3 / 22
申し訳ございません。あいにく先約がございまして。
(3)
しおりを挟む
多岐悠吾が店の窓にぺったりとはりついてこちらを見ているではないか。
「……え」
俺は急いで視線を逸らした。
そんな俺の様子を不審に思い三木も窓の外を見た。
「―――知り合い……か?」
「件の取引先の……社長の息子…」
「―――ふむ」
三木は少しだけ思案するそぶりを見せ、徐に立ち上がった。
「え?三木?」
「まぁいいから任せとけって」
綺麗なウインクを一つ残し外に出て行った。
三木を目だけで追っているとあろうことか多岐と接触を図っているのが見えた。
二人は二言三言言葉を交わし、連れ立って店内に入って来た。
おいおい……どうすんだよ……。
面倒事はごめんだぞ…。
「あの…日下さんこんばんは。こちらの方が是非ご一緒にということなので厚かましくも来てしまいました。お楽しみのところ申し訳ございません」
多岐はそう言うと綺麗にお辞儀をした。
一目で仕立てがいいと分かるスーツに育ちのよさが伺える所作。
こういう場所にはすごく不釣り合いで浮いて見えた。
「あ、いえ……。どうぞ――」
ここまできて帰れなんてことはさすがに言えないので座るように促した。
俺の横に座ろうと多岐が動こうとしたがすかさず三木が俺の隣りに座ってしまった。
そして前の席をさして「どうぞそちらへ」と笑顔で言った。
多岐は戸惑いつつも俺の前の席に座った。
「…………」
流れる沈黙。
沈黙を破ったのはコミュ力の鬼の三木ではなく勿論俺でもなく、多岐だった。
「日下さんは、こういうところがお好きだったんですね……」
「えーと、はい。基本こういうところしか行きません」
多岐は興味深げに店内を見回し、「じゃあ…今度は…」と小さく呟いた。
「朝日ごみついてるぞ」
普段とは違う呼び方で俺を呼ぶ三木。
少しどきりとする。
三木がそう言って俺の髪の毛を撫でた。髪に着いたごみを払うというより撫でると表現したほうがあっていた。
「あり、がと」
甘さを含んだ三木の仕草に頬が自然と赤くなった。
その様子をただじっと見つめる多岐。
三木は俺に自分の肩をくっつけて頭を摺り寄せたり、わざと耳元に口を寄せ囁いてみたり、少し甘えるような仕草を見せた。
なんか今日の三木は変だ。これって、これってまるで恋人同士のような……?
三木だから何か考えがあってのことなんだろうけど…。
こういうのは慣れない。おまけに多岐も見てるじゃないか。
やめてほしい…。
いたたまれなくて俺は俯いた。
「―――あの、日下さんが困ってるように見受けられるのですが……」
多岐だった。
「あぁすみません。つい、いつものくせで。人に見られるのは恥ずかしいのでしょう」
と三木は爽やかな笑顔をみせて佇まいを正した。
それから俺たちは酒を飲みながら色々と話をした。
意外にも多岐の提供する話題はおもしろく、その話し方は穏やかで心地いいものだった。
一時間程たって三木が明日早いということで解散となった。
「……え」
俺は急いで視線を逸らした。
そんな俺の様子を不審に思い三木も窓の外を見た。
「―――知り合い……か?」
「件の取引先の……社長の息子…」
「―――ふむ」
三木は少しだけ思案するそぶりを見せ、徐に立ち上がった。
「え?三木?」
「まぁいいから任せとけって」
綺麗なウインクを一つ残し外に出て行った。
三木を目だけで追っているとあろうことか多岐と接触を図っているのが見えた。
二人は二言三言言葉を交わし、連れ立って店内に入って来た。
おいおい……どうすんだよ……。
面倒事はごめんだぞ…。
「あの…日下さんこんばんは。こちらの方が是非ご一緒にということなので厚かましくも来てしまいました。お楽しみのところ申し訳ございません」
多岐はそう言うと綺麗にお辞儀をした。
一目で仕立てがいいと分かるスーツに育ちのよさが伺える所作。
こういう場所にはすごく不釣り合いで浮いて見えた。
「あ、いえ……。どうぞ――」
ここまできて帰れなんてことはさすがに言えないので座るように促した。
