カレカノごっこ。

咲倉なこ

文字の大きさ
上 下
47 / 73
秘密ごと。

47

しおりを挟む


渉と付き合う、か。

渉と付き合ったらどうなるんだろう。

きっと普通に楽しいんだろうな。

手を繋いだりとかキスとか普通にしたりして。

今は全然想像できないけど。

きっとそれがすごく幸せなんだろうなとは思う。


私が渉と付き合うことになったら、伊吹くんはどう思うかな。

ショック受けるのかな。

でも伊吹くん渉のこと褒めてたし、よかったねって思うのかな。

ちょっとやだな…。


「あれ、今日も伊吹来てねーの?」


とある日の朝、朝礼が始まる5分前。

いつもギリギリに登校してくる水島くんの声が耳に入った。


最近、伊吹くんは学校を休むようになった。

気になるけど、先生は理由を言わない。

だからって誰かに理由を聞けるわけでもない。

体調、悪いのかな。

それとも学校に来るのがだるくなった?

そんなことを考えていると、スマホを持って教室を出ていく水島くんが目に入った。

水島くんなら休んでいる理由を知ってるかもしれない。

聞いてどうするんだって話だけど。

水島くんに不審がられると思うけど。


「ちょっとトイレ行ってくるね」

「あ、うん」


桃々を教室に残して、私は水島くんの後を追った。

でもいざ声をかけようと思うと緊張する。

やっぱりやめようかなって思った時、私の前を歩いていた水島くんがスマホを耳に当てて喋り出した。


「もしもし、伊吹?お前大丈夫?」


電話の相手は伊吹くんだ。


「うん。うん。そーなんだ。まー、安心しろよ、誰にも言ってねーから」


歩いていた水島くんは途中で止まって、窓の方に寄りかかった。

後ろを歩いていた私は、そのまま止まることができず、水島くんの横を通り過ぎていく。

話の内容、気になるけど盗み聞きもよくないし…。


「でもこのままで本当にいいのかよ」


水島くんは伊吹くんと何を話しているのか全然分からない。

でも、あんまり良くなさそうな話をしていることは分かる。

中途半端に聞いてしまったせいで余計気になってしまった。

どうしよう。

何か良くないことに巻き込まれてるんじゃないかって、そのことばかりが頭を回る。

気がつけば私はUターンしていて、電話が終わった水島くんに声をかけていた。


「今の電話の相手って、い…皆藤くん?」

「あー、そう。今日も休みだって。だるいよな」

「そうなんだ…。途中まで聞こえちゃったんだけど…」

「え?うそ」

「ごめんね、聞くつもりとかなかったんだけど、でも気になって…。皆藤くん大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫。今は安定してるって。ってか入院してること誰にも言わないで…?」


え…。

入院…?


しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

サイダー・ビーツ

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

生残の秀吉

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:2

ワープ先でお忍び王子と母さん探しの旅に出る?!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:5

処理中です...