【完結】Transmigration『敵陣のトイレで愛を綴る〜生まれ変わっても永遠の愛を誓う』

すんも

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確信

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 翌朝、早く目覚めてしまった久野は『ちょっと早過ぎるか……』と思いつつ、10時過ぎには家を出てた。

 とりあえず駅まで行き『光智さんのお父さんだと、50は過ぎてるよな…… さすがにマンガは無いかぁ~』と優隣堂で光智が読みそうな本を探してまわる。

 お見舞いに小説を2冊に雑誌を2冊と時間を潰そうと週間の少年マンガ雑誌を手に取りレジへ出すと「カバーはお掛けしますか?」と店員に聞かれ「はい、このマンガ雑誌だけ袋を別にしてください」とお願いした。

 本を買い『何処で飯食うかなぁ~? ニンニクトマトのパスタ! これから人と会うのにニンニクは却下! ってことは当然ラーメンも駄目だよな……』考えた末、時間の潰せるファーストフード店へ行くことにした。

 久野はレジで「ダブルチーズバーガーのセットを1つ」と言うと「お飲み物は何にいたしますか?」と聞かれ「アイスキャラメルラテで」と答えた。

 注文した品を受け取り席へ着くと、ポテトを食べながらマンガ雑誌を広げてみるが『これから病院で何をどう話したら良いものか…… やっぱり最初は始めましてだよなぁ~ そもそも光智さんのお父さんは、何で会いたいなんて思ったんだ? 光智さんのお父さんも同じ夢を見ていたら、始めましてもないし……』

 『ただ単に同じ体験をした人に会ってみたいだけだったら始めましてだよなぁ……』久野は、そんなことを考えていたので、マンガ雑誌は1ページも読めずに時間が過ぎた。

 久野は『そろそろ行くかぁ~』とファーストフードの店を後にすると、途中花屋により花束を買って病院へ向かった。久野は病院へ着くと、ナースステーションで「光智さんのお見舞いなんですが、何号室ですか?」と看護婦に声を掛けた。すると背後から「久野さん?」と声を掛けられ、振り返るとそこには晴夏が立っていた。

 晴夏は「早かったですね、いま入口まで迎えに行こうと思ってたんで調度良かった、案内しますね」と言った。久野は「あの…… これお見舞いに……」と晴夏に花束を渡すと「なんか気を遣わせてしまって、ご丁寧にお見舞いまで頂いて申し訳ありません……」と言って受け取り、「こちらです」と病室の方へと歩きだした。

 晴夏が「長田さんにも連絡したんですけど、今日は用事があるとかで……」と言うと、久野は「そうですか…… 先日心配かけちゃったんで会いたかったんだけどなぁ~  まぁ~ 用事があるんじゃ仕方がないですね……」と残念そうに言った。

 晴夏が「先日は本当に申し訳ありませんでした、父の件で先に帰ってしまって…… あの後大丈夫でしたか?」と聞くと、久野は「えぇ、あのあと直ぐに長田さんともお開きにして1人で帰れましたし……」と答えた。そんな会話をしながら廊下を歩いていくと晴夏は505号室の前で立ち止まった。

 晴夏がドアを軽くノックして病室へ入ると、久野はその後に着いて行った。晴夏は4人部屋の右奥にあるベッドへと進み「お父さん」と声を掛けた。ベッドには、枕を背もたれにし、上半身だけ起こした状態の男性がいた。

 晴夏の声に気付き、久野を見てその男性は「初めまして」と挨拶した。そこに座っているのは、紛れもなく夢に出てきた男性だった。長田の時と違う反応に、困惑しながらも「あ、初めまして」と久野も挨拶をした。

 晴夏が「これお見舞いに頂いたの!」と光智に花束を見せると、光智は「これはどうも、お呼びだてしたのに申し訳ない」と軽く会釈した。

 「あの…… これも良かったら」と久野は優隣堂で買った本を差し出すと「しばらくはまともに食べられないので、食べ物よりこっちの方が良いかと思って……」と言った。光智は紙袋から雑誌を取り出すと「さすが経験者ですね、助かります」と笑顔で答えた。 

 光智は「どうぞ座ってください」とベッドの脇にある丸椅子を久野にすすめ「コーヒーか何か飲まれますか?」と聞いた。「じゃ~ ブラックコーヒーをお願い出来ますか?」と久野が答えたると、光智は「晴夏、久野さんにブラックコーヒー買ってきてくれ」と晴夏に頼んだ。「はぁ~い、ついでに花も花瓶にいけてくるね」と晴夏は花束を抱え病室を出て行った。

 久野は病室を出て行く晴夏を見送り、視線を光智へと戻すと、光智の表情は一変して真剣な表情になり「やっぱり貴方でしたか……」と言った。久野が「やっぱり?」と聞き返すと、「私の夢に出てきたのは貴方でょ?」と光智は言った。

 久野は困惑した表情で「でもさっきまでそんな素振り……」と言うと、光智は「娘に取材の話しを聞いた時、貴方と長田さんのどちらかが私の夢に出てきたんじゃないかと思いました」と答えた。

