【完結】Alternative『この世界でめっさ幸運の持ち主がオルターナティブで負ける訳がない』

すんも

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　キーンコーンカーンコーン♪キーンコーンカーンコーン♪

　昼休みを知らせるチャイムが鳴ると三枝は「飯だ！飯だーーー！」と叫びながら也沙の前の席に座る男子を押しのけ、机を也沙の机と迎え合わせになるように回転させ並べ机の上に弁当を広げた。

　三枝が弁当箱を開け「やったぁー！ミートボール！」と言ってミートボールをぽいっと１口でほおばり満面の笑顔を浮かべ「ミートボールって弁当の冷えたご飯のおともよね～」などと言いながらご飯をかきこみ、もぐもぐしながらミートボールを味わっていると、也沙が「今日さ～　帰りにおもちゃ屋に付き合って」と三枝を誘った。三枝は「欲しいエロゲーでもあるの？」と聞いた。也沙は「エロゲーじゃねーし！隣りお兄ちゃんが製作したゲームが今日発売なんだって」と言った。

　三枝が「へぇ～　、どんなゲーム？」と聞くと也沙は「カードゲームで運の良い人が強いゲームらしいよ！？Alternative（オルターナティヴ）って言ったかな」と答えた。三枝は「運の良い人が強いゲームね～」と目を細めて也沙を見た。

　也沙が「何よ！」と言うと、三枝は「Alternativeだっけ！？それがどんなに面白いゲームでも絶対あんたとは遊ばない！！」と言った。也沙が「何でよ！」と言うと、三枝は「あたしが運の良さであんたに勝てる訳無いじゃん！」と言った。也沙は「そんなのやってみないと分からないじゃん」と膨れっ面で言った。三枝は「いやいや！　あんたがジュースジャンケンとかで負けたの見たことないもん」と言った。

　三枝が「そのゲームって、弟が見てるアニメのやつかな？」と言った。也沙が「アニメ？」と聞くと、三枝が「日曜日の朝やってるアニメ知らない？弟が好きなアニメで、それもAlternative（オルターナティヴ）ってやつだったと思う」と答えた。

　也沙は「お兄ちゃんアニメの話しはしてなかったなぁ～」と言うと、三枝が「確か神様に選ばれた小学生がカードゲームでバトルするみたいな？」とアニメの説明をした。也沙が「カードゲームならそうかも？　お兄ちゃんもカードゲームだって言ってたし」と言うと、三枝は「弟に話したら喜ぶかも！？　ってか弟の方が詳しいか！？」と言った。

　放課後、也沙と三枝が駅前のデパートへ向かっていると米津玄師のUma to Shikaが流れてきた。三枝がポケットからスマホを出しパスワードを入力した。也沙が「米津玄師良いよね～」と言うと、三枝は「米津も好きだけど・・・」と言いながら也沙にLINEを開いたスマホの画面を見せ「弟の着信だから馬と鹿～、やっぱアニメのやつだってよ」と言った。

　也沙がスマホの画面を覗き込むと画面の右側に【オルターナティブってゲームが今日発売らしいけど、つーたんの好きなアニメのやつ？】とあり左側に【そう！俺の好きなアニメのやつ！！！】とあった。

　也沙がニヤニヤしながら「つーたんって呼んでるんだぁ～」と三枝の脇腹を指でつんつんすると、それを避けながら「司（つかさ）だかたつーたん！悪い！？馬鹿な子ほど可愛いってゆーでしょ！」と恥ずかしそうに三枝は言った。也沙が「あ！だから馬と鹿！」と言うと「え？いまごろ！？」と三枝は呆れた顔で言った。

　デパートに到着しエスカレーターを上りながら也沙が「おもちゃ屋って３階だったよね？」と三枝に話しかけると「うん、確か３階」と言いながら三枝は目線をスマホに向けたまま言った。エスカレーターで話しながら２人がおもちゃ屋へ向う途中、何度か馬と鹿が流れ終始三枝の目線はスマホから離れなかった。

　おもちゃ屋に入るとAlternativeを探すまでもなく、入口正面に目立つ様に陳列されていた。箱の表には何種類かの絵が描かれてあり、也沙と三枝はその中の１つの箱を手に取った。

　也沙はゲームの箱の裏にある商品説明に目をやると「なになに、トライアルセットには基本となるカードとボードが入っております。始める際は別売のコインと一緒にご購入下さい。だって！？」と最後の方を読む時は声が大きくなっていた。三枝が「なになに、どうした？」と聞くと、也沙は「金使って強化すれば勝てるゲームばかりだからジャンケンみたいに子供でも大人に勝てる様なゲームが作りたかったんだとか目を輝かせて言ってたのに！」とご立腹の様子で言った。

　三枝は「考えたのはお兄さんかもしれないけど売るのはおもちゃ屋でしょ、おもちゃ屋だって商売なんだから仕方ないよ」と言った。也沙は「そうだけど・・・」と納得のいかない様子で言った。「それにコインは誕生月でコインに付いてる宝石が違うみたいよ」と三枝が言うと「それじゃ別売でもしょうがないか」と也沙は納得した。

　也沙が「さえは大人だね～」と言うと、Alternativeを手にしていた三枝が「別売のカードもあるの！？これに弟はいくらつぎ込むんだか……」とため息をついた。

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