夕暮れ時、消えた少年

Ruon

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夕暮れ時、消えた少年

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 部活動の帰り道。
 いつもより終わるのが遅くなり、日が沈み始めて辺りが暗くなり始めた頃だった。
 なるべく早く帰ろうと駆け足で家に向かい、近道を通るべく、スーパーの裏手に回ったところで突然、声を掛けられた。
 振り返るとそこにはごく普通の中年の男性が立っており、最近できた新設のマッサージ店の宣伝のようでチラシを手に「学生さんならタダだよ」と人懐っこい気の良さそうな笑顔を見せて捕まえられた。
 学校指定のジャージを着ていたのもあったのだろう。部活動で疲れた身体を癒してから帰ろうと押しに押されては断りきれずについていってしまった。
 今考えればスーパーの裏手は一通りも少ない、そこでなら人を拐うなんてものは簡単であっという間に見知らぬ車に引きずり込まれた。

 連れ込まれた先はビルと思わしき場所。
 ダンボール箱に詰められて運ばれた中学二年生のシロはマッサージ店とは程遠い作業部屋のような場所に連れ込まれた。
 まるで病院のベッドを彷彿させる無機質なベッド。部屋の至る所には見た事もないものが置かれている。

(かなりヤバそう……何とかして逃げ出さないと……)

 ついてきてしまった事を後悔しながらシロは辺りを見渡して逃げれる場所を探そうとする。
 しかし、そんな暇を与えられるはずがなく手を引かれては目の前にあるベッドへと連れていかれ、うつ伏せに押し倒された。

「わ…っ!? な、何して……っ」
「何って今から約束通り、マッサージをするんだ。これは君も同意してくれただろう?」
「ど、同意なんか、してな……っ!!」

 押し倒されてから暴れる暇もなく、両手を後ろで縛られ、目隠しをされては視覚からの感覚を奪われる。足をなにやら棒に括り付けられたようで動けなくなるとようやくシロは異変を感じ取った。
 ジョキジョキとハサミで何かを切り落とす音。それが聞こえてから程なくして汗ばんだ身体に冷たい風が触れる。
 寒いと思えば身体は自然と身震いする。すると部屋が温かいと思えるほどの気温まで上がり、温風と共に甘い香りがするようになった。
 それは心を穏やかにさせるもので、先程まで此処は危ない、逃げた方がいいと考えていたはずが考えがまとまらなくなり、意識がぼんやりとし始めた。

(あ、れ……どうして……ここに……っ)

 今、何時なんだろう。僕はどうしてここにいるんだろう。
 名前や年齢、性別、学校は分かる。けれど此処に来るまで何をしていたのか、今が何時なのか──── 一瞬にして分からなくなった。

「…………ひゃぁっ?!」

 臀部にピトッとなにか冷たい液体が落ちてくるとビクンッと身体が跳ねて反射的に高い声が出る。
 すると背後から聞き慣れない男の声が聞こえてくる。それは先程まで聞こえていたはずの声で、それをシロは知らない声だと認識していた。

「本日は当店をご利用頂きありがとうございます。当店ではお客様の身体を入念にマッサージをし、性感を高めて最高の身体を手に入れる事が出来ます。一緒に最高の身体を手に入れましょうね」

 口元に薄ら笑いを浮かべる男。その言葉を聞いた瞬間、シロは頭から知能が抜け落ちたかのような間の抜けた声を漏らした。

「せー…かん…? さいこー……の、からだ……? なに、言って……ん、ん…ぅ…!!」

 臀部から露わになる脚やふくらはぎ、足の裏、背中や二の腕へと全身にねっとりと絡みつく液体を塗りたくられる。
 その感覚は背筋にゾワゾワと震えが走るほどで、しかし不快感はなく寧ろ心地よいものだった。
 シロは頭の脳みそが熱で溶かされたかのように、まともに思考回路が回らなくなればベッドの上に突っ伏して顔を埋める。
 後ろ手に縛られた手は動けない。脚も無理矢理開かされているようで自らの意思で閉じる事も叶わない。
 なに一つとして身動きが取れない身体はじんわりと熱を帯びていき、息が荒くなっていく。それはまるで別の自分に生まれ変わるような感覚でシロはより一層、頭がぼうっとして意識がはっきりとしなくなる。

「どうですか、気持ちいいですか?」
「……きも、ちいい……っ?」

 気持ちいい? 当然、頭が回らないため、シロにはその言葉の意味が分からない。
 だが柔らかな臀部を揉みこまれ、割れ目を広げられてはそこにも液体を垂らされる。孔、門渡りまで余すことなく塗り込まれるとゾクゾクと背筋に震えが走り「ひぅっ」と思わず変な声が出てしまう。

(……おか、しい……何、かが……変、で……っ)
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