俺の横に座ろうと多岐が動こうとしたがすかさず三木が俺の隣りに座ってしまった。
そして前の席をさして「どうぞそちらへ」と笑顔で言った。
多岐は戸惑いつつも俺の前の席に座った。
「…………」
流れる沈黙。
沈黙を破ったのはコミュ力の鬼の三木ではなく勿論俺でもなく、多岐だった。
「日下さんは、こういうところがお好きだったんですね……」
「えーと、はい。基本こういうところしか行きません」
多岐は興味深げに店内を見回し、「じゃあ…今度は…」と小さく呟いた。
「朝日ごみついてるぞ」
普段とは違う呼び方で俺を呼ぶ三木。
少しどきりとする。
三木がそう言って俺の髪の毛を撫でた。髪に着いたごみを払うというより撫でると表現したほうがあっていた。
「あり、がと」
甘さを含んだ三木の仕草に頬が自然と赤くなった。
その様子をただじっと見つめる多岐。
三木は俺に自分の肩をくっつけて頭を摺り寄せたり、わざと耳元に口を寄せ囁いてみたり、少し甘えるような仕草を見せた。
なんか今日の三木は変だ。これって、これってまるで恋人同士のような……?
三木だから何か考えがあってのことなんだろうけど…。
こういうのは慣れない。おまけに多岐も見てるじゃないか。
やめてほしい…。
いたたまれなくて俺は俯いた。
「―――あの、日下さんが困ってるように見受けられるのですが……」
多岐だった。
「あぁすみません。つい、いつものくせで。人に見られるのは恥ずかしいのでしょう」
と三木は爽やかな笑顔をみせて佇まいを正した。
それから俺たちは酒を飲みながら色々と話をした。
意外にも多岐の提供する話題はおもしろく、その話し方は穏やかで心地いいものだった。
一時間程たって三木が明日早いということで解散となった。
1
あなたにおすすめの小説
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
【完結】逆転シンデレラ〜かわいい「姫」は、俺(王子)を甘やかしたいスパダリだった〜
粗々木くうね
BL
「本当はずっと、お姫様になりたかったんだ……」
周りから「王子様」と持て囃され、知らず知らずのうちにその役割を演じてきた大学二年生の王子 光希(おうじ みつき)。
しかし彼の本当の願いは、誰かを愛す“王子”ではなく、誰かに愛される“お姫様”になることだった。
そんな光希の前に現れたのは、学科のアイドルで「姫」と呼ばれる、かわいらしい同級生・姫川 楓(ひめかわ かえで)。 彼が光希に告げたのは、予想もしない言葉だった──。
「僕に……愛されてみない?」
“姫”の顔をした“王子様”に、心も身体も解きほぐされていく──。 “王子”が“お姫様”になる、逆転シンデレラストーリー。
【登場人物】
姫川 楓(ひめかわ かえで)
・ポジション…攻め
・3月3日生まれ 19歳
・大学で建築を学ぶ2回生
・身長170cm
・髪型:ミディアムショートにやわらかミルクティーブラウンカラー。ゆるいパーマをかけている
・目元:たれ目
・下に2人妹がいる。長男。
・人懐っこくて愛嬌がある。一見不真面目に見えるが、勉学に対して真面目に取り組んでいて要領もよく優秀。
・可愛いものが好き。女友達が多いが男友達ともうまくやってる。
・おしゃれが大好き。ネイルもカラフル。
・王子とセットで「建築学科の姫」と呼ばれている
・かわいい見た目でペニスが大きい
王子 光希(おうじ みつき)
・ポジション…受け
・5月5日生まれ 20歳
・大学で建築を学ぶ2回生
・身長178cm
・髪型:センターパートのラフショート。ダークトーンのアッシュグレー
・目元:切れ長
・空気が読める。一軍男子。学業もスポーツも割とよくできる。
・上に姉と兄がいる。末っ子。
・姫川とセットで「建築学科の王子」と呼ばれている
・「かっこいい・頼れる王子」像を求められるので、自然と演じて生きてきた。本当は甘えたいし愛されたい。家族には甘えられる。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる