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二人なら
しおりを挟むそよそよと靡く風、小鳥のさえずり、どこまでも続く青い天井、全てが私にとっては新鮮だったーーーー。
「そろそろ、いきますか」
この男は感傷に浸らせるといった言葉を知らないのだろうか。
私はこの風穴から外を見ているだけで1日は過ごせる。
「行きたいなら一人で行けば?私、まだここにいたいし」
はっ、と男は我に帰ったようなリアクションをし口を開く。
「すみませんすみません…姫のお気持ちを汲み取ることができず……少し、掛けて話しますか」
私の手を持ったままエスコートをし
私をベッドに、彼自身は床上に座り正座をしていた。
「で?なにを話すの?」
私の圧が強いのか、男はビクっとし小刻みに震え始めた。
少し間を空け、男は話し出した。
「僕が王から依頼された任務は2つでして……1つは姫の保護、もう1つは四騎士捜索です」
「? 四騎士?なにそれ」
「大陸全土から厳選された究極の騎士たち…ですかね。一応僕もその一人で…」
!?
こんな冴えないやつがそんなすごい騎士だったとは……。
いや、案外四騎士というのは大したものじゃないのかもしれない。
男は話を続ける。
「まあ、といっても僕はその中でも雑務や教育係なんかを任される下っ端みたいなものですけどね……ハハ…戦闘能力なんかも一般騎士に毛が生えた程度のもので…人一倍勤勉だからという理由で選ばれたみたいです…」
目の下のクマがすごい理由もわかった気がする。
そして戦闘…といえば気になることがある。
「さっき魔物たちを吹き飛ばした”るうん“?っていうのはなんなの?」
男は手の甲を見せ、ああこれですかと言う。
「精霊様と契約を交わしその精霊様の名の頭文字を手に刻むことによって、強大な力をこの身に宿すことができます」
よくわからないが、へーとだけ言う。
「話も飽きたし、そろそろ外に出たいな」
ぶっきらぼうに私は言う。
「あ…直ちに準備するので少々お待ちを……」
男はさっと立ちルーンに向けて何やらぶつぶつと呟きはじめた。
そして数分経った後、私にルーンを向ける。
「出でよ、風の衣」
ふわっ、と体が浮き上がった気がした。
それもそのはず、私の身体には風で作られた透明の服が着用されていたのだ。
「これがあれば、どんなに高くとも地面に安全に着陸することができます。では、飛び降りましょう!」
私を抱え、男は風穴から飛び降りた。
!??!!!!?
ーーーーーーーーーーーーーーー。
死ぬかと思った。
彼が言った通り地面には着陸できていたものの、深く呼吸をし過ぎて口からは血を吐いていた。
「あんたさ……バカなの?」
男はえっ、とこちらを見てやらかしてしまった…という顔をした。
「ご、ごめんなさい。本当に悪気はなくて…………あっああ僕はなんてことを……」
男は頭を抱え始めた。
今頭を抱えたいのはこっちなんだけど……。
そう思った次の瞬間、私は吹き飛ばされた。
ガンッ!!!!
ゴツゴツとした岩にぶつかったものの、ケガはなかった。
風の衣のおかげだろうか。
そして私が吹き飛ばされた地点には魔物の姿があった。
男はその事にまだ気付いておらず頭を抱えてあわあわとしている。
かといって私は大声を出して知らせることもできない…。
どうする…?
魔物は男に襲いかかろうとしていた。
ピュウッ!
私は口笛を吹いた。
当然魔物は私の方へ気が向き、再び襲いに来た。
男もそれでハッと気が付き私の方へと向かう。
「“風のルーン” 疾風斬!!」
そうして魔物は一刀両断、私は大事に至らずに済んだ。
そして私は言う。
「あんたは私の身体を、私はあんたのメンタルを、二人で支え合えばもう怖いものはないよ」
男は目を丸くし、涙ぐみ頭を下げた。
「そういえば、まだ名前を聞いてなかったわね。なんていうの?」
「カレル…といいます。お姫様は?」
「ユーリア。これからよろしく、カレル」
ビュウッと一筋の暖かい風が、二人をそっと包み込んだ。
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