 久野は「それじゃ~あの夢は……」と驚いていると、光智が「夢の事は、娘に話しましたか?」と聞いた。久野が「いえ、あれから娘さんと会う機会もなかったので……」と答えると、光智は「良かった、夢の話しは娘にはしないで頂きたい!」と強い口調で言った。

 久野が、「何故ですか?」と聞くと、光智は「自殺だった事は、妻と娘には伏せておきたいので…… どうかお願いします!」と頭をさげた。

 久野は「でも何で自殺なんて……」と聞くと、光智は「それは知らない方が良い…… とにかくお願いします!」と真剣な顔で言った。

 久野が「理由も聞かずに話すなといわれても……」と、これから自殺の理由を問いただそうとした時「コーヒーはこれで良いですか?」と晴夏が戻ってきた。

 久野が「ありがとうございます」とコーヒーを受け取り振り返ると、光智はさっきまでの真剣な表情から一変、穏やかな表情で「いやぁ~ 同じ体験をされた方の話しは大変参考になる」と言った。

 それから光智は、どのくらいで普通の食事がとれるようになったか、どのくらいで歩けるようになったか、どのくらいで退院できたのかなど、たわいのないの質問を続けた。

 その後も光智は、一切夢の話しには触れず「久しぶりに長い時間話したせいか少し疲れました……」と光智に言われ、久野は聞きたいことも聞けずに「それでは、この辺で失礼します……」と言うしかなかった。

 「また、退院したらゆっくり話し聞かせてください」と言った光智の表情からは笑顔が消えていた。

 晴夏は病室を出ると「今日は本当にありがとうございました」とお辞儀した。久野が「いえいえ……」と答えると「また連絡しますので、後日改めて取材させてください、今度は長田さんも一緒に」と晴夏は言った。

  久野は「承知しました、また連絡頂ければ……」そしてナースステーションの前まで来ると「も~ この辺で結構ですので……」と挨拶し、エレベーターに乗り込んだ。

  久野は、エレベーターの中で『やはり夢の男性は光智さんのお父さんだった、1つ疑問が解けたが……』と更に疑問が頭に浮かぶ……『では何故あの長田さんと光智さんの2人だったのか? 偶然? それとも必然? 自分が夢に入った? それとも2人に見せられた?』と謎が久野の頭をグルグルと駆け巡った。

 エレベーターから降りても尚、疑問は続いた。『見せられたなら何故2人と全く接点の無い自分なんだ? 自分が2人の夢に入ったなら、自分にそんな能力が? いやいや、今迄そんな事は1度もなかった、スプーン曲げに挑戦したこともあるが、曲った試しがない! 何より自殺の原因は話せないって…… 知らない方が良いって何なんだ?』謎が謎を呼び、久野の頭はパンク寸前だった。

 久野は病院の外から光智のいる病室を見上げると、来た時より更に悶々としている事に苛立ち「なんて日だ……」とつぶやいた。

 病院からの帰り、コンビニに寄って飲み物を探していると、ブブッブブッと携帯が震えた。携帯の画面を確認すると、長田からの電話だった。

 久野が「もしもし、久野ですが……」と電話に出ると「もしもし長田ですけど~」と電話の向こうからご機嫌そうな長田の声がした。「あぁ、どうも……」と久野が言うと長田は「何か元気ないですね~ 光智さんのお父さんのお見舞い行ったんですか?」と言った。

 久野が「えぇ、今帰りです」と答えると「何か聞けましたか? 私達の夢と何か関係でも?」と長田が聞いてきた。久野は「いえいえ、何故ですか? 今日は昏睡から目覚めた先輩として、心得的なものを……」光智から口止めされていたので、無理におどけて見せた。

 長田は「そうですか……カフェオリジナルで気を失ったあと、夢がどうとか言ってたんで、てっきり何かあるのかと……私の聞き違いだったかな?」と言った。

 久野は「私も退院してからずっと夢のことは考えているのですが、今日は特にそういった話しではなく…… どのくらいで普通の食事がとれるようになったとか、どのくらいで退院できたのかとか、たわいのないの話しを延々と……」と答えた。長田は「そうですか…… 私も夢の件は気になっていたので、何か解ればと思ったのですが……」と残念そうに言った。

 「ところで、ちゃんと眠れてます? カフェオリジナルで気を失ったんで、心配してたんですよ」と急に長田は話題を変えた。

 久野が「ご心配お掛けして、済みません」と言うと、長田は「なんか元気なさそうだし…… あまり眠れないようなら、私も最近紹介された西麻布のジェファソニアンって病院なんですが、催眠療法で有名な病院なんで良かったら紹介しますよ」と言った。

 久野は「あれから気を失う事も無いので…… とりあえず大丈夫です」と言うと、長田は「そうですか…… まぁ~ 気が変わったら何時でも言ってください」と言った。そして「また近いうちにでも会いましょうよ……」と長田が言うと、久野は「はい、また近いうちに……」と言って電話を切った。

 電話をしながらコンビニで飲み物を買い、電話が終わるころには家に前に着いていた。久野は「とりあえず今日は、風呂入って、とっとと寝よう」と独り言を呟いた。
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