8 / 45
王都へ
しおりを挟む
「え?王都にですか?」
ギルド長主催の宴会の途中、ギルド長メグミさんに依頼を受ける。
「そう、といっても手紙を届けてもらうだけの簡単な依頼よ?」
「うーん、王都かぁ、ちなみにここからどれくらいかかるんですか?」
「馬車で2日半くらいかな」
うへぇ、そんなにかかるのか、できればもう少し実戦を経験したいしなぁ。
「タクト様、よろしいでしょうか?」
悩んでいるとクロノが断りをいれてきた、意見があるらしい。
「どうしたクロノ」
「はっ、私的な意見で申し訳ありませんが私は王都に行くのも宜しいかと思います」
「そのこころは?」
「王都に行き、人脈を広げるのが良いかと、冒険者と言うのは人との繋がりで大きく変わるものだそうです」
なるほど、人脈を広げれば広げるほど色々な依頼が舞い込むか。
「わかった、クロノの意見を取り入れ、王都に向かおう」
「有り難き幸せ」
「じゃあメグミさん、その依頼受けます!」
「はい、じゃあ明日朝ギルドに来て頂戴、手紙と依頼書を用意しておくから」
その後明日に備え宴会は解散、宿に戻る。
「また、一人部屋か」
気を使わないでいい分、寂しさもある。
「明日は早いからもう寝よう」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
タクトが寝入った頃、メロウが立ち上がる。
「それではタクト様の事頼みましたよ、クロノ」
「お任せを、明日の朝までには帰って下さいね?」
「えぇ、少し身分を解らせるだけよ」
メロウは薄く微笑み、宿から出る、既にフェンとエニが待っていた。
「お待たせ」
「もう遅いよ!」
「タクト様、寝た?」
「えぇ、ゆっくりお休みになられたわ」
「ねえ、早く行こ!僕我慢できないよ!」
「ふふふ、フェンはせっかちね」
「だって、昼間からずっと我慢してたんだよ!?」
「はいはい、じゃあ行きましょう?」
闇夜に消える三人の影。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
翌朝、タクトはノックの音で目を覚ます。
コン、コン、コン。
「タクト様、おはようございます」
「おはよう、クロノ」
「そろそろご準備した方が宜しいかと」
「わかった」
準備と言っても着替えるだけだ、剣や盾はクロノが昨日の夜、整備してくれたらしい、自分でやると言ったがクロノに「タクト様の武具を作り整えるのは至上の喜び、どうかこの老いぼれから取らないで下さい」と言われた、老いぼれじゃないだろとはツッコミたかったがやめた。
「おはようございますタクト様」
身支度を済ませて宿の一階にある食堂に下りると、既にメロウ達が席についていた。
「おはよう皆、じゃあ食べようか」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
朝食を済ませギルドに向かうと、受け付けに着く前にメグミさんが出てきた。
「おはよう、昨日はよく眠れたかな?」
「はい、大丈夫です」
「それは結構、では、これが依頼書と手紙だ、依頼書は王都のギルドに手紙と一緒に出してくれ、そうすれば判子を押してもらえる」
「はい、分かりました」
「それとこれ、昨日助けたセイア村から謝礼が届いているわ」
「セイア村から?でもセイア村は謝礼は出さないって」
「えぇ、私もタクトくんから聞いていたから、何かの間違いじゃないか聞いたんだけど、間違い無いって」
「そ、そうですか?まぁ、受け取れるものは受け取ります」
「では、気をつけて行ってきなさい、街の入り口に道案内の朱の鳥が待っているから」
「ケインさん達が?分かりました急ぎます!」
タクトは手紙と依頼書を受け取り街の入り口に急ぐ。
(タクトくんが助けたって言う村、確か村人と在留の兵士が仲が悪く、兵士が冒険者を見下したりして何度かトラブルになっていたはず、とてもじゃないけど依頼でもないのにお金払うとは思えない、調べてみた方がいいわね)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
街の入り口では、ケイン率いる朱の鳥が馬車の準備をしながらタクト達を待っていた。
「遅いわねタクトくん」
「そうだなー」
心ここに有らずの返事をするケインにクレアが怒る。
「何よ、気のない返事して!」
