がるんじゃないのか?
簡易的な魔法名と違って。」
俺は、いつかの完全詠唱のユキノの闇魔法を思い出していた。
初心者ダンジョンで、エレナのお尻を燃やしたアレである。
「大丈夫よ。
何かあったら、私がすぐに相殺してあげるから。」
詠唱か…。
あれ、ちょっと恥ずかしいんだよな。
小学生が考えた『僕の考えた最強の呪文』を唱えてる気分になる。
というか、魔法名を叫ぶだけでも恥ずかしいのに。
「えっと…じゃあ。
一番レベルの低い魔法でやってみるよ。」
「相変わらず慎重ねぇ…思い切ってドカンとやれば良いのに。」
などと、エレナはモップの柄の先端に顎を乗せながら呆れて言った。
そんな打ち上げ花火みたいなこと、俺ができるわけないだろう。
勢いあまって、俺まで弾け飛んだらどうする。
「ゴホンッ!
よし、やるぞ。
───紅の息吹よ、焔となって闇を照らせ。
ファイア・ボール!!」
俺がそう叫ぶと、掌に俺の身長の2倍くらいの巨大な火の玉が出てきた。
「おぉおお!!!
おい、エレナ!!
俺にもできたぞ!!!」
「そうね。
じゃあ、それを今度は空に向けて飛ばしてみなさい。
街に向けちゃダメよ?」
「…飛ばす?」
「そっ。」
「………。」
どうやって?
「あの、やり方がわからんのだけども。」
「普通に、今出してる火の玉をバンッと飛ばすイメージよ。」
エレナのこういうわけのわからん抽象的な説明を解読するのは、本当に至難である。
飛ばす…投げるイメージで良いのかな。
「えっと、こんな感じ…?
…ほっ!!」
俺は、空に向けて野球のピッチャーのストレートのように火の玉を投げ飛ばした。
すると、飛んで行った火の玉はわずか5mほど先で消えてしまった。
「あ、あれ!?
消えちゃったぞ!」
「ね?
こういうこと。」
「…いや、どういうこと?」
さっぱりわからん。
「トータはね、自分の身体から魔力を切り離して固着する操作がヘタクソなのよ。
さっきのファイアボールも同じ。
見ていても、すごく不安定なのよね。」
「……全く意味が分からん。
魔法って、自分の魔力を使って顕現したら終わりじゃないの?」
「違うわよ。
だって、そのまま放置してたら魔力源が無くなるじゃない。
魔法って、全部そいつが出した魔力で出来てるんだから。スキルも一緒。
それが無くなったら、消えて当たり前。」
「じゃあ、ファイア・ボールが離れた瞬間に俺の魔力が届かなくなった…ってこと?」
「そういうことね。
というか、普通は魔力を注ぎ続けるんじゃなくて、ああやって魔法が出てきた瞬間に自然とその形を保つための魔力操作を行うのよ。
ハッキリ言ってメチャ簡単なんだけど、トータはその基本が全然できていない。」
「…説明を聞いていても、激しく難しく感じる。
マジでわけわからん。
皆、そんな高度なことやってたの?」
「高度じゃないわよ。
だって、蛇口を締めて固めてるだけだし。
魔法を出した後もずっと魔力を垂れ流しにしてたら、ツライでしょ?」
「あ、それはわかりやすいかも。」
「でしょ?
