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第一章 狼が兎に恋する時
兎視点⑧
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ついに、ついに……、この時が……。
「嫌だ!嫌だ!」
俺は十九歳になる年まで、発情期を迎えたことがなかった。
もしかしたら、このまま発情なんか起こらずに、一生を終えることができるのではないか……とさえ感じていたのだ。
なのに、なんでなんだよ……!!
所詮、自分はΩだった。
自分の甘っちょろい考えに、心底が腹がたって仕方ない。
「嫌だ、嫌だよぉ!!」
体も心もしんどくて、体を丸くしてただただ全身の熱さに耐える。
全身が痙攣し、口からは子供のように涎が溢れ、目からはボロボロと涙が零れる……こんな無様な姿を寛太になんか見られたくない。
それなのに、気持ちとは裏腹に、全身から溢れ出すΩ特有の甘ったるい匂い。このフェロモンで、自分の意志とは裏腹にαを誘惑してしまうのだ。
必死に体を起こし、這ってでも寛太の家から出ようとした瞬間。
「航!! 大丈夫か!?」
真っ青な顔をした寛太に抱き起こされる。
「お願い……だから、さ、触らない……で」
息も絶え絶えに呟けば、
「バカが、放っとけるわけねぇだろうが!?」
情けないことに、俺はヒョイッとお姫様抱っこをされ、寛太の寝室に担ぎ込まれた。
ベッドに寝かされ、不安そうな顔で覗き込まれる。その瞳からは再び大粒の涙が溢れていて。
また泣いてるのか……? 意外と泣き虫なんだなぁ。
そんなことを冷静に思う。
半ば呆れている俺の頭を、心配そうにそっと撫でてくれた。
「大丈夫か……? 調子が悪いのか?」
ごめん、心配かけて。
でも早く何とかしないと、お前まで発情しちゃう……それだけは、何としてでも防がないと。
「寛太。悪いんだけど、リュックのポケットの中に薬が入ってるから、それを取ってもらってもいい?」
「え? あ、うん。これ?」
「うん、それ。サンキュー」
寛太が取り出してくれた薬を、意を結して口に放り込んだ。
それは、いつ発情が起きても対処できるよう、発情の症状を軽減させてくれるΩにしたら必需品の薬だ。
俺も、もしもという時のために必ず携帯していた。それが、こんな形で役にたつなんて……。
本当に皮肉だよなぁ……。
生まれて初めて飲む薬に少しだけ戸惑いながらも、とにかく狂ってしまいそうな欲情と熱さから逃れたいと思った。
口に薬を放り込めば一瞬で溶けてしまい、口内に苦い薬の味が広がる。
「大丈夫、大丈夫だ。薬が効いてくれば治まるはずだ」
自分で自分に言い聞かせ、ただただ辛い現状を耐え凌ぐ。
それでも、いくら鈍感な俺でも自分の体に起こる変化を感じていた。
αを受け入れる秘部は熱くなり、トロトロと蜜が溢れ出している。αを誘惑するためのフェロモンの匂いはどんどん濃くなって行った。
寛太にだけは襲いかかるなんてことがないように。どうか最後に残された理性よ、頑張ってくれ。
寛太には、絶対嫌われたくない。
絶対に、嫌われたくないんだ。
俺は、ベッドに綺麗に敷かれたシーツを鷲掴みにして、初めて感じる発情に……必死に抗ったのだった。
「嫌だ!嫌だ!」
俺は十九歳になる年まで、発情期を迎えたことがなかった。
もしかしたら、このまま発情なんか起こらずに、一生を終えることができるのではないか……とさえ感じていたのだ。
なのに、なんでなんだよ……!!
所詮、自分はΩだった。
自分の甘っちょろい考えに、心底が腹がたって仕方ない。
「嫌だ、嫌だよぉ!!」
体も心もしんどくて、体を丸くしてただただ全身の熱さに耐える。
全身が痙攣し、口からは子供のように涎が溢れ、目からはボロボロと涙が零れる……こんな無様な姿を寛太になんか見られたくない。
それなのに、気持ちとは裏腹に、全身から溢れ出すΩ特有の甘ったるい匂い。このフェロモンで、自分の意志とは裏腹にαを誘惑してしまうのだ。
必死に体を起こし、這ってでも寛太の家から出ようとした瞬間。
「航!! 大丈夫か!?」
真っ青な顔をした寛太に抱き起こされる。
「お願い……だから、さ、触らない……で」
息も絶え絶えに呟けば、
「バカが、放っとけるわけねぇだろうが!?」
情けないことに、俺はヒョイッとお姫様抱っこをされ、寛太の寝室に担ぎ込まれた。
ベッドに寝かされ、不安そうな顔で覗き込まれる。その瞳からは再び大粒の涙が溢れていて。
また泣いてるのか……? 意外と泣き虫なんだなぁ。
そんなことを冷静に思う。
半ば呆れている俺の頭を、心配そうにそっと撫でてくれた。
「大丈夫か……? 調子が悪いのか?」
ごめん、心配かけて。
でも早く何とかしないと、お前まで発情しちゃう……それだけは、何としてでも防がないと。
「寛太。悪いんだけど、リュックのポケットの中に薬が入ってるから、それを取ってもらってもいい?」
「え? あ、うん。これ?」
「うん、それ。サンキュー」
寛太が取り出してくれた薬を、意を結して口に放り込んだ。
それは、いつ発情が起きても対処できるよう、発情の症状を軽減させてくれるΩにしたら必需品の薬だ。
俺も、もしもという時のために必ず携帯していた。それが、こんな形で役にたつなんて……。
本当に皮肉だよなぁ……。
生まれて初めて飲む薬に少しだけ戸惑いながらも、とにかく狂ってしまいそうな欲情と熱さから逃れたいと思った。
口に薬を放り込めば一瞬で溶けてしまい、口内に苦い薬の味が広がる。
「大丈夫、大丈夫だ。薬が効いてくれば治まるはずだ」
自分で自分に言い聞かせ、ただただ辛い現状を耐え凌ぐ。
それでも、いくら鈍感な俺でも自分の体に起こる変化を感じていた。
αを受け入れる秘部は熱くなり、トロトロと蜜が溢れ出している。αを誘惑するためのフェロモンの匂いはどんどん濃くなって行った。
寛太にだけは襲いかかるなんてことがないように。どうか最後に残された理性よ、頑張ってくれ。
寛太には、絶対嫌われたくない。
絶対に、嫌われたくないんだ。
俺は、ベッドに綺麗に敷かれたシーツを鷲掴みにして、初めて感じる発情に……必死に抗ったのだった。
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