8 / 23
一年生
新入生歓迎会
しおりを挟む
さて、次はどうすればーー。
「すいませーん! みんないるよね? ちょっと来てー!」
「ん?」
誰だろう。寮の部屋が分からないのかな。
ドアを開けると、そこには最初に出会ったエレナ先輩がいた。
「今から寮生の挨拶を始めるから、みんなついてきてくれる? まだ荷物運んでないとかなら待つよ」
「あ、えーっと・・・」
みんなの方を振り返ると、みんなは大丈夫と言うようにして首を横に振った。
「大丈夫です」
「そう? じゃあ行こっか。寮の歓談部屋に集合」
エレナ先輩の後ろを歩き、私たちは進んでいった。
○○○○○○○○○○
「エレナー! その子たちで全員?」
「うん、これで新入生全員一。そっちは?」
「こっちも揃った」
「了解。じゃ、始めますか」
私たちは他の新入生の子たちと歓談部屋の中心に座らされた。
今からなにをするんだろう。
するとエレナ先輩が、手をパンパンッと叩いた。
瞬く間にキレイな緑のハトが現れ私たちの周りを飛び回る。
「それでは、新入生歓迎会を始めまーす!」
エレナ先輩の声に合わせて、他の先輩たちが拍手をした。
「ようこそフリーデンへ! ここは、“平和と努力”を信条とする二番目に古い寮です。私はフリーデンの寮長を務める、エレナ・ハーレ・ロクサーネ。よろしくねー♪」
そういえば別れるときに寮長がどうのこうの言ってたな。
「はじめまして、副寮長を務めています。エレノア・アビゲイル・モーレンソンです。みんなの寮生活が充実するように頑張ります。分からないことがあったら聞いてね」
ウェーブがかった金髪のキレイな先輩。
この人がエレノア先輩。エレナ先輩を引っ張ってた。
(どんな覚え方だよ)
副長なんてあるんだ。じゃあこの二人は六年生なのかな。
「本日は先輩たちの自己紹介や、新入生の紹介もしてもらいます。寮の説明なんかが終わったら、みんなでお菓子とか食べながらビンゴゲーム! 当たったらプレゼントがランダムでもらえるよー★」
「最初は先の自己紹介から! じゃあ~・・・・・・二年生の子から、どうぞ」
「えー私たちからですかー?」
ブーブー言っているが、先輩のひとりが前の方へ来る。
「ジェシカ・デサン・カンターラーです。特技はダンスです」
「おおスゴい特技~。では次の子!」
「ミレイ・ジューン・ヒューズです。特技はピアノです。みんなよろしくね」
「いいねぇ~、次の子!」
「オリバー・テフラ・バロンです。特技は剣技です」
「彼は将来騎士団に入りたいんだってさ~」
エレナ先輩たちがちょくちょく口を挟みつつ、他の上級生の紹介を終えた。
「次は新入生!」
ビシッとエレノア先輩が指差す場所には・・・・・・私。
「えぇ! 私!?」
「絶対そうでしょほら早く!」
リリーちゃんと小声で話し、私は緊張しながら前に出る。
顔を上げたら、ワクワクした顔の先輩たち。
ひぃいぃいいいぃい無理ー!
産まれたての子鹿のようにガタガタと震える。
「あのー・・・」
いきなり声がした。声の主はリリーちゃんだ。
ん? なーにとエレナ先輩が尋ねる。
「私ひとりで自己紹介は緊張するので、二人一組でやってもいいですか?」
「もちろんいいわよ~」
じゃあ、とおもむろに立って私の隣まで来た。
「私はリリー・メアリー・ラズベリーです。よろしくお願いします」
リリーちゃんがお辞儀をする。一瞬呆気にとられたけど、私もしなきゃ。
「リナ・ベル・セレネーレです。よろしくお願いします」
彼女にならい、私もお辞儀をした。
「はーい! 最初は仲良しコンビのリリーちゃんリナちゃんがやってくれました~! この二人は寮の部屋も一緒らしいよ~」
「へぇそうなの?」
「入ってすぐ友達ができるなんてすごいな!」
みんなの空気は穏やかだ。
「ありがと、リリーちゃん」
コソッと話すと、彼女はパチンとウインクをした。
「じゃあ次の二人~」
新入生の子は知り合いではなくてもひとりですることのない安心感からか、ホッとしたように息をついていた。
○○○○○○○○○○
「では私、副寮長のエレノアがこの寮の説明をします」
エレノア先輩が指を鳴らすと黒板が音を立てながら現れる。
「どの家も基本的な構造は同じ。寮に入るときには後で配る寮証をかざさなくてはならないし、失くしたらもう二度と寮に入室できません。管理気をつけてね」
再発行とかできないんだ。絶対しっかり管理しよう。失くしたくない。
「そして、家のものを壊さない! これ大事よ。四つの寮に意志があって、寮が嫌がることをしたら寮証を持っていても入れてくれません」
寮に意志なんてあるんだ。ちょっと信じられない。
「朝にあいさつをしたら言葉じゃないかもだけど必ず返事をくれるの。他の寮に入る機会があったらその家名を言って、『おじゃまします。フリーデン寮の者です』って挨拶をしてください。家にだってプライドがあるんだから」
確かに。意志があるならプライドもある。
「そして寮にお願いして部屋の大きさを変えることもできる。祝い事とか、パーティーとかがあったりしたらそれ用に部屋を変えてくれるのよ。たまに寮がイタズラしてくることもあるけど、それは寮に信頼されてるってことだから。寮に信じてもらえたら寮の秘密について教えてもらうことができるかも・・・・・・」
え。寮の秘密?なにそれめちゃくちゃ気になるんですけど。
「まぁ、寮についての説明はこんな感じ。今から寮証配りまーす」
○○○○○○○○○○
そして自己紹介も寮の説明も無事終わり。
「それでは、ピンゴゲームをはじめます!」
木の机には美味しそうな料理が並べられて、私のお腹が早く入れると催促してきた。
「みんな好きな料理を食べてね」
木のお皿とフォークを手に、私たちは早速自分たちが食べたい料理をお皿にのせた。
私は大好物の大豚のクーラオロウをズプリと突き刺す。
大豚と言うのは、その名の通りでっかい豚だ。
普段は温厚で危害を加えることはないらしいが、攻撃をしたら相手の身が朽ちるまで突進したり噛みついたりするらしい。
それを考えるとちょっと怖い。
「リリーちゃんはなに取ったの?」
「私は踊り鳥の酢漬け。美味しいよ」
「そうなんだ」
踊り鳥は自分が楽しいときも悲しいときも、とにかく踊る鳥だ。
攻撃するときは気息奄奄の踊りをするらしい。その踊りを見たものは体調を必ず崩すとか。
でも踊り鳥ってなんだかダジャレみたいで、少しクスッとくる。
「次の番号七~! ビンゴまたはリーチの人いる?」
リーチの人は三人いるけど、ビンゴと言っている人はまだいない。
「リリーちゃんどう?」
「私あと一個でリーチなんだけどなぁ~」
「私あと四個だよ」
「神様味方して」
神に頼るリリーちゃん。手を祈りの形にしていた。
私はさっき神に祈って人落ちてきたからな。もうしない。
「次は九!」
「あー違うー」
「私ビンゴだ!」
リリーちゃんがうめき、フランメちゃんが嬉しそうに手を上げる。
「おっフランメちゃん最初のビンゴだね~、どの包みにする?」
エレナ先輩の手には青と白のストライプの包みか赤色の包みか黄色と緑が水玉模様になっている包みか。
魔法で何個もふよふよ浮かせている。
「ん~じゃあ、コレ!」
彼女は紫色の包みを手に取った。
「オッケーそれね。部屋に帰ったら開けるんだよ?」
「分かりました!」
彼女は満足げな顔で元の位置に戻った。
「えー次の番号は~六!」
「私リーチだ」
リリーちゃんが立つ。
もうひとりビンゴが出たようで、その子はオレンジと赤の包みを選んだ。
「次は一四+二!」
「やったビンゴ」
リリーちゃんが小さくつぶやき、緑と赤の包みををもらった。
私はリーチになるまで残り三つ。
プレゼント、もらえるかな。
「次は三!」
「俺リーチだ!」
先輩が嬉しそうに立つ。
