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研究
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神野が「それでは始めます、back or table」と言うと、也沙と津山はコインを宙へと弾いた。コインをテーブルにセットすると津山から「ふ…… ふ…… ふ……」と声がした。
也沙が『大丈夫かな?』と思っていると、津山が「はっはっはっはぁ~」と笑い出した。也沙は「どうかしました?」と聞いた。
津山は「親子揃って……」と言った。也沙が「親子揃ってってどう言う意味ですか? パパの事知ってるんですか?」と聞いた。すると津山は「天願博士を知ってるも何も……」と話し始めた。
さかのぼる事2年前、也沙の父の天願博士と津山博士は同じ研究所で働いていた。
津山博士は、植物人間になってしまった患者とその家族を、装置を使って仮想空間で意思疎通を図る研究をしていた。天願博士は、植物人間になってしまった患者が、意識を取り戻した際、現実世界での生活に支障が出ない様、患者を仮想空間で生活させ、そのデータを完治した脳へ移行する研究をしていた。
ある日、天願博士が研究所の廊下を歩いていると「天願博士」と津山博士が声を掛けた。天願博士が振り向き「あぁ津山博士ですか」と言うと、津山博士は「研究の進捗は如何ですか?」と言った。天願博士が「なかなか思うようには……」と言うと、津山博士も「私も仮想空間のところで行き詰まってまして……」と言った。
天願博士は「仮想空間の事でしたら、私の研究を手伝ってくれている神野博士に相談してみると良い、彼はその分野の第1人者なので」と言った。津山博士は「それなら是非に、天願博士の研究は以前から興味があったので、近いうちに研究室に伺っても宜しいでしょうか」と言った。天願博士も「私も津山博士の研究に興味があったので是非来てください」と言った。
それから津山博士は、天願博士の研究室を訪れた。天願博士は「こちらが仮想空間の分野では権威の神野博士です」と紹介した。
津山博士は「こちらが神野博士ですか、まだお若いのに」と言った。神野は「神野です、津山博士はどういった研究を?」と聞いた。
津山博士は「植物人間になった方の家族がお見舞いに来るのですが、植物人間ですので話し掛けても何の反応もなく、お見舞いに来た家族も辛い思いをしています、そんな家族を仮想空間の中ででも会わせる事が出来る仕組みを研究しています」と言った。
神野博士は「素晴らしい研究ですね、天願博士の研究とも共通する所も有るんじゃないですか?」と言った。すると天願博士が「そうなんだ、津山博士も仮想空間で研究が行き詰まっていると言うので、君を紹介しようと」と言った。
津山博士が「是非、私の研究にも力をお借りしたいのですが……」と言うと、天願博士は「津山博士の研究が成功すれば、私の念願が叶うかもしれない、神野博士、私からも頼むよ」と言った。神野博士が「私で良ければ、津山博士の研究にも興味ありますし」と言うと、津山博士は「そう言って下さると有難い」と言って握手をした。
津山博士が「先程、神野博士が私の研究と共通する物があると言われましたが、神野博士はどの様な研究を?」と聞いた。天願博士は「植物人間になった患者の成長がそこで止まらない様に仮想空間で生活してもらい、治療が終わり社会復帰する際困らない様に仮想空間でのデータを記憶として脳に戻すと言ったところですか」と言った。
津山博士は「それは確かに私の研究と共通する部分がありますね」と言った。天願博士は「私の研究は、万能細胞が実用化されて、脳の治療法が確立されないと何とも……」と言った。
これを機に、神野博士は津山博士の研究も手伝う様になり、津山博士も天願博士の研究室によく通う様になった。
そんなある日、天願博士は仮想で創り上げたデータを猿の脳に移行する実験を行っていた。それに立ち会っていた津山博士が「この研究が成功すれば、人の記憶も自由に操作出来る様になるんですか?」と聞いた。
天願博士は「精神医療の分野で幼いころの怖い記憶等を書き換える事も可能かと考えています、しかし洗脳といった事も可能になると考えられるので、悪用されない様にしなければならないかと」と言った。
津山博士は更に「これは他人の記憶を自分の脳に移行する事も可能になるのですか?」と質問した。天願博士は「私の研究では、そこまで考えていませんが、記憶をデータとして引き出す事が出来れば、それも可能かと」と言った。
津山博士は「それを応用し、クローン技術を人に適用すれば永遠に生きることも…… 人間の永遠のテーマ不老不死も夢じゃなくなりますね」と言った。天願博士は「何を馬鹿な…… 人間のクローンは、神への冒涜だとして法律でも禁じられているじゃないですか」と激怒した。津山博士は「そんな怒らないで下さい、あくまでも研究者としての見解を述べただけで……」と言った。
津山博士は「これは提案なのですが、神野博士に天願博士と私の研究の両方を見て頂くのも大変かと思うので、仮想空間に関しては共同研究といった形で進めるのは如何でしょう」と言った。天願博士は「神野博士はどう思う?」と聞いた。神野博士が「植物人間の患者を仮想空間に繋ぐという点では共通しているので、天願博士の研究が活かせるかと」と言うと、津山博士は「研究費の予算も限られているので、この部分の費用に関しては折半でと考えているのですが……」と言った。
天願博士は「津山博士の研究が1日でも早く完成するなら、上層部に掛け合ってみる価値がありますね」と言った。
思いの他、天願博士の研究は津山博士の研究に役立ち、神野博士の協力もあって試験段階まで漕ぎ着ける事が出来た。試験には入院費用等を研究施設が全て負担する事を条件に10名の患者が装置に繋がれた。健康体で装置に繋がれる実験体は、津山博士自身がする事となった。
1度目の実験が行われ、実験は見事成功を収めた。しかし実験が成功してからというもの、津山博士は研究室に寝泊まりし、こもりっきりになってしまった。
也沙が『大丈夫かな?』と思っていると、津山が「はっはっはっはぁ~」と笑い出した。也沙は「どうかしました?」と聞いた。
津山は「親子揃って……」と言った。也沙が「親子揃ってってどう言う意味ですか? パパの事知ってるんですか?」と聞いた。すると津山は「天願博士を知ってるも何も……」と話し始めた。
さかのぼる事2年前、也沙の父の天願博士と津山博士は同じ研究所で働いていた。
津山博士は、植物人間になってしまった患者とその家族を、装置を使って仮想空間で意思疎通を図る研究をしていた。天願博士は、植物人間になってしまった患者が、意識を取り戻した際、現実世界での生活に支障が出ない様、患者を仮想空間で生活させ、そのデータを完治した脳へ移行する研究をしていた。
ある日、天願博士が研究所の廊下を歩いていると「天願博士」と津山博士が声を掛けた。天願博士が振り向き「あぁ津山博士ですか」と言うと、津山博士は「研究の進捗は如何ですか?」と言った。天願博士が「なかなか思うようには……」と言うと、津山博士も「私も仮想空間のところで行き詰まってまして……」と言った。
天願博士は「仮想空間の事でしたら、私の研究を手伝ってくれている神野博士に相談してみると良い、彼はその分野の第1人者なので」と言った。津山博士は「それなら是非に、天願博士の研究は以前から興味があったので、近いうちに研究室に伺っても宜しいでしょうか」と言った。天願博士も「私も津山博士の研究に興味があったので是非来てください」と言った。
それから津山博士は、天願博士の研究室を訪れた。天願博士は「こちらが仮想空間の分野では権威の神野博士です」と紹介した。
津山博士は「こちらが神野博士ですか、まだお若いのに」と言った。神野は「神野です、津山博士はどういった研究を?」と聞いた。
津山博士は「植物人間になった方の家族がお見舞いに来るのですが、植物人間ですので話し掛けても何の反応もなく、お見舞いに来た家族も辛い思いをしています、そんな家族を仮想空間の中ででも会わせる事が出来る仕組みを研究しています」と言った。
神野博士は「素晴らしい研究ですね、天願博士の研究とも共通する所も有るんじゃないですか?」と言った。すると天願博士が「そうなんだ、津山博士も仮想空間で研究が行き詰まっていると言うので、君を紹介しようと」と言った。
津山博士が「是非、私の研究にも力をお借りしたいのですが……」と言うと、天願博士は「津山博士の研究が成功すれば、私の念願が叶うかもしれない、神野博士、私からも頼むよ」と言った。神野博士が「私で良ければ、津山博士の研究にも興味ありますし」と言うと、津山博士は「そう言って下さると有難い」と言って握手をした。
津山博士が「先程、神野博士が私の研究と共通する物があると言われましたが、神野博士はどの様な研究を?」と聞いた。天願博士は「植物人間になった患者の成長がそこで止まらない様に仮想空間で生活してもらい、治療が終わり社会復帰する際困らない様に仮想空間でのデータを記憶として脳に戻すと言ったところですか」と言った。
津山博士は「それは確かに私の研究と共通する部分がありますね」と言った。天願博士は「私の研究は、万能細胞が実用化されて、脳の治療法が確立されないと何とも……」と言った。
これを機に、神野博士は津山博士の研究も手伝う様になり、津山博士も天願博士の研究室によく通う様になった。
そんなある日、天願博士は仮想で創り上げたデータを猿の脳に移行する実験を行っていた。それに立ち会っていた津山博士が「この研究が成功すれば、人の記憶も自由に操作出来る様になるんですか?」と聞いた。
天願博士は「精神医療の分野で幼いころの怖い記憶等を書き換える事も可能かと考えています、しかし洗脳といった事も可能になると考えられるので、悪用されない様にしなければならないかと」と言った。
津山博士は更に「これは他人の記憶を自分の脳に移行する事も可能になるのですか?」と質問した。天願博士は「私の研究では、そこまで考えていませんが、記憶をデータとして引き出す事が出来れば、それも可能かと」と言った。
津山博士は「それを応用し、クローン技術を人に適用すれば永遠に生きることも…… 人間の永遠のテーマ不老不死も夢じゃなくなりますね」と言った。天願博士は「何を馬鹿な…… 人間のクローンは、神への冒涜だとして法律でも禁じられているじゃないですか」と激怒した。津山博士は「そんな怒らないで下さい、あくまでも研究者としての見解を述べただけで……」と言った。
津山博士は「これは提案なのですが、神野博士に天願博士と私の研究の両方を見て頂くのも大変かと思うので、仮想空間に関しては共同研究といった形で進めるのは如何でしょう」と言った。天願博士は「神野博士はどう思う?」と聞いた。神野博士が「植物人間の患者を仮想空間に繋ぐという点では共通しているので、天願博士の研究が活かせるかと」と言うと、津山博士は「研究費の予算も限られているので、この部分の費用に関しては折半でと考えているのですが……」と言った。
天願博士は「津山博士の研究が1日でも早く完成するなら、上層部に掛け合ってみる価値がありますね」と言った。
思いの他、天願博士の研究は津山博士の研究に役立ち、神野博士の協力もあって試験段階まで漕ぎ着ける事が出来た。試験には入院費用等を研究施設が全て負担する事を条件に10名の患者が装置に繋がれた。健康体で装置に繋がれる実験体は、津山博士自身がする事となった。
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