カレカノごっこ。

咲倉なこ

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嫉妬。

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その瞬間。

扉のとってをガチャガチャと回す音が聞こえて、私と伊吹は顔を見合わせた。

外から「あれー?」って声が聞こえる。

声の主は鍵がかかっていると分かったみていで、引き返していった。

人が入ってくるんじゃないかとドキドキしていた私に、鍵をじゃらんと見せる伊吹くん。


「いつの間に鍵かけてたの?」

「入ってすぐ?」


伊吹くんはイタズラが成功した少年のような顔で笑った。

鍵がかかっているおかげで、誰も入ってこなかったけど。

でも。

もし誰も来なかったら、今頃どうしてたんだろう…。

あのまま空気に流されて私…。

考えただけで顔から火が出そうなくらい熱い。


「いいところだったのに、邪魔されちゃったね」


伊吹くんは意地悪な顔で笑う。


「全然いいところじゃなかったし!」


一気に現実世界に戻された私は、腰を上げた。


「渉、待たせてるから…」

「そうだね」


さすがに伊吹くんも悪いと思ったのか、引き留めてはこなかった。


放送室を出て、伊吹くんと一緒に廊下を歩く。

それだけでドキドキする。

私の手が隣に歩く伊吹の手と少しだけ当たって。

一瞬ドキッとして。

そのままギュッと手を握られる。


本当にこの男は、なんでこんなことが自然に出来ちゃうんだろう。



「ちょっと離して」

「えー?なんで?」

「誰かに見られたら困るでしょ?」

「全然?」


そこまで繋いでいたいのか。

そんなに手を繋いでいたいのか。


学校の玄関にいくと、渉がスマホを片手に待っていた。

渉が目に入った瞬間、伊吹くんは私の手をそっと離した。

あんなにも繋ぎたがっていたのに、離す時は一瞬だった。


渉は私たちを見つけて、一瞬笑顔になったあと、すぐに真顔になった。


「新奈、遅かったね」

「鍵、探すの手伝ってもらってたんだ」


伊吹くんはそう言って、放送室の鍵をポケットから出した。


「そうだったんだ」

「待たせて、ごめんね」

「うんん、大丈夫」


渉を待たせてまで、何やってるんだろう私は。


「じゃあ俺、職員室に鍵返してくるから」

「あ、うん。ばいばい」

「ばいばい」


伊吹くんはそのまま手をひらひらさせて、職員室の方に歩いて行った。

さっきはあんなにしつこかったのに。

帰る時はやっぱり一瞬だ。


「行こっか」

「うん…」


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