「さーあどんどんプレゼントはなくなっていきますよ。・・・二十ー!」
今度は私の紙にある数字で、私はその数字を指で潰す。
あと二個でリーチだ。
「おっいないか~。次は1!」
「イエーイ私ビンゴ!」
エレノア先輩がガッツポーズをする。みんなお茶目で楽しい。
「エレノアどれにする?」
「えーじゃあ黄緑!」
黄緑の包みを手にしたエレノア先輩は、めちゃくちゃ笑顔だった。
「残りプレゼントは十二個!さて次は~七十ニ!」
よし、またひとつ減った。
「今度もおりませんね。八!」
立ち上がる者はおらず、当たった人はいないようだ。
「あれ、ホントにいないぞ? 二十四!」
今回もビンゴの人はいない。私もまだひとつ残っている。
「え~十八!」
これでリーチだ。
「リナちゃんリーチか。よかった人いた」
あと少しでビンゴだ。ここまで来たら私もプレゼントが欲しい。
「次は五十五!」
「あ、僕ビンゴだ」
金髪の男の先輩が立った。
「オリバー、よかったね当たって」
「そうかも」
オリバー先輩は水色の包みを手にする。
「では~四十ー!」
「「「ビンゴ!」」」
三人の声が重なる。
声の主は私と、リンダちゃんとゲイルくん。
「すごーい三人一気に! しかも新入生」
「なんていう奇跡。プレゼントはどれにする~?」
「えっとじゃあ・・・・・・赤いやつで」
「私は水玉模様ので」
「俺は白色!」
私が赤い包みを、リンダちゃんが水玉模様の包みを、ゲイルくんが白色の包みを選んだ。
「あと八個だよ。みんな頑張れ~」
最初は緊張していたけれど、上手くやれそうな気がした。
こうして楽しい新入生歓迎会は終わり、私たちは寮の部屋へと帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新入生歓迎会! こんなんあったら楽しそうだな~と思って書きました。
みんなエンジョイしてて可愛いですね。
次回から金髪男子フィンが登場しますよ、お楽しみに。
「すいませーん! みんないるよね? ちょっと来てー!」
「ん?」
誰だろう。寮の部屋が分からないのかな。
ドアを開けると、そこには最初に出会ったエレナ先輩がいた。
「今から寮生の挨拶を始めるから、みんなついてきてくれる? まだ荷物運んでないとかなら待つよ」
「あ、えーっと・・・」
みんなの方を振り返ると、みんなは大丈夫と言うようにして首を横に振った。
「大丈夫です」
「そう? じゃあ行こっか。寮の歓談部屋に集合」
エレナ先輩の後ろを歩き、私たちは進んでいった。
○○○○○○○○○○
「エレナー! その子たちで全員?」
「うん、これで新入生全員一。そっちは?」
「こっちも揃った」
「了解。じゃ、始めますか」
私たちは他の新入生の子たちと歓談部屋の中心に座らされた。
今からなにをするんだろう。
するとエレナ先輩が、手をパンパンッと叩いた。
瞬く間にキレイな緑のハトが現れ私たちの周りを飛び回る。
「それでは、新入生歓迎会を始めまーす!」
エレナ先輩の声に合わせて、他の先輩たちが拍手をした。
「ようこそフリーデンへ! ここは、“平和と努力”を信条とする二番目に古い寮です。私はフリーデンの寮長を務める、エレナ・ハーレ・ロクサーネ。よろしくねー♪」
そういえば別れるときに寮長がどうのこうの言ってたな。
「はじめまして、副寮長を務めています。エレノア・アビゲイル・モーレンソンです。みんなの寮生活が充実するように頑張ります。分からないことがあったら聞いてね」
ウェーブがかった金髪のキレイな先輩。
この人がエレノア先輩。エレナ先輩を引っ張ってた。
(どんな覚え方だよ)
副長なんてあるんだ。じゃあこの二人は六年生なのかな。
「本日は先輩たちの自己紹介や、新入生の紹介もしてもらいます。寮の説明なんかが終わったら、みんなでお菓子とか食べながらビンゴゲーム! 当たったらプレゼントがランダムでもらえるよー★」
「最初は先の自己紹介から! じゃあ~・・・・・・二年生の子から、どうぞ」
「えー私たちからですかー?」
ブーブー言っているが、先輩のひとりが前の方へ来る。
「ジェシカ・デサン・カンターラーです。特技はダンスです」
「おおスゴい特技~。では次の子!」
「ミレイ・ジューン・ヒューズです。特技はピアノです。みんなよろしくね」
「いいねぇ~、次の子!」
「オリバー・テフラ・バロンです。特技は剣技です」
「彼は将来騎士団に入りたいんだってさ~」
エレナ先輩たちがちょくちょく口を挟みつつ、他の上級生の紹介を終えた。
「次は新入生!」
ビシッとエレノア先輩が指差す場所には・・・・・・私。
「えぇ! 私!?」
「絶対そうでしょほら早く!」
リリーちゃんと小声で話し、私は緊張しながら前に出る。
顔を上げたら、ワクワクした顔の先輩たち。
ひぃいぃいいいぃい無理ー!