「クレア、お前は大丈夫なのか?タクトくんはまだしも、あの四人と二日以上一緒なんて……」
「うーんと、片道二日半だから、帰りも合わせて五日、あっちに滞在するだろうから、合わせて七日間は考えておいた方がいいわよ?」
「俺、帰っていい?」
「いいわよ?」
予想外のクレアの言葉にケインが面食らう、そこにクレアが言葉を続ける。
「タクトくんには、ケインがどうしても一緒に寝泊まりしたくないんだって言っとくから」
「鬼め」
満面の笑みを浮かべるクレアとそれを怨めしそうに見るケイン、そうこうしている馬車にようやくタクト達が現れる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「すいません、遅くなりました!」
「時間が決まっていた訳じゃないから、気にしないで?」
タクト達が来るとケインはそそくさと馬車に入る、その姿を見てクレアは小さく舌打ちをする。
「馬車で移動なんですね?」
「ええそうよ、本来は交代で御者をするんだけど、今回はケインが一人でやってくれるそうよ?」
え?俺?というケインの視線に、文句ある?というクレアの視線がぶつかる、観念したようなケインが肩を落とし御者台へ向かうのが見えた。
「さ、準備ができたら乗って、出発するわよ」
「はい!」
タクトが楽しそうに馬車に乗り込むが、メロウ達の目は険しい。
(タクト様に、あの様なみすぼらしい馬車は不釣り合いです)
(全くですな、もっと良い馬車を用意したいものです)
(でも用意してる時間無いよ?)
(タクト様、もう、乗っちゃった)
(ふむ、そうですな、私に考えが有ります、今はタクト様に辛抱していただきましょう)
クロノの言葉に四人で頷き合い馬車に乗る、その一連の行動を見て、朱の鳥メンバーは息を飲むしかなかった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
王都を目指して半日、昼になったので馬車を止めて休憩を取る。
「うへぇ、腰痛い」
「大丈夫?タクト、様」
「うん、大丈夫だよ、ありがとうエニ」
小さな手で擦ってくれるエニに感謝しつつ、昼食の準備を手伝う。
「はぁ、いいよなみんなは直ぐに昼にありつけて、俺は馬車の確認に、馬の世話、結構大変なんだよなぁ」
「少し、宜しいですかな?」
ぼやくケインに突然後ろから話し掛けたのはクロノ。
「は、は、はい!何でしょうか!」
「この馬車はどなたのですかな?」
「え?えっと、ギルドから借りてる物になります」
「ふむ、馬車を買い取る事は可能で?」
「いやぁ、聞いたことは無いですね」
「では、一般的に馬車はおいくらくらいでしょう?」
「馬車の値段ですか?えっと馬車単体で金貨四十枚、馬も合わせると金貨百枚位ですかね、馬は貴重な移動手段ですから」
「ほう、勉強になりました感謝します、では、失礼」
感謝という言葉にケインは驚きつつ、何だったんだ?と首を傾げる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「タクトくん、あとはこっちでやるから休んでていいわよ」
「はーい」
ケインとクロノが話す馬車から少し離れた所では、クレア主導による昼食の準備がされていた、が、家事のほとんど出来ないタクトはあまり役に立てていなかった。
「うーんやっぱり現代とは勝手が違うな、それに比べて………」
以外にも料理の腕前をフェンが発揮した、元来の才能か、フェンは嗅覚に敏感に反応し味付け等を直ぐに覚えるまでに至った。
「今度フェンに料理習おうかな?」
苦笑いをしながら歩いていくタクトの後ろでは。
「ふぅ、あとは運ぶだけ……」
「少し良いかしら?」
「っ!びっくりした、メロウさんか、どうかしましたか?」
クレアの驚きに意を返さず、メロウが続ける。
「なぜ馬を走らせないの?走らせた方が早く着くんじゃなくて?」
「え?ああ、馬を走らせると直ぐにバテちゃうんです、何せ人や荷物を乗せた馬車を引いてますから、バテると馬の命に関わると同時に移動手段の生命線も絶たれちゃいますから」
「なるほど、なら、バテない馬を見つければいいのね?」
「あはは、そんな馬見たこと無いですよ!」
「そう、ありがとう、参考になったわ、運ぶの手伝いましょう」
「え!?あ、はい、ありがとう、ございます」
メロウの手伝いの申し出に驚くクレアであった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
昼食が終わり出発の準備の途中。
「ケイン、少しいい?」
「クレア、俺も今行こうと思ってたんだ」
「ひょっとして、ケインの所にも?」
「あぁ、馬車の確認をしてたらクロノさんが」
「クロノさんならまだ分かるじゃない?こっちにはメロウさんが来たのよ?」
「え、マジかよ、やっぱり馬車に不満があったのか?」
「そうみたい、馬を走らせてもっと早くならないかって」
「はぁ、だからメグミさんに、もっと良い馬車用意してくれって言ったのに」
「何も起きないと良いわね」
ため息をつく二人をよそに、午後の移動では特に変わった事は起きなかった。
「え!?タクトくん、私より年上なの!?」
「はい、二十八才です」
「ごめん、敬語使ってるし、若く見えるからてっきり年下だと思ってた」
「いや、気にしないで下さい」
「でも、くんずけはどうなの?」
「好きに呼んで頂いて大丈夫ですよ」
実際、この世界に来て、見た目が若返っていたときは、自分でもびっくりした。
「……タクトさんはとても丁寧な言葉を使われますよね、どちらで習ったのですか?」
聞いてきたのは、朱の鳥パーティーの僧侶ミリー、メロウに引けをとらない位の立派な物をお持ちの方だ。
「えっと、故郷の風習(?)ですかね?人を敬う的な……」
異世界云々はあまり口外しない方がいいと、ギルド長に言われたため、説明がしきれないが、ミリーさんには何か届いたようだ。
「素晴らしい考えです!えぇ、えぇ、そうです、人は皆敬い、称え合い生きていくべきなのです」
「あちゃー、始まった」
「あの、クレアさん、これは?」
ミリーさんを指差しながらクレアさんに尋ねる。
「ミリーはね、敬虔なグラスト教信者なの」
「今、まさに、タクトさんが言った事はグラスト教、教義に他なりません!」
「へぇ、そうなんですか?」
「な、な、なんと、教義は知らないのに、常日頃から実践されているなんて……なんと、なんと」
あー、ちょっとヤバイかな、教義を知らないってまずいのかな?と思ったが。
「なんと素晴らしいのでしょう!タクトさんほどグラスト教に相応しい人は居ません!」
あ、いいんだ、でも別の意味でヤバイわ、完全に瞳の奥に十字架が見えるもん、あとさらっと勧誘入ってるし。
「ミリー、いい加減にしときなさい」
「タクトさん、ぜひグラスト教に入信を………ひっ!、い、いえ、やはり入信は自由意思の方がよろしいですよね、はい……」
ありがたい事に急にミリーさんの勢いが止まった、小さな声でクレアさんが"だから言ったのに"と言っていたが、何の話だ?うーん、確かミリーさんは俺の右隣を見て息を飲んでいたな、そちらを向くとちょうどメロウが微笑みながらお茶を持って来てくれていた。
「タクト様、お茶を御持ちしました、暖まりますよ」
「ありがとうメロウ」
メロウはそのまま、俺の隣に腰かける。
「でも、グラスト教には興味有りますね、どんな神様を奉っているんですか?」
「よくぞ聞いてくれました!我がグラスト教はなんと異界神を奉っているのです!」
「え?異界神?」
「はい!この世界の危機に異界神様は勇者を遣わしてくれる、それはもう慈悲深い神様なのです!」
あ、たぶんだけどその神様知ってる。
「ちなみにどんな姿をしているんですか?」
「それが地域によって違うんです」
「あ、それ私も知ってる、何でも男の神様って言う人も居るし、女神って言う人も居て、しまいには老人や子供まで色々出てきちゃってるんだよね」
あー、やっぱり俺をこの世界に送ってくれた神様だ。
(メロウひょっとして、この神様って)
(はい、わたくし達を造り、タクト様に巡り合わせて下さった、神様ですわ)
「やっぱりか、となると一度お参りに行ってみたいな」
「そうですか!?宜しければぜひ巡礼して下さい!」
「その、教会は何処に?」
「うーん、各地に教会は在るんですが、大聖堂はこの国の王都ルインより北に行った街、ベイルンに在るんです」
「えっと出発したのが王都の南に在るファストの街という事は、帰りにちょっと寄るとかは無理ですね」
「そうですね、反対側ですし、それなりに距離が有りますから」
「うーん、残念です」
余裕があったら寄ってみたかったんだが。
「宜しければ今度時間がある時に行ってみて下さい、その際にわたしに声を掛けて頂ければ紹介状を書かせて頂きます、それを持って行けば見学がスムーズに出来ると思うので」
「本当ですか?その際はぜひお願いします」
こうして、初めての野営の夜は更けていった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「さて、明日も早いし寝ましょうか」
盛り上がりが一段落ついた所で、クレアさんが立ち上がる。
「そうですね、あ、見張りとかどうします?」
「タクト様、その心配はございません、この一帯に魔物避けの結界を張りました」
「あ、そうなんだ、じゃあ見張りは要らないかな?」
「ま、待ってタクトくん、魔物だけじゃなく盗賊とかも居るから」
「その心配もございませんクレア殿、人が近付けば知らせてくれる罠を仕掛けて措きました」
「え?あ……」
「ついでに、近くに居た汚ない服の人達は、ボクとエニで片付けて来たよ、お姉さん」
コク、コクとエニが頷く、いつの間にか四人は野営の環境を整えていたらしい。
「らしいんですけど、どうします?」
「な、なら、見張りは要らないんじゃないかしら?今日は皆ゆっくり休みましょう、うん、そうしよう」
ふらふらとテントに向かうクレアさん、大丈夫だろうか?
「お、おい、クレア?大丈夫か?」
「あぁ、ケイン、ふふふ大丈夫よ」
「いや、絶対大丈夫じゃないだろ、目が死んでるぞ?」
「もうね、常識を忘れる事にしたわ、通じる人達じゃないもの」
ケインさんが駆け寄るもクレアさんはふらふらとテントに入ってしまった。
「ケインさん、クレアさんは大丈夫でしたか?」
「ん?あぁ、少し疲れてるだけだと思うから平気だよ」
「そうですか、じゃあ俺達も休みますね」
そうケインさんに断り、テントに行こうとしたら。
「あれ?おーい!フェンはこっちだよ!」
「え?ええ!?」
何驚いてるんだ?テントは二つしか無いので男女で別れる事になっている、だから男の子のフェンは俺達と同じテントで寝る。
「ほら、行くぞフェン」
「いや、タクト様ボクは」
「フェン、行きなさい」
「メ、メロウ!?何言ってるの!知ってるでしょ?ボクはおん」
「タクト様が求めているのよ?」
「……タクト様が」
「そうよ、これは栄誉な事なのわかるわね?」
「……メロウ、わかったよ、ボク精一杯頑張るよ!」
メロウとフェンが話をしているが、良くは聞こえない、何かを頑張るらしいのだが、護衛とか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ギルドの野営用テント、ギルドから借りてきた多人数用テントとはいえ朱の鳥パーティー男子三人と俺達三人、合わせて六人で寝るとなると些か手狭だ。
「さて、どうやって寝ようか」
「タクト様、宜しいでしょうか?」
「どうした、クロノ?」
「私は万が一に備え、入り口に一番近いところで寝ようと思います」
ふむ、安全は確保しているけど絶対では無いからか。
「わかった、よろしく頼む」
「じゃあ俺達、朱の鳥組が右側の森に近い方に寝るとするか」
「いいんですか?」
「ああ、こうゆう時ぐらい先輩風吹かせないとな」
十分お世話になってるけどね。
「じゃあ俺とフェンが左側だな」
「ひゃ、ひゃい!」
フェンの返事が裏声になった、ひょっとして初めての野営で緊張してるのかな?分かるなぁ、俺も初めてキャンプした時は眠れなかったもんな。
「じゃあ、寝るとするか」
初めての馬車移動と、明日も早い事があり直ぐに横になるが。
「やっぱり狭いな、ごめんフェン少し積めていい?」
「ひゃい!ど、ど、どうぞ……」
積めると近くにフェンの吐息を感じる、あ、でも暖かくていいかも、子供は体温高いからなぁ。
温もりを感じつつ、夢の中へ旅立つ、こうして一日目の移動は終わった。
ギルド長主催の宴会の途中、ギルド長メグミさんに依頼を受ける。
「そう、といっても手紙を届けてもらうだけの簡単な依頼よ?」
「うーん、王都かぁ、ちなみにここからどれくらいかかるんですか?」
「馬車で2日半くらいかな」
うへぇ、そんなにかかるのか、できればもう少し実戦を経験したいしなぁ。
「タクト様、よろしいでしょうか?」
悩んでいるとクロノが断りをいれてきた、意見があるらしい。
「どうしたクロノ」