あなたは、魔法を出した後もずっと蛇口が開いてるのよ。
で、飛ばした後にその蛇口から魔力が届かなくなってるだけ。
だから、身体の近いところだけ威力や効果が大きいの。
実際に、身体強化のスキルはスムーズに使えてるでしょ?」
「おぉ…なるほど。
俺の体、いつのまにかそんな難儀なことになっていたのか…。
じゃあ、俺の魔法って俺の周りにだけは発動する感じなのかな?」
「まぁそういうことね。
激しく効率は悪いけど。」
確かに、エレナから見ると俺は魔法を唱えた後も、無駄にずっとその魔法に水を流し続けているアホな奴に見えてるんだろうな。
そんなの、魔力がいくらあっても足らなくなる気がする。
「俺、普段の魔力操作や身体強化のスキルでも蛇口がずっと開いてる感じなの?」
「いや、そこは大丈夫よ。
ただ、魔法を使おうとして蛇口を開けたら、ずっと締めずに垂れ流してるイメージね。
見ていると、私が締めてやりたくなるもの。
だから、やっぱり向き不向きじゃない?」
「今の説明が一番わかりやすいよ。
俺、すげーもったいないことしてるんだなぁ。」
水道代金ならぬ、魔力代金が膨大なことになりそうである。
「前々からそういう傾向があったから、特に遠距離系の魔法は気を付けたほうが良いわよ。
別に使ってもいいけれど、使うのなら自分の体から離しすぎないようにね?
さっきのファイア・ボールも、手に持ったまま突撃した方が絶対に強いから。」
「なんかそう言われると、危なすぎるな俺…。
炎に身を包んで特攻とか自爆技にしか思えん。」
使えるようになったらしいチートスキルの《ゼロ》もそうだ。
基本的に、俺が使いたい強い必殺技みたいなのは、ほとんど自爆技である。
理不尽すぎない?
俺の力のはずなのに、その力は何故か俺にも牙をむく。
「ちょっと!!
エレナ!トータ!!
聞いてくださいよ!!」
話が一段落したところに、ちょうどユキノとアニムスが帰ってきた。
「なんだよ。
またケンカしたのか?」
「この小便臭いガキが、あまりにも聞きわけがないだけであります。
気に食わないからと、すぐにケンカを売ってくるのです。」
「お前が先にケンカを売って来たんだろ!!」
いったい何を言い争ってるんだか。
「何があったんだよ?」
「魔道具周りを調べていたら、旧式のモノが使われていたのです。
現代では使われていないモノです。
なかなか、高度な浄化システムでしたのでそれを修理した方が効率も性能も良いとアニムスは提案しました。」
「へぇ。良いことじゃん。
無駄なお金を使わないで済むし。」
「でも、このクソガキが…
『こんな魔道具の修理なんて専門的なこと、できるわけがないでしょ。』
とイチャモンを付けてくるのであります。
それで、後でトラブルになったらどうするのかと。」
正直、俺は魔道具周りのことなんてさっぱりわからないから、どう反応して良いのかも全くわからん。
「魔道具の修理って、そんなに難しいのか?」
「そりゃそうですよ。
専門の研究施設や研究家がいるくらいなのに。
構造を1から勉強して新しいモノを開発するのに、一生をかける人だって存在するくらいですよ。」
前世で言うところの、科学屋方面の人達のことなのだろう。
多分。
それは、確かに時間も労力もかかりそうである。
「で、私がそう反論したらこの腐れメスガキ人形が…
『お前ら魔族は本当にいつの時代もアホなんだな。
この程度のこともわからんとは。
人生やり直してこい。』
とか言いだしやがったのです!!」
……うん。
100%アニムスが悪い。
「アニムスは何も悪くありません。
実際に、アニムスには修理できるのであります。」
「ウソをつくな!!!」
本当に、いつまでこんな関係が続くのか。
せっかく、曲がりなりにも同じ屋根の下で暮らすことになったのに。
そんな憂いを一気に払ったのが、やはりというか案の定というかエレナ様であった。
「……ねぇ、私そろそろハッキリとさせておきたいのだけれど。」
突然、エレナがそう切り出した。
「いきなり何の話だ?」
「序列の話よ。
私はね、誰であろうが私に対して不遜で偉そうで傍若無人な態度をとる輩が許せないの。」
などと、不遜で偉そうで傍若無人なエレナが言いだした。
「うーん…つまり?」
「勝負しましょうか、ロボっ子。
ここでハッキリさせましょう。
どちらが上なのかを、ね。」
そうして、戦闘種族のエレナの提案により、エレナVSアニムスの本気の戦いが幕をあけたのだった。
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