産まれたての子鹿のようにガタガタと震える。
「あのー・・・」
いきなり声がした。声の主はリリーちゃんだ。
ん? なーにとエレナ先輩が尋ねる。
「私ひとりで自己紹介は緊張するので、二人一組でやってもいいですか?」
「もちろんいいわよ~」
じゃあ、とおもむろに立って私の隣まで来た。
「私はリリー・メアリー・ラズベリーです。よろしくお願いします」
リリーちゃんがお辞儀をする。一瞬呆気にとられたけど、私もしなきゃ。
「リナ・ベル・セレネーレです。よろしくお願いします」
彼女にならい、私もお辞儀をした。
「はーい! 最初は仲良しコンビのリリーちゃんリナちゃんがやってくれました~! この二人は寮の部屋も一緒らしいよ~」
「へぇそうなの?」
「入ってすぐ友達ができるなんてすごいな!」
みんなの空気は穏やかだ。
「ありがと、リリーちゃん」
コソッと話すと、彼女はパチンとウインクをした。
「じゃあ次の二人~」
新入生の子は知り合いではなくてもひとりですることのない安心感からか、ホッとしたように息をついていた。
○○○○○○○○○○
「では私、副寮長のエレノアがこの寮の説明をします」
エレノア先輩が指を鳴らすと黒板が音を立てながら現れる。
「どの家も基本的な構造は同じ。寮に入るときには後で配る寮証をかざさなくてはならないし、失くしたらもう二度と寮に入室できません。管理気をつけてね」
再発行とかできないんだ。絶対しっかり管理しよう。失くしたくない。
「そして、家のものを壊さない! これ大事よ。四つの寮に意志があって、寮が嫌がることをしたら寮証を持っていても入れてくれません」
寮に意志なんてあるんだ。ちょっと信じられない。
「朝にあいさつをしたら言葉じゃないかもだけど必ず返事をくれるの。他の寮に入る機会があったらその家名を言って、『おじゃまします。フリーデン寮の者です』って挨拶をしてください。家にだってプライドがあるんだから」
確かに。意志があるならプライドもある。
「そして寮にお願いして部屋の大きさを変えることもできる。祝い事とか、パーティーとかがあったりしたらそれ用に部屋を変えてくれるのよ。たまに寮がイタズラしてくることもあるけど、それは寮に信頼されてるってことだから。寮に信じてもらえたら寮の秘密について教えてもらうことができるかも・・・・・・」
え。寮の秘密?なにそれめちゃくちゃ気になるんですけど。
「まぁ、寮についての説明はこんな感じ。今から寮証配りまーす」
○○○○○○○○○○
そして自己紹介も寮の説明も無事終わり。
「それでは、ピンゴゲームをはじめます!」
木の机には美味しそうな料理が並べられて、私のお腹が早く入れると催促してきた。
「みんな好きな料理を食べてね」
木のお皿とフォークを手に、私たちは早速自分たちが食べたい料理をお皿にのせた。
私は大好物の大豚のクーラオロウをズプリと突き刺す。
大豚と言うのは、その名の通りでっかい豚だ。
普段は温厚で危害を加えることはないらしいが、攻撃をしたら相手の身が朽ちるまで突進したり噛みついたりするらしい。
それを考えるとちょっと怖い。
「リリーちゃんはなに取ったの?」
「私は踊り鳥の酢漬け。美味しいよ」
「そうなんだ」
踊り鳥は自分が楽しいときも悲しいときも、とにかく踊る鳥だ。
攻撃するときは気息奄奄の踊りをするらしい。その踊りを見たものは体調を必ず崩すとか。
でも踊り鳥ってなんだかダジャレみたいで、少しクスッとくる。
「次の番号七~! ビンゴまたはリーチの人いる?」
リーチの人は三人いるけど、ビンゴと言っている人はまだいない。
「リリーちゃんどう?」
「私あと一個でリーチなんだけどなぁ~」
「私あと四個だよ」
「神様味方して」
神に頼るリリーちゃん。手を祈りの形にしていた。
私はさっき神に祈って人落ちてきたからな。もうしない。
「次は九!」