「はっ、私的な意見で申し訳ありませんが私は王都に行くのも宜しいかと思います」
「そのこころは?」
「王都に行き、人脈を広げるのが良いかと、冒険者と言うのは人との繋がりで大きく変わるものだそうです」
なるほど、人脈を広げれば広げるほど色々な依頼が舞い込むか。
「わかった、クロノの意見を取り入れ、王都に向かおう」
「有り難き幸せ」
「じゃあメグミさん、その依頼受けます!」
「はい、じゃあ明日朝ギルドに来て頂戴、手紙と依頼書を用意しておくから」
その後明日に備え宴会は解散、宿に戻る。
「また、一人部屋か」
気を使わないでいい分、寂しさもある。
「明日は早いからもう寝よう」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
タクトが寝入った頃、メロウが立ち上がる。
「それではタクト様の事頼みましたよ、クロノ」
「お任せを、明日の朝までには帰って下さいね?」
「えぇ、少し身分を解らせるだけよ」
メロウは薄く微笑み、宿から出る、既にフェンとエニが待っていた。
「お待たせ」
「もう遅いよ!」
「タクト様、寝た?」
「えぇ、ゆっくりお休みになられたわ」
「ねえ、早く行こ!僕我慢できないよ!」
「ふふふ、フェンはせっかちね」
「だって、昼間からずっと我慢してたんだよ!?」
「はいはい、じゃあ行きましょう?」
闇夜に消える三人の影。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
翌朝、タクトはノックの音で目を覚ます。
コン、コン、コン。
「タクト様、おはようございます」
「おはよう、クロノ」
「そろそろご準備した方が宜しいかと」
「わかった」
準備と言っても着替えるだけだ、剣や盾はクロノが昨日の夜、整備してくれたらしい、自分でやると言ったがクロノに「タクト様の武具を作り整えるのは至上の喜び、どうかこの老いぼれから取らないで下さい」と言われた、老いぼれじゃないだろとはツッコミたかったがやめた。
「おはようございますタクト様」
身支度を済ませて宿の一階にある食堂に下りると、既にメロウ達が席についていた。
「おはよう皆、じゃあ食べようか」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
朝食を済ませギルドに向かうと、受け付けに着く前にメグミさんが出てきた。
「おはよう、昨日はよく眠れたかな?」
「はい、大丈夫です」
「それは結構、では、これが依頼書と手紙だ、依頼書は王都のギルドに手紙と一緒に出してくれ、そうすれば判子を押してもらえる」
「はい、分かりました」
「それとこれ、昨日助けたセイア村から謝礼が届いているわ」
「セイア村から?でもセイア村は謝礼は出さないって」
「えぇ、私もタクトくんから聞いていたから、何かの間違いじゃないか聞いたんだけど、間違い無いって」
「そ、そうですか?まぁ、受け取れるものは受け取ります」
「では、気をつけて行ってきなさい、街の入り口に道案内の朱の鳥が待っているから」
「ケインさん達が?分かりました急ぎます!」
タクトは手紙と依頼書を受け取り街の入り口に急ぐ。
(タクトくんが助けたって言う村、確か村人と在留の兵士が仲が悪く、兵士が冒険者を見下したりして何度かトラブルになっていたはず、とてもじゃないけど依頼でもないのにお金払うとは思えない、調べてみた方がいいわね)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
街の入り口では、ケイン率いる朱の鳥が馬車の準備をしながらタクト達を待っていた。
「遅いわねタクトくん」
「そうだなー」
心ここに有らずの返事をするケインにクレアが怒る。
「何よ、気のない返事して!」
「クレア、お前は大丈夫なのか?タクトくんはまだしも、あの四人と二日以上一緒なんて……」
「うーんと、片道二日半だから、帰りも合わせて五日、あっちに滞在するだろうから、合わせて七日間は考えておいた方がいいわよ?」
「俺、帰っていい?」
「いいわよ?」
予想外のクレアの言葉にケインが面食らう、そこにクレアが言葉を続ける。
「タクトくんには、ケインがどうしても一緒に寝泊まりしたくないんだって言っとくから」
「鬼め」
満面の笑みを浮かべるクレアとそれを怨めしそうに見るケイン、そうこうしている馬車にようやくタクト達が現れる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「すいません、遅くなりました!」
「時間が決まっていた訳じゃないから、気にしないで?」
タクト達が来るとケインはそそくさと馬車に入る、その姿を見てクレアは小さく舌打ちをする。
「馬車で移動なんですね?」
「ええそうよ、本来は交代で御者をするんだけど、今回はケインが一人でやってくれるそうよ?」
え?俺?というケインの視線に、文句ある?というクレアの視線がぶつかる、観念したようなケインが肩を落とし御者台へ向かうのが見えた。
「さ、準備ができたら乗って、出発するわよ」
「はい!」
タクトが楽しそうに馬車に乗り込むが、メロウ達の目は険しい。
(タクト様に、あの様なみすぼらしい馬車は不釣り合いです)
(全くですな、もっと良い馬車を用意したいものです)
(でも用意してる時間無いよ?)
(タクト様、もう、乗っちゃった)
(ふむ、そうですな、私に考えが有ります、今はタクト様に辛抱していただきましょう)
クロノの言葉に四人で頷き合い馬車に乗る、その一連の行動を見て、朱の鳥メンバーは息を飲むしかなかった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
王都を目指して半日、昼になったので馬車を止めて休憩を取る。
「うへぇ、腰痛い」
「大丈夫?タクト、様」
「うん、大丈夫だよ、ありがとうエニ」
小さな手で擦ってくれるエニに感謝しつつ、昼食の準備を手伝う。
「はぁ、いいよなみんなは直ぐに昼にありつけて、俺は馬車の確認に、馬の世話、結構大変なんだよなぁ」
「少し、宜しいですかな?」
ぼやくケインに突然後ろから話し掛けたのはクロノ。
「は、は、はい!何でしょうか!」
「この馬車はどなたのですかな?」
「え?えっと、ギルドから借りてる物になります」
「ふむ、馬車を買い取る事は可能で?」
「いやぁ、聞いたことは無いですね」
「では、一般的に馬車はおいくらくらいでしょう?」
「馬車の値段ですか?えっと馬車単体で金貨四十枚、馬も合わせると金貨百枚位ですかね、馬は貴重な移動手段ですから」
「ほう、勉強になりました感謝します、では、失礼」
感謝という言葉にケインは驚きつつ、何だったんだ?と首を傾げる。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「タクトくん、あとはこっちでやるから休んでていいわよ」
「はーい」
ケインとクロノが話す馬車から少し離れた所では、クレア主導による昼食の準備がされていた、が、家事のほとんど出来ないタクトはあまり役に立てていなかった。
「うーんやっぱり現代とは勝手が違うな、それに比べて………」
以外にも料理の腕前をフェンが発揮した、元来の才能か、フェンは嗅覚に敏感に反応し味付け等を直ぐに覚えるまでに至った。
「今度フェンに料理習おうかな?」
苦笑いをしながら歩いていくタクトの後ろでは。
「ふぅ、あとは運ぶだけ……」
「少し良いかしら?」
「っ!びっくりした、メロウさんか、どうかしましたか?」
クレアの驚きに意を返さず、メロウが続ける。
「なぜ馬を走らせないの?走らせた方が早く着くんじゃなくて?」
「え?ああ、馬を走らせると直ぐにバテちゃうんです、何せ人や荷物を乗せた馬車を引いてますから、バテると馬の命に関わると同時に移動手段の生命線も絶たれちゃいますから」
「なるほど、なら、バテない馬を見つければいいのね?」
「あはは、そんな馬見たこと無いですよ!」
「そう、ありがとう、参考になったわ、運ぶの手伝いましょう」
「え!?あ、はい、ありがとう、ございます」
メロウの手伝いの申し出に驚くクレアであった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
昼食が終わり出発の準備の途中。
「ケイン、少しいい?」
「クレア、俺も今行こうと思ってたんだ」
「ひょっとして、ケインの所にも?」
「あぁ、馬車の確認をしてたらクロノさんが」
「クロノさんならまだ分かるじゃない?こっちにはメロウさんが来たのよ?」
「え、マジかよ、やっぱり馬車に不満があったのか?」
「そうみたい、馬を走らせてもっと早くならないかって」
「はぁ、だからメグミさんに、もっと良い馬車用意してくれって言ったのに」
「何も起きないと良いわね」
ため息をつく二人をよそに、午後の移動では特に変わった事は起きなかった。
「え!?タクトくん、私より年上なの!?」
「はい、二十八才です」
「ごめん、敬語使ってるし、若く見えるからてっきり年下だと思ってた」
「いや、気にしないで下さい」
「でも、くんずけはどうなの?」
「好きに呼んで頂いて大丈夫ですよ」
実際、この世界に来て、見た目が若返っていたときは、自分でもびっくりした。
「……タクトさんはとても丁寧な言葉を使われますよね、どちらで習ったのですか?」
聞いてきたのは、朱の鳥パーティーの僧侶ミリー、メロウに引けをとらない位の立派な物をお持ちの方だ。
「えっと、故郷の風習(?)ですかね?人を敬う的な……」
異世界云々はあまり口外しない方がいいと、ギルド長に言われたため、説明がしきれないが、ミリーさんには何か届いたようだ。
「素晴らしい考えです!えぇ、えぇ、そうです、人は皆敬い、称え合い生きていくべきなのです」
「あちゃー、始まった」
「あの、クレアさん、これは?」
ミリーさんを指差しながらクレアさんに尋ねる。
「ミリーはね、敬虔なグラスト教信者なの」
「今、まさに、タクトさんが言った事はグラスト教、教義に他なりません!」
「へぇ、そうなんですか?」
「な、な、なんと、教義は知らないのに、常日頃から実践されているなんて……なんと、なんと」
あー、ちょっとヤバイかな、教義を知らないってまずいのかな?と思ったが。
「なんと素晴らしいのでしょう!タクトさんほどグラスト教に相応しい人は居ません!」
あ、いいんだ、でも別の意味でヤバイわ、完全に瞳の奥に十字架が見えるもん、あとさらっと勧誘入ってるし。
「ミリー、いい加減にしときなさい」
「タクトさん、ぜひグラスト教に入信を………ひっ!、い、いえ、やはり入信は自由意思の方がよろしいですよね、はい……」
ありがたい事に急にミリーさんの勢いが止まった、小さな声でクレアさんが"だから言ったのに"と言っていたが、何の話だ?うーん、確かミリーさんは俺の右隣を見て息を飲んでいたな、そちらを向くとちょうどメロウが微笑みながらお茶を持って来てくれていた。
「タクト様、お茶を御持ちしました、暖まりますよ」
「ありがとうメロウ」
メロウはそのまま、俺の隣に腰かける。
「でも、グラスト教には興味有りますね、どんな神様を奉っているんですか?」
「よくぞ聞いてくれました!我がグラスト教はなんと異界神を奉っているのです!」
「え?異界神?」
「はい!この世界の危機に異界神様は勇者を遣わしてくれる、それはもう慈悲深い神様なのです!」
あ、たぶんだけどその神様知ってる。
「ちなみにどんな姿をしているんですか?」
「それが地域によって違うんです」
「あ、それ私も知ってる、何でも男の神様って言う人も居るし、女神って言う人も居て、しまいには老人や子供まで色々出てきちゃってるんだよね」
あー、やっぱり俺をこの世界に送ってくれた神様だ。
(メロウひょっとして、この神様って)
(はい、わたくし達を造り、タクト様に巡り合わせて下さった、神様ですわ)
「やっぱりか、となると一度お参りに行ってみたいな」
「そうですか!?宜しければぜひ巡礼して下さい!」
「その、教会は何処に?」
「うーん、各地に教会は在るんですが、大聖堂はこの国の王都ルインより北に行った街、ベイルンに在るんです」
「えっと出発したのが王都の南に在るファストの街という事は、帰りにちょっと寄るとかは無理ですね」
「そうですね、反対側ですし、それなりに距離が有りますから」
「うーん、残念です」
余裕があったら寄ってみたかったんだが。
「宜しければ今度時間がある時に行ってみて下さい、その際にわたしに声を掛けて頂ければ紹介状を書かせて頂きます、それを持って行けば見学がスムーズに出来ると思うので」
「本当ですか?その際はぜひお願いします」
こうして、初めての野営の夜は更けていった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「さて、明日も早いし寝ましょうか」
盛り上がりが一段落ついた所で、クレアさんが立ち上がる。
「そうですね、あ、見張りとかどうします?」
「タクト様、その心配はございません、この一帯に魔物避けの結界を張りました」
「あ、そうなんだ、じゃあ見張りは要らないかな?」
「ま、待ってタクトくん、魔物だけじゃなく盗賊とかも居るから」
「その心配もございませんクレア殿、人が近付けば知らせてくれる罠を仕掛けて措きました」
「え?あ……」
「ついでに、近くに居た汚ない服の人達は、ボクとエニで片付けて来たよ、お姉さん」
コク、コクとエニが頷く、いつの間にか四人は野営の環境を整えていたらしい。
「らしいんですけど、どうします?」
「な、なら、見張りは要らないんじゃないかしら?今日は皆ゆっくり休みましょう、うん、そうしよう」
ふらふらとテントに向かうクレアさん、大丈夫だろうか?
「お、おい、クレア?大丈夫か?」
「あぁ、ケイン、ふふふ大丈夫よ」
「いや、絶対大丈夫じゃないだろ、目が死んでるぞ?」
「もうね、常識を忘れる事にしたわ、通じる人達じゃないもの」
ケインさんが駆け寄るもクレアさんはふらふらとテントに入ってしまった。
「ケインさん、クレアさんは大丈夫でしたか?」
「ん?あぁ、少し疲れてるだけだと思うから平気だよ」
「そうですか、じゃあ俺達も休みますね」
そうケインさんに断り、テントに行こうとしたら。
「あれ?おーい!フェンはこっちだよ!」
「え?ええ!?」
何驚いてるんだ?テントは二つしか無いので男女で別れる事になっている、だから男の子のフェンは俺達と同じテントで寝る。
「ほら、行くぞフェン」
「いや、タクト様ボクは」
「フェン、行きなさい」
「メ、メロウ!?何言ってるの!知ってるでしょ?ボクはおん」
「タクト様が求めているのよ?」
「……タクト様が」
「そうよ、これは栄誉な事なのわかるわね?」
「……メロウ、わかったよ、ボク精一杯頑張るよ!」
メロウとフェンが話をしているが、良くは聞こえない、何かを頑張るらしいのだが、護衛とか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ギルドの野営用テント、ギルドから借りてきた多人数用テントとはいえ朱の鳥パーティー男子三人と俺達三人、合わせて六人で寝るとなると些か手狭だ。
「さて、どうやって寝ようか」
「タクト様、宜しいでしょうか?」
「どうした、クロノ?」
「私は万が一に備え、入り口に一番近いところで寝ようと思います」
ふむ、安全は確保しているけど絶対では無いからか。
「わかった、よろしく頼む」
「じゃあ俺達、朱の鳥組が右側の森に近い方に寝るとするか」
「いいんですか?」
「ああ、こうゆう時ぐらい先輩風吹かせないとな」
十分お世話になってるけどね。
「じゃあ俺とフェンが左側だな」
「ひゃ、ひゃい!」
フェンの返事が裏声になった、ひょっとして初めての野営で緊張してるのかな?分かるなぁ、俺も初めてキャンプした時は眠れなかったもんな。
「じゃあ、寝るとするか」
初めての馬車移動と、明日も早い事があり直ぐに横になるが。
「やっぱり狭いな、ごめんフェン少し積めていい?」
「ひゃい!ど、ど、どうぞ……」
積めると近くにフェンの吐息を感じる、あ、でも暖かくていいかも、子供は体温高いからなぁ。
温もりを感じつつ、夢の中へ旅立つ、こうして一日目の移動は終わった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった
海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。
ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。
そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。
主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。
ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。
それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。
ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる