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第13話 女子一日会わざれば括目すべしです
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マユミ殿は一体どんな魔法を使ったのだ・・・
朝食の時間である。
二人仲良く連れ立ってやって来たマユミとエレスナーデを見た侯爵は驚愕した。
昨日の張り詰めた空気が嘘のように仲睦まじい・・・まるで姉妹のようだ。
「ナーデ、後で絶対魔法教えてよ?約束だからね?」
「はいはい、わかったから早く席に着きなさい」
エレスナーデお嬢様、ではなくナーデ呼び、しかもタメ口である・・・エレスナーデ本人も不快そうには見えない・・・それに、なんというか・・・自然体だ。
(そうかそうか・・・エレスナーデは良い友人を得たのだな・・・)
朝から涙腺が脆くなる侯爵であった。
席に着いたマユミ達の前に用意されたのは、焼きたてのパンとミルク・・・そして黒いツブツブに覆われた塊はおそらく肉・・・ベーコンかなにかだろうか・・・香ばしい匂いをさせている。
「それでは、失礼致します」
執事ジーブスがその塊をナイフで切り分けてくれる・・・やはり肉のようだ。
「いただきます」
パンに肉を乗せて頬張る・・・表面の黒いツブツブは胡椒だった、しっかりと肉の味を引き締めている。
(そっか、これ胡椒かー・・・胡椒・・・あっ・・・)
胡椒の一粒は黄金の一粒・・・そんな言葉がマユミの脳裏をよぎった。
「昨夜の料理はあまりお口に合わなかったように見えましたので、今朝は少々強めの味付けでご用意しました・・・マユミ様のお口に合えば良いのですが・・・」
「あっはい、すごくおいしいです・・・でもこれ・・・」
その反応に、ジーブスは不安そうにマユミの表情を覘き込む・・・もちろん味付けに対してマユミに不満などない・・・気になったのは別の事だ。
「お、お高くないですか?・・・お値段的に・・・」
「?・・・はて・・・」
不安そうに尋ねるマユミにジーブスは首を傾げる・・・その様子を見てエレスナーデは助け舟を出すことにした。
「ふふ、よっぽど美味しかったのね・・・じい、この料理には何か隠された秘密があるのでは?とマユミは尋ねているのよ」
「なるほど・・・食材は全てこの街の市で買えるものを使っております・・・香辛料の調合については料理人の研鑽の成果、としか申せませんが・・・そのような特別な素材は用いられていないかと・・・」
「普通に買えるものだけでこの料理が作られた、そういうことね?」
「はい、左様にございます・・・ご満足いただけたようで料理人も喜びましょう」
マユミに言い聞かせるように確認するエレスナーデ・・・もちろんマユミも気付かないわけではない。
一時は気が動転したマユミだが、落ち着きを取り戻した。
(そっか・・・この世界では胡椒は、普通に買えるもの、なんだ・・・)
あの様子では一般市民にも手が出せる値段なのだろう。
まぁ現実世界の中世でも、限られた期間だけ高騰していたに過ぎないのだが、マユミが知る由もない。
紙が存在し、香辛料が普通に買える・・・他にもマユミの知る中世とは違う所はあるだろう。
なにしろ、魔法があるのだ。
もっとこの世界の事を学ばなければ・・・とマユミは決意する。
「侯爵様、今日、街に出かけてみたいんですが・・・」
「それはマユミ殿お一人で?」
「あまり目立ちたくないので、出来れば少人数で・・・」
さすがに一人でとは言えない、街の治安がどの程度なのかもわからないのだ。
・・・自らの身をもってそれを学ぶつもりはなかった。
「ではゲオルグの奴に護衛を任せるか・・・奴と奴の部下を数名付ければ良いであろう」
「なら私が行きます、護衛なら私とゲオルグの二人で足りるでしょう?」
『護衛する側』としてエレスナーデが立候補した。
ここには彼女が魔術を使える事を知っている者しかいない、反論はなかった。
だが『護衛される側』のマユミは嫌そうな顔をした。
「え、ナーデも来るの?」
「なんで嫌そうなのよ?」
「や、お嬢様は目立つから・・・」
「たぶんあなた一人の方が目立つわよ、あれはどこのお嬢様だろうって・・・」
「あ・・・」
言われて気付く・・・今の自分もお嬢様みたいなものだと・・・
エレスナーデは有名人だろうし存在感がある、彼女の陰に隠れた方が目立たないかも知れない。
「理解したみたいね、じゃあ支度するわよ」
そう言って再びマユミを自室へと連れていくエレスナーデ。
マユミは、なすがままに外出用の服に着替えさせられるのだった。
・・・・・・・・・
「騎士ゲオルグ、侯爵のお召しにより、迎えに参りました」
エレスナーデの部屋の前まで来たゲオルグは、自分が少し緊張しているのを感じた。
その原因はおそらく異世界の少女だろう。
『勇者様、その聖剣を抜いてください・・・』
・・・あの時のマユミの声が深く印象に残っている。
あの時ゲオルグは、まるで本当に選ばれし勇者になったかのような、そんな気分を味わったのだ・・・
一見何の変哲もない少女だったが、あの声には不思議な力を感じた。
今日は彼女の護衛任務を任されている・・・またあのような体験が出来るのだろうか・・・
「ナーデ、やっぱりこの服派手過ぎないかな?」
「大丈夫よ、それにもう迎えが来たわ、諦めなさい」
そんな声が聞こえる・・・「あの声」ではない、ごく普通の少女達の声だ。
そして目の前の扉が開き、二人が姿を現す・・・
「あ、ゲオルグさん、今日はよろしくお願いしま・・・ええっ!」
まるで先日とは別人のような、美しい少女の姿がそこにあった・・・
あの時は聖剣の巫女かと思ったが、今日の彼女はまるで・・・
「は、身命を賭してお守り致します・・・」
・・・ゲオルグは無意識のうちに跪き、臣下の礼を取っていた。
「ゲ、ゲオルグさん?!」
「ああ・・・すまない、これはその・・・」
「あら、騎士としての使命感に火がついてしまったかしら?しっかりお願いしますね」
我に返ってしどろもどろになるゲオルグを軽くフォローするエレスナーデ、その心は・・・
(これは思ったよりも効き過ぎたかしら?)
白を基調とした清楚なドレス、頭にちょこんと乗った髪飾りはティアラを思わせる・・・そのコンセプトは、姫・・・
ゲオルグがやる気を出すようにと仕込んだ彼女のコーディネート・・・その効果は抜群だった。
朝食の時間である。
二人仲良く連れ立ってやって来たマユミとエレスナーデを見た侯爵は驚愕した。
昨日の張り詰めた空気が嘘のように仲睦まじい・・・まるで姉妹のようだ。
「ナーデ、後で絶対魔法教えてよ?約束だからね?」
「はいはい、わかったから早く席に着きなさい」
エレスナーデお嬢様、ではなくナーデ呼び、しかもタメ口である・・・エレスナーデ本人も不快そうには見えない・・・それに、なんというか・・・自然体だ。
(そうかそうか・・・エレスナーデは良い友人を得たのだな・・・)
朝から涙腺が脆くなる侯爵であった。
席に着いたマユミ達の前に用意されたのは、焼きたてのパンとミルク・・・そして黒いツブツブに覆われた塊はおそらく肉・・・ベーコンかなにかだろうか・・・香ばしい匂いをさせている。
「それでは、失礼致します」
執事ジーブスがその塊をナイフで切り分けてくれる・・・やはり肉のようだ。
「いただきます」
パンに肉を乗せて頬張る・・・表面の黒いツブツブは胡椒だった、しっかりと肉の味を引き締めている。
(そっか、これ胡椒かー・・・胡椒・・・あっ・・・)
胡椒の一粒は黄金の一粒・・・そんな言葉がマユミの脳裏をよぎった。
「昨夜の料理はあまりお口に合わなかったように見えましたので、今朝は少々強めの味付けでご用意しました・・・マユミ様のお口に合えば良いのですが・・・」
「あっはい、すごくおいしいです・・・でもこれ・・・」
その反応に、ジーブスは不安そうにマユミの表情を覘き込む・・・もちろん味付けに対してマユミに不満などない・・・気になったのは別の事だ。
「お、お高くないですか?・・・お値段的に・・・」
「?・・・はて・・・」
不安そうに尋ねるマユミにジーブスは首を傾げる・・・その様子を見てエレスナーデは助け舟を出すことにした。
「ふふ、よっぽど美味しかったのね・・・じい、この料理には何か隠された秘密があるのでは?とマユミは尋ねているのよ」
「なるほど・・・食材は全てこの街の市で買えるものを使っております・・・香辛料の調合については料理人の研鑽の成果、としか申せませんが・・・そのような特別な素材は用いられていないかと・・・」
「普通に買えるものだけでこの料理が作られた、そういうことね?」
「はい、左様にございます・・・ご満足いただけたようで料理人も喜びましょう」
マユミに言い聞かせるように確認するエレスナーデ・・・もちろんマユミも気付かないわけではない。
一時は気が動転したマユミだが、落ち着きを取り戻した。
(そっか・・・この世界では胡椒は、普通に買えるもの、なんだ・・・)
あの様子では一般市民にも手が出せる値段なのだろう。
まぁ現実世界の中世でも、限られた期間だけ高騰していたに過ぎないのだが、マユミが知る由もない。
紙が存在し、香辛料が普通に買える・・・他にもマユミの知る中世とは違う所はあるだろう。
なにしろ、魔法があるのだ。
もっとこの世界の事を学ばなければ・・・とマユミは決意する。
「侯爵様、今日、街に出かけてみたいんですが・・・」
「それはマユミ殿お一人で?」
「あまり目立ちたくないので、出来れば少人数で・・・」
さすがに一人でとは言えない、街の治安がどの程度なのかもわからないのだ。
・・・自らの身をもってそれを学ぶつもりはなかった。
「ではゲオルグの奴に護衛を任せるか・・・奴と奴の部下を数名付ければ良いであろう」
「なら私が行きます、護衛なら私とゲオルグの二人で足りるでしょう?」
『護衛する側』としてエレスナーデが立候補した。
ここには彼女が魔術を使える事を知っている者しかいない、反論はなかった。
だが『護衛される側』のマユミは嫌そうな顔をした。
「え、ナーデも来るの?」
「なんで嫌そうなのよ?」
「や、お嬢様は目立つから・・・」
「たぶんあなた一人の方が目立つわよ、あれはどこのお嬢様だろうって・・・」
「あ・・・」
言われて気付く・・・今の自分もお嬢様みたいなものだと・・・
エレスナーデは有名人だろうし存在感がある、彼女の陰に隠れた方が目立たないかも知れない。
「理解したみたいね、じゃあ支度するわよ」
そう言って再びマユミを自室へと連れていくエレスナーデ。
マユミは、なすがままに外出用の服に着替えさせられるのだった。
・・・・・・・・・
「騎士ゲオルグ、侯爵のお召しにより、迎えに参りました」
エレスナーデの部屋の前まで来たゲオルグは、自分が少し緊張しているのを感じた。
その原因はおそらく異世界の少女だろう。
『勇者様、その聖剣を抜いてください・・・』
・・・あの時のマユミの声が深く印象に残っている。
あの時ゲオルグは、まるで本当に選ばれし勇者になったかのような、そんな気分を味わったのだ・・・
一見何の変哲もない少女だったが、あの声には不思議な力を感じた。
今日は彼女の護衛任務を任されている・・・またあのような体験が出来るのだろうか・・・
「ナーデ、やっぱりこの服派手過ぎないかな?」
「大丈夫よ、それにもう迎えが来たわ、諦めなさい」
そんな声が聞こえる・・・「あの声」ではない、ごく普通の少女達の声だ。
そして目の前の扉が開き、二人が姿を現す・・・
「あ、ゲオルグさん、今日はよろしくお願いしま・・・ええっ!」
まるで先日とは別人のような、美しい少女の姿がそこにあった・・・
あの時は聖剣の巫女かと思ったが、今日の彼女はまるで・・・
「は、身命を賭してお守り致します・・・」
・・・ゲオルグは無意識のうちに跪き、臣下の礼を取っていた。
「ゲ、ゲオルグさん?!」
「ああ・・・すまない、これはその・・・」
「あら、騎士としての使命感に火がついてしまったかしら?しっかりお願いしますね」
我に返ってしどろもどろになるゲオルグを軽くフォローするエレスナーデ、その心は・・・
(これは思ったよりも効き過ぎたかしら?)
白を基調とした清楚なドレス、頭にちょこんと乗った髪飾りはティアラを思わせる・・・そのコンセプトは、姫・・・
ゲオルグがやる気を出すようにと仕込んだ彼女のコーディネート・・・その効果は抜群だった。
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