妻は六英雄だが俺はしがない道具屋です

どらごんまじっく

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妻の出発

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昼に城の使いが来てアリナと話をしていたが、どうやら北の神殿へ行くのが決まったようである。少し寂しいがそれが彼女の使命だから仕方ない……

「それでいつ出発なんだ」
「明日には出るつもり……門から魔神クラスの魔物が出てきてからだと被害がすごい事になっちゃうし……」
「そうか……」

その言葉通りに、アリナは次に日の朝には北の神殿に向かう為に準備していた──神剣ジュランディアを装備して、聖なる鎧に身を包む。

「気をつけてな」
「うん、ヒュレルも……浮気なんてしちゃダメだよ」
「そんな事するかよ」
「まあ、少しくらいならいいけど……本気になっちゃダメだからね」
「だから浮気なんてしないって」
「それじゃ、行ってくるね」
「ああ、無理するなよ」


アリナが出発すると、俺はいつも通り店を開店させた。そこへ戦士のキルドが朝一でやってくる。
「…………今日は奥さんはいないんだね」
「妻はしばらくできかけて店には出ませんよ」
ちょくちょく買いもしないのに来られても迷惑なのでそう教えてあげた。するとすぐに何にも言わずに帰っていく……


そのあと、アリナが留守なのをどこで聞きつけたか午後にはルーリエが店に訪ねてくる。
「アリナ、出かけたんだって」
「ああ、ちょっと大事な用で北の神殿に出かけたぞ」

「…………ここの店はお客にお茶の一つも出さないわけ?」
ルーリエはカウンター横の長椅子に座って偉そうにそう言ってきた。
「誰が客だよ、ここは茶店じゃねえし、茶なんて出るわけないだろ」
「いいから出しなさいよ、飲んであげるから」
なんか言い合うのも面倒臭いので言う通り安いお茶を出してやった。

「それで、いつまで留守なの」
「えっ、アリナか、そうだな……少なくてもひと月はいないと思うぞ」
「ひと月……あんたそれで心配じゃないの? 自分の奥さんがひと月も留守で……」
「なんの心配だよ」
「アリナはあれだけの美人だよ、絶対周りの男が放っておくわけないじゃないの」
確かにアリナはどう贔屓目に見ても美人である……長い黒髪に均等の取れた美しいラインのボディー……顔立ちは可愛いとも美人とも言えるバランスの取れた感じで、胸も服の上からわかるほどの美乳であった。

「まあそうだけど、アリナが相手にしなければいいだけだろ……そんな心配はしてないよ」
「……フン……確かにアリナがあんたを裏切るとも思えないけどね……」

そう言い残すと、ルーリエは飲みかけのお茶を一気に飲み干すと帰って行った……何しにきたんだよアイツ……
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