勇者?いいえ、聖・魔剣使いです。〈 聖・魔剣使いの英雄談〉

カザミドリ

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4章ルクレア法国侵入編

5.緊急帰国

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さっそくベアトリスに戻る事を伝えにダイアの居る執務室に来たのだが、ノックをしても返事がないので、勝手に入ることに。

「あぁぁ、アタシは何であんな事を言えたのか……いや、しかし、あの場で何も言わないと、皇帝としての威厳が……」

何か小声でぶつぶつ言ってるな。

「おい、ダイア」

「今後の事を考えるなら、友好的に……だが、帝都の復興が遅れれば民達が……」

まったく聴こえていないようなので、実力行使に出ようと思う。

ビシッ!

「あ痛っ!?な、なんだ!?」

「ようやく気づいたか?」

「あ、明!何を勝手に入ってきてるんだ!」

「ノックもしたし呼び掛けもした、だが、返事がないので勝手に入らせてもらった、そのあと目の前で声を掛けたが、気づかないのでデコピンをしたんだ」

「デコピン?」

「これの事だ」

ビシッ!

「痛っ!実演しないでもいい!」

「そりゃ失礼、そんな事より緊急事態が起きたので、ベアトリスに戻る事になった」

「何かあったのか?」

「あぁ、実は……」

俺は現状を簡単に説明する。

「なるほど、ルクレア法国か……」

「そちらでは何か知らないか?」

「いや、元々帝国では余り貿易をしていないからな」

「なんだ?仲悪いのか?」

「立地的問題だ、帝国と法国の間には幻想の森が在り直接貿易をできない状態なんだ」

「なるほど、だから一度ベアトリスに戻らないといけないのか」

「直ぐに出発するのか?」

「そのつもりだ、既に澪達には集まるよう使いを出している」

「そうか、ならば食糧などの準備はこちらでしよう」

「いいのか?」

「あぁ、むしろそれくらいやらせてくれ」

「助かる、じゃあな」

「あぁ、元気でな?お前には本当に感謝しているのだ、何かあったらいつでも言ってくれ」

「……その言葉、忘れるなよ?」

「え?おい、明どうゆう意味だ!」

ダイアの声を無視して部屋を出る。


「いったい何なんだ?」

「ダイア様、御愁傷様です、工藤様何か考えてるみたいですよ?」

「エレナ嬢ちゃん、それは、本当か?」

「ハイ、恐らく近いうちに何かします」

ダイアとエレナ姫が何か話してる、悪いが時間はそんなに無いんだ。

「エレナ姫、置いてくぞ?」

「あ、待ってください、工藤様!」


さて、準備を整え城門前で澪達が戻って来るのを待つ。

「明くん!」

それほど待たずに、澪達が帰ってくる。

「悪いな、突然呼び戻して」

「まったくよ!買い物してたらいきなりメイドさんが目の前に現れたんだから!」

「それは驚くな」

「でも、緊急事態って事だろ?」

「あぁ、実は……」

本日二回目の事情説明を手早く済ませる。

「はぁ、日野は何してんのよ?」

「俺に聞くな」

「じゃあ、急いで出発の準備をしなきゃね」

「その必要はない、メイド達が全て終わらせた」

「え?私達の荷物も?」

「このメイドさん達何者?」

「クロエと同じだ」

「クロエさんと?」

「むぅ?」

「あ~なるほど」

「明も大変だね」

「とにかく出発だ」

頭に?を浮かべる鈴と敦を放っておき出発する、どうせ後で嫌と言うほど解るんだいいだろう別に。

帝都から国境までは最短で二日掛かる、来るときは遠回りしたので今回は楽だ。
違う点と言えば、後ろにメイド達が乗った馬車が着いてきている事か、どうやら行きの時は気付かれないように距離を取りついて来ていたらしい。

昼過ぎに帝都を出発した事もあり、直ぐに日が暮れてしまった、俺は今日ほど夜が来なければいいと思った事はない。

「お待たせしました、明様お召し上がりください」

例によって、クロエ達が食事を作ってくれたのだが、今回は一人ではない六人で膝間付いている。

「なるほどね、クロエさんと同じだわ」

「これは、すごい光景だね」

「うん、クロエさん一人だけでもすごいけど六人だもんね」

「ううむ、明も大変だな」

早くベアトリスに着かないだろうか……

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