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秘密ごと。
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しおりを挟む渉と付き合う、か。
渉と付き合ったらどうなるんだろう。
きっと普通に楽しいんだろうな。
手を繋いだりとかキスとか普通にしたりして。
今は全然想像できないけど。
きっとそれがすごく幸せなんだろうなとは思う。
私が渉と付き合うことになったら、伊吹くんはどう思うかな。
ショック受けるのかな。
でも伊吹くん渉のこと褒めてたし、よかったねって思うのかな。
ちょっとやだな…。
「あれ、今日も伊吹来てねーの?」
とある日の朝、朝礼が始まる5分前。
いつもギリギリに登校してくる水島くんの声が耳に入った。
最近、伊吹くんは学校を休むようになった。
気になるけど、先生は理由を言わない。
だからって誰かに理由を聞けるわけでもない。
体調、悪いのかな。
それとも学校に来るのがだるくなった?
そんなことを考えていると、スマホを持って教室を出ていく水島くんが目に入った。
水島くんなら休んでいる理由を知ってるかもしれない。
聞いてどうするんだって話だけど。
水島くんに不審がられると思うけど。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
「あ、うん」
桃々を教室に残して、私は水島くんの後を追った。
でもいざ声をかけようと思うと緊張する。
やっぱりやめようかなって思った時、私の前を歩いていた水島くんがスマホを耳に当てて喋り出した。
「もしもし、伊吹?お前大丈夫?」
電話の相手は伊吹くんだ。
「うん。うん。そーなんだ。まー、安心しろよ、誰にも言ってねーから」
歩いていた水島くんは途中で止まって、窓の方に寄りかかった。
後ろを歩いていた私は、そのまま止まることができず、水島くんの横を通り過ぎていく。
話の内容、気になるけど盗み聞きもよくないし…。
「でもこのままで本当にいいのかよ」
水島くんは伊吹くんと何を話しているのか全然分からない。
でも、あんまり良くなさそうな話をしていることは分かる。
中途半端に聞いてしまったせいで余計気になってしまった。
どうしよう。
何か良くないことに巻き込まれてるんじゃないかって、そのことばかりが頭を回る。
気がつけば私はUターンしていて、電話が終わった水島くんに声をかけていた。
「今の電話の相手って、い…皆藤くん?」
「あー、そう。今日も休みだって。だるいよな」
「そうなんだ…。途中まで聞こえちゃったんだけど…」
「え?うそ」
「ごめんね、聞くつもりとかなかったんだけど、でも気になって…。皆藤くん大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。今は安定してるって。ってか入院してること誰にも言わないで…?」
え…。
入院…?
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