「あー違うー」
「私ビンゴだ!」
リリーちゃんがうめき、フランメちゃんが嬉しそうに手を上げる。
「おっフランメちゃん最初のビンゴだね~、どの包みにする?」
エレナ先輩の手には青と白のストライプの包みか赤色の包みか黄色と緑が水玉模様になっている包みか。
魔法で何個もふよふよ浮かせている。
「ん~じゃあ、コレ!」
彼女は紫色の包みを手に取った。
「オッケーそれね。部屋に帰ったら開けるんだよ?」
「分かりました!」
彼女は満足げな顔で元の位置に戻った。
「えー次の番号は~六!」
「私リーチだ」
リリーちゃんが立つ。
もうひとりビンゴが出たようで、その子はオレンジと赤の包みを選んだ。
「次は一四+二!」
「やったビンゴ」
リリーちゃんが小さくつぶやき、緑と赤の包みををもらった。
私はリーチになるまで残り三つ。
プレゼント、もらえるかな。
「次は三!」
「俺リーチだ!」
先輩が嬉しそうに立つ。
「さーあどんどんプレゼントはなくなっていきますよ。・・・二十ー!」
今度は私の紙にある数字で、私はその数字を指で潰す。
あと二個でリーチだ。
「おっいないか~。次は1!」
「イエーイ私ビンゴ!」
エレノア先輩がガッツポーズをする。みんなお茶目で楽しい。
「エレノアどれにする?」
「えーじゃあ黄緑!」
黄緑の包みを手にしたエレノア先輩は、めちゃくちゃ笑顔だった。
「残りプレゼントは十二個!さて次は~七十ニ!」
よし、またひとつ減った。
「今度もおりませんね。八!」
立ち上がる者はおらず、当たった人はいないようだ。
「あれ、ホントにいないぞ? 二十四!」
今回もビンゴの人はいない。私もまだひとつ残っている。
「え~十八!」
これでリーチだ。
「リナちゃんリーチか。よかった人いた」
あと少しでビンゴだ。ここまで来たら私もプレゼントが欲しい。
「次は五十五!」
「あ、僕ビンゴだ」
金髪の男の先輩が立った。
「オリバー、よかったね当たって」
「そうかも」
オリバー先輩は水色の包みを手にする。
「では~四十ー!」
「「「ビンゴ!」」」
三人の声が重なる。
声の主は私と、リンダちゃんとゲイルくん。
「すごーい三人一気に! しかも新入生」
「なんていう奇跡。プレゼントはどれにする~?」
「えっとじゃあ・・・・・・赤いやつで」
「私は水玉模様ので」
「俺は白色!」
私が赤い包みを、リンダちゃんが水玉模様の包みを、ゲイルくんが白色の包みを選んだ。
「あと八個だよ。みんな頑張れ~」
最初は緊張していたけれど、上手くやれそうな気がした。
こうして楽しい新入生歓迎会は終わり、私たちは寮の部屋へと帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新入生歓迎会! こんなんあったら楽しそうだな~と思って書きました。
みんなエンジョイしてて可愛いですね。
次回から金髪男子フィンが登場しますよ、お楽しみに。
1
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ライバル悪役令嬢に転生したハズがどうしてこうなった!?
だましだまし
ファンタジー
長編サイズだけど文字数的には短編の範囲です。
七歳の誕生日、ロウソクをふうっと吹き消した瞬間私の中に走馬灯が流れた。
え?何これ?私?!
どうやら私、ゲームの中に転生しちゃったっぽい!?
しかも悪役令嬢として出て来た伯爵令嬢じゃないの?
しかし流石伯爵家!使用人にかしずかれ美味しいご馳走に可愛いケーキ…ああ!最高!
ヒロインが出てくるまでまだ時間もあるし令嬢生活を満喫しよう…って毎日過ごしてたら鏡に写るこの巨体はなに!?
悪役とはいえ美少女スチルどこ行った!?
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる